車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.06 / 掲載日:2014.06.26
【徹底紹介】BMW 5シリーズ

源流回帰のフォルムと革新のテクノロジー

第6世代となる現行5シリーズの登場は、ちょっとイレギュラーなもの。まず、新コンセプトを体現した5ドアのグランツーリスモ(GT)がリリースされ、半年ほど遅れて主役のセダンが投入されたのだ。 そのコードネームはF10。いわゆる「バングル・デザイン」の先代E60は前衛的スタイルを特徴とするが、F10は伝統のBMWデザインへの回帰を選択した。わかりやすいのは、ドアハンドルの高さで前後を貫くキャラクターライン。長いホイールベース、流麗なルーフラインとの合わせ技で、均整の取れた美しいプロポーションを形成している。 世代交代に伴い、ホイールベースが60mm、前後トレッドが40mmほど拡大され、全長や全幅も少し大きくなったが、その目的はシャシーの能力アップや居住空間の拡大にある。高張力鋼板の使用部位を拡大し、アルミ製ドアパネルを採用することで、ボディ構造も大きく進化した。 そしてシャシー。E60時代からハイテクの導入に積極的だったが、F10ではついにパワーステアリングの電動化を図り、前後統合制御のインテグレーテッド・アクティブステアリングを新たにメニューに加えた。なかでも目を引くのは4輪アクティブステア。約60km/hを境として、後輪を低速では逆位相、中高速では同位相に操舵するもので、日常の小まわり性と高速スタビリティという相反する要件を、ともにレベルアップするキーアイテムとなっている。 なら、「エンジン屋」として知られるBMWが誇る心臓はどう変わったのか?デビュー当初は自然吸気直6を積む528i(3L)や523i(2.5L)を設定していたが、上級の535i(3L直6)や550i(4.4L V8)ははじめから直噴ターボで、11年には528iや523iも直噴ターボ(2L直4)へとスイッチした。そこにアクティブハイブリッド5や、クリーンディーゼル搭載の523dも加えて、新世代のエコなエンジン群を完成させている。
文●森野恭行 写真●内藤敬仁、北川 泉
お問い合わせ●BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437
BMW 523d Mスポーツ(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4920×1860×1470mm |
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ホイールベース | 2970mm |
トレッド前/後 | 1600/1600mm |
車両重量 | 1760kg |
エンジン | 直4DOHCディーゼルターボ |
総排気量 | 1995cc |
最高出力 | 184ps/4000rpm |
最大トルク | 38.7kg m/1750-2750rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/インテグラルアーム |
タイヤサイズ前後 | 245/45R18・275/40R18 |
新車価格
523i(8速AT) | 633万円 |
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523i モダン/ラグジュアリー(8速AT) | 687万円 |
523i Mスポーツ(8速AT) | 679万円 |
523d(8速AT) | 656万円 |
523d モダン/ラグジュアリー(8速AT) | 710万円 |
523d Mスポーツ(8速AT) | 702万円 |
528i(8速AT) | 699万円 |
528i モダン/ラグジュアリー(8速AT) | 724万円 |
528i Mスポーツ(8速AT) | 739万円 |
535i(8速AT) | 902万円 |
535i モダン/ラグジュアリー(8速AT) | 926万円 |
535i Mスポーツ(8速AT) | 953万円 |
550i(8速AT) | 1101万円 |
550i モダン/ラグジュアリー(8速AT) | 1120万円 |
550i Mスポーツ(8速AT) | 1150万円 |
HISTORY
2009.11 | 5シリーズGTを発表 セダンに先駆け、5ドアの「グランツーリスモ」が発売された。ラインアップは「535i」と「550i」で、どちらも8速ATを搭載。 |
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2010.03 | 5シリーズセダンを発表 走りと環境性能を両立した新世代5シリーズ。3L 6気筒(528iおよび535i)と4.4L V8ターボ(550i)の3モデルを設定した。 |
2010.07 | 523iセダンを追加 ラインアップに、エントリーモデル「523i」を追加。204馬力を発揮する2.5L直6エンジン+8速ATを組み合わせている。 |
2010.08 | 5シリーズGTにを4WDモデルを追加 550i xDriveグランツーリスモが設定。407馬力のV8にフルタイム4WDを組み合わせることで、安定感ある走りを実現する。 |
2010.09 | 5シリーズツーリングを発表 40対20対40に分割できるリヤシートを備えたステーションワゴン。独立開閉式のリヤウインドウを備え、利便性を高めた。 |
2010.10 | 「Mスポーツ」を設定 セダンおよびツーリングに、積極的に走りを楽しむための「Mスポーツ」パッケージを設定。スポーツサスなどが採用される。 |
2011.10 | 523iのエンジンを一新 従来の2.5L直6から新世代2L直噴ターボエンジンに置き換わった。最高出力184馬力を発揮し、燃費性能は大幅に向上。 5シリーズツーリングのラインアップを充実 フルタイム4WDを搭載した535i xDriveツーリング、407馬力のパフォーマンスを誇る550iツーリングの2モデルを追加設定。 |
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2011.11 | アクティブハイブリッド5を追加 535iに搭載される3L直6に55馬力のモーターを組み合わせたハイブリッドモデルが登場。モーターのみでの走行も可能。 528iのエンジンを一新 従来3L直6を積んでいた528iのエンジンが、245馬力の新世代2L直噴ターボに置き換わった。燃費は従来比33%改善。 |
2012.08 | 523dブルーパフォーマンスを追加 2L直4のクリーンディーゼルを搭載した523dブルーパフォーマンスが登場。JC08モードで16.6km/Lという低燃費を実現。 |
2013.09 | マイナーチェンジ セダン/ツーリングは、新デザインのフロントフェイスを採用。BMWテレサービスやBMW SOSコールも標準装備された。 |
2013.11 | ドライビング・アシスト・プラスを標準装備 カメラとミリ波レーダーセンサーを備えた衝突回避・被害軽減ブレーキやアクティブクルーズコントロールを標準装備。 |
品質とサイズで感じさせる室内はゆとりの快適空間
水平デザインを基調とし、上方に視認系、下方に操作系をレイアウトした機能的なインパネは、現行世代のBMWに共通するもの。だが、さすがはEセグメントに属するモデルらしく、5シリーズのキャビンはすべてにゆとりを実感できるレイアウトになっている。シートも大ぶりなサイズで、ゆったりした気分でドライブを楽しむことが可能だ。 このクラスとなると、大切なゲストを後席に招く機会も多いはずだが、その点も当然のように抜かりはない。180cmクラスの男性が前後に座るケースでも、後席の足元や頭上高には十二分な余裕がある。また、適度なクッション性を持つシートも、快適のポイントと言える。シート表皮は、523iと523dのスタンダードグレードはクロスが標準で、そのほかのモデルはレザーが標準だ。 13年秋の改良後のモデルは「スタンダード」、「モダン」、「ラグジュアリー」、「Mスポーツ」の4つの仕様を選べる設定で、インテリアはそれぞれが個性ある演出になっている。写真のモデルは「Mスポーツ」。アルミニウムヘキサゴン・インテリアトリムやMスポーツ・レザーステアリング、スポーツシートなどのアイテムが目を引く。高度なクオリティと相まって、大人のスポーツサルーンのムードを醸し出している。
センターコンソールには電気式セレクターとiDriveコントローラーを配置。
13年秋には「ドライビングアシスト(歩行者検知機能付き)」を全車に標準化。カメラで前方を監視し、危険と判断した場合には衝突回避・被害軽減ブレーキを作動させ、車線逸脱の警告も行う。
トランク容量は520Lで、トランクスルー機構も採用する(除くアクティブハイブリッド5)。
Mスポーツ(523i、523d、528i)のタイヤは前後異サイズの18インチ。535i以上(除くスタンダード)は19インチに格上げされる。もちろんランフラットだ。
キレのある躍動的で豊かなパフォーマンスはさらに向上

