車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2017.09.28
【気になる中古車試乗判定】アルファ ロメオ ジュリエッタ

2017年モデル ALFA ROMEO GIULIETTA
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?
文●竹岡圭、九島辰也、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は アルファ ロメオ ジュリエッタ
アルファ ロメオのDNAを デザインの力で表現する
アルファ ロメオのDNAを デザインの力で表現する
盾をイメージしたステアリングパッドが、アルファらしさを演出するインテリア。2眼メーターや追加メーター風デザインのエアコン表示部などスポーティな演出が嬉しい。シフトの側にあるスイッチはドライブモードを3段階で切り替えられる「D.N.A」システムのもの。
ファミリーカーとしても使える 優れたパッケージング
ファミリーカーとしても使える 優れたパッケージング
後席のドアノブをウインドウ脇に隠すことで、まるでクーペのようなスタイリングを実現しているジュリエッタ。しかし、室内にはFF2BOXならではの実用的なスペースが確保されている。シート生地の一部が滑りにくい素材となっているのも、走りを感じさせるアルファらしい演出だ。
独自技術のマルチエアで 高出力とエコ性能を両立
独自技術のマルチエアで 高出力とエコ性能を両立
エンジンは1.4L直4ターボ。ユニットのサブネームにもなっている「マルチエア」とは、吸気バルブを油圧で制御することにより、シーンに合わせてバルブリフト量や開閉タイミングをコントロールするシステム。これにより、高出力と低燃費、排ガスのクリーン化を同時に実現している。
走りに有利なマルチリンクを 採用しながら実用性も確保
走りに有利なマルチリンクを 採用しながら実用性も確保
前輪駆動のメリットである空間効率のよさはラゲッジルームの広さとして現れる。後席のセパレートは6対4。中央にはスキー板などの長尺物を収納するためのトンネルも用意されている。リヤサスにマルチリンクを採用しながらも、使いやすい荷室形状としているところも立派だ。
アルファ ロメオ ジュリエッタ 試乗判定レビュー

本格スポーツカーである「8C」や「4C」と関連性のある流麗なデザインが魅力のジュリエッタ。パワートレインは1.4Lターボに6速デュアルクラッチの組み合わせで、性能と燃費を両立。
伝統の名前を受け継いだスポーツハッチバック
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、イタリアの名門アルファ ロメオからジュリエッタの登場です。お借りした車両は2017年モデルで、グレードは「スーパー パック スポーツ」、走行距離は3000kmとなっています。
九島●これってエンブレムが新しいやつだから新車かと思ったけど、中古車なんだね。
編集部●そうなんです。販売店のデモカーを購入したそうです。
竹岡●コンディションに納得できるならそういう買い方もアリだよね。
編集部●ですので、あまり中古車っぽくありませんが、ジュリエッタは2012年のデビューからあまり大きな変更は受けていませんし、男女問わず人気の高いモデルということで、どうぞご容赦ください。
九島●了解。けっこう久しぶりに乗るから楽しみだよ。
竹岡●それにしてもイタリア車っておしゃれだよね。デザインもそうだし、ブランド名とシェークスピアの「ロミオとジュリエット」をかけるなんて素敵じゃない。
九島●たしかにそうだね。でも、ジュリエッタはイタリア車の世界では異例に名前に凝ってる方で、基本的にはシンプルというか、そのまんまなんだよ。フェラーリなんて「458イタリア」とか「F60アメリカ」とか、モロに国の名前でしょ。アルファ ロメオのグレード名でよく出てくる名称だって「スーパー(Super=すごい)」だったり。「ヴェローチェ(Veloce)」なんてイタリア語で“速い”だからね(笑)。
竹岡●じゃあはミトは?
九島●あれは「Milano(ミラノ)」でデザインして「Torino(トリノ)」で生産されるから「MiTo」。
竹岡●じゃあ日本だったら東京と大阪で「オト」だ(笑)。

