輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2020.10.03

アルファ ロメオ ステルヴィオ/気になる中古車【試乗判定】

2018年モデル アルファ ロメオ ステルヴィオ 2.0ターボ Q4

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年11月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年9月調べ。
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

走行性能を磨き上げたアルファ ロメオ流SUV

110周年を迎えたアルファロメオ

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、アルファロメオのSUVであるステルヴィオが登場です。お借りした車両は2018年モデルで、グレードは「2.0ターボQ4」、走行距離は1万8000kmとなっています。
竹岡●アルファロメオは今年ブランド創立から110周年なんだよね。新型コロナの影響で、予定していたイベントは残念ながらオンライン中心になってしまったけど。
九島●イタリア本国にあるアルファロメオ歴史博物館の館長が監修したアルファロメオの歴史をまとめた電子書籍が公開されて、日本語版も公式サイトから読めるようになっている。興味のある人にはぜひ読んでもらいたいね。
竹岡●マツダやスズキも創立100周年のメモリアルイヤーなのに、新型コロナの影響でイベントが中止になってしまってかわいそうだった。
九島●それにしてもアルファも努力しているよね。昔からしたら考えられなかったけど、まずSUVを出す時点で今の時流に合わせて対応している。今回の改良もそうでしょ。でも、そもそもアルファを選ぶ理由ってデザインとか走りのよさなわけじゃない。中庸を行くドイツ車に対してのアンチテーゼ的な。
竹岡●そうだよね。コンサバな人は選ばない、ちょっと人とは違うものに乗りたい人のためのブランド。そういう意味でもアルファはブランドイメージがしっかりしている。
編集部●さて、改めてステルヴィオについて紹介いたします。日本導入は2018年7月で、2L直4ターボ(280馬力)を搭載する豪華版の「ファーストエディション」からスタート。10月には通常モデルである「2.0ターボQ4」が投入されました。そして、翌年4月には待望となる2.2L直4ディーゼルターボ仕様の「2.2ターボ ディーゼルQ4」(210馬力)を追加。高性能版である「クアドリフォリオ」は今回別モデルとして扱わせていただくと、大きく2グレードで、それぞれに「ラグジュアリー」と「スポーツ」というパッケージオプションが存在します。
九島●そして全車4WDだと。
編集部●はい。今年8月に初の大きな改良を受けて、グレード体系を一新。ベーシックな「スプリント」、ガソリンとディゼルそれぞれに「スポーツパッケージ」が存在します。
竹岡●セダンのジュリアと同じようなグレード体系になったんだ。改良では何が変わったんだっけ。
編集部●内装の質感が向上し、モニターが8.8インチのタッチ対応のものに。さらに自動運転レベル2相当の運転支援技術も投入されました。装備内容を充実させつつ、スタート価格は589万円からと、日本車とプレミアム系輸入車の中間をねらう価格帯となっています。
竹岡●なるほどね。導入当初はアルファロメオはブランディングをかなり高級路線に引き上げるつもりだったけど、見直しが入ったと。でも、内容が充実して価格がお値打ちならユーザーとしては文句はないよね。
九島●アルファだけでなくFCA全体の戦略も関係するから難しい話だ。
編集部●それではそろそろ試乗のほうをよろしくお願いします。


九島「あえてセルフィッシュに自分らしく乗りこなしたい」

竹岡「これはSUVの形をしたスポーツカーです!」

DETAIL CHECK

ハンドリング性能に特化したSUV時代のスポーツカー

編集部●試乗から戻ってきましたので、お二人から感想を伺います。
竹岡●なにしろ「ステルヴィオ」(イタリア北部のアルプス山中を走る峠道で欧州屈指のワインディング)って名前を付けちゃったくらいだから、とにかくハンドリング命(笑)。よくここまで振り切ったよね。
九島●そうだね。でも、アルファはそれでいいと思うよ。バランス感覚はドイツ車に任せて。これは独身貴族のSUVだね。
竹岡●正直に言えば、ゆっくり走らせたときの乗り心地はあまりよくないんだけど、そこも含めてこのクルマの個性なのかな。
九島●今回の改良で大きく手が入ったけどインフォテインメント装備なんかも、「俺だけが操作する。人に触らせたくない」って雰囲気が漂ってるじゃない。そこに共感できる人が乗ったら楽しいと思う。ところで中古車相場はどうなの?
編集部●あまり台数は多くありませんが、高品質車が400万円半ばから500万円半ばで揃っています。金額的にはワンランク下のSUVと同じ価格帯から探せるので、内容から考えたらお買い得度は高いです。
竹岡●SUVは人気だけに中古車価格も高いからね。
九島●金額的にガソリンモデルと差が少ないなら、本命はディーゼル仕様かな。トルクが高いからSUVとのマッチングがいいし。
竹岡●うん。ちょっと人を選ぶところはあるけど、運転して楽しいのは間違いないし、デザインも迫力があって個性的。やっぱりアルファ ロメオっておもしろいブランド。
九島●若者がこういうクルマをサラッと乗りこなしたらカッコいいね。

スポーツカーテイストを盛り込んだインテリア

 イタリア車ならではの艶やかなデザインの室内。各種情報を表示する8.8インチの「Connectシステム」は手元のコントローラーで操作可能で、Apple CarPlayなどによりスマホとも連携する。一方で初期モデルはナビ機能が備わらないため、試乗車は後付けのナビを装着している。

