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更新日:2018.11.26 / 掲載日:2015.01.09

HONDA CR-Z ハイブリッドになって甦った21世紀のサイバースポーツ

HONDA CR-Z ハイブリッドになって甦った21世紀のサイバースポーツ

NSXや各種タイプRが次々と生産終了するなか、ホンダ党は走りを楽しめるスポーツカーを熱望していた。そんなラブコールに対する回答がCR-Zという存在。ハイブリッドを武器とする新世代スポーツである。

ホンダ CR-Zはこんなクルマ!

ホンダ CR-Z

新車価格帯 243万2571~277万5342円 (全グレード)

CR-Xをモチーフにした独創のスタイリングに専用の1.5L IMAを搭載した、FFハイブリッドスポーツ。車名は「コンパクト・ルネッサンス・ゼロ」の略。ゼロは原点に立ち返るという意味だ。

ホンダが世に問うハイブリッドスポーツ

平成21年、ハイブリッド車でトヨタに巻き返しを図りたいホンダは、ハイブリッドの新しい魅力を訴求する戦略に出た。この年にはハイブリッド専用車で低価格を実現した2代目インサイトをリリース。そして、翌22年に世界初のハイブリッド専用スポーツカーとして送り出されたのがCR-Zだった。CR-Zはコンセプトカーとして出展された19年の東京モーターショー以来、市販化が待ち望まれていたが、それはまさにCR-Xの再来だった。CR-Xが活躍した1980年代は、ほかにもシビック、プレリュードなどホンダがデザインでも革新と洗練の融合で一時代を築いた時期。ハイブリッドスポーツという新しい価値を具現化するにあたり、走りとデザインの両面で当時のコンパクトスポーツに革命を起こしたCR-Xは、格好のモチーフだったと言っていい。ボディサイズは時代に合わせて大型化されたが、2+2の特徴的なパッケージングも忠実に踏襲している。メカニズムのベースはインサイトと共用。ホンダのハイブリッドシステム、IMAと組み合わされるエンジンも当初1.3Lで開発されていたが、スポーティなパワーにこだわり1.5Lが新開発された。低回転域の低燃費化と排ガスのクリーン性に貢献する、1バルブ休止VTECを採用。モーターアシストと相まって124馬力(MT)のシステム出力と20km/L超えのモード燃費を実現した。開発陣の熱意は実り、発売1カ月の受注は月販計画1000台に対して1万台以上にのぼった。

RIVAL ライバル

icon トヨタ 86

トヨタ 86

新車価格帯 205万6909~314万7709円(※全グレード)

2社が共同開発したFRスポーツの新星
企画・デザインはトヨタ、開発・生産はスバルが担当。NAの2Lボクサーエンジンは200馬力の高出力と、量産車最高峰の低い重心高を実現した。プラス2の後席を備える実用性も魅力。

icon マツダ ロードスター

マツダ ロードスター

新車価格帯 270万~302万4000円(※全グレード)

日本車で現在唯一のFRオープンスポーツ
手ごろなライトウェイトFRスポーツとして世界的にも稀少な一台。現行の3代目は2Lエンジン搭載。ソフトトップとリトラクタブルハードトップを設定する。2015年にフルチェンジ予定。

CR-Zの前身であるCR-Xってどんなクルマだったの?

CR-X

初代は昭和58年に登場。1.5Lは驚異的な旋回性能でFFライトウェイトスポーツの世界を確立した。2代目は4輪ダブルウィッシュボーンサスに進化して昭和62年に登場。1.6L DOHC VTEC搭載もトピック。

HISTORY ヒストリー

PAST MODEL
平成22年2月  CR-Zを発売
平成23年8月  「αブラックレーベル」を追加
平成24年9月  マイナーチェンジ
平成25年10月  一部改良

※すべての価格は参考価格です

HONDA CR-Z ハイブリッドになって甦った21世紀のサイバースポーツ

ハイブリッドとスポーツを融合させて新次元の走りを獲得したCR-Z

ハイブリッドカーと言えばエコカーの象徴。しかし、動力源でもあるモーターを活かせばスポーツカーにも適合するシステムであることは自明である。エコ×スポーツを高次元で両立した21世紀のスポーツと言えよう。

  • ホンダ CR-Z α(6速MT)

    中古車参考価格帯 80万~260万円 (平成22年~平成26年 ※全グレード)