編集部●話を戻しますと、ジュリエッタは2012年に147の後継モデルとして登場。標準仕様の「スプリント」、「コンペティツィオーネ」が、1.4L直4ターボ(170馬力)にデュアルクラッチ式MTであるアルファTCT(6速)を採用。高性能版の「クアドリフォリオ ヴェルデ」は1.7L直4ターボ(235馬力)に6速MTという組み合わせでした。2014年のマイナーチェンジで内外装を見直し、「コンペティツィオーネ」と「クアドリフォリオ ヴェルデ」がなくなりました。「クアドリフォリオ ヴェルデ」については、2015年からエンジンが「4C」と同じユニット(240馬力)になって復活。トランスミッションもアルファTCTのみになりました。
九島●そうそう、だから初期型エンジンの「クアドリフォリオ ヴェルデ」が唯一のMTモデルなんだよね。
編集部●2017年のマイチェンでは内外装を小変更し、グレード名称が「スーパー」(170馬力)、「スーパー パック スポーツ」(170馬力)、「ヴェローチェ」(240馬力)に変わりました。
竹岡●ブランドロゴもそうだけど、元デザインは生かしたまま、現代風にリフレッシュしてるのがいいよね。
編集部●それでは、そろそろ試乗をお願いします。
編集部●さて、試乗から戻ってきたおふたりに感想を伺いましょう。
竹岡●なんか、よかったよね(笑)。
九島●うん。もう駐車場から出発するときから違いが感じられた。今日は発見があったね。新しいジュリエッタはいいよ。
編集部●とくに印象的だったのは?
竹岡●トランスミッションの動きがなめらかで発進がスムーズだったし、パワーも必要十分。足まわりもしっかりしてるから走らせて楽しかった。
九島●そうだよね。デュアルクラッチ式のクルマのなかには発進のときに振動が出たりするものもあるけど、今日は感じなかった。以前に試乗したときよりも全体的にしなやかさが増して走りの上質感は高かったな。
竹岡●ちょっと気になったのが、内装の質感。デザインはいまでもカッコいいのに、ダッシュボードとかドアの材質がいかにもプラスチックといった感じなのがもったいない。
九島●昔と違って最近は実用車でも内装のクオリティが求められる時代だからね。余計に目につくのかも。
竹岡●中古車市場はどうなの?
編集部●同じセグメントのゴルフと比べると、台数は1/4くらいで、価格はちょっと高いくらい。例えば4年落ち、走行3万kmで200万円弱といったところでしょうか。
九島●新車価格を考えるとけっこう頑張ってるな。ちょっと割高かもしれないけど、おもしろい選択肢だよね。信頼性も上がってるみたいだし。
竹岡●「ゴルフだとありきたりでおもしろくない」って目線で探してるひとにはオススメできるんじゃない。
編集部●いい意味でマニア向けではなくなったということですね。ありがとうございました。
※ナンバープレートはハメ込み合成です。
アルファ ロメオ ジュリエッタ レビュー評価

伝統的なスポーツカーのデザインテイストを現代風にアレンジ。センスのよさはさすがイタリア車だと思わせる。
人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるアルファ ロメオ ジュリエッタ レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

ジュリエッタに乗っているひとのイメージを「こだわりがあって自分の世界を持っているひと」と表現。ライフスタイルを演出できるクルマというお話でした。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 10点
アルファ ロメオっていうブランドネームだけで、なんだか舞い上がっちゃって特別なクルマっていう感じがしちゃいますが、冷静に考えればCセグメントの5ドアハッチバックなんですよね。いわゆるかなりの台数が街中を走りまわる量販車なわけですが、そのなかでひとと同じはイヤ、個性を出したい!という方にはピッタリのチョイスだと思います。
装備 8点
全体的にアルファ ロメオの色気はあるし、デザインはさすがなんです。でもね・・・。質感が・・・。カーボン調仕上げなどが取り入れられていたりしますが、樹脂部分がどうにもプラスティッキーで・・・。ソフトパッドを使うとか、もう少し工夫がほしいところですね。装備内容としては、最新鋭モノは別として、必要にして十分なものが揃っているんですけどね。
走り 10点
初期のころに感じた自動変速MTのギクシャク感は、ランニングチェンジと共に払しょくされたようで、とても乗りやすかったですし、パワーも十分。ヘンなクセがないので、もの足りないというひともいるかもしれませんが、カテゴリーを考えても私はこの素直な味付けで正解!だと思います。不安感もまったくないので、ロングドライブ楽しんじゃってください。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

