車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2017.02.23
【気になる中古車試乗判定】アウディ A3セダン

2015年式 AUDI A3 SEDAN
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?
文●竹岡圭、九島辰也、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は アウディ A3セダン
小さくてもしっかり高級車 必要な装備はすべて備える
小さくてもしっかり高級車 必要な装備はすべて備える
丸をモチーフにした吹き出し口などはハッチバックと同様。しっとりとした質感やスイッチの操作感はプレミアムブランドにふさわしい仕上がり。MMIナビゲーションシステムをオプションで用意。液晶画面はエンジンオフや不要時には格納できる。メーター内には多機能液晶モニターを備える。
空間の余裕は並みだがフォーマルな雰囲気が魅力
空間の余裕は並みだがフォーマルな雰囲気が魅力
もともとCセグメントのハッチバックをベースにしているため、とくに後席の居住性は実用的だがそれほどゆとりはない。しかし、荷室と室内空間が分離されている(トランクスルーを備える)ことによる、フォーマルな雰囲気はセダンならでは。1.4TFSI以外はスポーツシートを標準装備する。
ダウンサイジング思想による高効率なエンジン
ダウンサイジング思想による高効率なエンジン
シリンダー内に直接燃料を噴射し、効率よく燃焼させるTFSIユニット。1.4Lという小排気量でもターボ加給によって122馬力という十分なパワーを提供する。1.8Lターボや2.0Lターボの余裕は言わずもがな。組み合わせられるトランスミッションは6速のデュアルクラッチ式AT。
美しいディテールはまさにアウディワールド
美しいディテールはまさにアウディワールド
室内のスイッチ類のデザインや仕上げの美しさ、センスのよさはアウディならでは。ナビやオーディオの切り替えは手元のスイッチで集中的に操作可能。そのロジックも整理されていて使いやすい。1.4TFSI以外のグレードには、走行性能を統合的に制御するアウディドライブセレクトを標準装備。
アウディ A3セダン 試乗判定レビュー

国産車には少ない「小さな高級車」となるA3セダン。ハッチバックに比べてコンサバティブな上質さを演出する3ボックススタイルが魅力。エンジンやメカニズムはハッチバックと同様。
ダウンサイザー注目の小さな高級セダン
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、ドイツのプレミアムブランドであるアウディのもっともコンパクトなセダンである、A3セダンが登場です。お借りした車両は個人所有で2015年モデル、グレードは「1.4TSFI」、走行距離は2万4000kmとなります。
竹岡●A3セダンっていつのまにか導入されていた感じで、人気のハッチバックに比べるとちょっと存在感が薄いよね(笑)
九島●当時ジャーナリスト向けの試乗会も大々的にはやらなかったしね。
編集部●アウディA3は小さな高級車をコンセプトに、VWゴルフのメカニズムをベースにして開発されたコンパクトカーです。初代が1996年に登場、その後2003年に2代目、現行型である3代目は2012年から販売されています。
竹岡●セダンが追加されたのはハッチバックよりちょっと遅れて2014年からだったかな。
編集部●おっしゃるとおりです。ハッチバックの派生モデルとひと言で説明されがちなA3セダンではありますが、じつはけっこう作りが凝っていまして、ヘッドライトやグリル、ミラー以外の外装パーツについてはほぼセダン専用とのことです。
九島●たしかに全体のプロポーションはともかくとして、フロントからパッと見たときの印象はちゃんとアウディのセダンしているよ。A8は別格として、A6、A4とアウディのサルーンには共通するデザインテイストがあるけど、それがしっかり受け継がれている。
竹岡●似たようなボディサイズの日本車を探すと、トヨタカローラ、ホンダグレイス、日産シルフィってとこでしょ。そう考えるとA3セダンはかなりおしゃれなんじゃない。子離れ世代や女性ドライバーには、このサイズ感は運転しやすいはず。
九島●それでいながら室内はけっこう広いんだよね。ベース車両自体が3代目になって大きくなって、ホイールベースもかなり拡大(ハッチバック同士で比較して60mm)されてるから、後席もまあまあ使える。
竹岡●膝まわりはたしかに広いんだけど、九島さんが座ると頭が天井にくっつきそう(笑)