  • ホンダ CR-Z α(6速MT)
    主要諸元
    平成22年式
    全長×全幅×全高:4080×1740×1395mm
    車両重量:1130kg
    排気量:1496cc
    エンジン:直4SOHC
    エンジン最高出力:114ps
    エンジン最大トルク:14.8kg m
    モーター最高出力:14ps
    モーター最大トルク:8.0kg m
    燃費:20.6km/L(JC08 モード)
    サスペンション前:ストラット
    サスペンション後:トーションビーム
    ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
    タイヤ前後:195/55R16

駆動用バッテリーをリチウムイオンに一新

平成24年9月のマイナーチェンジで、パワートレーンは早くも第2世代へ進化を遂げた。
1.5Lエンジンは1バルブ休止VTECから、高回転・高出力型のロー/ハイ切り換えVTECに変更。これで6速MT車は6馬力、CVT車は5馬力パワーアップした。
さらに、ハイブリッド用バッテリーを高性能のリチウムイオンに一新。これは北米向けシビックハイブリッド用がベースで、電圧・電力を約1.5倍に高めた。モーター出力も1.5倍に。トータルのシステム出力は全車12馬力アップし、CVT車は燃費も向上している。
プラススポーツシステムの搭載もトピックだ。ステアリングスイッチを押せば、アクセルの軽い踏み込みでエンジンスロットルとモーターアシストを最大化。瞬間的に大排気量の加速フィールを楽しめる。ハイブリッドの特性を活かしたスポーツアイテムと言えよう。
乗り心地とハンドリングのバランス向上をねらい、足まわりも見直し。新設定の17インチ装着車は専用ダンパーで乗り心地にも配慮した。

EXTERIOR エクステリア

CR-Z エクステリア

躍動感に満ちたスポーツスタイリング
「低・短・ワイド」な骨格とリヤゲートにエクストラウインドウを持つスタイリングは、まさに現代版CR-X。短い全長で存在感のあるノーズが実現できたのは、フロントピラーを後方へ配置したためだ。高曲率のフロントウインドウも特徴で、視界はじつにワイド。

CR-Z エクステリア

ブルークリスタルのヘッドライトとLEDポジションランプで先進性を表現。黒ツヤ塗装の17インチ切削アルミは精悍だ。

深紅のボディとタンレザーを採用したちょっぴり大人な特別仕様車が登場

αドレストレーベルIVは平成26年11月に発売。外観は特別色のプレミアムディープロッソ・パールと17インチアルミでドレスアップ。内装もタンレザーや専用ステッチが上質な、大人向けの一台。

CR-Z エクステリア

INTERIOR インテリア

上質で新しいスポーツイメージ
インパネは機能的なクラスターパネルや未来的なスーパー3Dメーターが、ハイブリッドスポーツにふさわしいコックピット感を演出。シートは座面の縫製ラインで体圧を左右に分散。2ピース構造のサイドサポートは、体格を問わず優れたホールド性を提供する。ヒップポイントはシビック・タイプR(平成21年)より30mmも低いのだ。ステアリングはφ360mmと小径。

CR-Z インテリア

ステアリングの近くに使用頻度の高いスイッチ類を集中配置したクラスターパネル。αのシフトノブはアルミの削り出しに本革を巻いた逸品だ。

MECHANISM メカニズム

エンジンに直結のワンモーター方式
エンジンはフィットフリード系のL15A型がベースのハイブリッド用1.5L。ハイブリッドシステムはホンダがIMA(インテグレーテッド・モーターアシスト)と呼ぶ、エンジン直結の1モーター方式だ。6速MTは新開発で、ハイブリッド車への搭載は世界初。ワイドトレッドに対応した軽量・高剛性サス、クイックなステアリングなどシャシーもスポーティ。

CR-Z メカニズム

マイナーチェンジではVTECを1バルブ休止から高回転ロー/ハイ切り換えに変更。IMA用バッテリーもニッケル水素からリチウムイオンに進化。

UTILITY ユーティリティ

CR-Z ユーティリティ

ゴルフバッグが収納可能な荷室
乗車定員は4人だが、後席はプラス2。それも前席をよほど前に出さないと座れない狭さで、基本的には荷物置きと考えたほうがいい。ラゲッジルームはIMAのバッテリーユニットを床下に格納したおかげで、通常時でも長さ770mm、最大幅990mm、容量214Lを確保。後席を前に倒せばゴルフバッグが積載可能だ。床下にも計19Lのアンダーボックスを備える。

