車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.17 / 掲載日:2017.10.26
【気になる中古車試乗判定】アバルト 595

ABARTH 5952017年モデル アバルト 595
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?
文●竹岡圭、九島辰也、グーワールド
写真●グーワールド
今月の中古車は アバルト 595
DETAIL CHECK 1
ちょっとした違いがドライバーの気持ちを熱くする
ちょっとした違いがドライバーの気持ちを熱くする
フィアット500のそれをベースにしながらも、ステアリングやアルミペダルでスポーティテイストを強めたインテリア。ダッシュボード上にちょこんと乗っているのはタコメーター兼シフトインジケーターで、スポーツモードのON、OFFもここに表示される。
DETAIL CHECK 2
ハイバックタイプのシートはレトロなデザインも素敵
ハイバックタイプのシートはレトロなデザインも素敵
シートもイタリアンスーパーカー的なアバルト専用のデザインが与えられている。居住性についてはベースとなったフィアット 500とほぼ変わらず、実用性はしっかり確保されている。最上級グレードの「コンペティツィオーネ」ではシートシェルがカーボンになるなど、よりスポーティな演出も行われる。
DETAIL CHECK 3
実用性はしっかりとキープ毎日の足にもちゃんと使えます
実用性はしっかりとキープ毎日の足にもちゃんと使えます
ラゲッジ容量は185Lでこれもベースとなった500から変わらない。後席を倒すことでワゴン的な使い方もできるため、日常生活からちょっとした旅行まで幅広く対応する。ルックスで惚れて購入しても後悔しないだけの実用性が備わっているのもアバルト 595人気を支える秘密だ。
DETAIL CHECK 4
サソリのマークが輝くパワフルなエンジン
サソリのマークが輝くパワフルなエンジン
真っ赤なヘッドカバーが目をひくエンジンルーム。マイナーチェンジ後のモデルでは、「ベースグレード」の145馬力、「ツーリズモ」の165馬力、「コンペティツィオーネ」の180馬力と3種類を用意。「ツーリズモ」以上はギャレット製の大型タービンを採用している。
サソリの毒がいつもの道を非日常に変えてくれる

竹岡フィアットとはまさに別物 サソリの毒にご用心!?
九島アバルト595を選ぶひとはクルマ上級者に見える
格上のスポーツカーを追いかけまわせる本格派
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、サソリのマークでお馴染みのアバルトから595の登場です。お借りした車両は2017年モデルで、グレードは「ベースグレード」、走行距離は3000kmとなっています。
九島●ぼくはフィアット500のツインエアに乗っているんだけど、乗り比べるとアバルトはまったく違うクルマだよね。
竹岡●私はアバルト500 Rally R3Tというクルマに乗ってますけど、それと比べたら乗りやすいよ(笑)。
編集部●全日本ラリーに出てるやつですよね。それは本物のレーシングカーですから反則です(笑)。本日試乗していただく595は、マーチよりも小さな車体に1.4L 4気筒ターボエンジンを搭載する小さな高性能車です。ライバルというか、同じようなクルマは、とくに日本車にはあまりないように思います。
竹岡●無理やり当てはめると昔あったアルトシリーズのアルトワークスかな(笑)。でも、アバルトはそういう存在ともまた違うんだよね。たとえば軽自動車は、どんなスポーティ仕様でも、だれもが安心して楽しめるように作ってあるの。それに対してアバルトは非日常を楽しむクルマ。そういう意味でも別物だと思うな。
九島●アバルトのサソリは非日常の象徴だからね。レース屋カルロ アバルトの精神が受け継がれてるんだ。ヨーロッパでは実用車のスポーティバージョンに根強い人気というか文化がある。小さい実用的なクルマでスポーツカーを打ち負かすっていうのが好きなんだ。
編集部●なるほど、なんだかそのロマン、わかる気がします。では、改めてアバルト595のプロフィールを紹介させていただきます。アバルト595は、アバルト500(2009年登場)の高性能版として2013年に日本に導入されました。グレードは当初「ツーリズモ」と「コンペティツィオーネ」の2種類で、エンジンは1.4L 4気筒ターボを搭載。最高出力は160馬力と、従来の135馬力に比べて大幅にパワーアップ。トランスミッションは当初ATモード付きの5速シーケンシャルでしたが、後ほどMTも追加されました。
九島●500をパワーアップさせる「エッセエッセキット」っていうのがあったんだけど、595はそれを最初から装着したような仕様だね。
竹岡●つい最近まで500と595は併売されてたんだっけ。
編集部●そのとおりです。2017年2月のマイチェンで500は595へと統一され、「ベースグレード(145馬力)」、「ツーリズモ(165馬力)」、「コンペティツィオーネ(180馬力)」というグレード構成になりました。また、トランスミッションはシーケンシャルに加えてMTも用意されています。
九島●ソフトトップモデル(500C、595C)もおしゃれだし、マセラティやフェラーリとコラボした特別モデルの695っていうのも格好よかったよ。
編集部●限定車も含めると、かなりバリエーションは豊富です。では、試乗をお願いできますでしょうか。

