車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2014.04.24

【徹底紹介】シトロエン DS5のすべて

シトロエン DS5

ブランドの個性を極めたDSシリーズの旗艦

シトロエン DS5(側面)

 シトロエンが、2010年に新たに発表した「DSライン」は、さらなる発展を目指すブランドの挑戦をカタチとして示した新シリーズ。

 DSというと……ハイドロニューマチックサスに代表される未来テクノロジーを満載して1955年にデビューした、不朽の名作のDSをストレートにイメージするファンもいるだろうが、それはちょっと違う。現代の「DSライン」が継承したのは、DSのエッセンスと前衛的なムード。ベーシックな「Cライン」とは異なる強烈な個性で、「独創と革新」のスローガンを掲げるシトロエンの存在感を主張するモデルだ。

 3タイプがそろう「DSライン」。12年に日本市場にも投入されたDS5は、シリーズのフラッグシップに位置づけられる。コンセプトカーのC‐スポーツラウンジから発展した先進的スタイルが見どころで、「グランツーリスモとステーションワゴンの融合」をテーマとしている。

 車格は「Cライン」のC5とほぼ並列で、4535×1870×1510mmのスリーサイズを持つボディは、ワイドな全幅と高めの全高が目を引く点。クーペのように流麗なルーフラインや、切り詰めたリヤオーバーハングも印象的で、プロポーションは他に類を見ないものだ。

シトロエン DS5(側面)

 では、成り立ちは?C5と同格ということで、「足はハイドラクティブ?」と期待する声もあるだろうが、「DSライン」がこだわるのは、技術というよりもデザインの独創性。プラットフォームはPSA(プジョー・シトロエン)のPF2の発展型で、前ストラット/後トーションビーム式のコイルサスを採用する。

 とはいえ、ホイールベースは2725mmとたっぷりとしていて、トレッドもワイド。大きなフットプリントが、安定感のある土台を築き上げている。見た目の押し出し感もDセグメントにふさわしいもので、「新世代フレンチラグジュアリー」を、見事に体現したモデルだといえる。

文●森野恭行 写真●GooWORLD 
お問い合わせ●シトロエン コール TEL:0120-55-4106

DETAIL

  • シトロエン DS5(正面)

  • シトロエン DS5(背面)

シトロエン DS5 シック(6速AT)

全長×全幅×全高4535×1870×1510mm
ホイールベース2725mm
トレッド前/後1580/1605mm
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1598cc
最高出力156ps/6000rpm
最大トルク24.5kg m/1400-3500rpm
サスペンション前/後ストラット/トーションビーム
タイヤサイズ前後225/50R17

新車価格

シトロエン DS5 シック(6速AT)417万円
2012年6月・2012年8月

HISTORY

2012.08DS5を発売
シトロエンDSシリーズのフラッグシップとして登場したDS5。個性的な5ドアボディに1.6Lターボ+6速ATを搭載した「シック」のみを導入。オプションでレザー仕様を設定する。
2013.10限定車「ホワイトメロディ」を発売
ツートーンブランのクラブレザーシートとDEMONのHi-Fiシステムを標準装備した60台の限定モデル。高級な装備を施しながらも、価格は通常の4万円高に抑えたお買い得感が魅力。

細部にいたるまで徹底され尽くした造形へのこだわり

世のクルマの中には、ルックスのきらびやかさばかりが際立つモデルや、インテリアの豪華さが突出するモデルも少なくはない。だが、DS5は内外装の世界観を見事に統一。1台のクルマとして、独創の「DSワールド」を築き上げている。

 まず目を引くのは、先進のデザインと高質な仕立てが光るインパネだが、視界の演出も凝っている。三角窓をプラスして大胆に前進させたフロントスクリーンと、ユニークな3分割式のガラスルーフ(電動シェード付き)が生むのは大きな開放感。それらの要素を重ね合わせて、航空機のコクピットのような高揚感と、ラグジュアリーカーにふさわしいくつろぎ感を融合させているのだ。

