車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.22 / 掲載日:2014.08.22
DAIHATSU COPEN 軽スポーツのニュージェネレーション
90年代の軽スポーツブームが下火になった平成14年、ダイハツから1台の新型車「コペン」が登場した。円をモチーフにしたデザインはキュートだが、2座のロードスタースタイルは、かつて軽スポーツを愛したファンの心を捕らえて大ヒット。そして今年、コペンが新型となって世界中から注目を集めている。
RIVAL ライバル
ホンダ ビート
中古車参考価格帯:30万~220万円※平成3年~平成7年の相場です。
NAエンジンならではの魅力
高回転型の自然吸気エンジンをミッドに積み、「ブン回す楽しさ」を追求したオープンスポーツ。容姿はモダンで、軽快なフットワークを走りの身上とする。その意味ではコペンとは対照的だ。後継の「S660」が2015年中に登場する予定。
スズキ カプチーノ
中古車参考価格帯:40万~180万円※平成3年~平成10年の相場です。
凝ったルーフと楽しい走り
専用プラットフォームのFR車としたのは、スズキの気合いの証明。さらに、Tバールーフにもなるトップも、とても凝った構造だった。心臓は3気筒ターボで、FRスポーツらしい大胆な走りも楽しむことができた。後継投入の予定はない。
マツダ AZ-1
中古車参考価格帯:60万~200万円※平成4年~平成7年の相場です。
上級者向きの鋭いキレ味
ガルウイングドア採用のスタイルは「プチ・スーパーカー」の雰囲気。スズキから供給を受ける3気筒ターボを積むのはミッドで、鋭利なハンドリングをウリとした。だが、限界域はナーバス。スピンで怖い思いをしたオーナーも少なくなかった。
2nd(現行)販売期間:平成26年~
新車価格帯 179.82万~181.98万円
ダイハツ コペン ローブ(5速MT)
全長×全幅×全高:3395×1475×1280mm
車両重量:850kg
排気量:658cc
エンジン:直3DOHCターボ
最高出力:64ps
最大トルク:9.4kg m
燃費:22.2km/L(JC08モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム
タイヤサイズ前後:165/50R16
質感と走りを大幅に高めた新世代コペン
バブル時代に話題を呼んだビート、カプチーノ、AZ-1はいわば一発屋。一代限りで消滅したが、ひと世代あとに登場したコペンは・・・その轍を踏まなかった。初代の生産終了から2年ほどの空白は生じたものの、このほど待望の2代目が誕生した。
第一弾は、フランス語で「衣服、服装」の意味を持つ「ローブ」。車名は、新型の最大のウリである着脱構造のボディパネル(ドレス・フォーメーション)に由来するもので、「着せ替え」は、クルマの楽しさを大きく広げるアイデアだと言っていい。
でも、進化は「変幻自在」の可能性を秘めた容姿にとどまらない。スポーツカー本来の走りの能力も、飛躍的にレベルアップしたのだ。カギとなるのは新骨格構造「Dフレーム」の採用。初代と比べて、上下曲げ剛性を3倍、ねじれ剛性を1.5倍に強化することで、走りと快適性のポテンシャルを大きく高めた。
進化のほどは、走り出せばすぐにわかるもの。まずは乗り心地。ゴツゴツ、ブルブルといった不快な振動が抑制され、乗り心地の質が大幅に改善されたことがわかるだろう。
そしてハンドリング。微小舵角から正確な応答を示し、ハードな場面でも高い接地性を保つシャシーのしつけは、コペンがスポーツカーとしてひとつ上のステージに到達したことを物語る。オプションでヘリカルLSDも装着できるMT車は、腕利きも満足させられる仕上がりだ。
なお、4気筒から3気筒に変わった心臓は、実用域のトルクが充実したのが見どころ。CVT車を含めて、加速フィールはとても快活な印象だ。
HISTORY ヒストリー
平成26年6月 2代目コペンを発売
EXTERIOR エクステリア
パネルを自在に変更して好みのルックスにできる
鋼板製のドアを除く計13ピースの樹脂製外板パーツは、着脱による「着せ替え」が可能な設計になっている。これは、クルマの長年の夢を具現化した画期的アイデアだと言っていい。第二弾として登場するのは、クロスオーバーSUVのテイストを盛り込んだ「X(クロス)」。発売は今秋を予定している。
オールヌード(?)の新型コペンにリヤフェンダーを装着しているシーン。ドレスアップ車を手がけるブランドからも、新型コペン用のスタイルキットが登場する計画があるらしいから、大いに楽しみだ。
INTERIOR インテリア
軽自動車の枠組みを超えるクオリティアップ
新型のコックピットは、スポーツカーらしい機能優先のデザインと、軽トップレベルの高い質感を特徴とする。ブラウン系内装を標準とし、よりスポーティな黒内装を「ブラックインテリアパック」としてオプション設定する。オーディオ&ナビもオプションで、センターコンソール上部に設置するカタチとなる。
ルーフクローズド時にはゴルフバッグ1つを収められる能力を持つ。また、コックピット周りの収納スペースも、必要十分なレベルを確保している。
先代ファンも納得の丸目コペンが登場予定!?
