車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.30 / 掲載日:2016.04.28
【気になる中古車試乗判定】フォルクスワーゲン ポロ

2009 VOLKSWAGEN POLO
GooWORLDの掲載物件のなかでも、とくに人気の高い中古車をモータージャーナリストとともに試乗チェック!注目モデルは本当にお買い得なのか!?リアルなレポートをお届けしたいと思います!
文●森野恭行、竹岡圭、GooWORLD 写真●川崎泰輝
今月の中古車は フォルクスワーゲン ポロ
5ナンバーサイズに相当する小型輸入車で、年間1万台以上のセールスをキープしてきた人気モデル。かつての2代目ゴルフとほぼ同サイズの車体は必要にして十分。安全性のレベルもクラスを超える実力の持ち主。
小柄な女性から男性まで ドラポジが取れるコクピット
小柄な女性から男性まで ドラポジが取れるコクピット
オーソドックスながら、品よくシンプルに仕立てられたインテリア。豪華ではないものの、必要にして十分な質感を備える質実剛健さは、まさにVWのイメージそのもの。ナビゲーションユニットは当時のオプション装備。安全性は高く、当時の「ユーロNCAP」で最高の5つ星を獲得している。
安全性はコンパクトカーの 水準を超えるレベル
安全性はコンパクトカーの 水準を超えるレベル
むちうち軽減ヘッドレストが採用された前席シートはサポートも良好。後席には3名分のしっかりとしたヘッドレストが用意されるのも好印象。6エアバッグや横滑り防止装置といった安全装備にも抜かりなし。荷室容量は標準で280L、4対6のリヤシートを倒すと最大で952Lまで拡大される。
中古車市場の主流は 1.2LTSIエンジンモデル
中古車市場の主流は 1.2LTSIエンジンモデル
初期の自然吸気1.4Lユニットは、低速から豊かなトルクを提供。その後登場し主流となった1.2LTSIユニットは、ターボの力によってさらなるパワーと低燃費を両立。2014年のマイナーチェンジでエンジンが一新され、「TSIコンフォートライン」で22.2km/L(JC08モード)とさらに低燃費に。
走りの実力は国産小型車を 大きく引き離す
走りの実力は国産小型車を 大きく引き離す
平均速度の高いドイツ生まれのクルマだけあって、ポロのような小型車であっても高速走行時の安定感は抜群。マイナーチェンジ後のモデルからは、プリクラッシュセーフティやアダプティブクルーズコントロールも採用。トランスミッションは、とぎれのない加速を披露する7速DSG。
フォルクスワーゲン ポロ 試乗判定レビュー

輸入車界のスター選手その人気の秘密は!?
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回試乗していただくのは、見た目は小さくても偉大な小型車、フォルクスワーゲンのポロです。
森野●かわいいのがきたな。
竹岡●これって何年式?
編集部●このポロは個人所有のクルマをお借りしてきたもので、初度登録が2009年なので、現行型の初期モデルですね。現在の走行距離は3万3000kmで、2年ほど前、走行距離2万kmだった中古車を専業店から購入したとのことです。
竹岡●これ現行型なんだ。なんだろう、なんだか懐かしい感じがするのは私だけ?
編集部●ポロは歴代からモデルサイクルが比較的長くて、現行型も今年で7年目になります。ボディサイズは全長3995mm、全幅1685mm、全高1475mmですから、まさしく日本の5ナンバーサイズにラクラクと収まっています。
竹岡●大人が普通に4人乗れて、立体駐車場にもラクラク入るサイズっていうのはポイント高いよね。
森野●ポロはいわゆる欧州Bセグメントに属するんだけど、けっこうライバルが多いクラスなんだよ。208、C3、DS3、MINI、A1、ルーテシア、あとは日本撤退を決めたフォードのフィエスタもそうだな。日本車だとフィットやマーチ、ヴィッツ、デミオとかね。
編集部●そんな状況のなかで、ポロは日本でも年間1万台を販売する人気モデルになっています。
竹岡●ポロとそのライバルになるクルマのボディ剛性を比較するテストを見せてもらったことがあるんだけど、強度に明らかに差があって驚いたのを覚えてる。
森野●見えないところにも、しっかりコストかけてるんだよ。人気があるのには理由があるってことだな。

