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更新日:2018.11.07 / 掲載日:2014.11.27

【徹底紹介】アウディ A1スポーツバック

AUDI A1 Sportback

アウディブランドの魅力が凝縮されたA1

アウディ A1スポーツバック(側面)

 プレミアムブランドの世界は、いまや完全にボーダーレス。とくに、ここ10年ほどのジャーマン・スリーの拡大戦略は、セグメントやジャンルを超越したものとなっている。だから、Bセグメントのコンパクトカー市場へのアウディの進出も、十分に予測できる出来事ではあった。

 なら、きっかけは?言うまでもなく、BMWがブランド再生を手がけたMINIの世界的なヒットだ。高いファッション性と優れたクオリティをウリとするMINIが、プレミアムコンパクト市場の将来性の高さを証明し、そのジャンルへの新規参入が相次いだというストーリーだ。

 しかし、当然のようにA1は、たんなるMINIの後追いモデルにはなっていない。MINIやフィアット500は、先達が築いたヘリテイジの上に成り立つモデル。対してA1は、「いま」のアウディのプレミアムな魅力をそのまま小さなボディの中に凝縮させたのがポイントだ。

 わかりやすい例のひとつは、TTを連想させるアーチ状のルーフラインを特徴とするキュートなボディスタイル。あえてベルトラインを高めに設定することで、クーペのように軽快なフォルムに仕上げている。オリジナルと言える3ドアはもちろん、実用的5ドアボディと6ライトウインドウを持つスポーツバックでも、全体のイメージは変わらない。

アウディ A1スポーツバック(側面)

 さらに、ルーフ全体を別のカラーとした「コントラストルーフ」(3ドアはルーフアーチ部のみの塗り分け)をチョイスすれば、A1ならではの個性やファッション性を、一段と引き立たせることが可能だ。

 そんなA1スポーツバックの近年のトピックは、13年夏のSラインパッケージの追加と、14年夏のシリンダーオンデマンド(cod)搭載モデルの新設定。codは気筒休止システムのことで、低負荷時には4つのシリンダーのうち2つを休止させ、ガソリン直噴ターボのTFSIユニットの効率をより以上に高める。

 気になるJC08モード燃費値は、標準ユニットの17.8km/Lに対して20.5km/Lとさらに優秀。しかも、122馬力/20.4kgmから140馬力/25.5kgmと性能も強化されたのだから、走り重視の人をも満足させられる。codの登場で、A1の魅力はより輝きを増した。

文●森野恭行 写真●GooWORLD 
お問い合わせ●アウディコミュニケーションセンター TEL:0120-598106

Detail

  • アウディ A1スポーツバック(正面)

  • アウディ A1スポーツバック(背面)

アウディ A1スポーツバック 1.4TFSI(7速AT・DSG)

全長×全幅×全高3970×1745×1440mm
ホイールベース2465mm
トレッド前/後1465/1460mm
車両重量1220kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1389cc
最高出力122ps/5000rpm
最大トルク20.4kg m/1500-4000rpm
サスペンション前/後ストラット/トーションビーム
タイヤサイズ前・後205/55R15

新車価格

A1スポーツバック(7速AT)301万円
A1スポーツバック cod(7速AT)334万円
発売:2012年06月

HISTORY

2012.06A1スポーツバックを発売
先行発売され人気を博していたスタイリッシュな3ドアに、高い利便性をアピールする5ドアモデルとして追加発売される。
2013.05特別限定車「アーバンスタイルリミテッド」を発売
ブラックアウトされたシングルフレームグリルや、スポーティなルーフなどのスタイリングパーツを装備。限定200台。
2013.08A1スポーツバックを一部改良
A1スポーツバックにもSラインパッケージを設定。エアコン吹き出し口のカラードスリープがアルミニウム調に変更される。
2013.10特別限定車「アドマイアードリミテッド」を発売
マットブラックのグリルや、バンパー、スポイラー、17インチアルミホイール、内装にも専用パーツを採用。限定500台。
2014.08気筒休止システム搭載車を追加
気筒休止システム・シリンダーオンデマンド搭載モデルをラインナップに追加。20.5km/L(JC08モード)を達成する。
2014.09特別限定車「アドマイアード2リミテッド」を発売
前年のアドマイヤーリミテッドが好評であったことを受け、多くのスタイリングパーツなどを満載して、330台限定で発売。

サイズを忘れさせる小さな贅沢空間

アウディ A1スポーツバック(コックピット)

 スタイル以上に「アウディ」を主張するのは、洗練のデザインとクラスを超えたクオリティが光るインテリアだ。A1が醸し出す世界観は、「小さな高級車」そのものと言っても過言ではない。スポーティ装備を充実させたSラインパッケージでも、過度な演出をしている印象はなく、本質のプレミアム感で勝負をしている点がいかにもアウディらしい。

 そしてパッケージ。全長4mを切る小柄なサイズを考えれば、居住性や積載性は納得のいくレベルにある。大柄な人が運転席で適正な乗車姿勢を取ると、後席足元の余裕は小さくなってしまうが、身長160cm台の乗員ならひざまわり、頭上高とも空間は十分なものだ。4枚のドアを備えるスポーツバックなら、家族ユースにも適応する。ちなみに3ドアとの違いは、15mm拡大された全高と後方に伸ばされたルーフライン。大きな差ではないが、それが頭上空間のゆとりとなっているわけだ。

