車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.12 / 掲載日:2012.03.29
【徹底紹介】メルセデス・ベンツ SLKクラス
メルセデス・ベンツ SLKクラス × 安 めぐみ
エレガントでありながら安らぎ、頼れる存在感

写真●内藤敬仁 文●GooWORLD スタイリスト●山口沙織 ヘアメイク●AKICO
よりダイナミック感を強め、存在感を増した3代目SLKは、幅広い世代にオープントップの魅力を改めてアピールする!
オープンモデルの革命児も熟成の3世代目
オープントップというと、近ごろはソフトトップよりも格納式ハードトップを採用する例が多いほどだが、そのブームの生みの親はメルセデスSLK。オープンの爽快感や開放感と、クローズドの快適性や安心感をスイッチひとつで選択できる新様式は、オープンカーのファン層を拡大する有効なアイテムにもなった。
そんな「オープン革命」をもたらしたSLKも、昨年日本に投入されたR172ですでに3代目となる。先代はSLRマクラーレンだったが、今度はSLS AMGをモチーフとするデザインをちりばめたのが見どころで、クラスを超えた存在感を醸し出している。とくにAMGスポーツパッケージのスタイルは押し出し感が強く、高速道路を走っていると、バックミラーで確認した前走車がすぐに道を譲ってくれるほどだ。
そして、新型のもうひとつの大きなトピックは、戦略的なモデル&価格設定。SLKは以前から、メルセデス・ロードスターの入門モデルとして位置づけられてきたが、より積極的に若いファンを取り込むことを、R172は目論んでいるのだ。
その起爆剤は、価格を525万円に設定したSLK200ブルーエフィシェンシー・スポーツで、SLKオーナーになる夢を現実に変えてくれる。性能や質感を一段高めた上での低価格モデル投入なのだから、新型の戦略はインパクトが大。メルセデスの積極姿勢が見える。
写真●内藤敬仁 文●森野恭行、GooWORLD お問い合わせ●メルセデス・コール TEL:0120-190-610
Detail

メルセデス・ベンツ SLK 200 ブルーエフィシェンシー
全長×全幅×全高 | 4145×1845×1305mm |
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ホイールベース | 2430mm |
トレッド前/後 | 1550/1570mm |
車両重量 | 1440kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1795cc |
最高出力 | 184ps/5250rpm |
最大トルク | 27.5kg m/1800~4600rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/マルチリンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前・後 | 225/45R17・245/40R17 |
新車価格
SLK 200 ブルーエフィシェンシー スポーツ(7速AT) | 525万円 |
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SLK 200 ブルーエフィシェンシー(7速AT) | 580万円 |
SLK 350 ブルーエフィシェンシー(7速AT) | 770万円 |
HISTORY
2011.07 | フルモデルチェンジ 今回で3代目となるSLKクラスは、高級感と走りを調和させた次世代シーターとなった。1.8L直4ターボの「SLK200」、3.5L V6の「SLK300」を設定する。 |
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華やいだ気分にさせてくれるインテリアの質感

先代のR171と比べると、新型は全長と全幅が35mm、全高が5mm大きくなったが、2430mmのホイールベースは共通。そこから推察されるように、プラットフォームはキャリーオーバーで、基本的な部分の寸法設定は変わっていない。だが、新型のコクピットに座れば・・・だれもが「車格がちょっと上がったかな」と感じるに違いない。
そこでカギを握っているのは、それぞれの素材のクオリティを高め、造り込みのレベルもアップしたインテリアだ。内装も流れをくむのはSLS AMGで、初代300SLにつながるクラシカルなデザインと最新アイテムを融合させることで、魅力的なロードスターのコクピットに仕上げられている。
インパネセンターに位置するのはCOMANDシステムの7インチモニターで、コントローラーはシフトレバー後方にレイアウト。核となるHDDナビは、インターネット接続に対応し、走行中の操作性を大幅に高めた最新のタイプだ。また、パドルシフトやボタン式パーキングブレーキを採用し、キーレスゴーをオプション設定(スポーツを除く)するなど、操作系のハイテク化も積極的に推し進めている。
そしてシート。スポーツは布張りだが、ほかはサンリフレクティングレザー張りで、メモリー付き電動調整や電動チルト&テレスコピックステアリングも標準となる。加えて、上質な肌触りのナッパレザーシートも選べるのだから、「高級」にプライオリティを置く人にも、新型は高い満足度を提供してくれる。
首まわりを温めるエアスカーフと、熱線を反射してシート表皮の温度上昇を抑えるサンリフレクティングレザーシートを、ベースグレードのスポーツを除く全車に標準装備。オープンならではの配慮も行き届いている。
後方からの風の巻き込みを防ぐドラフトストップを採用(スポーツを除く)。
バイキセノンヘッドライトとLEDポジショニングライトを標準装備。
標準設定は17インチのランフラットタイヤ。AMGスポーツパッケージは18インチを履く。
マジックスカイコントロール・パノラミックバリオルーフを新設定。
COMANDシステムのコントローラー。
エアスカーフの構造図。
容量はルーフ開で225L、閉で335L(17インチ装着車)。
徹底的に鍛え上げた先進のシャシー
シャシーで注目されるのは、SLK350とSLK200AMGスポーツパッケージ(スポーツを除く)に採用されるダイナミックハンドリングパッケージ。サスを10mm低くセットアップし、18インチタイヤを装着するだけでなく、100分の1秒の反応速度で減衰力調整を行う電制アダプティブダンピングシステムや、トルクベクトリングブレーキも採用しているからだ。ちなみに、トルクベクトリングブレーキとは、スタビリティコントロールのESPの能力を活かして、アンダーステアを抑制するもの。アンダー傾向を感知した場合、後輪内側に適切にブレーキをかけることで回転モーメントを発生させ、クルマの「曲がる動作」をフォローする。
ミッションは全車に7速ATの7Gトロニックプラスを搭載。先代の200コンプレッサーは5速ATだったのだから、大きな進化だ。
V6ユニットは、バンク角90度の旧型から、同60度の新世代機にチェンジ。直噴のブルーダイレクトを導入し、ECOスタートストップ機能も採用した。
サスは前が3リンク式ストラット、後ろがマルチリンク。電制可変ダンパーを新たに設定した。
進化したパワフルな直4とドラマティックなV6ユニット