編集部●現行型である6代目が登場したのは2009年10月、自然吸気1.4L直4+7速DSGを搭載する「1.4コンフォートライン」が導入されました。今回の取材車がこれです。その翌年にはダウンサイジングコンセプトを採用した1.2L直噴ターボのTSIモデルが登場。これが主力のエンジンとなります。メイングレードが「コンフォートライン」、上級グレードは「ハイライン」というのはVW車のお約束ですね。
竹岡●ほかにも1.4Lツインチャージャーを搭載するスポーツモデルの「GTI」とか、1.4LTSIの「ブルーGT」クロスオーバー仕立ての「クロスポロ」なんていうのもあるよね。
編集部●ありがとうございます。そんなポロに大きな変更があったのは2014年の夏で、フェイスリフトと同時に新エンジンの投入や自動ブレーキの採用など、環境性能と安全性能が大幅にアップしています。
竹岡●次期型の噂はないの?
森野●この間のジュネーブショーで何か発表があるかと思ったけど、しばらくはこのままみたいだね。それはそれとして、ん?このクルマなんだか傾いてないか?
竹岡●本当だ!正面から見ると左前が下がってる。なんか変だね。
編集部●なにやら暗雲が立ち込めてきていますが、続きは試乗をしていただいてからということで・・・。
前オーナーの扱い方が現れたコンディション

編集部●お二人が帰ってきましたが、ちょっと表情が曇っています。
竹岡●新車テストのときはこんな感じじゃなかったんだけどなぁ。まっすぐ走らないし、ピョコピョコする。
森野●これは想像なんだけど、もしかしたらタイヤか足まわりをぶつけたことがあるのかもしれない。ハンドルが曲がった状態でついてるのは、直すときにきちんとアライメントを調整してないからじゃないかな。
竹岡●ポロは本来もっといいクルマのはずなんだけど、ちょっと今回の試乗車はコンディションが微妙かも。
編集部●たしかにタイヤとか全体的な雰囲気からもちょっとくたびれた感じがしますね。
森野●まずタイヤを交換。それでだめならアライメント調整だな。意外とそれでよくなるかもしれないよ。おそらく前の持ち主がていねいに扱ってこなかったんだろう。中古車は個体によって状態がさまざまだっていうまさに見本だな。
竹岡●中古車はいくらくらいなの?
編集部●それが意外と高いんです。初期型でも70万円くらいしますし、ボリュームゾーンが100万円から150万円というのは、新車価格から考えると高値安定と言えます。
竹岡●新車もいい条件で買えそうだから、思い切って新車もいいかもね。
森野●初期型にもいいところはあるんだよ。自然吸気エンジンは運転しやすいし、パワステも電動油圧でフィーリングがいいとかね。
編集部●中古車でも保証つきなら安心ですし。ポロは、中古車も新車も「買い」ってことですね!
ポロ レビュー評価
自動車ジャーナリスト 森野 恭行のコメント
自動車ジャーナリスト 森野 恭行
●関東版創刊時より健筆をふるう自動車ジャーナリスト。スポーツカーに目がなく、タイプ964のポルシェ911を新車から23年所有している。
ポジショニング 8点
肥大化傾向にある欧州Bセグメントのなかにあって、今も扱いやすいサイズをキープするのがポロ。もちろん「5ナンバー」だ。直線基調の外観デザインや、スッキリしたインパネも見どころで、とても運転のしやすいクルマに仕上がっている。キャビンやラゲッジのスペースもクラスの水準を十分満たすから、だれにでもお薦め。ビギナー向けとしても推奨する。
装備 7点
基本となる部分の質感は高い。だが、Bセグメントが「豪華さ競争」に走る前の時代のモデルだから、特別なプレミアム感は望めない。ちょっと素っ気ない、と受け取る人もいるだろう。また、年式により安全装備の内容に差がある点に注意。自動ブレーキを核とする「フロントアシストプラス」を採用したのはいわゆる2015年モデルからで、対応はさほど早くない。
走り 8点
コンパクトカーのなかには、キビキビ軽快な走りをウリとするモデルが多い。だが、ポロの持ち味は、ひとクラス上をイメージさせる落ち着いた動きと、しっかり感あるフィール。心臓は、ナチュラルさなら1.4L NA、力強さと低燃費のバランスなら1.2L TSIがいい。操舵フィールの自然さについては、2014年モデルまでが採用する電動油圧式に軍配を上げる。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

