車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.21 / 掲載日:2009.12.18
トヨタ ハリアーハイブリッド 中古車購入チェックポイント
トヨタ ハリアーハイブリッド 中古車購入チェックポイント
DAA-MHU38W
参考車両:L パッケージ
初年度登録:2006年3月
■全体のチェックポイント
車体まわりはもちろんしっかりチェックするが、ハイブリッドの状態が気になるところ。ディスプレイ表示や警告ランプなどで把握できることもあるが、一般ユーザーがシステムの状態を判断するのは難しい。そこで、まず確認したいのが点検整備記録。きちんと点検整備していれば、不安は少ない。バッテリーの消耗を気にする人もいるが、一般的な使い方なら車両が寿命を迎えるまで交換する必要はない。販売店がトヨタハイブリッドに精通しているかどうかもチェックポイントだ。
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
やや離れた遠目から、車体の様子を観察しよう。外装部品の立て付けや塗装面の状態など、外観に異常がないかチェック。不審な箇所があれば、近寄って、さらに詳しく調べよう。
前面は、バンパー/ボンネット/ヘッドライト/フェンダーなどが並んでいるバランスをチェック。左右ヘッドライトの片方だけが新しい(交換の疑い)場合は、その側の車体部を修理している可能性もある。ナンバープレートの傷や変形、修整跡なども、車体部の修理を疑ってみる。細部では、ボンネットやバンパー先端部のほか、フロントガラスの飛び石による小さな打ち傷などにも注意しよう。
2.角度を変えると見える
2.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインの歪みや崩れ、微妙な立て付けの狂いなども判断しやすい。
斜め方向から透かして見ると、見落としがちな浅くて広い凹み、エクボと呼ばれる小さな凹み、波打ち(しわ)なども確認できる。
しわが寄っているのは、衝撃を受けたダメージ痕か、板金修理跡。変色や色むらなど、塗装に異常がある箇所も、修理跡かもしれない。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
事故などでボンネットにダメージを負うと、新しいボンネットと交換することが多い。ボンネットを支えている金具(ヒンジ)を固定しているネジを脱着した形跡があったら要注意。ボンネットを交換した可能性が高い。まれに、エンジンを修理のためにボンネットを脱着することもあるが、その場合は整備記録簿に記録が残っているはずだ。
4.車体内側の鉄板を調べる
左右フェンダー側のインナーパネルや室内側のダッシュパネル、前部フレームなど、エンジンルーム内各部の鉄板をチェックしよう。車体の骨格を形成している重要な部分だ。カバーや機器類などがあって細部までは見えないが、歪みやしわ、修理/交換の形跡などがないか確認しよう。
部品やネジなどに塗装の飛沫が付着している場合は、周辺に修理跡がないか慎重に調べよう。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
外面をチェックしたら、裏面側に修理跡などがないかも調べよう。特に、外と内のパネルを貼り合わせている接合部のシーラーの状態が注意ポイント。
交換することもあるので、取り付けネジを脱着していないかも確認。ヒンジを交換していれば、車体側の修理にも注意。
ボンネットを交換していれば、ボンネット単独の損傷も考えられるが、車体前部に大きなダメージを負っている疑いがある。
6.前部の必須チェックポイント
6.前部の必須チェックポイント
エンジンルームの最前部にある、車体の左右に繋がってラジエターサポートは、車体部に大きな衝撃を受けると影響が及びやすく、修理あるいは交換する確率が高い。樹脂カバーで覆われているために、本体を確認することはできないが、カバー類の取り付け状態をはじめ、ラジエターやヘッドライトなどの関連部品、バンパーやフェンダーなど周辺の状態にも注意しよう。
7.取り付け状態も確認
7.取り付け状態も確認
外装部品の立て付けを見る時は、例えば前部側面では、バンパー、ヘッドライト、フェンダー、ボンネット、ピラー(フロントガラス部の柱)、ドアなどが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを負ってずれているか、修理/交換している可能性がある。
隙間を境に、隣り合うパネルの色合いが異なって見える場合も、修理/交換していることが考えられる。
8.車体側面のチェック
8.車体側面のチェック
ドアに設置しているモールのずれや崩れ(ダメージ痕)、破損などにも注意。ドア下にあるサイドシルガーニッシュ(サイドスポイラーとも呼ぶ)に傷や破損、交換の形跡などがないかもチェック。
モールにダメージがあればドアを、サイドシルガーニッシュにダメージを負っていれば内側のサイドシルにダメージが及んでいないか確かめよう。