編集部●さて、試乗から戻ってきたお二人に感想を伺いましょう。
九島●今回の試乗車はまだ走行距離が少ない個体だったんだけど、友人が乗っているもっと走行距離の伸びたクルマと比べても、フィーリングに差はなかったね。走りの実力はベースとなったフィアット500とはやっぱり別物!
竹岡●背が高くてホイールベースが短くてトレッドも狭いから、限界を超えると一気にスピンモードになる。腕のあるひとは楽しめるだろうし、そういうところも含めてアバルトならではの世界観がちゃんとある。
九島●アバルトってさ、乗り手がクルマ上級者に見えるブランドだと思うんだよ。あくまでイメージなんだけど、まわりでアバルトに乗っているひとを見てもそう。いろいろと経験を重ねて、クルマやブランドのことをよく理解しているひとが選んでる。昔はちょっとマニアックなイメージがあったけど、最近はそこから解放された感じがするな。
竹岡●だから最近は女の子のアバルトオーナーが多くなってるんだよね。女性はそういうの敏感だから。
編集部●つまり、本格的な走りの世界を持ちながらも、おしゃれなイメージもあるということですね。いいですねアバルト。
竹岡●中古車ってどんな感じなの?
編集部●ずばり高値安定ですね。500の初期モデルの安いものでも150万円くらいしますし、595は250万円くらいが相場です。
九島●新車価格が300万円から400万円弱だっけ。それだけ人気があるってことだな。
竹岡●この内容ならアリだと思うな。アバルト 595オススメです!
※ナンバープレートはハメ込み合成です。

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるアバルト595 レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

アバルトのレースカー(アバルト500ラリーR3T)で全日本ラリーに参加している竹岡さん。身を以てそのポテンシャルを知っているだけに説得力があります。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 10点
小さなボディやエンジンのクルマをチューニングして、大きなヤツをカモる!というのがアバルトの信条だとすれば、これほどストーリーにピッタリなクルマもほかにないですよね。カワイイ顔して中身はスパルタンって、意外と女子の憧れだったりもします。フィアット500とはまた全然違うサソリの毒が効いた、パンチのある音とパワーが超魅力的です。
装備 10点
とくにコレ!という女子的快適装備はついてないけれど、カッコカワイイインテリアは、いかにもイタリアン。誤解を恐れずに言えば、このクルマの最大の魅力は内外装のデザインですから、それでいいんです。でもひとつだけ、せっかくアバルトを選ぶなら、レコードモンツァのマフラーは、見た目的にもサウンド的にも、やっぱりほしいところですよね。
走り 9点
シーケンシャルモデルなら最近多いAT限定免許でOKなのも魅力ですが、逆にMTモデルを選べるクルマが本当に少ないので、どちらでも選べるのがこのクルマのポイントのひとつ。だからこそホイールベース短い、トレッド狭い、背は高いというディメンションは、本気で走ると制御しきれないくらいヤンチャで手強い。決して、舐めたらいかんぜよ。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

