車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.11 / 掲載日:2017.08.03
第3回目 ボルボに夢中!
「ひとのために作られた自動車が、ひとの命を脅かすような存在であってはならない」。2020年までに新しいボルボ車での交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする、というスローガンを掲げるボルボ。見据える目標には一寸の陰りもない。
文●GooWORLD 写真●ボルボ・カー・ジャパン
変わらない安全思想が大きな飛躍を生み出す
ボルボを創業したアッサル・ガブリエルソンとグスタフ・ラーソンは、「自動車はひとによって運転され、使用される。したがって、ボルボの設計の基本は、つねに安全でなければならない」との言葉を残している。
「生まれ変わった」と言われることの多い新世代モデルではあるが、「安全性」は頑なに守られている。それどころか、じつは近年のボルボでもっとも進化しているのは、安全技術なのかもしれない。
高度なセンシング技術が、ドライバーと車両が置かれる状況をつねに監視、分析し、二重、三重の予防措置や危機対応を行なう。そして、堅牢なボディ構造と先進のエアバッグ技術が、最後の砦として控える。ボルボのセーフティ技術が、今日、世界最高水準にあると言われるが、それは紛れもない事実なのである。
IntelliSefe インテリセーフ
インターセクション・サポート 世界初
高精度のセンサーとカメラを搭載し、ドライバーと乗員、さらには周囲の歩行者や自転車に乗るひとの安全もつねに見守る革新的なセーフティ技術の数々。それらをすべて包括するのが、ボルボセーフティの根幹をなす「インテリセーフ」なのだ。
大型動物検知機能
サイクリスト検知機能
全車速追従機能付ACC
歩行者検知機能
すべての瞬間を見守るIntelliSafe
1 通常の運転状況
危険がない状態 ドライバーは運転に集中
車間警告機能
パイロット・アシスト
全車速追従機能付ACC
BLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)
ヒル・ディセント・コントロール
アクティブ・ベンディング機能付デュアル・キセノンヘッドライト
フル・アクティブハイビーム
パーク・アシスト・パイロット
360°ビューカメラ
RSI(ロード・サイン・インフォメーション)
AHB(アクティブ・ハイビーム)
CTA(クロス・トラフィック・アラート)
▼
2 危険が内在した状況
潜在的な危険を察知、ドライバーもクルマも対応できる
ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)
EBD(エレクトロニック・ブレーキフォース・ディストリビューション)機構付ABS
HBA(ハイドロリック・ブレーキアシスト)およびRAB(レディ・アラート・ブレーキ)
アドバンスト・スタビリティ・コントロール
コーナー・トラクション・コントロール
RSC(ロール・スタビリティ・コントロール)
アダプティブ・ブレーキライト
LDW(レーン・デパーチャー・ウォーニング)
LKA(レーン・キーピング・エイド)
LCMA(レーン・チェンジ・マージ・エイド)
DAC(ドライバー・アラート・コントロール)
IDIS(インテリジェント・ドライバー・インフォメーション・システム)
▼
3 衝突回避できる状況
深刻な危険を察知 ドライバーは対応困難 クルマは対応できる
CITY SAFETY
>衝突回避・軽減フルオートブレーキシステム
>インターセクション・サポート
>歩行者・サイクリスト・大型動物検知機能
被追突時警告機能
ランオフロード・ミティゲーション
▼
4 衝突ダメージを軽減する
ドライバーもクルマも対応できない状態 衝突被害の最小化を行なう
CITY SAFETY
>衝突回避・軽減フルオートブレーキシステム
>インターセクション・サポート
>歩行者・サイクリスト・大型動物検知機能
被追突時警告機能
ランオフロード・プロテクション
電動プリクラッシュ・テンショナー付フロントシートベルト
衝突
5 衝突後
クルマに守られたドライバーの救出支援が行われる
衝撃吸収フロント構造
ウルトラ 高張力鋼(ボロンスチール)を多用したボディ構造
SIPS(側面衝撃吸収システム)
WHIPS(後部衝撃吸収リクライニング機構付フロントシート)
ROPS(横転保護システム)
ランオフロード・プロテクション
チャイルド・セーフティ・シート
インテグレーテッド・チャイルド・クッション
エアバッグ・テクノロジー
衝突時ブレーキ保持機能
衝突時ブレーキペダルリリース機能
プリテンショナー/シートベルトリマインダー付シートベルト
●運転によるストレスを軽減させる「ドライバー・アシスト」、予期せぬ事故を未然に防ぐ「プリベント・セーフティ」、そして万一の衝突の際に乗員の命を守る「プロテクト・セーフティ」。上の表は、ドライビングにおける「危険」の存在とそれに対応する安全技術を時系列に並べたものだ。ボルボ先進のセーフティが、いかに包括的なものであるかがわかる。
Autonomous Drive 自動運転
全車速追従機能付ACCや車線維持支援機能がついたパイロットアシスト、また試作段階ではあるが「3眼モノカメラ」などの革新的な進化を続けるボルボの検知技術は、安全性だけでなく、「自動運転」という新たな目標も捉えている。