  • CR-Z ユーティリティ

    ラゲッジルームにはオプションでトノカバーも設置可能。荷物を覆い隠すことで見た目がスマートになるだけでなく、防盗性の一助としても効果を発揮する。

  • CR-Z ユーティリティ

    リヤシートの居住性は大人がしっかり座れる?
    前席の乗員が標準体型の男性でも、後席のニースペースはほぼゼロ。座面も手荷物を置くのに便利な深くくぼんだ形状になっている。まさにイザという場合の緊急用なのだ。

SAFETY セーフティ

コンパクトボディでも優れた安全性を確保
衝突安全ボディはロアメンバーが相手車両の衝撃吸収部材とのすれ違いを防ぐとともに、衝撃をより広い面で受け止めることで、極めて高効率なエネルギー吸収を実現。キャビンへの負荷を大幅に低減した。歩行者傷害軽減にももちろん対応。運転席&助手席をはじめとするエアバッグの設定も充実している。車両の横滑りなどを防ぐVSAはデビュー時から全車標準。

CR-Z セーフティ

運転席のi-SRSエアバッグは、乗員の体格や着座位置、衝突形態に幅広く対応する連続容量可変タイプ。i-サイドエアバッグも乗員の体格や姿勢を検知して展開を制御する。サイド&カーテンエアバッグはオプション。

  • CR-Z セーフティ

    高張力鋼板を多用した軽量・高剛性ボディ。衝撃吸収構造による高い衝突安全性も両立。

  • CR-Z セーフティ

    後席には汎用型ISOFIXチャイルドシートを装着できる固定金具を左右席に標準装備。

マイナーチェンジでここが変わった!

マイナーチェンジでここが変わった!

フロントはポジションランプLEDが片側4灯から8灯へ。スポイラーは左右一体のフローティング形状になった。グリルはハニカムに変更し、ブルーメッキのバーを追加。従来の「αブラックレーベル」に代わり「αマスターレーベル」を設定した。

MARKET DATA マーケット データ

デビュー初期の中古車なら100万円台でねらえる
登場から5年が経過し、CR-Zの価格はかなり落ち着きを見せている。走行距離は1~3万kmの物件が多く、5年落ちで140万円、3年落ちで167万円と100万円台前半の予算でねらえるように。ちなみに高年式の物件はかなり少ない状況。マイナーチェンジ(平成24年)の前後でメカニズムが異なり、相場も開きがあるので注意したい。

エンジンは1機種のみのラインアップ。ただし、アルミホイールなど装備充実の「α」とベーシックな「β」の2グレードが展開されている。中古車で多いのは前者で9割以上の割合を占める。両者のあいだの相場は約20万円ほどあるものの、「β」の選択肢は限られている状況だ。

走行距離×年式

平成22年平成23年平成24年平成25年平成26年
1万km未満148万円164万円185万円220万円252万円
1万km~3万km140万円150万円167万円204万円
3万~5万km132万円144万円149万円186万円
5万km以上113万円131万円133万円

グレード×年式

平成22年平成23年平成24年平成25年平成26年
α133万円146万円165万円202万円244万円
β117万円134万円147万円170万円226万円
  • 年式

    年式
    もっとも数が多いのがデビュー初期の平成22年式で、全体の半数以上を占める。高年式の平成25年、平成26年式はかなり少ない。

  • 走行距離

    走行距離
    デビューから5年程度だが、1万km未満の物件は比較的少ない。もっとも多いのは1~3万kmのゾーン。

グレード

グレード
エンジンやメカニズムに差はないが、装備の差で「α」と「β」の2グレード構成。前者が圧倒的に多い。

戸田治宏

IMPRESSION
戸田治宏のモデルインプレッション

プラススポーツは3Lの加速感を実現

前期型のi-VTECは114馬力(6速MT)。6000回転まで伸びるパワーにモーターアシストが加わり、加速は2L並みに力強い。スポーツモードはMTがアシストを急激に増やすトルク重視、CVTはエンジン回転を高めにする制御だ。ステアリングはロック・トゥ・ロック2.5回転とクイック。サスのロール剛性は低重心・ワイドトレッドと相まって非常に高く、シャープかつリニアな操縦性を楽しませる。
後期型はエンジンがより高回転型になり、120馬力(同)を発揮。バッテリーとともにモーターもパワーアップし、いちだんと力強さが増した。新兵器のプラススポーツスイッチを押せば、瞬間的に3L V6なみの加速を実現。足まわりは専用チューンの17インチが好バランス。

※すべての価格は参考価格です

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