イタリア好きの九島さんにとってアバルトはお気に入りのブランドのひとつ。とくに595はデザインやパフォーマンスのバランスがいいと太鼓判でした!
自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。
ポジショニング 10点
カルロ アバルトが興したアバルトは、1950年代から60年代にかけて黄金時代を築き、数々の名車を手がけ、レースの世界でも大きな成功を収めた。その後、会社はフィアットに合併されたものの、アバルトという名前は現代にこうして生き残っている。595にはそんなブランドのエッセンスがしっかりと受け継がれている。まさにユニークであり、価値がある。
装備 9点
エクステリアに比べるとモディファイ度は控えめなインテリアだが、ステアリングやメーターといったいつもドライバーが目にするところがしっかりとアバルトテイストになっているのがニクい。今回試乗した595にはナビゲーションも備わっていて、取り付け位置も見やすかった。こういったクルマは購入後に自分流にカスタマイズするのも楽しい。
走り 9点
いま我が家にはフィアット500のツインエアがいるが、乗り比べるとまさしく別物。もちろん、アバルト 595の走りがホットという意味でだ。今回試乗したのは「ベースグレード」だったが、それでも十分に楽しめた。さらにその上も用意されているのだから流石アバルトという他はない。いろいろなクルマを経験してきた上級者でもきっと楽しめるはずだ。
グーワールド編集部
小柄なのに運動神経抜群でルックスもいい500と595は、中古車市場の価格も高値で推移しています。ただ、状態がいいクルマが多いので、検討の余地アリです。
ポジショニング 10点
輸入車界きってのキャラものである500、その愛らしいボディをレーシーにモディファイするというミスマッチの妙がクルマ好きの心を掴みます。スポーティなのにボディカラーやバンパーのデザインがおしゃれな雰囲気なのも人気の秘密なのではないでしょうか。いわゆるホットハッチ的なクルマですが、峠やサーキットだけでなく、街中も似合う1台。
装備 10点
コンパクトカーなのにバイキセノンヘッドライトやLEDデイランプは標準装備。インテリアにもアルミやレザーといった素材が上手にトッピングされていて、キッチュなのに安っぽさは感じません。さらに上級グレードであれば、オトナのクルマ好きが満足できるだけのクオリティが用意されています。また、希少なMTが選べるというのも嬉しいところ。
走り 9点
今回の試乗車は145馬力の「ベースグレード」でしたが、車両重量わずか1110kgの軽量コンパクトボディで速くないわけがありません。弾けるような加速に自然と笑顔が浮かんできます。ボディのしっかり感も印象的ですし、足も引き締まっているもののガチガチではありません。短時間ながら後席にも乗ってみましたがちゃんと実用的でした。
本格的なスポーツ性能をおしゃれなデザインで包んだ小粋なコンパクト

2017年 アバルト595(5速AT・シーケンシャル)
全長×全幅×全高 | 3660×1625×1505mm |
---|---|
ホイールベース | 2300mm |
車両重量 | 1110kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1368cc |
最高出力 | 145ps/5500rpm |
最大トルク | 18.4kg m/2000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トーションビーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
中古車参考価格帯
200万円~380万円(2013年~2017年 ※595のみ) |
モデル主要変遷(アバルト500、595)
2009.04 | 「500」が登場 |
---|---|
2010.06 | 一部改良 |
2013.01 | 「595」が登場。「500」の装備を見直し |
2014.03 | 「500」にシーケンシャルトランスミッションを追加 「595 コンペティツィオーネ」にMTを追加 |
2014.10 | 一部改良 |
2016.03 | 「595 コンペティツィオーネ」を改良 |
2017.02 | マイナーチェンジ ←今回の中古車 |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。