車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.12.01 / 掲載日:2016.09.23

【気になる中古車試乗判定】フォルクスワーゲン ザ・ビートル

フォルクスワーゲン ザ・ビートル

2013年式 VOLKSWAGEN THE BEETLE

一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果は!?

文●竹岡圭、石井昌道、GooWORLD 写真●川崎泰輝

今月の中古車は フォルクスワーゲン ザ・ビートル

  • 初代ビートル風の室内はボディ同色パネルがお洒落

    フォルクスワーゲン ザ・ビートル コックピット

  • 初代ビートル風の室内はボディ同色パネルがお洒落

     初代ビートルを思わせる横基調のインパネデザイン、そして丸をモチーフにした要素が特徴的。インパネやステアリングのパネル色がボディカラーと同色になるのも遊び心を感じる。衝突を感知して車両を10km/h以下まで減速、二次衝突の危険を低減するポストコリジョンブレーキシステムを搭載。

  • 後席もニュービートルより 頭上の空間に余裕ができた

    フォルクスワーゲン ザ・ビートル 内装

  • 後席もニュービートルより 頭上の空間に余裕ができた

     ニュービートルよりも全高が12mm低くなったものの、頭上空間の広さは充分。とくに前席は広々としている。ガラスはすべてティンテッド仕様でUVカット機能付き。ラゲッジ容量は、標準状態で310L(最大905L)。後席は50対50の分割可倒式となっており、長尺物にも対応する。

  • ダウンサイジングされた 1.2L TSIエンジンを搭載

    フォルクスワーゲン ザ・ビートル エンジン

  • ダウンサイジングされた 1.2L TSIエンジンを搭載

     搭載されるエンジンはポロでお馴染みの1.2L TSIユニット。組み合わせられるのは7速DSGで、燃費は2012年に導入された初期モデルで17.6km/Lとなかなかの低燃費。このほか、2Lターボ仕様(2013年10月に追加)と限定車「デューン」(2016年5月発売)の1.4Lターボが存在する。

  • 7速DSGを搭載 ターボ仕様には電制デフも

    フォルクスワーゲン ザ・ビートル タイヤ・トランスミッション

  • 7速DSGを搭載 ターボ仕様には電制デフも

     トランスミッションは、フォルクスワーゲン自慢の高効率メカである7速DSG。上位グレードまたはオプション装着車には、ステアリングにパドルシフトも用意される。タイヤは1.2Lモデルは16インチが標準で、ターボには18インチとスポーツサスペンションや電子制御式デフなどが備わる。

フォルクスワーゲン ザ・ビートル 試乗判定レビュー

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・石井 昌道)

  • 自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・石井 昌道)

    頭上の空間が広く、意外と開放感があることに関心するふたり。ニュービートルに比べて運転席から見る視界が自然になったことも指摘。「ある意味普通のクルマになった」とコメント。

  • 自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・石井 昌道)

大ヒットした前モデルとじつは方向性が異なる

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はフォルクスワーゲンからザ・ビートルの登場です。お借りした車両は個人所有で、2013年式、グレードは「デザイン」、走行距離は4万kmとなります。2年落ちの車両を専業店にて購入したとのことです。

竹岡●前モデルのニュービートルって、日本でも大ヒットしたよね!

石井●俺の従兄妹がニュービートルのカブリオレに乗ってるのね。でも、ザ・ビートルは乗り換えの対象にならないんだって。それを聞いてなるほど、と。ニュービートルとザ・ビートル、どちらもタイプ1をリバイバルしたものだけど、違う方向性なのかなって。ニュービートルがどちらかというと女性的でマンガのキャラクターみたいな存在だったのに対して、ザ・ビートルは男っぽいというか、ポルシェ356や911に通じるようなスポーツカー的な雰囲気がある。

竹岡●ニュービートルは「アイコン」だよね。可愛らしいし、乗り換えたくないっていうひとの気持ちはわかる。でも、ニュービートルって、ちょっと運転しにくかったでしょ(笑)。タイヤがすごく前にあって、車体がどこまであるのかわかりにくかった。それから比べたら、ザ・ビートルは乗りやすい。

石井●そう、普通に優秀な、実用的なクルマなんだよ。

竹岡●だよね。極端に言えば、ゴルフが可愛くなったのがザ・ビートル。

石井●その方向性の違いは、あまりクルマに詳しくないひとはわからないかな、と思ってたけど、わかるんだね。

竹岡●逆にそこは敏感なんじゃない?こういうクルマは、理屈じゃなくてピンとくるかどうかだから。

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・石井 昌道)