普段からイタリア製の服飾品を数多く愛用している九島さんにとって、アルファはお気に入りのブランドのひとつ。ジュリエッタの洗練ぶりにご機嫌でした。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。
ポジショニング 10点
ジュリエッタという名前は、アルファ ロメオにとって新しい市場に挑戦するときに使われる。デザイン性と実用性を上手にミックスさせるというコンセプトも歴代モデルに繋がるところ。すなわち現代では、Cセグメントの5ドアハッチバックというわけ。これ1台でなんでもできてしまう万能性と、アルファに期待するスポーティさが上手にマッチしている。
装備 8点
アルファ ロメオは、ジュリエッタを開発するときにライバルとマーケットのニーズを非常によく研究している。日常的に使う装備にはなにも不満がないし、トランスミッションだってオートマ限定免許でも運転できるアルファTCTを独自で開発した。それでも退屈な感じがしないのが、インテリアにカーボン調が使われていたり、ちゃんとスポーティだからだ。
走り 10点
今回試乗して驚いたのが、想像以上に走りの実力が高かったこと。ちょっとした段差を乗り越えるときの衝撃のいなし方なんかも上手だし、ミッションの変速も自然。各部が洗練されていて、デイリーカーとしても快適に使えそうだ。マルチエアエンジンもよく出来ていて、1.4Lターボでもパワーに不満はなし。これなら1.7Lターボじゃなくても十分だ。
GooWORLD編集部
「一家に一台」というクルマ好きにとって、実用性と趣味性を両立してくれるジュリエッタは非常に魅力的な1台。中古車物件も多く、探しやすいのもいいところ。
ポジショニング 10点
輸入車を買う喜びは、ただいい道具を手に入れるというだけではありません。デザインやブランドの歴史も含めたストーリーを手に入れるという意味では、アルファロメオほど魅力的なブランドは数多くはないでしょう。また、今回登場したジュリエッタは、スポーツカーのようでいて、内容は実用的な5ドアハッチバック。男女問わずオススメできるモデルです。
装備 9点
かつてイタリア車はドイツ車と比べて装備や快適性については我慢が必要なところがありました。しかし、ジュリエッタはデュアルオートエアコンやカーナビといった、ユーザーにとって必需品と思われる装備はしっかり準備されています。また、右ハンドル+AT(デュアルクラッチ式MT)と敷居は低く、もうマニアだけの存在ではありません。
走り 10点
これ見よがしのスポーティさではなく、「能ある鷹は爪を隠す」的な走りを見せるジュリエッタ。日常的なシーンでは乗り心地がいいのに、コーナーが連続するようなシチュエーションではスイスイと曲がってくれるのも気持ちがいいです。このキャラクターは高性能版の1.7Lターボでも基本的には同様で、高速をハイペースで走るひとにはこちらがオススメです。
アルファ ロメオ ジュリエッタ DETAIL CHECK

2017年 アルファ ロメオ ジュリエッタ スーパー パック スポーツ(6速AT・アルファTCT)
全長×全幅×全高 | 4350×1800×1460mm |
---|---|
ホイールベース | 2635mm |
車両重量 | 1400kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1368cc |
最高出力 | 170ps/5500rpm |
最大トルク | 23.5kg m/2250rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/マルチリンク |
ブレーキ前後 | ディスク |
中古車参考価格帯
120万円~360万円(2012年~2016年 ※全グレード) |
モデル主要変遷(アルファ ロメオ ジュリエッタ)
2012.02 | ニューモデル |
---|---|
2013.03 | 「スポルティーバ」を追加 |
2014.06 | 一部改良 |
2014.12 | 「クアドリフォリオ ヴェルデ」を改良 |
2016.10 | 一部改良 |
2017.02 | グレード名を「スーパー」、「スーパー パック スポーツ」、「ヴェローチェ」に変更 ←今回の中古車 |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。