九島●使い勝手でいったら5ドアのスポーツバックには敵わないよね。A3セダンは、小さくてもフォーマルな雰囲気のクルマがほしいというユーザーに向いてる。昔トヨタでプログレってあったじゃない。俺好きだったんだけど、あの世界観だよね。「小さくても高級車」って。
編集部●そんなA3セダンには、3つのエンジンバリエーションが用意されています。1.4L直4ターボ、1.4L直4ターボのシリンダーオンデマンド版、そして1.8L直4ターボです。前ふたつは前輪駆動で、1.8Lはクワトロ(AWD)になります。
九島●シリンダーオンデマンドは低負荷時に2気筒になるやつか。
編集部●そうです。さらにハイパフォーマンス版として、2L直4ターボに6速Sトロニックを組み合わせるS3セダンも導入されています。このあたりのラインアップはハッチバックと同様です。それでは、そろそろ試乗をお願いいたします。
編集部●さて、お二人が試乗から戻ってきたのでさっそく感想を伺いましょう。いかがでしたか?
竹岡●ちゃんとアウディしてた(笑)。というのは、A3ってスポーツバックのイメージが強いから、いまいち注目していなかったんだけど、こうして改めて乗ってみると、高級セダンとしての上質さがあるなと。
九島●A4やA6のようにも見えるデザインだし、インテリアの質感だってしっとりしてて高級感がある。クルマに詳しくないひとにとっては、A3とA4の違いなんてわからないでしょ(笑)。そういう意味でも見栄が張れるというか、輸入車に乗っている気持ちよさはあると思うよ。それと、トランスミッションがいいね。CVTみたいに変速がスムーズで、それでいて加速としっかりシンクロするから気持ちいいよ。
竹岡●アウディって足が硬いイメージあるんだけど、しなやかで乗り心地もよかったな。
編集部●ちなみに、新車価格でもスタートプライスが321万円からと、アウディのセダンというイメージからするとお買い得感があります。
九島●中古車はいくらくらいなの?
編集部●2年落ちで200万円から、ボリュームゾーンは200万円前半ですね。新車の6割程度とまあまあの値落ち率ですが、ほとんどが認定中古車なので、品質面や保証面で安心できるのはいいと思います。
竹岡●最近の輸入車はボディが大きくなってて、マンションの立体駐車場とかで苦労することもあるじゃない。このサイズ感はいいよね。
九島●いい意味で見栄の張れるクルマとして、存在価値があるよ。コストパフォーマンスの高さが魅力だね。
※ナンバープレートはハメ込み合成です。
アウディ A3セダン レビュー評価

燃費情報やナビの案内を表示するマルチファンクションディスプレイは全車標準装備。取材車は走行わずか2.4万kmでまだまだ新車の感触を残していた。
人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるアウディ A3セダン レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

最初の地味目な印象に対して、乗って走らせてみてアウディらしいクオリティの高さに納得していた竹岡さん。日本の道路事情にぴったりのサイズ感に笑顔。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 7点
誤解を恐れずに言ってしまうと、正直言って地味な立ち位置のクルマであることは否めないと思います・・・。A3と言ったら、みんなの頭のなかにあるのはハッチバックですもんね。でもね、意外とこのクラスのセダンって少ないんですよ。ダウンサイジング志向とは言っても、セダンのサイズは徐々に大きくなっていたりするので、余計に貴重な存在と言えます。
装備 10点
さすがはアウディクオリティ!とでも言えばいいでしょうか。このクラスの国産車なんかと比べると、セダンのエントリーモデルなのにも係わらず、ちゃんとアウディしているというのがよくわかります。スイッチ類の質感なんかも、とっても高いんですよね。装備内容的にも必要なものはちゃんと揃ってます。荷室が広いのも特筆ポイントですね。
走り 10点
こなれているというのが第一印象。とくにエンジンとSトロニックのマッチングが、とてもよかったです。乗り心地も然り。アウディは硬いというイメージがありますが、適度なカッチリ感としなやかさで日常使いOK。パワー的にはロングドライブも申し分ないレベルなので、奥様向けセカンドカーや、子離れ世代にピッタリのチョイスと言えそうです。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

