車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.09 / 掲載日:2016.01.28
【気になる中古車試乗判定】BMW 5シリーズ

2009 BMW 5Series
GooWORLDの掲載物件のなかでも、とくに人気の高い中古車をモータージャーナリストとともに試乗チェック!注目モデルは本当にお買い得なのか!?リアルなレポートをお届けしたいと思います!
文●森野恭行、竹岡圭、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は BMW 5シリーズ(E60)
欧州Eセグメントに属する高級乗用車5シリーズ。E60は5代目にあたり、日本では2003年から2010年に新型に切り替わるまで販売された。個性的なスタイルやハイテク技術をいち早く導入したことでも話題となった。
先代となっても変わらない高級セダンとしての高い資質
先代となっても変わらない高級セダンとしての高い資質
シートはBMWらしく、手足を自然に伸ばした姿勢が取れ、座面を低めにもできるため、スポーティなドラポジが取りやすい。今回のクルマは、ファブリックシートだけど肌触りもよく、上質なつくり。後席はお客さんを招いたときにも十分なもてなしができる空間。ラゲッジルームの容量も十分だ。
こだわりの自然吸気直6は官能的なフィーリングを提供
こだわりの自然吸気直6は官能的なフィーリングを提供
全長の長い直6ユニットをできるかぎり後ろ寄りに搭載し、基本50対50の前後重量配分を実現している。そこに優れたハンドリングのひみつがある。高い効率と高性能を両立させるために、バルブリフト量を連続可変制御するバルブトロニックを採用。上級モデルにはV8も用意されていた。
新しいデバイスを積極的に導入して利便性をアップ
新しいデバイスを積極的に導入して利便性をアップ
この世代のBMWはすでにランフラットタイヤを標準で履くようになった。安全性への貢献は認めるが、乗り心地に関するネガは否定できない。普通のタイヤに履き替えるのもひとつの選択だ。iDriveもE60後期型ではかなり使い勝手がよくなっている。年式により内容が異なるので注意したい。
BMW 5シリーズ 試乗判定レビュー

コンサバだったBMWが攻めに舵を切った転換点
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回試乗していただくのは、BMWの先代5シリーズ(E60)です。
森野●またドイツ車・・・と思わなくもないが、それだけユーザーの注目度が高いということだな。
竹岡●それにしても今回のクルマ綺麗だね~。これで何年落ちなの?
編集部●初度登録が2009年なので6年落ちになります。今回も個人所有のクルマをお借りしたのですが、走行距離が非常に少なく、新車当時のことを思い起こさせてくれるグッドコンディションです。
森野●現行型F10が日本で販売開始したのが2010年3月だから、モデル末期の熟成モデルってことだ。
編集部●今回紹介するE60の歴史を紹介しますと、2003年8月にシリーズの5代目として登場。名車と誉れ高かった先代E39に対してひとまわり大きなボディを採用しながらも、ボディ前半部分にアルミ素材を採用することで前後重量配分を50対50に整えたのが自慢です。エンジンは当初、先代モデルからのキャリーオーバーで、2.5L直6(525i)、3.0L直6(530i)、4.4L V8(545i)の三本立て。また、組み合わせられるトランスミッションも、従来の5速から6速に進化しました。また、従来どおりワゴンボディも輸入されています。2005年に直6エンジンを刷新してパワーアップするのと同時に装備を充実。V8ユニットは4.0L(540i)4.8L(550i)へと切り替わりました。エクステリアに変更が加えられたのは2007年で、グリルがフラッシュサーフェイス化されたのに加え、ウインカーがLEDになっています。また、ATセレクターがシルバーの電子スティック式になったのも特徴ですね。