フェンダーは、ホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)の鉄板を内側に折り込んでいる部分に修理跡などがないかも調べよう。
9.関連部も調べて判断する
ドアに大きなダメージを負うと、外して修理、あるいは交換してしまうことも多い。ドアヒンジ部のネジをチェックしよう。ただし、立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジを脱着した形跡だけでドアを修理/交換しているとは断定できない。ドア自体をはじめ、ヒンジ、キャッチ(ドアロックの受け金具)、ピラー(柱)、サイドシル(梁)など、関連部と周辺を調べて判断する必要がある。
10.後面のチェックポイント
10.後面のチェックポイント
前面と同様に、バンパー/テールゲート/フェンダー/コンビネーションランプ(テールライト)/ピラーなどのバランスをチェック。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。左右の片方だけに隙間の異常箇所があれば、その部分の車体部を修理しているとみて間違いないだろう。
後部ナンバープレートは、封印の傷(ナンバープレートを外して付け直した形跡)が後部の修理/交換を推察するヒントになる。
11.リアフェンダーのチェック
リアドアを開けて、開口部を調べよう。後席への乗り降りで擦り傷や打ち傷を付けることがある。小さな凹みや塗装欠けにも注意。
マスキング跡があれば、フェンダーを補修、あるいは修理している。ダメージの程度と範囲を確かめよう。
開口部下部の角付近に修理跡があれば、フェンダーかサイドシルを交換している可能性もあるので要注意。
車体左側は、フューエルリッド(給油口のカバー)も開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェックしよう。
12.開閉してチェック
12.開閉してチェック
テールゲートの解錠/施錠の操作具合をまずチェック。開閉して、上げ下げの動きがスムーズかどうか、上げた状態でしっかり止まっているかどうかもチェック。
閉まり具合がよくない(カチッと収まらない)場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいることも考えられる。ずれているだけなら立て付け調整などで直ることもあるが、ドアの動きに異常があれば、販売店で調べてもらおう。
13.開口部を慎重にチェック
13.開口部を慎重にチェック
テールゲートは、外面をチェックしたら、裏面側に修理跡などがないかも確認。内側に設置している樹脂パネルやカバー類の取り付け状態にも注意。交換している形跡がないか、取り付けネジやヒンジの状態もチェックしよう。
開口部にある鉄板の接合部も調べよう。溶接、シーラー、塗装の状態などを手がかりに、修理/交換跡などがないか確認。左右を見比べるのもいいだろう。特にスポット溶接の打ち直しに注意。
開口部下部は、コンビネーションランプやバンパーの取り付け状態を慎重にチェック。リアフェンダーの歪みや修理跡などにも気を付けよう。
14.タイヤとホイールのチェック
14.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、スリップサインを目安に残り溝の深さを点検。傷や異物の刺さり、ひび割れなどがないかも確認。
溝が十分に残っていても、摩耗状態も調べよう。接地面の外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減っている偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているのか、車体が歪んでいるのか、原因を確かめる必要がある。
ホイールは、タイヤと接しているリム部に傷があれば、曲がりを伴っていないか必ず確認。アルミホイールは、過度な衝撃を受けると起こることがある歪み(変形)や割れなどにも注意。
15.床下をチェック
15.床下をチェック
フレーム(骨格部)やメンバー(補強部材)など、鉄板部に損傷や歪み、修理/交換の形跡などがないかチェック。マフラーやサスペンションなどの部品類、ブラケットやアームなど金具類も、傷や曲がり、修理/交換跡などがないかチェック。バンパーの奥など、外装部品の裏も覗いてみよう。
油汚れや滲み(オイルやグリスなどの漏れの兆候)、ゴム部品の劣化(ひびや割れ)など、整備に関わる部分にも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないが、範囲と腐食状態を確かめよう。
16.ハイブリッドの動作を確認
16.ハイブリッドの動作を確認
スタートボタンを押して、READYランプでシステムが正常に起動することを確認。システムエラーや警告の表示が出たら、点検が必要だ。
エンジンがかかる時(エンジン始動は走行状態をシステムが判断して行う)は、大きな振動が出ないか注意しよう。