コペンと言えば・・・愛らしい丸目がチャームポイント!そんなファンのために、2015年夏にシリーズ第三弾となる丸目モデルが追加される。ドアパネルは「ローブ」と共通だから、とりあえず「ローブ」を買って、あとから「丸目」に変身させることも可能なのだ。
※すべての価格は参考価格です
1st(先代)販売期間:平成14年~平成24年
新時代のルックスと走りが魅力 21世紀生まれの軽スポーツ
初代コペンの魅力は、なんと言っても愛らしいルックス。スポーツカーファンのみならず、“カワイイ”が好きな幅広いファンをも惹き付けた。走りの実力も評価され、完成度の高い1台だった。
中古車参考価格帯 40万~220万円 ※平成14年~平成24年式の相場です。全グレード
ダイハツ コペン
アクティブトップ レザーパッケージ(5速MT)
全長×全幅×全高:3395×1475×1245mm
車両重量:830kg
排気量:659cc
エンジン:直4DOHCターボ
最高出力:64ps
最大トルク:11.2kg m
燃費:18.0km/L(10・15モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム
タイヤサイズ前後:165/50R15
電動開閉式トップを備えた軽オープンカー
ちょっとレトロなムードを漂わせるルックスは、キュートさを前面に出した「和製アウディTT(もちろん初代)」と表現できるもの。スポーツカーだからといって肩肘を張りすぎず、愛着につながる親しみやすさやおしゃれさを盛り込んだことが、初代コペンが老若男女のファンに長く愛された大きな理由だろう。
で、第2の人気のカギは、当時の軽としては贅沢だった電動格納のアクティブトップの存在だ。前方の2つのロックを解除すれば、クーペからロードスターへの変身はスイッチひとつ。黄色ナンバーの小さなスポーツカーで、メルセデスSLKに代表される高級オープンスポーツに乗るかのような優越感を味わえた。
ちなみに、アクティブトップはベバスト社製で2代目も継承している。
なら、走りの能力はどうか?量産車のプラットフォームやパワートレーンを流用した「FF」の選択に、否定的なマニアはたしかに存在した。だが、短めのホイールベースと低重心の才能を活かし、締め上げたサスを組み合わせたコペンのフットワークは、スポーツカーとしても合格点を与えられる仕上がりだった。
ボディ剛性に弱点を持つオープントップ車ゆえに、乗り心地の荒さやハンドリングの一体感についてはネガな面も存在するが、魅力と弱点を天秤にかければ・・・あきらかに魅力が勝る。オープンスポーツを所有する喜びを、多くの人に提供した初代コペンの功績は、特大のものだった。
HISTORY ヒストリー
平成14年6月 コペンを発売
平成15年7月 一部改良
平成20年12月 一部改良
平成22年12月 一部改良
初代コペンの歴史を彩る魅力的な特別仕様車たち
スポーツカーの魅力は個性。ゆえに、ノーマルとは異なる内外装の仕立てや、特別なシャシーチューンを好むファンも数多い。そんなファン心理を満たすため、初代コペンは多くの特別仕様車を投入してきた。魅力あるモデル揃いだ。
平成15年6月 1st アニバーサリーエディション
アクティブトップ仕様をベースとして、タンの本革シートとMOMOのウッド&レザーステアを装備。高級感をウリとした。
平成16年6月 2nd アニバーサリーエディション
自慢はRECAROシートとMOMOのレザーステア。レッド/ブラックの内装を含めて、スポーティさを全面に打ち出す。
平成18年6月 アルティメットエディション
注目のポイントは、ビルシュタインダンパーとBBSアルミを採用した足まわり。さらにはRECAROシートも標準装備だった。
平成19年9月 アルティメットエディションIIメモリアル
好評だった「アルティメット」をベースに、内外装をより大人っぽいテイストで仕立てたモデル。プレミアム感をアピール!