Human Safety 人間中心の安全思想
安全におけるボルボならではの特徴が、人間中心の安全思想。さまざまな身長に合わせたシート内蔵のチャイルドシートなど、革新的なアクティブセーフティだけでなく、パッシブセーフティも妥協なく進化させている。守るべきは尊い命だ。
ドライバーの視線の動きから疲労状態を検知する技術。ひとに優しいブランドは何よりも人間を知る。
Passive Safety パッシブセーフティ
SIPS(側面衝撃吸収システム)
衝突などの危険を未然に防ぐために、さまざまな技術が用いられているが、万が一、事故が起きてしまった場合、あらゆる手段を尽くして、乗員や歩行者の「命」を守る。このボルボセーフティの真骨頂ともいえる分野も休まずに進化している。
衝突時ブレーキ保持機能
ランオフロード・ミティゲーション

道路から逸脱する危険を感知すると、シートベルト・プリテンショナーをはじめ、衝撃吸収フロントシート、衝突時ブレーキペダルリリース、エアバッグなどが連動して、乗員保護の最適化を行う「ランオフロード・プロテクション」を世界で初めて開発した。高強度を誇るボディの進化も止まらない。
ボルボセーフティの影の立役者ダミー人形。大人、子供のみでなく、幼児タイプでの衝突実験も行われている。
衝突事故や道路逸脱事故による人体への被害で多い「脊髄損傷」。ボルボは精巧なダミー人形で実験を行っている。
ICE DRIVE IN THE NORDIC LAND スウェーデンの雪上と氷上で、ボルボ最新SUVの真価を体感!
XCにクロスカントリーと、アウトドアスポーツをイメージさせるアクティブなモデルが多いボルボ。スタイルだけでなく、冬のスウェーデンで見せた最新モデルの走破性、洗練された走りをレポートする!
文●竹岡 圭 写真●ボルボ・カー・ジャパン、竹岡 圭
過酷な自然環境から生まれた「扱いやすさ」
そう!ボルボといえばスウェーデンですよ。訪れるのは3回目ですが、冬は初めて。どれだけ寒いんだろう~と覚悟して出掛けたのですが、これが意表をついて4月並みの気温になったとかでポカポカ陽気。とはいえ北欧、最高気温マイナス2度なんですけどね(笑)。でもそのおかげで逆に、日本の冬を想定しての試乗ができてラッキーでした。
とはいえ、スケールは違います。日本でも冬季は、長野県の女神湖や八千穂レイクなどをはじめ、氷上ドライブできる湖は本州内にもいくつかありますけど、ストックホルムの北、エステルスンドからもう少し北へ行ったあたりにあるこの湖、女神湖が10湖くらい入っちゃうかな?くらいのビッグサイズでした。
今回試乗させていただいたのは、V90CCのAWD T6モデルと、XC90のT8。それぞれいちばんの上級グレードですし、ボディサイズも全長4.9m超、全幅も2m前後のクラスですから、振りまわすには少々荷が重いかな・・・なんて想像したのですが、これがイイ意味でまったく大きさを感じなかったんです。簡単に言ってしまうと手足感覚で操れるレベルで、ドライビングそのものを楽しめちゃったんですよね。

誤解を恐れずに言いますと、ひと昔前のボルボってハンドリング云々を言及するクルマではなく、ややおっとりした味付けで、またそこが人気のクルマだったと思うんですけど、最近のボルボは神経質さがない程度に適度にスポーティで、とってもバランスがいいんですよね。とくに新生ボルボと言ってもいい90シリーズは、どれに乗っても高バランス。今回の2台も性格は違いますが、思うように操れるという意味では、同じ方向を向いていました。
ボルボというと、安全性だけがフィーチャーされがちですが、よく考えたら4月の気温で最高気温マイナス2度という、かなり厳しいウインターシーズンをこなす高い基本性能を持っているわけで、最新鋭の安全デバイスがサポートしてくれる前に、ドライバーが自力でコントロールできる範囲だって広いんですよね。今回改めてそれがよくわかったと同時に、安全デバイスの見事な味付けも堪能させていただきました。

というのも、ESCの介入を抑えるスポーツモードを選択すると、余計なお節介はない状態で、本来のドライビングの楽しさを堪能させてくれるのです。餅は餅屋じゃないですけど、厳しい環境でもカーライフを楽しむ心をきちんと持ち合わせているということがよくわかりました。
言われてみればスカンジナビアンデザインが取り入れられたインテリアも、その象徴のひとつですものね。
そうそう、インテリアと言えばシートにも感動。お世辞抜きで現在ボルボのシートが世界一だと思っているのは私だけじゃないはず。いろんなシーンで、プレミアムブランドの真の力を再発見することができたウインタードライブでした。
Profile
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●的確な分析と優れたドライビングスキル、そして丁寧なクルマ解説で幅広い層から大人気のモータージャーナリスト。2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

初代V70クロスカントリーとV90クロスカントリーのツーショット。凍結した路面でもしっかりとした走りを見せるV90クロスカントリーは、スパイクタイヤを装着していた。
NORTHERN SWEDEN
落ち着きが感じられる北欧の街
エステルスンドの空港は歩いてチャーター機に乗り込むほど、ほのぼのした感じ。緯度はけっこう高いはずだが、ご覧のとおり空港や幹線道路にはほぼ雪がない状況。とはいえ、アイスバーが成り立つほどの気温なのは間違いない。そんな厳しさを考慮してか、街並みの色も穏やかで温もりを感じさせてくれる。