アイポイントが高く設定され後席でも見晴らし良好

 インテリアはSUVらしくアイポイントを高く設定。全高1680mmという背の高さを生かしているためヘッドクリアランスにもゆとりがあり、居住性は高い。デュアルゾーン式フルオートエアコンやハーマンカードン製プレミアムオーディオシステムなど、快適装備にも力が入っている。

ガソリン、ディーゼルともに直4ターボ+4WDの組み合わせ

 ガソリンモデルは2L直4ターボ(280馬力)、ディーゼルモデルは2.2L直4ディーゼルターボ(210馬力)を発揮。全車に採用されている電子制御式4輪駆動システム「Q4」は、路面状況を監視しシチュエーションに応じてクルマの挙動をコントロール。通常の路面では後輪駆動となる。

想像以上に広く、使い勝手もいいラゲッジルーム

 ラゲッジルームは標準状態で525Lと広く、荷室床には荷物を固定するためのフックも用意するなど使い勝手に優れる。さらにリアシートが3分割で倒れるため、アレンジもしやすい。また、現行車にはハンズフリー機能付きのパワーテールゲートが標準で備わるのもうれしいところだ。

試乗判定レビュー

※各項目に対して5点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 「アルファ ロメオがSUVなんて……」と、アルファファン=アルフィストの方が聞いたら怒っちゃうかもしれないけれど、アルファ ロメオってチャレンジング精神にあふれたブランドだと思うんです。時代に合わせて柔軟に対応しながら、でもアルファらしさは忘れずピリリと利かせてくる。デザインからして、そんな主張がビシビシ伝わります。

  • 快適性、便利装備、最新鋭安全装備は、トップを走るライバルには正直足りないところがあるかもしれません。でもその分、デザインに妥協はありません! という割り切り感は、素晴らしいと思います。そう、慣れればなんとかなるもんです(笑)。でもやっぱり利便性は捨てがたい! という方は、マイナーチェンジ後の装備充実モデルがオススメです。

  • かの有名なステルヴィオ峠の名前が冠されているだけあって、特にヘアピンカーブのような深いコーナーはお任せアレ!というほどのキレッキレのハンドリングはサスガです。なのでハンドルを握っていると、とっても楽しいのですが、同乗者は、それなりに揺すられてしまいます。シーンによって、ドライバーのジェントルな心が試されるモデルですね。

竹岡 圭の試乗判定(1件)
平均点 4.3
  • ポジショニング 5.0
  • 装備 4.0
  • 走り 4.0

九島辰也

  • 自分たちのブランドに何が求められているのか、アルファ ロメオほどそのことに自覚的なブランドもないだろう。イタリアらしさを感じさせるデザイン、まるでスポーツカーのようなハンドリングを見せる走りもそう。そうした「アルファらしさ」を、現代のユーザーが要求するSUVマーケットで表現したのがステルヴィオというクルマとなる。

  • そのすべてを自分でコントロールしたいというのが、アルファに乗るユーザーの基本的なマインド。そのことをよく知っているから、操作系はシンプルだし、装備てんこ盛りのドイツ車から比べたらもの足りなく感じる人もいるかもしれない。最近のマイナーチェンジでそこに大きく手を入れてきたので、装備を求めるなら改良後のモデルを試してほしい。

  • 手首の動きだけで巨体がクンと向きを変えるハンドリング性能は印象的。中庸を行くドイツ車たちには決して真似のできないキャラクターづくりだ。4WDシステム「Q4」のセッティングもまるでFR車のようで、コーナー出口でアクセルを積極的に踏み込んでみたくなる。パワートレインは、トルクの大きな2.2Lディーゼルターボに軍配が上がる。

九島辰也の試乗判定(1件)
平均点 4.3
  • ポジショニング 4.5
  • 装備 4.0
  • 走り 4.5

グーワールド 編集部

  • 街中で埋もれない美しいデザインはいかにもイタリア製品で、SUVがこれだけ数多く登場してきても強烈な個性が光ります。全長4.7m、全幅1.9mという立派なボディサイズゆえに、インテリア空間もラゲッジルームもゆとりたっぷり。ですが、その代わりに駐車場については要注意。機械式パーキングに入れるのは難しいでしょう。

  • ありとあらゆる装備が備わる最新のドイツ車と比べて、貧弱と指摘されることのあるステルヴィオの装備ですが、デビュー当初から自動緊急ブレーキや車線逸脱警報、前走車との車間を維持するACCは標準装備。2020年8月の改良で、部分的自動運転を実現する運転支援やタッチパネルの採用やナビ機能の追加など、さらに充実しています。

  • いまどきのオンロード系SUVはどれも素直で扱いやすいハンドリング性能を実現していますが、ステルヴィオはそれをさらに超えて「ハンドリングがいい」と表現できるレベルに到達しています。特にワインディングでの鮮やかな走りは爽快そのもの。一方で、ファミリーカーとして扱うには少々乗り心地に問題が。乗り手の意識が求められます。

グーワールド 編集部の試乗判定(1件)
平均点 4.7
  • ポジショニング 5.0
  • 装備 4.5
  • 走り 4.5

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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