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更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.03.10
スバル フォレスター/2018年~ 【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、スバル
※中古車参考価格はすべてグーネット2022年2月調べ。
(掲載されている内容はグー本誌 2022年3月発売号掲載の内容です)
XVやアウトバックとともに “スバルSUV3兄弟”を構成するフォレスター。アクティブなファミリーとのマッチングがいいといわれる理由はどうして?
2018年式 スバル フォレスター ツーリング(CVT) ●全長×全幅×全高:4625×1815×1715mm ●ホイールベース:2670mm ●トレッド前/後:1565/1570mm ●車両重量:1520kg ●排気量:2498cc ●エンジン:水平対向4DOHC ●最高出力:184ps/5800rpm ●最大トルク:24.4kgm/4400rpm ●サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン ●ブレーキ前後:Vディスク ●タイヤ前後:225/60R17 ●中古車参考価格帯:220万円~350万円(18年~22年 ※全グレード)
アウトドアにぴったりの万能SUV

ちょうどいいサイズで走りのレベルも高い
編集部●フォレスターは、今回取り上げるモデルで5代目。初代は1997年デビューで、現行モデルは2018年に登場しています。どんなところが魅力でしょうか?
工藤●“実用面”と“走り”に分けるとイメージしやすい。まず実用面は、車体サイズがちょうどよくて利便性が高いこと。スバルSUV3兄弟の兄貴分に相当する「アウトバック」に比べると大きすぎず運転しやすい車体ながら、弟分の「XV」に比べると後席も荷室も広くて実用的。家族でキャンプやアウトドアスポーツを楽しむのにもちょうどいいパッケージングだ。ファミリーユーザーに好まれるというのも納得だ。
編集部●走りはどうですか?
工藤●当然ながらSUVなので荒れた路面をしっかり走れる。最低地上高が220mmとSUVのなかでも高めに確保しているから路面の凹凸もしっかり乗り越えるし、X-MODE(エックス・モード)という悪路走行用の走行制御も心強い。
編集部●さすがスバルですね。
工藤●だけど、それだけじゃないのがフォレスターの魅力。舗装路での走りがいいんだ。高速道路での安定感なんて抜群にいいし、峠道を走ってみると背の高さを感じさせず水を得た魚のようにキビキビと走れることにびっくり。そんなオフロードと舗装路の走行性能の両立がすごいね。
編集部●現行フォレスターはいくつかのパワートレインがあります。オススメはどうですか?
工藤●トータルバランスではマイルドハイブリッドの2L自然吸気だけど、個人的には2020年10月に追加された1.8Lターボがオススメ。CVTフィーリングと走りの力強さがいい。前期モデルで用意していた2.5L自然吸気はトータルバランスの高さが特徴だ。
Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
スバルXVと比較すると何が違うの?

フォレスターとXVは、いずれもインプレッサと基本メカニズムを共用するSUVだが、XVは車体がインプレッサの5ドアと同じなのに対し、フォレスターは専用設計。サイズはひとまわり大きく、後席や荷室も広くて実用的だ。
中古車参考価格帯:240万円~320万円(17年~22年 ※全グレード)
[モデルヒストリー]発売から25年を迎えるスバル フォレスター

1997年、当時はまだめずらしかったクロスオーバーSUV(乗用車とSUVを掛け合わせたモデル)として登場。歴代モデルのいずれもインプレッサと基本メカニズムを共用する設計だが、世代を追うごとに背が高くなりSUVの王道的なプロポーションに変化した。
2018年6月:フルモデルチェンジ

「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」と呼ばれる新設計構造を用いて車体を刷新。そのサイズは従来モデルに対して全長を30mm、全幅を20mmとわずかに拡大している。ハイブリッドも初登場。
2019年6月:一部改良

サスペンションを煮詰めて操縦安定性と乗り心地を高めたほか、降車時にブザーやメーター画面表示で後席への荷物の置き忘れを防ぐリアシートリマインダーを新採用。LEDナンバー灯の採用を拡大。
2020年10月:一部改良

レヴォーグでデビューした新開発1.8Lターボエンジンを搭載する「スポーツ」を追加。黒いグリルなど外観も専用の仕立て。一方で2.5Lエンジン搭載車を廃止するなど、バリエーションを見直した。
2021年8月:一部改良

