車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.16 / 掲載日:2016.07.28
【気になる中古車試乗判定】アウディ A1スポーツバック

2015年式 AUDI A1 SPORTBACK
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?
文●竹岡圭、九島辰也、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は アウディ A1スポーツバック
マイナーチェンジによって最新のブランドデザインを手に入れたA1スポーツバック。3ドアモデルも基本的には5ドアと同じ内容となっている。
シンプルさのなかに 上質な印象を与える室内
シンプルさのなかに 上質な印象を与える室内
小型車らしくシンプルではあるものの、装備類は充実しており、質感そのものも高い。デビュー当初から販売されていた1.4Lモデルではフルオートだったエアコンが、1.0TFSIではマニュアルになっている。パッケージオプションのSライン装着車はステアリングにパドルシフトが装備される。
スペースは小さいものの 5ドアは実用性が高い
スペースは小さいものの 5ドアは実用性が高い
標準のファブリックシートでもサイドサポートが備わり体をきっちりとホールドしてくれる。リヤシートは膝前の空間こそ狭いものの、一度乗り込んでしまえば快適。後席にひとを乗せるならば、3ドアのA1ではなく後席ドアのあるスポーツバックを選ぶべきだろう。荷室容量は270L~920L。
アウディ史上初となる 1L 3気筒エンジン
アウディ史上初となる 1L 3気筒エンジン
アウディ史上初となる1L 3気筒エンジン。インタークーラー付きDOHCターボは95馬力を発揮。こちらは2015年から追加された新エンジンで、デビュー当初から採用されていたのは1.4L TFSI。こちらには気筒休止技術を採用し燃費性能を高めた「シリンダーオンデマンド」も存在する。
グレードによって 装備レベルは大きく異なる
グレードによって 装備レベルは大きく異なる
トランスミッションは7速デュアルクラッチ式のSトロニック。ダウンサイジングされたエンジンとのコンビによって22.9km/Lという優れた燃費を達成(JC08モード、1.0TFSI)。「1.4TFSIシリンダーオンデマンドスポーツ」および「1.0TFSIスポーツ」には、スポーツサスペンションが装備される。
アウディ A1スポーツバック 試乗判定レビュー

押しも押されもせぬ人気ブランドのエントリーモデルがA1。3ドアハッチバックに加えて、5ドアのA1スポーツバック、3ドアのスポーツモデルであるS1というラインアップ。
話題の中心になったのは、2015年に追加された1L 3気筒ターボエンジンの評価。価格は大幅に安くなったものの、装備レベルもグレードダウンされていることが気になる様子。
小さな高級車に加わった小さなエンジンはどう?
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はドイツの高級ブランド、アウディからコンパクトモデルであるA1スポーツバックの登場です。
九島●あれ、これってヘッドライトが新型A4と同じ新しいタイプだ。
竹岡●ということは、S1といっしょに出た1L 3気筒ターボかな。
編集部●流石!おふたりのおっしゃるとおりでして、取材車両は2015年登録で、昨年実施されたマイナーチェンジ後の仕様です。個人所有車のものをお借りしてきまして、走行距離は1.5万km、認定中古車を購入してから、毎日の通勤の足として活躍しているとのことです。
竹岡●ついこの間試乗したばっかりのイメージ。時の流れが早い(笑)
編集部●それではまず、アウディA1の変遷を振り返ります。アウディA1が日本で登場したのは2011年1月のことで、メカニズム的にはグループのVWポロをベースにしながら、アウディらしさをコンパクトな車体に凝縮した「小さな高級車」という位置づけでした。パワーパックは1.4L直噴ターボエンジンに7速デュアルクラッチトランスミッションの組み合わせです。
九島●屋根の色にコントラストカラーを取り入れたのも早かったよね。
編集部●その後2012年6月に5ドアボディのA1スポーツバックが登場します。こちらも当初は1.4L直噴ターボエンジンを搭載していました。そして、2015年6月のマイナーチェンジでトップモデルのS1が登場し、1L 3気筒エンジンが追加されました。今日試乗しているのが、この世代のモデルですね。
竹岡●A1って最初は乗り心地も固めで、いかにも頑張ってる感じだったんだけど、S1が出たことで標準モデルの方も肩の力を抜いた穏やかなセッティングに変更したのよね。ポロっぽくなったというか(笑)エアコンもフルオートじゃなく簡略化されたし。じつはそこら辺がアウディのプレミアム感を期待しているひとにとってはがっかりじゃないのかなって思ってるの。
九島●でもね、ヘッドライトはオートがついてたよ。僕のチンク(フィアット500)にはついてない。装備やクオリティは、やっぱり全体的にちょっと上だね。
編集部●同じA1でも、1.4Lモデルと1Lモデルとで、けっこうな違いがあるということですね。
竹岡●そこは買う前にたしかめてもらったほうがいいかも。
編集部●このセグメントで悩むとしたら、どんな選択肢がありますか?
竹岡●ライバルは、ルノールーテシア、MINI、フィアット500、プジョー208・・・。
九島●シトロエン勢のC3、DS3も1.2Lの3気筒を搭載してるよね。このクラスは国産車にもライバルがたくさん存在するから、とにかく個性的であることは大事だよね。
竹岡●たしかに!
九島●そういう意味では、ボディカラーは白って少し寂しいかもね。せっかくアウディっていう色気のあるブランドなんだから、色選びにはこだわりたいな。
編集部●それでは、試乗をお願いいたします。