編集部●さて、ここでザ・ビートルの来歴について簡単に説明いたします。ザ・ビートルが日本に登場したのは2012年4月のことで、1.2Lエンジンと7速DSGというパワートレーンを搭載。「デザイン」と上級グレードの「デザインレザーパッケージ」の2グレードからスタートしました。2013年10月に2L TSIを搭載するスポーティな「ターボ」を追加。その後現在に至るまで、メカニズム的な変更は基本的にないのですが、数多くの限定車を投入しているのが特徴ですね。とくに今年5月に発売された「デューン」(500台限定)は、エンジンも1.4L TSIと、これまでのラインアップにないものですし、ラフロードカーをイメージさせる外観も印象的でした。

竹岡●たしかに、ザ・ビートルは限定車が多い!

石井●「デューン」は、バハバグをイメージしてるんだよ。

編集部●タイプ1を改造したバギーカーでしたっけ。そういう過去のイメージを上手に使ったり、ギターのフェンダーとコラボした限定車があったりするのも、ザ・ビートルらしいところなのかもしれませんね。

竹岡●最近はオトコっぽすぎるクルマは人気がないけど、ザ・ビートルは、ほどよく甘さがあって、それでいて経済観念もしっかりしてる感じがあるから、わりとモテると思うよ。

編集部●では、お二人にはそろそろ試乗していただきましょうか。


編集部●さて、試乗から帰ってきたお二人に感想をおうかがいします。

竹岡●意外とよかったよね。

石井●そう、最初はちょっとボディが緩く感じて、走行距離のせいなのかと思ったら、速度が上がったらそうでもなかったし。オルガン式のペダルが運転しやすかった(笑)。ザ・ビートルのベースはゴルフVIだよね。これが次のMQB世代になると、普通の吊り下げ式になっちゃう。走りに関してはゴルフVIの世代も悪くなかったから、普段乗りの1台としては、これで十分だと思ったな。

編集部●1.2Lという小排気量エンジンに不安を感じる方もいるかと思いますが、その辺はどうでしたか?

石井●もうちょっと排気量なりトルクがあった方がもちろん走りやすくなるけど、絶対的な性能としては十分だから過不足なく走る。現在開発中という1.5L TSIユニットには可変ジオメトリーターボが採用されるらしいから、そうしたらもっとよくなるだろうね。

竹岡●クルマの性格からいっても、そんな必死になって走るモデルじゃないし、これくらいでちょうどいいんじゃないかな。

編集部●そういえば、フォルクスワーゲンのラインアップのなかで2ドア車はこれだけなんですよ。

竹岡●そう考えるとカブリオレならもっと楽しいかもね。それで、中古車はいくらくらいするの?

編集部●今日の試乗車と同じような物件であれば、もっと走行距離の少ないものでも100万円後半といったところですね。

石井●そんなに安いんだ!

竹岡●それならアリ!男性にも女性にもオススメできる1台です。

ザ・ビートル レビュー評価

フォルクスワーゲン ザ・ビートル

  • フォルクスワーゲン ザ・ビートル メーター

  • クラシカルな雰囲気を漂わせる3眼式メーター。中央にはマルチファンクションモニターも装備。

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるフォルクスワーゲン ザ・ビートル レビュー評価をまとめます。

※各項目に対して10点満点評価。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭

可愛いだけでなく、ちゃんと経済性や使い勝手についても考えられているザ・ビートルは、それを選んだオーナーも素敵に見せてくれますよ!

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

ポジショニング 9点

 ビートルってVWのアイコンとして、なくてはならないクルマだと思うんですよね。だからニュービートルからザ・ビートルに名前が変わったにしろ何にしろ、ちゃんとモデルチェンジしただけでエライッ!そんな存在だと思うんです。ゴルフシリーズのゴルフVIベースですから意外と使いやすいので、「普通のCセグメントのクルマじゃイヤッ!」っていう個性派にピッタリ。

装備 9点

 インパネボックスの開き方とか、系譜を感じさせるインテリアとして作り込んでいるのは、雰囲気があっていいですよね。ニュービートルにはあったインパネの一輪挿しがなくなっちゃったのはちょっと寂しい感じもするけれど、いわゆるCセグメントのクルマとして使いやすいものになっています。カジュアルさだけでなく質感もあるので文句ナシ。