竹岡●この間発表された新しい7シリーズもそうなんだけど、BMWって上級モデルに積極的にハイテク装備を採用するよね。iDrive(アイドライブ)とかアクティブステアリングも確かこの世代からだし。ただ、正直言うと、最初はどちらも使いにくかった(笑)。
森野●iDriveは、当時高級車のインパネがスイッチだらけになったという状況があって、それに対するBMWのひとつの回答ではあったんだよ。ただ、コンピューターと違ってクルマは運転しながら各種の操作をしなければいけないのに、メニューの階層が深くて画面を見ながら操作しなければいけないような、当初の設計には無理があったな。
竹岡●ルックスも7シリーズほどじゃなかったけど、見慣れるまで時間がかかるタイプ。でも、この押し出しの強い感じが好きだっていうひとも多かったよね。
編集部●おっしゃるとおりで、従来のユーザーに加えて他ブランドから乗り換えも進み、販売面では成功作に。当時は史上もっとも販売台数を稼いだ5シリーズとなりました。
森野●それまではコンサバなイメージの強かったBMWが、クリスバングルというデザイナーの指揮のもとで、7、5、6、そしてZ4と、新しい路線を開拓したわけだ。
編集部●それでは、お二人にはそろそろ試乗に出かけていただきます。
高級乗用車の大本命が200万円で買える驚き

編集部●さて、試乗の感想はいかがでしたでしょうか。
森野●3シリーズで性能は十分だけど、リラックスとか豊かさを求めるとやっぱり5シリーズ。ロングドライブはとくに差が出る。少しだけ空間に余裕がある、それがいいんだわ。
竹岡●年を取ってきたらわかるよね(笑)。その「ゆとり」が効いてくる。
編集部●いま新車で売っているクルマと比べてどうでした?
竹岡●アクティブステアリングのフィーリングは正直好みじゃないけど、試乗車はタイヤがランフラットじゃないせいもあって乗り心地はよかったし、装備も充実してる。「BMWらしさ」っていう部分では見劣りしないかな。
森野●ステアリングだけで曲がっていくE60のセッティングは、俺はあまり好きじゃないかな。ナチュラルな技術で綺麗な動き、いいハンドリングを理想とするひとにはちょっとクセがある。そういう意味では現行型のほうが自然だな。
竹岡●デジタルな感覚が行き過ぎたら戻してみたり、BMWは先陣切ってチャレンジするブランドだから。それにしても、このクルマが200万円で買えるって、改めてびっくりだよね。中古車の醍醐味!
編集部●現行型5シリーズの中古車は、さらに120万~130万円高いので、まだ保証付中古車が買える先代5シリーズはねらい目です。
森野●単に安いというだけじゃなくて、新車当時このデザインに憧れていたひとにとっては、十分に買って満足できるクルマだと思うな。
5シリーズ レビュー評価

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるBMW 5シリーズ レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 森野 恭行のコメント

スタイリングや走りのセッティングについては好みが分かれるクルマだけど、スポーティな高級サルーンとして高い実力を持っているのは間違いない。
自動車ジャーナリスト 森野 恭行
●関東版創刊時より健筆をふるう自動車ジャーナリスト。スポーツカーに目がなく、タイプ964のポルシェ911を新車から23年所有している。
ポジショニング 8点
BMWを代表するEセグメントのサルーン。FRの駆動レイアウトを採用して、スポーティなスタイルと走り味を特徴とする。アクティブステアリングなどの先進的な装備を多数導入し、高級サルーンの新しい価値観を提案した。現行型F10では途中から528iも4気筒の心臓になってしまったが、E60では伝統的な官能性の高い直6ユニットを積むのも魅力。
装備 7点
iDriveを導入して、コックピットデザインとマン・マシンインターフェースが大きく変わったのが見どころ。全体にモダンなムードになって、高級サルーンらしいしっとりとした質感が備わっている。しかしiDriveに関して言えば、電子デバイスの進化は日進月歩であるがゆえに、現在のレベルから見ると少々見劣りしてしまうというのも正直なところだ。
走り 8点
クルマが好きな人にとっては、自然吸気のBMW直6ユニットは大きな魅力。上質な回転フィールと気持ちのよいサウンドを味わいながら走ってると、すごく贅沢な気分になる。6速ATとのマッチングも良好だ。なお、標準装備されているアクティブステアリングについては、好き嫌いがしっかりわかれるところなので、試乗して確かめることが大切。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