編集部●おふたりが試乗から戻ってきましたね。感想はいかがですか?
九島●走行距離が1.5万kmと聞いたときは、けっこう走ってるなと思ったけど、新車時と変わらなかった。
竹岡●しゃきっとしてたよね。
九島●走りもそうだし、シートのスレとかそういう使用感という意味でもそう。トータルで維持されてる。
編集部●読者のみなさんとしては、1Lエンジンがどうだったのか気になると思うのですが。
竹岡●性能はまったく問題はないんだけど、4気筒(1.4Lモデル)と比べてしまうとエンジン音がちょっと残念。最近思うんだけど、ダウンサイジングターボって、燃費も性能もすごくて文句ないんだけど、どのメーカーにも、もうちょっとだけ音にこだわってほしいな。
九島●そういう意味でいうと、チンクの2気筒の方がバイクみたいで楽しめちゃう。でもね、今日乗ったA1は、交差点とかちょっと曲がるときでも、「アウディだな」って感じるところはあるよ。
編集部●では、おふたりにA1のベストバイを挙げていただきましょう。
竹岡●割り切って1Lモデル・・・と言いたいところだけど、女性が毎日使うことを考えたらオートエアコンとシートヒーターは絶対ほしいから、スポーツバックの1.4TFSI。
九島●僕はこういうクルマはほとんどひとり、乗ってもふたりまでだから、小さければ小さいほどいい。3ドアの1.0TFSIを選ぶかな。アウディは高級車ブランドだけあって、基本的に上のグレードのクオリティでエントリーグレードモデルもつくるからね。総じてクオリティは高いと思うし、バリューあるよ。
A1スポーツバック レビュー評価

1年で1.5万kmを走った使用過程車ではあったものの、新車時と変わらぬ姿と走りを見せてくれたのは収穫と言える。
人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるアウディ A1スポーツバック レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

普段MINI 5ドアを愛車としている竹岡さんは、女性ドライバーとしての視点からA1スポーツバックの使い勝手や満足度を鋭くチェックしてくれました。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 10点
ダンナサマが奥様に乗らせたいクルマとして評価が高いA1。とくにこちらは、排気量のかなり小さなダウンサイジングターボモデルなので、毎日乗るからには経済性が高い方がイイ、でもそうは言ってもある程度のプレミアム感はほしいなぁ~という、ありがちな要求を叶えたものになっています。その立ち位置がわかりやすくて好印象です。
装備 7点
たしかにアウディらしいプレミアム感はバッチリあるんですよ。意外と走っている個体ですが、全然ヤレ感ないですし。でもね、やっぱりオートエアコンとかほしいなぁと思っちゃう私は間違ってますでしょうか。シートヒーターもほしいし・・・。やっぱりプレミアムカーのエントリーモデルですから、快適装備は外せないと思うんですよね・・・。
走り 8点
元々のA1はかなりスポーティテイストの強いモデルで、日常的に使うには乗り心地カタイなぁ~と思っていたんですが、こちらのモデルはS1が出た後に登場したモデルなので、乗り味もS1=超スポーティ、A1=街乗りしなやか、という感じに棲み分けができているのが好印象。これなら品のよいカッコイイ奥様風な毎日が過ごせそうな気がします。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