できれば試走して、スタートや低速、通常、4WDなど、各走行時の状態とエンジンとモーターの切り替わり具合を確かめたい。ただし、動作が正常範囲か不具合かを判断するのは難しいので、必ず販売店でシステムのコンディションと整備状態を確認してもらおう。
17.装備機器類の機能を確かめる
17.装備機器類の機能を確かめる
ヘッドライト、ウインカー、テール/ブレーキ/バックランプなどの保安装置類はもちろん、電装機器や電動機構などはすべて操作して、正常に作動することを確認。エアコンはマニュアル操作でも温度調節や風量を試すなど、調整機構を備えている機器類は調整機能も確かめよう。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯、ステアリングハンドルのオーディオコントロール、キーレスエントリーなども忘れずにチェックしよう。
18.変速機能のチェック
18.変速機能のチェック
シフト操作して、レバーの動き具合、各シフトポジションでの走行状態と変速動作を確認。走行中のエンジン始動時にシフトショックのような振動を感じるようなら不具合が起こっている。とはいっても、CVT(無段変速機)には違いないが、一般のCVTとは異なり、動力分割機構、発電機、モーター、エンジンなどを統合して電子制御で変速機が機能する仕組みになっている。ここも、システムに精通している販売店で点検してもらうほうがいい。
19.隅まで細かくチェック
室内は、シートや内装材などに、汚れや傷、染み、破れ、穴などはないか。運転席周辺だけでなく、後席やラゲッジスペースまで必ずチェック。フロアマットの下や天井の内張などの状態にも注意。収納ボックスやポケットなどの内部に傷や破損などがないかも確認。
室内の状態から、車両がどのように使われていたかも推察してみよう。
■書類で車両の情報をチェック
備え付けの書類は、「車検証」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で保証内容や期限を確認。「車両取扱説明書」の他に、オプションや後付けなど追加装備の説明書が揃っていることも確かめよう。
「定期点検整備記録簿」は、必ず記載内容を調べよう。車両がどのように使われ、どのように扱われてきたかがわかる。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●2005年3月に新発売された、SUV「ハリアー」のハイブリッド仕様車。外観は、フロントバンパー、ホイール、クリアレンズリアコンビネーションランプなどが「ハリアーハイブリッド」専用デザイン。ハイブリッドシステムには新開発の高出力ハイブリッドシステムTHSIIを搭載。それまでのハイブリッド車「プリウス」や「エスティマハイブリッド」が燃費を最優先していたのに対し、ハリアーハイブリッドはベースとなっているハリアーよりも高い動力性能を備えているのも特徴だ。ハリアーハイブリッドは、トヨペット店で販売。同じメカニズムでデザインの異なる「クルーガーハイブリッド」もトヨタカローラおよびネッツ店で販売されている。
●ハイブリッドシステムは、V型6気筒3.3(3310cc)エンジンに、動力分配機構/発電機/モーター/減速機などから成るフロントユニットと、電気式4WDシステムのリアモーターを組み合わせた構成。仕様グレードは、スタンダードタイプの「ハリアーハイブリッド」に、パッケージ装備を追加する設定。「Lパッケージ」は、18インチタイヤ(標準は17インチ)、ヘッドライトコントロールシステム、雨滴感知式フロントワイパー、パワーバックドア、前席パワーシート、4:2:4分割式リアシート、JBLプレミアムサウンドシステムなどを装備。「プレミアムSパッケージ」では、オンロード専用タイヤ(他の仕様車は雪道や悪路にも対応するM+S規格)やスポーツサスペンションなどを装着してオンロード性能を高めているほか、リアスポイラーがボディと同色、室内には本革シートやアルミ加飾なども追加装備している。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定(2005.03)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
ハリアーハイブリッド(標準) | DAA-MHU38W | CVT | 4WD |
Lパッケージ | DAA-MHU38W | CVT | 4WD |
プレミアムSパッケージ | DAA-MHU38W | CVT | 4WD |
●ハリアーハイブリッド[DAA-MHU38W]の主な変更とモデルタイプ
◇2005年3月:新発売。
◇2006年7月:一部改良。フロントドアにハイブリッド専用エンブレムを装着。平成22年度燃費基準+20%達成および平成17年基準排出年ガス75%低減レベル認定。
◇2007年8月:一部改良。フロントグリル、18インチアルミホイールなどのデザインを変更。外板色シルバーメタリックの色調を変更。メッキ処理ドアハンドルを採用。
◇2008年1月:特別仕様車「Lパッケージ アルカンターラ プライムバージョン」発売。
◇2008年9月1日:価格改定。