新しい技術を積極的に導入した世代だったので、当初はぎこちなさのようなものを感じたけど、今回取材した後期型は洗練されていて好印象でした!
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 9点
このモデルでグーンと5シリーズの存在感というか位置づけがクローズアップされましたよね。デザイン的にも超チャレンジングで、新たにBMWに魅力を感じた方も多かったハズ。個人的には「猛禽類」な顔は、ちょっとヘビーかな~という印象もありましたが、時を経るごとに慣れちゃうものですね(笑)。今ではこれくらい個性的な方がいいと思えます。
装備 9点
パーソナルユースで、高級なBMWに乗りたいと思ったときに選ぶモデルですから、文句ナシのフル装備ですよね。最新のBMWがグッとオシャレ感を出しているなか、ドライバーオリエンテッドのいわゆるBMWらしいインテリアですから、ファンには嬉しいのではないでしょうか。おかげで古いな~という感じもなくて、いま乗っても満足感高いと思います。
走り 8点
個人的にはこの世代のアクティブステアリングは苦手なんですよね~。初めて乗ったときは、車庫入れでなかなかクルマが真っ直ぐにならずに難儀致しました(笑)。今回のモデルは違いましたが、最初から装着されているランフラットは乗り心地も固かったんですよね。でも素直にまわるエンジンとスッキリとしたBMWらしい走り味は魅力的です。
GooWORLD編集部
折り目正しい正統派セダン。なのにデザインは従来にない斬新さを持つE60型5シリーズ。いまだにこのデザインが好きで指名買いが入ることもあるそうです。
ポジショニング 9点
輸入車のど真ん中。高級セダン好きなら、だれもが意識してしまうBMWの中核モデルです。新車時は、500万円後半から1000万円オーバーと高嶺の花でしたが、先代モデルとなった現在では300万円以下が相場となって、いよいよ買い時を迎えています。初期モデルはすでに10年以上前となり、今後は後期モデルが中古車の主役になってくるでしょう。
装備 9点
シンプルでいて趣味のよいインテリアは、プレミアムブランドの底力を感じさせるもの。操作系を手元でコントロールするiDriveの採用や電子スティック式のシフトノブなど、新時代を感じさせるような装備も多数導入されています。取材車両の525iはベーシックグレードですが、それでも質感、内容ともに十分満足できる内容。購入後の満足感も高いでしょう。
走り 9点
自然吸気の直列6気筒エンジンは、アクセルに応じて澄んだエキゾーストを披露。電子制御デバイスを操作系や足まわりに採用することによって、よりイージーにハイペースのドライブを可能にしました。その方向性は現行型5シリーズと共通で、古さを感じることもありませんでした。リヤシートの乗り心地も3シリーズやCクラスでは味わえない快適さ。
BMW 5シリーズ DETAIL CHECK

BMW 525i(6速AT)
全長×全幅×全高 | 4855×1845×1470mm |
---|---|
ホイールベース | 2890mm |
車両重量 | 1620kg |
エンジン | 直6DOHC |
総排気量 | 2496cc |
最高出力 | 218ps/6500rpm |
最大トルク | 25.5kg m/2750-4250rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/インテグラルアーム |
ブレーキ前後 | Vディスク |
中古車参考価格帯
65万円~250万円(2003年~2010年 ※M5を除く) |
モデル主要変遷
2003.08 | 5シリーズをフルモデルチェンジ |
---|---|
2004.04 | ツーリングを追加 |
2004.11 | 各グレードにMスポーツを設定 |
2005.06 | バイキセノンなど装備を充実 |
2005.09 | 価格改定 |
2005.11 | 一部改良 |
2006.09 | 価格改定 |
2006.10 | 550iツーリングを追加 |
2007.06 | マイナーチェンジ |
2008.01 | 価格改定 |
2008.10 | 価格改定 ←今回の中古車 |