大型車やスポーツカーのイメージが強い九島さんがいま愛用しているのがフィアット500。オトナの男があえて小型車に乗るという粋(イキ)を実践しています。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●男性ファッション誌副編集長を経験するなど、ファッションにも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、各国のクルマを乗り継ぐ。
ポジショニング 9点
アウディが掲げるプレミアムコンパクトは健在である。デザイン、ディテールの仕上がり、走りといった随所にそれは感じられる。その面からも兄弟車であるVW ブランドよりプライスレンジが上なのは納得できるだろう。よってフィアット500 はもちろん、MINI ハッチバックといった人気個性派モデルと対抗できる存在感を持つ。
装備 7点
せっかくのアウディという意味では、装備はあればあるほど嬉しい。プレミアムな世界観とはそういうもの。試乗車はデフォルトでオートライトが付いていた。愛車として使っているフィアット500にはない装備なので、あると便利なのがわかる。日中トンネルが連続する高速道路などで効果を発揮する。反応がいいのも付け加えておこう。
走り 8点
ゆっくり走っているとわかりづらいが、少しばかりアクセルを踏み込みさらにステアリングを左右に切り込んでいくと、このクルマのポテンシャルの高さを感じる。ステアリング剛性、ボディ剛性ともにクラストップレベルだろう。そしてそのときのステアリングフィールもいい。高級感があるというか、とにかく安っぽさはまったく感じられない。
GooWORLD編集部
小型車好きで、MINIに乗っていた経験もある弊誌担当。小型車はブランドで個性が大きく分かれるため、お店で実際に触れてみることを強くオススメします。
ポジショニング 10点
小さくて、価格も安くて、でもイメージや品質感が高いクルマって、クルマ好きにとってひとつの理想だと思います。毎日の道具として便利に使えるコンパクトなボディにアウディならではの先進性をギュッと凝縮しているところが好印象。シンプルなスタイリングは登場から時間が経ったいまでも十分に魅力的で、中古車価格が下がってきたいま、注目の存在!
装備 8点
使われているパーツひとつひとつのクオリティが高いことは、乗り込んですぐに伝わってきます。国産車はもちろん、輸入車のなかでも、こんなに小さなクルマで高級感があるものはあまりありません。2015年6月のマイナーチェンジで、衝突のあとに自動的にブレーキをかけて二次衝突の危険を防ぐマルチコリジョンブレーキなども追加されています。
走り 8点
ターボ付きとはいえ1Lという排気量から走りは期待できないのかと想像していましたが、それはまったくの杞憂。デュアルクラッチ式トランスミッションを駆使すれば爽快ですらありました。しかし、中古車ならばちょっと年式を我慢すればさらに洗練された走りと充実した装備を持つ1.4TFSIが買えてしまうだけに、中古車選びはなかなか悩ましいところです。
アウディ A1スポーツバック DETAIL CHECK

2015年式 アウディ A1スポーツバック 1.0TFSI(7速AT・Sトロニック)
全長×全幅×全高 | 3985×1745×1440mm |
---|---|
ホイールベース | 2465mm |
車両重量 | 1140kg |
エンジン | 直3DOHCターボ |
総排気量 | 999cc |
最高出力 | 95ps/5000-5500rpm |
最大トルク | 16.3kg m/1500-3500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トーションビーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
中古車参考価格帯
170万円~250万円(2011年~2016年※S1を除く) |
モデル主要変遷
2011年1月 | A1を発売開始 |
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2012年1月 | 価格改定、一部装備変更 |
2012年6月 | A1スポーツバックを販売開始 |
2013年7月 | Sラインパッケージを追加 |
2014年4月 | 価格改定 |
2014年6月 | 「1.4TFSIシリンダーオンデマンド」を追加 |
2015年6月 | マイナーチェンジ、「S1」、「1. 0TFSI 」、「1.0TFSIスポーツ」を追加←今回の中古車 |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。