車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.12.02 / 掲載日:2014.04.11
LEXUS IS 世界基準のプレミアムを実現したインテリジェンス・スポーツ

プレミアムブランドと真っ向勝負を挑むレクサスのモデルのなかでとりわけ走りのイメージが強いのがIS。昨年にフルモデルチェンジを行い、その方向性はさらに確固たるものになった。今回は先代モデルを含めたレクサスISの魅力と市場動向をあますところなく紹介していく。
What’s “LEXUS IS”?
レクサスブランドのスポーツ性を牽引
国内メーカーではトヨタがレクサス、日産がインフィニティ、ホンダがアキュラの高級車ブランドを、北米市場を中心とした海外で展開している。だが、お膝元の日本にも導入されているのはレクサスだけだ。2005年の日本開業以来、日本の代表としてドイツのプレミアム御三家に挑戦を続けている。
そのレクサスのラインアップで、国内ユーザーにもっとも親しみやすいスポーツセダンがミドルクラスのIS。トヨタブランドではマークXに相当するが、デザイン、走り、快適性や装備など、すべてにおいてプレミアムセグメントならではのクオリティと品格を備えている。
国内における初代のデビューは、日本開業時のGSとSC(トヨタ・ソアラから移行)から1カ月遅れの05年9月。ISにはレクサスのFRでもっともコンパクトなセダンボディを利したスポーツ性の牽引役が与えられた。プラットフォームはトヨタ・クラウンやマークXをベースとしながら、シャシーは大幅にレベルアップ。日本車では前例のないモンスター、IS Fはまさにその象徴と言える存在だ。
現行型は13年5月に国内発売。レクサス専用プラットフォームや新パッケージングの獲得により、先代の課題を克服するとともにコンセプトをさらに発展させている。加えて国内ユーザー待望のHV(ハイブリッド車)もラインアップし、その名のとおり知的かつ先進的な魅力に磨きをかけた。
そんなISを今回はピックアップしてみよう。
RIVAL ライバル
メルセデス・ベンツ Cクラスセダン

中古車参考価格帯:130万~440万円 ※平成19年~平成25年式の相場です。 ※AMG除く
SクラスやEクラスの魅力をDセグメントボディに凝縮したCクラス。現行の3代目は、メルセデスの重厚な乗り味にアジリティ(俊敏性)の魅力を加えた。現在は直噴1.8Lターボ、3.5L V6が主力で、C63 AMGは6.3L V6を搭載。4代目が今年上陸予定。
BMW 3シリーズセダン

中古車参考価格帯:290万~520万円 ※平成24年~平成25年式の相場です。
3シリーズはプレミアムスポーツセダンの代名詞と言える。前後50対50の重量配分がもたらすハンドリングはスポーティの極み。現行の主力は直4の2L直噴ターボになったが、2Lディーゼル、3L直6ターボハイブリッドなど多彩なラインアップを誇る。
アウディ A4セダン

中古車参考価格帯:160万~460万円 ※平成20年~平成25年式の相場です。
A4も代を重ねるごとに先進性や上質感を高め、プレミアムセダンとして今や確固たる地位にある。ライバル勢より余裕のボディがもたらす優れた実用性も特徴だ。アウディといえば4WDのクワトロだが、CVTのFFも設定。現在は2L直噴ターボを搭載。
HISTORY ヒストリー
先代はバリエーションが豊富現行型は今後の展開が楽しみ
PAST MODEL
・平成17年9月 レクサスISを発売
・平成19年12月 ハイパフォーマンスモデル「F」を発売
・平成21年5月 オープンモデル「IS250C」を発売
NEW MODEL
・平成25年5月 ISをフルモデルチェンジ
中古車市場における世代別の物件数比率

中古車市場に存在するのは9割以上が先代モデル
レクサスISがフルモデルチェンジしたのは昨年の5月。まだ1年も経過していないので、中古車はほとんど流通していない。一方、先代モデルは9年にわたり生産されたモデルで、中古車の数は非常に豊富。オープンモデルのIS250/IS350や高性能なFモデルも流通しており、中古車選びは自由自在。ターゲットは先代モデルだ。
※すべての価格は参考価格です