過給器付き直4・1.8Lという基本は変わらないが、新しい直噴ターボの心臓と7速ATを得た新型のSLK200は、走りの完成度を大きく高めた。カギとなるのは、広くなったトルクバンドとクロスしたギヤ比で、どんな場面でも力強い走りをもたらしてくれる。静粛性や燃費の向上も、見逃せない進化点といえる。
だが、SLK350のステアリングを握ると、「やっぱりV6はいい」と、さらに深く惚れ込んでしまうことになる。スムーズさ、静かさはSLK200を確実に上まわり、走りのすべてがグッと上質な印象。加えて、右足に力を込めたときのパワー感やサウンドの刺激性も、「さすが300馬力オーバーのV6」と納得させられる仕上がりなのだ。とくに、SPORTモードで見せるパワフルさやキレの鋭さが光っている。
で、もうひとつのSLK350のウリはECOスタートストップ機能。これは、いわゆるアイドリングストップで、信号待ちなどのときにエンジンを停止させ、上手に燃料消費とCO2排出をセーブしてくれる。再始動のタイムラグや振動も少なく、システムの完成度は高い。
なら、シャシー性能は?ボディ剛性の強化やサスの熟成などにより、フットワークの能力は確実にレベルアップされている。より高度になった高速スタビリティと、さらに安心してスポーツ走行を楽しめるようになったハンドリングが印象的だ。
でも、気になる要素もある。それは標準グレードが装着する17インチランフラットタイヤで、コツコツした上下入力やざらついたノイズが快適性をスポイルするのに加えて、限界コーナリングにおける接地感にも少々のクセが認められる。万が一のパンクのときにも「安心」のランフラットの価値は認めるが、履きこなし方はまだ完全ではないようだ。
対して、ダイナミックハンドリングパッケージと18インチタイヤを組み合わせたAMGスポーツパッケージの走りは、文句なしに素晴らしい。SPORTモードにおけるハンドリングは正確かつファンで、峠道では高性能ロードスターに相応しい走りを堪能することができる。それでいて、ノーマルモードでの乗り心地は快適なのだから、日常ユースにおいても高い満足度が得られるわけだ。
大きな進化を遂げたハイテクルーフ
SLKのシンボルとも言えるバリオルーフは、一段と進化を遂げた。まずは開閉時間で、先代の約22秒から20秒以下へと短縮。マグネシウムフレームの採用により、軽量化も実践している。そして、クローズド時のムードの演出。新型は2種の透明ルーフをオプション設定する。「パノラミック」はポリカーボネート、「マジックスカイコントロール・パノラミック」は光の透過率を2段階に調整できる特殊ガラスを採用したもので、どちらも魅力的な仕上がりだ。
物件はほとんど無し。現行モデルはしばらく待ち
満を持して登場した新世代SLKクラス。SLS AMGという高性能スポーツカーと同軸に存在するモデルとして位置づけられることで、存在感を今まで以上に高めている。それでは中古車はどうか。Goo-netで調査してみると、まだ登場したばかりということで、ほとんど市場には出まわっていない。相場が生まれるほどの数もないため、中古車をねらう人はこれからしばらく待たなければならない。
ちなみに先代モデルの状況だが、220万円程度からねらえる。平均相場は320万円と、大幅な価格の低下はまだ見られない。中古車の数もさほど多いとは言えないため選択の自由度は広くないが、少しでもリーズナブルに購入したいなら検討したい。新型の登場で先代の相場も動くはずなので、今後の動向に注目していこう。
どれも納得だが、走りを追求するならV6
コストパフォーマンス面から見れば、やはりSLK200スポーツの存在が光っている。装備のいくつかはオプションでも選択できないが、性能を左右する部分に差はなく、「525万円なら安い」と言える内容を持つ。
そこに、メルセデス・ロードスターらしいゆとりや高級感をプラスしたいなら、標準のSLK200がターゲットとなる。さらに、走りの質感やスポーティーなルックスにもこだわる人には、AMGスポーツパッケージを選択することをお薦めする。
で、すべての満足を求めるなら、350のAMGスポーツパッケージで決まり。1.8L直噴ターボの性能は十分以上だが、3.5L V6の力感や高級感はレベルが違う。市街地における実用燃費が優秀なことも、ECOスタートストップを持つV6の魅力だ。