 で、お薦めは写真のクラブレザーシート。標準のコンビレザーシートの高級感に不満はないが、マテリアルと造形にさらにこだわったクラブレザーシートは、DS5の世界を完成させる重要なピースになっている。見た目はぼこぼこだが、掛け心地は体をやさしく包み込むような印象。ロングドライブでも疲れ知らずだ。

 長めのホイールベースを有するだけに、後席ニールームは十分な余裕を確保。頭上高の余裕はさほどではないが、ガラスルーフが開放感を高める要素となり、DS5は十分な後席のくつろぎ感を実現している。フランスの大統領公用車にも選出されたモデルなのだから、快適なのは当然だろう。ワイドな全幅も、心地よさを演出する見逃せない要素だ。

  • バイキセノン式ディレクショナルヘッドライトを採用。

  • メーターも前衛的デザイン。

  • インテリアのモチーフは航空機のコクピット。3分割式ガラスルーフの「コクピットルーフ」がムードを盛り上げる。

  • 容量465Lという広いラゲッジを確保。

  • エグゾーストはデザインにも凝った左右2本出し。

  • 標準は225/50R17だが、オプションで写真の18インチ(225/45R18)も用意。

スムーズネスを重視してあえてトルコン式6速ATを採用

 オートメイテッドMTの6EGSの選択もある中で、DS5がEP6CDT型1.6L直噴ターボと6速ATを組み合わせたのは、なによりスムーズネスと快適性を重視したから。発進や低速走行の滑らかさと扱いやすさは、最新のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)に対しても明らかな優位性があり、DS5に相応しい洗練の乗り味を紡ぎ出している。先進アイテムとしては、電気式パーキングブレーキやヘッドアップディスプレイ、スマートキーシステムなどが目を引くところ。サイド&バックカメラのモニターも兼ねるルームミラーを、日本仕様の専用装備として採用するのも見逃せない。

  • ATは定評あるアイシンAW製の新世代6速。洗練の変速フィールと高効率が自慢。センターコンソール左右にはパワーウインドウのスイッチを配置。造形へのこだわりは強い。

上質さを漂わす高速でのフラットなライドフィール

「フレンチラグジュアリー」を実感させるのは、高速クルーズで見せる落ち着いた身のこなし。直進性に優れハイペースな走行でも高度な安心感をもたらすため、ロングクルーズのパートナーには適任といえる。

 うねりで少しあおられるクセがあり、ハイドロ・シトロエンを知るファンには「まだフラットライド感が足りない」と言われてしまうかもしれないが、上下の動きはゆったりとしていて乗り心地はとても快適だ。

 1550kgの車重に対して心臓が1.6Lターボというと、走りの物足りなさを心配する声もあるだろうが、2.5Lクラスに匹敵するトルクを広範囲で生むエンジンは十分に頼りになる。6速ATとのマッチングも良好で、市街地から高速、峠のスポーティ走行に至るまで、ストレスのない走りを楽しませてくれる。

 印象的なのは高度な静粛性で、Dセグの上級レンジに相応しい入念な遮音対策が功を奏している感じだ。

 電動油圧式を採用するパワステは、高速域での人工的な締め感は残るものの、クルマの動きは十分にリニア。アンダーステアは軽微なレベルで、リヤの踏ん張り感も高度なものだから、峠道ではついペースが上がってしまう。ATのSレンジを選べば走りはより活気づき、スポーティ走行も存分に楽しめる仕上がりだ。

こだわりの内外装の仕上げにクラブレザーシートを選びたい

日本仕様の心臓は1種で、「シック」のみの展開のため、そこに迷う要素はない。だが、オプションは悩みの種。予算に余裕があれば、ぜひ選びたいのはクラブレザーシート。茶系のフォヴ、赤系のルージュ、グレー系のミストラルの3つの魅力的カラーが揃う。また、スポーティなルックスとダイレクト感あるハンドリングを好む人には、18インチタイヤという選択がある。で、もうひとつの選択肢は……同等の予算でねらえるC5に、ズバッと標的を切り替えること。前衛的な内外装が光るDS5もいいが、ハイドロサスの伝統を継ぐ、完熟のC5も捨てがたい。

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グーネットマガジン編集部

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