車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2015.03.26
【徹底紹介】レンジローバー イヴォーク

老舗ランドローバーが挑戦するSUVの新境地

未来的で、スポーティ。リヤスタイルも魅力にあふれる。中核グレードのプレステージはM+S規格の19インチタイヤを標準装備。
老舗と言われるブランドの中には、伝統に縛られて保守路線を選び、時代に取り残される例もある。だが、SUVの老舗、そして英国を代表する高級車ブランドとして名を馳せるランドローバーは、21世紀に入ってから改革の姿勢を明確にし、つねに大胆なチャレンジを続けてきた。
2012年に日本市場にも投入されたイヴォークは、まさしくそれを象徴する存在だ。見どころは低いルーフと高いベルトラインの対比で、プロポーションは歴代のランドローバー車とは正反対と言ってもいいもの。しかしながら、SUVとクーペの融合という新たな提案は、市場から拍手喝采をもって迎えられた。
成功のカギはもちろんデザイン。スタイリッシュさ、エレガントさ、スポーティさのいずれの基準においても、SUVを超越した造形美を具現化したのだから、多くのファンを一目で虜にしたのも納得できる。

そして、もうひとつの大きなカギはブランドの力。「レンジローバー」の名はコンパクトモデルでは初のもので、加えてイヴォークには、その名にふさわしい上質かつハイセンスなインテリアが盛り込まれている。数あるプレミアム・コンパクトSUVの中でも、格の違うモデルとして印象づけることができたのは、「レンジの弟分」というわかりやすいキャラクターのおかげと言っていい。
ちなみに、ショーカーとして脚光を浴びた「ランドローバーLRX」の時代から、イメージを引っ張ってきたのは3ドアの「クーペ」だが、日本で人気があるのは5ドア。類を見ない美しさと、SUVに求められる実用性を高度に融合させた点が、ユーザーに高く評価されている。
そんなイヴォークの大きなトピックは、2014年モデルで導入された9速AT。従来の6速ATと比べて、動力性能、燃費、静粛性が明確に向上したのだから、見逃せないポイントと言える。さらに2015年モデルでは、5ドアに「ダイナミック」と「オートバイオグラフィ」の2つのグレードが追加された。
文●森野恭行 写真●GooWORLD
お問い合わせ●ランドローバーコール TEL:0120-18-5568
Detail
レンジローバー イヴォーク ダイナミック(9速AT)
全長×全幅×全高 | 4355×1900×1635mm |
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ホイールベース | 2660mm |
車両重量 | 1790kg |
トレッド前/後 | 1625/1630mm |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1998cc |
最高出力 | 240ps/5500rpm |
最大トルク | 34.7kg m/1750rpm |
サスペンション前後 | ストラット |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 245/45R20 |
新車価格
レンジローバー イヴォーク ピュア(9速AT) | 473万円 |
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レンジローバー イヴォーク ダイナミック(9速AT) | 605万円 |
レンジローバー イヴォーク プレステージ(9速AT) | 605万円 |
レンジローバー イヴォーク オートバイオグラフィー(9速AT) | 718万円 |
レンジローバー イヴォーク クーペ ダイナミック(9速AT) | 626万円 |
モデル主要変遷
2012.03 | レンジローバーイヴォークを発売 5ドアとクーペの2つのボディタイプを設定。240馬力の4気筒直噴ターボとテレインレスポンスで力強い走りを実現する。 |
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2012.06 | 2013年モデルを発表 フロントグリルにランドローバーのオーバルバッジを装着したほか、新色「エイントリーグリーン」を設定。装備も見直した。 |
2013.11 | 2014年モデルを発表 ZF社製の新開発9速ATを全グレードに採用。また、電子制御式ディファレンシャルやトルクベクタリングも新たに搭載された。 |
2014.08 | 2015年モデルを発表 5ドアにも「ダイナミック」が設定されたほか、最上級グレード「オートバイオグラフィ」を追加。全5モデル体制となった。 |
ランドローバー的で新しさも感じさせる秀逸な室内空間