平成21年9月 アルティメットレザーエディション
本革スポーツシートとBBSアルミ、そしてMOMO製ステアリングがスペシャルなアイテム。外観はスポーティな演出だ。
平成24年4月 10th アニバーサリーエディション
アルティメットエディションIIと同様のブラックメッキグリルや本革スポーツシートを採用して、特別な存在感を演出した。
EXTERIOR エクステリア
ロービームはプロジェクター式。明るいディスチャージ式ヘッドランプを幅広いモデルに採用した。
愛嬌のあるルックスが長く愛された一番の理由
前後をほぼ相似形としたティアドロップシェイプのスタイルと、愛らしさを醸し出す丸目4灯の前後ランプ(配置も特徴的)がカギ。スポーツカーを駆ること、そしてオープンカーを所有することのハードルをグッと低くしたコペンの親しみやすさを、見た目でも表現している。
センター2本出しのエキゾーストが、スポーツカーらしいこだわりを主張する。奏でるサウンドも耳に心地よく、走りのマインドを刺激する。
INTERIOR インテリア
細部まで造り込まれた納得のインテリア
「まる」をモチーフとするインパネデザインも、アウディTTに通じるものがある。要所にあしらったメッキパーツが、高い質感を演出するカギになっている。内装は、スポーツカーでは定番のブラック基調。タンやレッドのレザーシートやトリムを組み合わせて、特別な個性や上質感を表現したモデルも人気を博した。
オープン2座スポーツ、しかも軽だけにトランク容量は限定される。オープン時(中央)はご覧のとおりだ。でも、クローズド時にはトランクとしてきちんと機能。旅行も楽しめる。
球形ノブが目を引くATセレクターは、シーケンシャル機構も完備。ステアリングはチルト&テレスコピック調整付きと、軽としては充実の内容を誇る。実用的な小物スペースは、日常使いへの配慮だ。
MECHANISM メカニズム
スポーツモデルとしての質感に
マジメにこだわった
白眉と言えるのは4気筒のエンジン。ツインスクロールターボを採用することで、鋭敏なレスポンスと刺激的なパワー感を実現していた。また、「ATで乗れる」という気安さも、先行したライバルとの差別化点となっていた。ボディについては、フロアを中心に補強のブレースを追加。剛性感のアップに傾注していた。もちろん、空力性能にも優れる。
LINE UP ラインアップ
アクティブトップ
プジョー206CCを除けば、欧州コンパクトでも「電動格納」は皆無の時代だけに、デビュー時のアクティブトップは大きな注目を集めた。開閉は20秒ほどで完了。信号待ちの間でもOKだ。
ディタッチャブルトップ
樹脂製の手動脱着式トップのメリットは、シンプルな構造ゆえの軽さと低価格。車重の差は30kgほどだが、フットワークはあきらかにキレが鋭く、走り味にこだわるファンの支持を集めた。
熟練の職人が1台1台ハンドメイドで仕上げる
生産は「匠の工房」と呼ばれたエキスパートセンターが担当。少量生産車に特化した工場で、高い技能を持つ熟練作業員が作業を担当。1台、1台丁寧につくられた。
MARKET DATA
幅広い年式から選べる豊富な中古車で買い時を迎えた
平成14年に登場し、およそ10年間という長い期間生産されてきた初代コペン。中古車市場を眺めると、どの年式の物件も比較的豊富に揃っている。大きなマイナーチェンジがなかったので、年式と価格の相関もシンプル。予算に合わせた買い方ができるのもポイントだ。特別仕様車も豊富にあるので、じっくり好みの1台を探したい。
走行距離×年式別相場
平成14年 | 平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
3万km未満 | 102万円 | 94万円 | 105万円 | 110万円 | 140万円 | 135万円 |
3万~5万km | 86万円 | 84万円 | 106万円 | 104万円 | 117万円 | 124万円 |