IS 2nd(E30系/現行)販売期間:平成25年~
コンセプトを継承しながらすべての要素が大幅に進化。
現行の2代目は8速ATの3.5Lやハイブリッドを搭載。スポーツ派から燃費指向まで幅広いユーザーニーズに応える。
中古車参考価格帯:380万~620万円 ※平成25年式の相場です
レクサス IS350 Fスポーツ(8速AT)
主要諸元
全長×全幅×全高:4665×1810×1430mm
車両重量:1640kg
排気量:3456cc
エンジン:V型6気筒DOHC
最高出力:318ps
最大トルク:38.7kg m
燃費:10.0km/L(JC08モード)
レクサス専用のプラットフォーム
約7年半ぶりにフルモデルチェンジされた現行型は、1クラス上のGSに続いてレクサス専用プラットフォームを採用。ボディは先代よりひとまわりサイズアップし、室内空間やトランクが大幅に拡大している。
注目のHVはIS300hだ。FR用の2.5L直4ハイブリッドシステムはクラウンシリーズのクラウン・ハイブリッドに続く搭載で、基本的に一連のトヨタ/レクサス車と同じ方式。エンジンはレギュラーガソリン仕様で初めてデュアルインジェクションのD-4Sを採用、3L並みを謳う220psのシステム出力と、クラス断トツとなる23.2km/Lのモード燃費を達成。
ガソリンエンジンはスペックを含めて先代から踏襲されたが、3.5LのIS350はミッションを6速ATからIS F譲りの8スピードSPDSに換装。マニュアルレンジのダイレクトなシフトを実現するとともに、ワイドレンジ化による燃費向上も実現している。
Fスポーツの進化も現行型の特徴だ。足まわりにはAVS(減衰力可変サス)や前40/後35扁平の18インチタイヤを標準装備。IS350 FスポーツはさらにVGRS(可変ギヤ比ステアリング)、DRS(後輪操舵)、VDIM(挙動安定化統合システム)の統合制御によるLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)を搭載する。
バージョンLは前席ベンチレーション、電動リヤウインドウサンシェードなどさらに贅沢装備が揃う。
EXTERIOR エクステリア
進化を遂げたレクサスデザイン
アローヘッド型のLEDクリアランスランプを独立させたフロントライトが新鮮。ヘッドライトは300hにLED、ガソリンにはディスチャージが標準だ。グリルはもちろん新世代レクサスのアイコンであるスピンドル形状。サイドビューはシンプルかつ効果的に躍動感を表現した、ロッカーからリヤへ一気に跳ね上がるウエッジラインが印象的だ。空力性能にも優れ、CD値は0.26を実現。
INTERIOR インテリア
上質さと快適性が大幅に向上
水平基調のインパネはシンプルながら格調の高さを感じさせる。ナビゲーションなどをマウス感覚で操作できるリモートタッチは、レクサスの特長だ。室内空間も先代から大幅に拡大し、クラスにふさわしい広さを獲得。

HVバッテリーの床下搭載により、IS300hでもトランクスルーが可能。トランク容量はガソリン車が480L、300hは450L。
Fスポーツ専用メーターは、可動式メーターリングがスライドしてマルチファンクションディスプレイが出現。フル液晶タイプだ。
MECHANISM メカニズム
GS譲りのリヤサスLHDにも注目だ
フロントのダブルウィッシュボーンサスは先代からスタビライザー剛性を約20%アップ。リヤのマルチリンクはスプリング/ダンパーの分離配置など大幅に見直され、GSに近い構造になっている。電動パワステも操舵の一体感を高めるため徹底チューニング。IS350 FスポーツのLDHはVGRS、DRS、AVSの統合制御で前輪スリップ角の少ないハンドリングを実現した。

SAFETY セーフティ
衝突軽減ブレーキは全車オプション設定
エアバッグの装備は万全だ。前席のフロント/ニー/サイド、前後席のカーテンシールドを標準装備。約30km/h以下の衝突回避または被害軽減が可能なミリ波レーダー式のプリクラッシュセーフティシステムは、全車オプション装着できる。

レーンデパーチャーアラートはレクサス初採用。道路上の白線(黄線)をカメラで認識し、車線から逸脱しそうになると注意を喚起するシステム。ブラインドスポットモニターは後側方にいる車両の存在を検知。
洗練された走りを実現する