 なら、機動性は?「PQ25」と呼ばれるプラットフォームを共用するVWポロが、全幅を1685mmに収めているのに対して、ワイド&ローのスタイルを特徴とするA1スポーツバックの全幅は1745mm(3ドアは1740mm)。そのため日本では「3ナンバー車」となるが、最小回転半径は5mと小さめで、小回りは得意項目となる。やや広めの車幅にさえ慣れてしまえば、路地でも自由自在に乗り回すことが可能だから、その点は心配無用と言える。

  • アウディ A1スポーツバック(インテリア)

  • アウディ A1スポーツバック(インテリア)

  • アウディ A1スポーツバック(ラゲッジ)

    容量は270L。分割可倒式シートを倒せば920Lまで拡大できる。

  • アウディ A1スポーツバック(メーターパネル)

    情報ディスプレイを中央に配置するメーターパネルも精緻な仕上がり。

  • アウディ A1スポーツバック(テールゲート)

    テールゲート側にリヤコンビランプを装着するのは「Qモデル」と同様。TFSIは過給機付き直噴ガソリンユニットを表す。

  • アウディ A1スポーツバック(燃費基準達成車)

    標準の心臓は「燃費基準達成車」。codはエコカー減税対象車だ。

  • アウディ A1スポーツバック(タイヤ)

    Sラインパッケージは専用スポーツサスに215/40R17タイヤを組み合わせる硬派な仕立て。スポーツシートやパドルシフトも標準だ。

駿足を可能にする余裕のパワートレーン

 「小さな高級車」を標榜するだけに、パワートレーンも「ゆとり」や「高性能」を特徴とするチョイスとなる。アウディは「過給ダウンサイジング」のトレンドをリードする存在で、A1が積む1.4TFSIは標準仕様で2Lクラスのトルク、「cod」は2.5Lクラスのトルクを発生させる。で、その力をムダなく路面に伝えるのは、7速Sトロニック(基本メカはVWのDSGと同じ)の役目。これに、EDS(電制デフロック)の機能も持つESC(横滑り防止装置)を組み合わせて、万全の備えをしている。

  • アウディ A1スポーツバック(1.4TFSI)

    アウディ自慢の1.4TFSIは、122馬力のノーマルと140馬力の「cod」の2タイプの設定。codの気筒休止のON・OFFは、体感ではわからないほどスムーズなもの。

  • アウディ A1スポーツバック(7速デュアル・クラッチ・トランスミッション)

    7速デュアル・クラッチ・トランスミッションのSトロニックを搭載。1.4TFSIと組み合わされるのは乾式単板クラッチを採用するタイプ。自慢は高効率と変速の素早さ。

洗練された走りはアウディの証

アウディ A1スポーツバック

 定評ある1.4TFSIが生むのは122馬力/20.4kgm。この性能は車重約1.2トンのA1スポーツバックには十二分なもので、どんな場面でも快活な走りを披露する。ものを言うのは2Lクラスに匹敵するトルクで、クルージングの高い静粛性も自慢。高速走行においても、コンパクトカーの水準を超えたゆとりを提供してくれるのがうれしい。

 フットワークについては、人気のSラインパッケージは明確にスポーティな味つけ。正直、50km/h程度までの低速走行では乗り心地はハードめのタッチだが、サスのストローク感はスピードを増すほどよくなってくる。峠道を飛ばすシーンでは、鋭い身のこなしと正確なハンドリングが際立つポイントで、まさしく水を得た魚という感じ。また、高速道路のハイスピードクルーズにおいても、ドイツ車ならではの高度な安定性をもたらしてくれる。

 気になるのは、不整路面で顔を出すピッチング方向の速めの動きと、中立付近で人工的なフィールを残す電動パワステだが、ファンなハンドリングはそれを補ってあまりあるもの。TFSIのトルクの出し方も、Sトロニックの変速やクラッチワークも、デビュー当初のモデルと比べればはるかに洗練度を高めており、A1の成長と熟成を実感させる。

スタイリングにこだわるなら3ドアモデルもお薦め

アウディ A1スポーツバック(3ドア)

 よりスポーティで、ファッショナブルなムードを求める人のために用意するのは3ドアモデル。開発の過程からみれば、スポーツバックの約1年前に登場した3ドアがA1の「オリジナル」で、それゆえスタイルの個性はより明瞭だ。ポイントとなるのは低めのルーフラインと傾斜の強いCピラーで、クーペ的なシルエットを特徴とする。後席が2人掛けとなり、頭上高の余裕も削られているのが実用面から見た難点だが、前席重視の使い方ならまず問題はない。

ライフスタイルを照らし合わせよく吟味して選びたい

 5ドアモデルを加えてからA1のセールスがより活気づいたのは、日本のユーザーがコンパクトカーにも高い実用性を望んでいる証。やはり、スポーツバックが無難な選択だ。なら、心臓は?高性能を求めるひと、ハイテク指向の強いひとには「cod」がお薦めだが、標準の122馬力ユニットの性能と燃費も優秀。減税メリットも考慮し、そこは慎重に選びたいところだ。で、最後はグレード選択。スポーティさを重視するならSラインが適任だが、快適な乗り味を求めるなら標準サス+15インチがいい。

  • 中古車市場データ

    中古車市場データ

  • 中古車市場データ

    中古車の価格を見ると、200万円以下の物件は皆無で、少々高い印象を受けるかもしれない。しかし、走行距離は多くて2万km台というように、コンディション良好の物件が大半だ。

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