ルックスの魅力が際立つイヴォークだが、内装もそれに負けない存在感を主張する。ドアを開ければ・・・憧れの「レンジローバーの世界」が広がっているのだから、思わずうっとりしてしまうことだろう。
目を見張るのは、華やかさとスポーティ感を高度にバランスさせた造形と、伝統のクラフトマンシップによる極めて高い質感。「プレステージ」や「オートバイオグラフィ」はイヴォークの「高級」を代表するモデルで、オックスフォードレザーを贅沢に使ったシートやアイボリーヘッドライニングを標準装備する。
なら、パッケージはどうだろう。コンパクト・プレミアムSUVのジャンルに属するイヴォークのスリーサイズは4355×1900×1635(クーペは1605)mm。全幅はワイドだが、全長はコンパクトな仕上がりで、最小回転半径も5.5mに収まっているため、日常の扱いにもさほど苦労はしない。
居住性に関しては、前席の快適度は文句なしのレベルで、後席も大柄な男性が十分くつろげるスペースを確保している。加えて、使い勝手に優れたラゲッジも備えるから、5ドアならファミリーユースも無理なくこなせるわけだ。SUVのスペシャルティといったイメージのイヴォークだが、実用性は意外なほど高い。
でも、実用性よりも個性や希少性というファンもいるかも。そんなひとにピッタリなのは「クーペ」。唯一無二のカッコよさと言っていい。
ドアミラーにカメラを内蔵。サラウンドカメラシステムを標準で装備する。
ランドローバー伝統のクラムシェルボンネットを採用。造形上のアクセントのエアベントも目を引く。
「RANGE ROVER」のネームが誇らしげに輝く。
先進性をアピールする格納式のドライブセレクト・ロータリーシフター。いまは同門のジャガー由来の技術だ。
パワーテールゲートもオプションで設定する。
5ドアのラゲッジ容量は定員乗車時で575L。6対4分割の後席を倒せば1445Lにまで拡大する。
高度な電子制御技術によりオフロード性能も充実
SUV界のファッションリーダーのイヴォークだが、ランドローバーの血筋もきちんと継承する。210mmという余裕のロードクリアランスと、テレインレスポンスの採用がその証だ。4駆メカは電制カップリング式で、テレインレスポンスには4つのモードを設定。電制4駆とDSC(挙動安定化メカ)を高度に統合制御することで、悪路での頼もしい走りを実現させた。
テレインレスポンスのスイッチ&インジケーターは、シフトセレクターの手前にレイアウトする。スイッチひとつで、さまざまな路面状況に対応してくれるのだからありがたい。
コンセプトにより忠実なデザインと走りを披露する3ドア

デザインの原案は3ドア。ということで、スポーティさ、美しさとも5ドアの上を行く。クーペルックのハイライダーSUVのコンセプトを、これほどうまくまとめあげた例はほかにない。現在は「ダイナミック」のみの設定となる。
スポーツの名にふさわしい軽快かつレベルの高い走り

外観からイメージするとおりに、イヴォークの走りはスポーティテイストでまとめられている。たとえばフットワーク。土台となったフリーランダー2は穏やかな挙動を特徴とするが、イヴォークは操舵に対してクイックに反応し、1.8トンに迫る車重を感じさせない軽快な身のこなしを楽しませてくれる。90%ものパーツを新設計したのだから、走り味がまるで異なるのも納得できる。
ちょっと気になるのは、電動パワステの操舵フィールに若干のクセがあり、一体感をスポイルしている点。だが、240馬力/34.7kg mの高性能をフルに使ったワインディング走行においても高度なコーナリングを披露、ハイペースの高速走行でも十分に安定しているのだから、トータルの能力に不満はない。
乗り心地に関しては、19インチ、20インチの超扁平タイヤを履くモデルでは、低速域のタイヤのあたりがちょっときつめに感じられる。しかし、マグネライド・ダンパーを核とするアダプティブダイナミクス(オプション)を選択すれば、直接的なゴツつきを大幅に和らげてくれる。
このハイテクサスは、ダイナミックモードを選択するとよりキレのいい走りを引き出してくれるのだから、フットワークや快適性にこだわる人にはイチ押しのアイテムとなる。
ラインアップのそれぞれに確かな存在価値がある
「レンジローバーの世界」をグッと身近にしたイヴォーク。その要点は、日常使いも苦にならない小柄なボディと、「ピュア」で473万円という手が届きやすい価格にある。オプションをいくつか加えれば、「ピュア」でも高い満足度が得られるから、自信を持ってお薦めできる。でも、スポーティさを重視するなら「ダイナミック」、高級感に重きを置くなら「プレステージ」や「オートバイオグラフィ」が最適。グレード、内装、装備、カラーの選択でとことん悩むのも、イヴォークを購入する楽しみのひとつだ。
中古車市場データ
中古車市場データ
デビューから3年が経過したが、物件数はそれほど多くはない。相場はおよそ500万円前後。クーペはやや数が少なめだ。