Fスポーツはロア開口形状を大型化した専用フロントバンパー、メッシュタイプの専用グリルで差別化。フロントスポーツシートはレクサス初の表皮一体発泡工法で開発されている。AVSもFスポーツ全車に標準だ。
MARKET DATA マーケットデータ
現在はまだ物件数が少ないが今後の動向は確認しておきたい
デビューが平成25年5月で、登場してからまだ1年未満の現行型IS。流通している物件はごくわずかなので、グレードやボディカラーを指定して中古車を買うのは難しい。また、新車でも人気モデルゆえ、販売店も強気の価格設定の傾向がある。しかし来年には物件数も増えて少しずつ選びやすくなっているはず。欲しい人は今後の動向をチェックしておくとよい。
走行距離×年式別相場
平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|
0.5万km未満 | 493万円 | – |
0.5万km以上 | 451万円 | – |
0.5万km未満の物件はかなり新車に近いコンディション。流通している車両が自分の好みの仕様であれば買いだろう。走行距離は伸びていてもせいぜい1万km前後。しかし、走行距離に応じて相場も大きく下がるので、新車と比較するとお買い得感がある。
グレード×年式別相場
平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|
IS250 | 450万円 | – |
IS300h | 483万円 | – |
IS350 | 544万円 | – |
基本的にどのグレードも市場に流通している。相場は、IS250系が450万円と安く、トップエンドのIS350系が544万円と新車同様高値。物件サンプル数が少ないため、やや極端な相場の数字となっている。なお、平成26年式の物件はまだ存在していない。
年式
平成26年式、つまり今年に登録された新型ISの中古車は、3月時点では1台も確認できなかったので左のようなグラフとなっている。走行距離
全体の8割近くが5000km未満というグッドコンディション。相場はやや高めだが、裏を返せば新車と比較検討して選ぶことができる。

グレード
もっとも多いのがトップモデルのIS350系で、現行型の目玉となるIS300hは少ない。ただ時間が経過すれば割合は変わるはず。
IS 1st(E20系/先代)販売期間:平成17年~平成25年
プレミアムに挑戦した記念すべき初代。
レクサスが日本に開業して間もなくデビュー。7年半の間に登場したモデルはバラエティ豊かだ。
中古車参考価格帯:120万~400万円 ※平成17年~平成25年式の相場です ※セダンのみ
レクサス IS250(6速AT)
主要諸元
全長×全幅×全高:4585×1795×1430mm
車両重量:1570kg
排気量:2499cc
エンジン:V型6気筒DOHC
最高出力:215ps
最大トルク:26.5kg m
燃費:11.8km/L(10・15モード)
改良を重ねるごとにシャシーが熟成
05年に登場した先代は理想を追求するプレミアムスポーツセダンにふさわしく、公式に発表されただけでも毎年のように改良が重ねられた。
主なところでは、08年のマイナーチェンジで内外装のリフレッシュとともにシャシーチューンを見直し、IS250にVDIMを拡大設定。09年の一部改良で内外装のスポーツ性を高めたバージョンFを追加。10年には再びマイナーチェンジを受け、外観はL字型LEDポジショニングランプが採用されるとともに、バージョンFは専用の足まわりを備えるFスポーツに進化した。IS Fのサスチューン見直しやサーキットモード追加も10年のトピックだ。
INTERIOR インテリア
洗練された空間には日本の美意識も表現
T字型インパネに代表される正統派デザインの中に、書道の筆先の切り返しをモチーフにしたドアグリップなど、日本の美意識を表現。シートも独自の厳しい基準「レクサスMUSTs(マスツ)」で開発された。前席はもちろんパワーシート。

LINEUP
個性あふれる2つの派生車が登場したのも初代の特徴。
「IS F」と「IS C」は、ISが世代交代した今も現行型として販売中だ。
F Model

IS250C/IS350C
スポーティで実用的な電動オープンモデル
「C」はコンバーチブルの頭文字。IS Cはシリーズでもっとも華のあるオープンモデルだ。これも先代ISがベースで、ルーフにはアルミ製の電動格納式メタルトップを採用。クローズ時はクーペボディ同様の静粛性や対候性を備える。実用的な後席を備える使い勝手のよさも特徴。パワートレーンは先代と共通でFスポーツも設定する。
トランクはメタルトップ格納時にゴルフバッグ1個を収納可能。後席ヘッドレストはワンタッチ可倒式。多彩な内装色の設定も魅力だ。
THE ORIGIN OF ”IS”