5万~8万km | 78万円 | 77万円 | 89万円 | 93万円 | 100万円 | 108万円 |
8万km以上 | 61万円 | 65万円 | 67万円 | 69万円 | 80万円 | 84万円 |
平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | |
---|---|---|---|---|---|
3万km未満 | 151万円 | 140万円 | 158万円 | 173万円 | 178万円 |
3万~5万km | 134万円 | 131万円 | 150万円 | 158万円 | 163万円 |
5万~8万km | 126万円 | 120万円 | 149万円 | 114万円 | – |
8万km以上 | 92万円 | 87万円 | 123万円 | – | – |
どの走行距離でもまんべんなく流通する。8万km以上の車両は、相場が20~30万円以上安い。3万km未満の程度良好車は5年落ちで140万円とまだ高め。価格と程度、どちらを優先するか悩ましい。
グレード×年式別相場
平成14年 | 平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
アクティブトップ | 72万円 | 74万円 | 80万円 | 89万円 | 109万円 | 114万円 |
アルティメット エディション | – | – | – | – | 126万円 | 136万円 |
平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | |
---|---|---|---|---|---|
アクティブトップ | 124万円 | 123万円 | 131万円 | 140万円 | 155万円 |
アルティメット エディション | 148万円 | 146万円 | 172万円 | 183万円 | 198万円 |
基本グレードは「アクティブトップ」と「ディタッチャブルトップ」だが、後者はほとんど流通していないので特別仕様車の価格を調査。標準車よりも20万~40万円ほど高いが、装備内容は充実している。
年式
広い年式にわたり同程度の中古車が流通していることから、コンスタントに新車が売れていたことがわかる。そのなかでも多いのがデビュー翌年の平成15年式である。走行距離
最近まで新車販売されていたモデルなので、3万km未満の低走行車もかなり多い。比較的まんべんなく分布するが、8万km以上の物件はかなり少なめだ。
グレード
流通しているグレードの大半は「アクティブトップ」。次いで、特別仕様車「アルティメットエディション」が多い。また、そのほかの特別仕様車なども多く流通している。
ジャーナリスト・森野恭行氏の歴代
ダイハツ コペンインプレッション
2nd 全体的なクオリティを磨きエコ性能も向上している
もっとも進化を感じるのはボディ剛性。接地性が大幅に高まったことで、ハンドリングの一体感や高速安定性だけでなく、乗り心地の快適度も飛躍的に向上した。また、電動パワステの自然なフィールと、安心感に直結するリヤの踏ん張り感も、高く評価したいところだ。さらに、4速ATからCVTへの変更で、エコ性能を大きく高めた2ペダル車も注目の存在。そうした意味でも、現代的軽スポーツに仕上がっている。
1st ライトウェイトスポーツの美点が凝縮された色褪せない魅力
4気筒ターボをブン回す刺激性の高さは、スポーツカーを強く実感させるもの。カワイイ容姿に似合わずハンドリングも骨太な味つけで、ねじ伏せるようなドライビングをひとつの楽しみとする。ビルシュタインダンパー+BBSアルミ装着車は、その「楽しみ」のレベルがより高いところにある。荒れた路面やハードな走りの場面においては、ボディがねじれ、震えるが、それも初代の「走りの一興」と考えたい。
※すべての価格は参考価格です