前後重量配分はセダン6気筒モデルでほぼ50対50。そこに、素直な回頭性と高い安定性をバランスさせるカギがある。加えてハイテクメカも充実。最上級の550iには、ダンピングコントロールとアクティブスタビライザーの制御を連携させたアダプティブドライブまでを設定(現在はオプション)する高度な内容だ。そしてエンジン&駆動系。エコにも配慮する現行型は、デビュー時から8速ATを全面採用し、ブレーキエネルギー回生やオートスタート/ストップ機能も搭載している。
右左折やコーナリング時にも進行方向を照らす、安全性に優れたアダプティブヘッドライトを採用。現行型は535i以上のモデルにフルLEDヘッドライトを標準で装備する。
世界中から注視されるベンチマークの走り

E60からF10への世代交代では、デザインだけでなく走りの洗練度も大きく向上した。しっとりとした乗り心地や、落ち着きのある身のこなしが光るところで、上級サルーンに乗る幸福感で満たしてくれる。 自慢のインテグレーテッド・アクティブステアリングは、駐車や幅寄せなど、低速域の大舵角という条件ではクルマの動きにクセが認められるものの、慣れてしまえばメリットのほうが多いと言える。「けっこう小まわりが効く」、「高速走行の安定性と安心感は秀逸なレベル」と、賛辞を送る人が多いことだろう。 また、モード切り替えのドライビングパフォーマンスコントロールの採用も見逃せない点。とくに、ダイナミックダンピングコントロールを搭載するモデルは走りの奥行きが深い。「コンフォートプラス」や「コンフォート」では極上の乗り心地、「スポーツプラス」や「スポーツ」ではキレのいいフットワークと高度なスタビリティを提供してくれる。 そしてエンジン。523dのクリーンディーゼルは、4L並みの太いトルクがもたらす力感ある加速と、高速域で際立つゆとりと静かさが印象的。同じ2L直4でも、ガソリンは軽快感ある回転フィールとサウンドを特色とし、とくに528iはスポーティ感ある走りを持ち味とする。
アクティブなツーリングと広々とした室内空間のGT

3代目のE34時代に登場したのがワゴンの「ツーリング」(現行型はF11)。ウリは560~1670Lを誇る大容量ラゲッジで、アクティブなカーライフを楽しむ人にピッタリだ。そして新顔のGT(F07)は、7シリーズに勝るとも劣らないほど広く、快適なキャビンと、ツーリングに匹敵する積載性を兼備した異色のモデル。重厚な乗り味もGTの個性だ。
中古車市場データ
中古車市場データ
中古車は非常に多く、初期型ならアンダー300万円の物件も存在するなど、いま買い頃を迎えている。途中で追加されたディーゼルは高め。物件数はセダンの比率が圧倒的に多い。