アウディのセダンに共通する品質感、スタイリッシュさをA3セダンにも見い出すことができたと九島さん。レベルの高い走りにも納得のご様子でした。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●男性ファッション誌副編集長を経験するなど、ファッションにも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、各国のクルマを乗り継ぐ。
ポジショニング 8点
国産車がレベルアップしているいま、わざわざ輸入車を選ぶということは、かっこよさやおしゃれであることに期待するということ。そういう意味ではこのA3セダンには、アウディのラインアップのなかではもっともリーズナブルなのに、それを感じさせないいい意味でのハッタリがある。前から見た顔つきだって、しっかりアウディしている。
装備 10点
日常使うクルマとして必要なものは全部ついている。デザインのセンスもいいし、質感だって十分満足できるレベルにある。一部改良後のモデルには自動ブレーキ機能付きのクルーズコントロールも標準装備(1.4TFSIを除く)となってさらに装備も充実した。とくに気に入ったのがナビ画面が収納できること。その分視界も開けるから安全運転にもつながる。
走り 9点
A3セダンの走りがいいのは知っていたけど、トランスミッションのスムーズさは特筆すべきレベル。デュアルクラッチ式なのにまるでCVTのようになめらかだ。フットワークも軽快でエンジンパワーも十分にあるから、ベーシックな1.4TFSIでも満足できるだろう。静粛性やスピードを出したときの落ち着きのある動きはさすがアウトバーンの国のクルマだ。
GooWORLD編集部
もともとコンパクトカーが好きということもあって、今回のA3セダンは注目の1台でした。フォーマルなのにカジュアルさもあるキャラクターは魅力的。
ポジショニング 9点
最近クルマの買い替え相談として、「ボディは小さくてもいいんだけど」とか「扱いやすいクルマがいい」という声をよく聞くようになりました。年々大型化するボディサイズに不安や不満を感じているユーザーが少なくないようです。そんなひとにはぜひ、このA3セダンを試していただきたいです。折り目正しいセダンスタイルは年齢を問わず似合います。
装備 10点
今回試乗した1.4TFSIはベーシックグレードですが、それでもオートエアコンやマルチメディアコントローラーなどイマドキの快適装備はすべて備わっていました。2015年モデルからは先進安全装備も多くのグレードに標準装備となって、さらに魅力アップ。中古車を探す際には、年式だけでなく、ナビを含めたオプションの有無に注意してください。
走り 9点
しなやかでしっかりとしている乗り味は、プレミアムブランドのクルマだという満足感をドライバーに与えてくれる。静粛性も高く、フットワークもいいため、知らず知らずのうちにスルスルと速度が上がっているタイプ。ボディの横幅が1800mm以下なので、狭い路地や街中でもスムーズに走れる。これはビギナーや女性ドライバーにとっても心強いはずです。
アウディ A3セダン DETAIL CHECK

2015年式 アウディ A3セダン 1.4TFSI(6速AT・Sトロニック)
全長×全幅×全高 | 4465×1795×1405mm |
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ホイールベース | 2635mm |
車両重量 | 1330kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1394cc |
最高出力 | 122ps/5000-6000rpm |
最大トルク | 20.4kg m/1400-4000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/4リンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
中古車参考価格帯
200万円~430万円(2014年~2016年 ※S4を除く) |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。