走り 9点

 先代となるニュービートルは、タイヤの位置が掴みにくいレイアウトで、とくに狭いところでは運転しにくさもありましたけど、今回は前述したとおりゴルフVIベースなので、普通に使いやすいクルマに仕上がっています。一般道では適度にホンワカしていて、高速道路ではピシャリと直進安定性が高いのも好印象。見た目のキュートさとは裏腹にしっかり感抜群。

自動車ジャーナリスト 石井 昌道のコメント

自動車ジャーナリスト 石井 昌道

純粋にクルマとして見ると、ニュービートルに比べて劇的に進化しているザ・ビートル。それでも、乗り味はゴルフよりタイプ1に似ているのだからおもしろい。

自動車ジャーナリスト 石井 昌道
●レースの参戦経験を持つ自動車ジャーナリスト。日々、国内外で行われるニューモデルのテストドライブへ精力的に赴き、ステアリングを握る。

ポジショニング 9点

 ドイツ北部の理知的で真面目な土地柄を反映してか、モノのよさに定評があるものの、輸入車に期待するような華やかさはいまひとつなフォルクスワーゲン。そんな中にあってザ・ビートルだけはポップで明るい印象だ。かつてのタイプ1が人気を誇ったカリフォルニアの匂いが感じられるからだろう。先代ニュービートルは女性的だったが、今は男性的になった。

装備 9点

 グレードが「デザイン」なので、アイコニックなザ・ビートルを実感させるボディ同色のインストゥルメントパネルやステアリングホイールトリム、ドアトリムが装備されているのが嬉しい(現在のベースモデルはブラック)。ニュービートルの一輪挿しがなくなってはいるが、今でも女子ウケ要素に事欠かないインテリアだからだ。機能装備にも不足はない。

走り 8点

 厳しくチェックすると1.2TSIはもう少しだけ超・低回転域のトルクが充実すると発進時のドライバビリティがよくなるだろうと思われるが、ザ・ビートルのキャラに惚れたらあばたもえくぼと笑って許せる範囲。基本は真面目なフォルクスワーゲンらしい乗り味だが、カッチリとしたゴルフよりも少しだけユルい雰囲気があるのがおもしろいところだ。

GooWORLD編集部

輸入車らしいワクワク感と使いやすさ、経済性を兼ね備えるザ・ビートルは、はじめての輸入車としてもオススメ。老若男女を問わない幅広さを持っています。

ポジショニング 9点

 クルマに詳しくないひとでも知っている「ビートル」というブランド、そしてそれを支えるVWの高品質メカという組み合わせは非常に魅力。「個性のあるクルマに乗りたいけど、維持費がかかるのはちょっと」というユーザーの気持ちにしっかりこたえてくれる1台です。なにより、中古車価格の安さに注目。高年式車が手ごろな価格で数多く販売されています。

装備 9点

 ベーシックな「デザイン」であっても、装備に不足を感じるようなことはありませんでした。室内は高級感たっぷりというわけにはいきませんが、キャラを考えればそれも気になるほどではありません。ステアリングなど、手に触れる部分の素材感がしっとりしているのも好印象。また、数多く販売されている限定車ならば、さらに個性的な色や装備が充実!

走り 9点

 エンジンの排気量が1.2Lだという先入観から、当初走りにあまり期待していなかったのですが、実際に走らせてみると気になりませんでした。街中では見た目どおりのやさしい乗り味なのに、高速域になるとしっかり感が出てくるのはさすがドイツ車。さらに速さを求めるなら「ターボ」という選択肢も。中古車の物件が少ないですが、価格差が少ないのでオススメ。

フォルクスワーゲン ザ・ビートル DETAIL CHECK

フォルクスワーゲン ザ・ビートル

2013年式 フォルクスワーゲン ザ・ビートル(7速AT・DSG)

全長×全幅×全高4270×1815×1495mm
ホイールベース2535mm
車両重量1280kg
エンジン直4SOHCターボ
総排気量1197cc
最高出力105ps/5000rpm
最大トルク17.8kg m/1500-4100rpm
サスペンション前/後ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク

中古車参考価格帯

130万円~290万円(2012年~2016年・全グレード)

モデル主要変遷

2012年4月ザ・ビートル登場
2013年5月価格改定 ←今回の中古車
2013年10月「ターボ」を追加
2014年4月価格改定
2015年7月一部変更、「ベース」を追加

※ナンバープレートはハメ込み合成です。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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