海外での初代はアルテッツァ
現行ISは国内で2代目だが、じつは海外では3代目に当たる。本当の初代は1998年にトヨタ・アルテッツァとして国内投入された。プラットフォームはプログレの改良版で、ボディは全長4400mmとさらにコンパクト。エンジンは2Lで210psの直4と160psの直6を搭載した。3Lと2L直6搭載のファストバック風ワゴン、ジータも登場。
MARKET DATA マーケットデータ
いま買い時を迎えた先代レクサスIS
昨年新型が登場し、先代レクサスISは相場が下がって買い時を迎えた。ボリュームゾーンは前期型で、平成18年~19年式の物件がとくに多い。これらの年式の相場を見ると、1~3万kmで190万円前後となる。一方後期型は相場が高値で、たとえば平成21年式の1~3万kmで282万円。オープンモデルは物件がかなり少ないので探すのに苦労するかもしれない。なおIS Fはおおよそ500万が相場と言ったところだ。
走行距離×年式別相場
平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | |
---|---|---|---|---|---|
1万km未満 | 218万円 | 227万円 | 364万円 | ||
1~3万km | 173万円 | 186万円 | 192万円 | 226万円 | 282万円 |
3~5万km | 175万円 | 177万円 | 189万円 | 217万円 | 249万円 |
5~8万km | 147万円 | 164万円 | 171万円 | 191万円 | 221万円 |
8万km以上 | 142万円 | 146万円 | 144万円 | 164万円 | 214万円 |
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | |
---|---|---|---|---|
1万km未満 | 280万円 | 352万円 | 411万円 | 389万円 |
1~3万km | 305万円 | 319万円 | 354万円 | 389万円 |
3~5万km | 280万円 | 315万円 | 315万円 | – |
5~8万km | 252万円 | 276万円 | – | – |
8万km以上 | 219万円 | – | – | – |
グレード×年式別相場
平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | |
---|---|---|---|---|---|
IS250 | 148万円 | 161万円 | 177万円 | 207万円 | 231万円 |
IS350 | 163万円 | 180万円 | 175万円 | 199万円 | 239万円 |
IS250C/IS350C | – | – | – | – | 344万円 |
F | – | – | 249万円 | 403万円 | 425万円 |
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | |
---|---|---|---|---|
IS250 | 273万円 | 302万円 | 346万円 | 389万円 |
IS350 | 254万円 | 300万円 | – | – |
IS250C/IS350C | 374万円 | 429万円 | 463万円 | – |
F | 511万円 | 577万円 | 643万円 | 598万円 |
年式
もっとも多いのがデビュー翌年の平成18年式。動向としては、マイナーチェンジ前の車両が多く流通。高年式はかなり数が少ない。走行距離
デビューから9年が経過しているので、低走行車が徐々に減っている。コアゾーンは3~5万km。低走行車が欲しい人は早めの検討を。

グレード
エントリーグレードのIS250系が圧倒的多数を占めている。オープンモデルはかなり数が限られており、IS Fよりも物件数が少ない。

IMPRESSION
戸田治宏の歴代モデルインプレッション
2nd LDHは新次元のハンドリング ハイブリッドも燃費だけではない

IS300hの2.5Lハイブリッドは走りの実力も十分。エンジンは高回転までスムーズにパワーを伸ばし、全開加速ではモーターも全域をアシストする。シームレスな無段階変速だが、パドルシフトの6速マニュアルシフトも可能だ。ただ、力感は3Lなみとまでいかないというのが正直なところ。V6に比べ低速域の振動も若干目立つ。IS350の3.5 V6は、ATの8速化で加速フィールがいっそう滑らかに。マニュアルレンジではSPDSの威力で、デュアルクラッチなみにダイレクトで素早い変速が楽しめる。FスポーツはAVSによって高い操縦安定性と上質な乗り心地を両立。350 FスポーツでスポーツSプラスモードを選べば、中高速コーナーでステアリング操作が一発で決まる思いどおりのハンドリングが堪能できる。標準サスも当然レベルアップ。
1st マークXと違う走りの質感はプレミアムセダンならでは

IS350の3.5L V6は、直噴とポート噴射を最適に使い分けるD-4Sによって318ps・38.7kg mを発揮。4000rpmあたりからグッと盛り上がり6500rpmまで伸び続けるパワーの迫力は、まだ3LだったマークXをまったく問題にしなかった。GS350に対しても車重が軽い分、加速性能はISが明らかに上。IS250も2.5L V6のパワーを積極的に引き出せば十分にスポーティな走りが楽しめる。3.5LはのちにマークXにも搭載されるが、ISはシャシーの仕上がりも別モノ。操舵フィールは一体感が高く、ロール剛性の高いサスと相まったハンドリングのリニアリティでプレミアムスポーツの実力を示した。当初、足まわりには荒削りな面もあったが、改良を重ねるごとにしなやかさが増して乗り心地が向上。シャシーの完成度を高めている。
※すべての価格は参考価格です