ヘッドライトの形状を変更するなどエクステリアをリフレッシュ。加えて先進安全支援システムである「アイサイト」のカメラや情報処理ユニットを最新仕様とし、性能が飛躍的に高められた。
[インテリア]家族が快適に移動できる実用的な空間を備える

フォレスターの自慢のひとつが使い勝手のいいパッケージング。後席はひざまわりがゆったりとしている空間作りでロングドライブも快適だし、ラゲッジスペースもステーションワゴンのように広くて実用的だ。シートは上級グレードに本革の表皮を用意するほか、撥水タイプも広く採用。

[メカニズム]左右対称の設計が走りのバランスを整える

量産車としてはスバルのほかにポルシェのスポーツカーしか採用していない「水平対向エンジン」が大きな特徴。これは重心を低くできるのがメリットだ。駆動方式は全車4WDで、真上から見ると駆動系のメカニズムが左右対称になっているのもスバルが貫くこだわり。これは運動性能を高める利点がある。
e-BOXER

2Lエンジンはモーターを組み合わせてハイブリッド化。モーター自体は小型だが、トランスミッションに組み込むことでマイルドハイブリッドながら極低速域ではエンジンを止めたまま走行が可能だ。
EYESIGHT

先進運転支援システムの前方状況把握は、レーダーではなくカメラ。ルームミラー付近に組み込んだ2つのカメラで捉えた映像を瞬時に処理し、対象物の位置やそこまでの距離などを計算している。
SAFETY

「アイサイト」は状況により車体自らブレーキをかけて前方の障害物との接触を避ける。万が一の衝突時も、衝撃をしっかり吸収する車体構造で乗員へのダメージを最小限とする高い安全性を持つ。
待望のターボエンジンだが従来までとキャラが違う
編集部●ところで、現行型のターボエンジンはこれまでとは印象がずいぶん違いますよね。
工藤●そうそう。それは押さえておきたいポイントだ。先代では280馬力を誇るなど、ターボエンジンはハイパワーで動力性能が自慢。キビキビとしたハンドリングと相まって、まるでSUVの姿をしたスポーツカーみたいだった。
編集部●そうでした。
工藤●でも新型は出力を控えめにした燃費重視のユニットで、従来のターボエンジンほどの元気はない。一方で燃費はWLTCモードで13・6km/Lとずいぶんよくなったね。低回転トルクの太さが特徴的な、排気量2.5Lの自然吸気エンジンくらいの感覚の実用ユニットだ。ところで中古車の状況はどうだろう?
編集部●グーネットを見ると、2018年夏にデビューしたフォレスターの登録は約500台。年式が新しいこともあって、流通量としては多からず少なからずですね。
工藤●パワートレインの内訳は?
編集部●2Lハイブリッドと2.5Lガソリンでだいたい半分ずつ。1.8Lターボはわずかです。
工藤●ターボはこれから増えてくるだろうから、ねらうなら待っていると選択肢が広がりそうだ。
編集部●SUV人気もあって相場はまだ高めですが、今後は時間経過相応に価格も手軽になるでしょうね。
フォレスターってオフロードは走れるの?

もちろん走れる。本格オフローダーのように激しい起伏までは厳しいけれど、普通のセダンではためらうような場所でも入っていける実力だ。素晴らしいのはトラクション能力。単に4WDというだけでなく、綿密な制御で滑りやすい路面にもしっかりと駆動力を伝えるのが素晴らしい。だから雪道も強い。
[インプレッション]何より注目したいのはオールマイティな性能だ
後席や荷室が広めで使い勝手がよく、車体が大きすぎないから運転しやすいパッケージング。オンロードでもオフロードでも頼もしく、ドライバーが運転を楽しめる走行性能。そしてアイサイトをはじめとする先進の運転サポート技術や安全性能の高さ。フォレスターは「どこかが長けている」というよりも、クルマに求められるあらゆる性能を高い次元で兼ね備えているオールマイティさが見事だ。フォレスターはファミリーユーザーが多いが、そんなトータルバランスの高さを考えれば素直に納得できる。
[マーケットデータ]

年式

グレード

走行距離

工藤貴宏が注目するフォレスターの「ココが○」
その1:ファミリーユーザーも納得の実用性。後席も荷室も広い。
その2:悪路はもちろんのこと、オンロードでも気持ちいい走り。
その3:「アイサイト」の信頼性の高さをはじめとする安全性。