見た目はちょっと地味だけど、クルマとしての素養がしっかりしているのが高評価!それだけに今回の試乗車のコンディションはちょっと残念でした。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 10点
日本で言うところのBセグメントのベンチマークとなっているのがポロ。剛性の高いガッシリしたボディに、ナチュラルなハンドリングで、どちらかと言えばパッケージング力よりも、運動性能に重きが置かれたモデルですが、だれにオススメしても間違いない1台。デザイン的にはやや冒険心に欠けますが、その分老若男女乗りやすい1台と言えますね。
装備 8点
この時代の装備は、まぁベーシックというところでしょうか。飛び道具のような特筆モノ装備はないものの、取り急ぎ必要なものは全部揃っているという感じ。ブラック基調のインテリアはおもしろ味こそないけれど、スイッチレイアウトなんかもいかにもVW!
整然と並んでいて、手探り操作性なんかも問題ナシ。私の体格でも、ドラポジはキッチリ取れます。
走り 8点
今回の個体はお手入れが悪く、ヤレが目立ったのが残念でしたが、ポロ自体の運動性能のよさは光るものがあります。エンジンパワーはこの時代のものでも十分! ただし、DSGの制御は最近のモノの方がお利口さんですね。まぁ、7速乾式クラッチDSGの出始めのタイプですから、そこは止むなし。ちょっとしたコツを掴めば快適に乗りこなせますよ。
GooWORLD編集部
輸入車にはつい華やかさやプレミアム感のようなものを求めてしまいがちですが、基本のしっかりとしたポロのようなモデルのよさを改めて実感しました。
ポジショニング 9点
小さいのにしっかりしていて、輸入車らしい「いいもの感」を味わえるモデルということで、女性を含め幅広いユーザーから愛されてきたポロ。現行型はモデルライフで考えると熟成段階にあり、予算に合わせて選べば間違いない状況。格上のゴルフがリーズナブルな価格で手に入ることを考えると割高な部分もあるのが、中古車視点でわずかなマイナスです。
装備 8点
「国民車」を標榜するフォルクスワーゲンのベーシックモデルだけに、必要なものはすべて揃っていながら、華美な要素はほとんどなし。それをシンプルで美しいと感じられるひとには、まさにオススメできるクルマです。とくに安全性は初期モデルであっても基本が高レベル。シートの調整がダイヤル式なのが、もしかしたら女性には使いにくいかもしれません。
走り 8点
走り自慢のドイツ車軍団のなかで、小さな車体でありつつも存在感を発揮してきたクルマだけに、基礎体力の高さをひしひしと実感します。故障すると高額修理となるDSGというアキレス腱はありますが、同時期の国産車よりも走らせている実感があるのも◎。普段はお買い物の足に使いつつ、休日は家族で遠出というカーライフだって十分にこなしてくれます。
フォルクスワーゲン ポロ DETAIL CHECK

2009年式 フォルクスワーゲン ポロ 1.4コンフォートライン(7速AT・DSG)
全長×全幅×全高 | 3995×1685×1475mm |
---|---|
ホイールベース | 2470mm |
車両重量 | 1080kg |
エンジン | 直4DOHC |
総排気量 | 1389cc |
最高出力 | 85ps/5000rpm |
最大トルク | 13.5kg m/3800rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トレーリングアーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
中古車参考価格帯
70万円~265万円(2009年~2016年 ※全グレード) |
モデル主要変遷
2009.10 | ポロをフルモデルチェンジ ←今回の中古車 |
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2010.06 | 「TSIコンフォートライン」、「TSIハイライン」、「クロスポロ」を追加 |
2010.09 | 「GTI」を追加 |
2012.04 | 「TSIコンフォートラインブルーモーションテクノロジー」を追加 |
2012.11 | 「GTI」の装備を一部変更 |
2013.02 | 「TSIコンフォートラインブルーモーションテクノロジー」、「TSI ハイライン」、「クロスポロ」を一部改良 |
2013.04 | 「GTI」を一部改良 |
2013.09 | 「ブルーGT」を追加、「GTI」、「クロスポロ」を一部改良 |
2014.08 | マイナーチェンジ(クロスポロを除く) |
2014.11 | 「クロスポロ」をマイナーチェンジ |
2015.07 | 一部改良 |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。