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更新日:2022.02.10 / 掲載日:2022.02.10
日産 ノート/2012年~2020年【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、日産
※中古車参考価格はすべてグーネット2022年1月調べ。
(掲載されている内容はグー本誌 2022年2月発売号掲載の内容です)
2005年に初代がデビューした日産ノート。今回紹介する2代目は、2012年に登場し2020年まで販売された息の長いモデル。その特徴と魅力は「ひとクラス上の実力」だ。
2016年式 日産 ノート e-POWER X(CVT) ●全長×全幅×全高:4100×1695×1520mm ●ホイールベース:2600mm ●トレッド前/後:1480/1485mm ●車両重量:1210kg ●排気量:1198cc ●エンジン:直3DOHC+モーター ●エンジン最高出力:79ps/5400rpm ●エンジン最大トルク:10.5kgm/3600-5200rpm ●モーター最高出力:109ps ●モーター最大トルク:25.9kgm ●サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム ●ブレーキ前後:Vディスク/ドラム ●タイヤ前後:185/70R14 ●中古車参考価格帯:20万円~200万円(12年~20年 ※全グレード)
電動化技術を導入して爆発的ヒット作となった2代目

マーチよりも大きくて実用性が高いパッケージ
編集部●今回注目する「ノート」は2代目モデルで、発売は2012年。2020年まで販売されました。ところで……。
工藤●ところで?
編集部●日産のコンパクトカーといえば「マーチ」をイメージする人も少なくないと思います。ノートとマーチではどう違うのでしょうか?
工藤●そこはわかりにくいようで単純。マーチはシンプルでベーシックなコンパクトカーだけど、ノートはその上位のポジションなんだ。
編集部●なるほど。
工藤●具体的には、車体がひとまわり大きくて居住スペースや荷室が広い。当然値段も上がっている。
編集部●セカンドカーや2名乗車までならマーチでもいいけれど、ファミリーカーとして使うにはノートがいい……と言われることが多いのは、そこに理由があるんですね。
工藤●そうそう。実際に後席へ座ってみてよ!
編集部●あれっ、本当に広い!
膝まわりなんてクラスに見合わないほどのゆとりですよ。こんなに広いクルマでしたっけ?
工藤●何を隠そう、前後席間距離は2020年末にデビューした新型よりも広いほど。驚くよね。
編集部●(テールゲートを開けながら)荷室もこんなに広い。素晴らしいパッケージングですね。
工藤●そう、そんな実用的なパッケージングがノートを選びたくなる理由。方向性は初代から一貫していて「広さにゆとりのあるコンパクトカー」だ。
編集部●そういえば、初代は上下分割できる荷室が売りでしたね。
工藤●そうそう。今では普通だけど、当時そのアイデアはめずらしかった。
編集部●実用的なコンパクトを探しているならノートをねらえ、ですね。
Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
NISMOという選択

ノートには、日産のモータースポーツを担う組織の「NISMO」が手を加えた市販車が存在する。それが「ノートNISMO」だ。スポーティなエアロを身にまとい、専用サスペンションによりハンドリングを向上。標準モデルにはない「1.6Lエンジン+MT」を用意するほか「e-POWER」も設定している。

[モデルヒストリー]
2012年8月:フルモデルチェンジ

先代に対して全長を80mm伸ばしてひとまわり大型化した車体を採用。エンジンは従来型が1.5Lと1.6Lの4気筒だったのに対し、1.2Lの3気筒にダウンサイズ化。スーパーチャージャーも設定。
2013年12月:一部改良

エマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)を追加。リアシート中央席のヘッドレストも全車標準化した。上級仕様「メダリスト」はフロントシルバーグリルなどを採用し質感を向上。
2014年10月:マイナーチェンジ

LEDヘッドランプを「メダリスト」に標準採用、X系グレードにオプション設定。ベーシックグレードの「S」を廃止したことで、VDCやサイドターンランプ付きのドアミラーを全車標準装備化。
2015年7月:一部改良

エマージェンシーブレーキと車線逸脱警報を主要グレードに標準装備化するなど先進安全性能を引き上げた。「メダリスト」には自然吸気エンジン搭載の「メダリストX」を追加し、選択肢を拡大。
2016年11月:マイナーチェンジ

ノート初のハイブリッドとなる「e-POWER」を追加。またフロントグリルやバンパーなどエクステリアデザインをリフレッシュし、この改良以降のモデルは「後期型」と呼ばれる。
2017年9月:一部改良

「踏み間違い衝突防止アシスト」をフロントカメラに連動し、前方に人が立っている状況でも作動するように進化。ACCを新たに採用し、e-POWERの「MEDALIST」などに標準装備している。
2020年11月:新型ノートがデビュー

フルモデルチェンジでプラットフォームを刷新したことで、乗り心地や操縦安定性が大きく向上。車体は、全長が55mm短くなり、デザインもステーションワゴンっぽさを排除したのが印象的だ。

[インテリア]とにかく広くて快適!実用性も高いインテリア

ライバルに対する最大のアドバンテージは室内の広さ。後席に座ってみれば、その足もとのゆとりには誰もが驚くことだろう。後席は座面のクッションも厚くて座り心地がよく、仕様によってはセンターアームレストも採用している。インパネはエアコン吹き出し口だけでなくエアコン操作パネルまで丸いデザインなのが特徴的。ハンドルの下部が平らなのは乗り降りしやすくするためだ。

[メカニズム]優れた燃費に加えて走りもよいハイブリッド
ノートは日産のなかでも主力モデルに位置付けられ、新開発の先進機能もどんどん投入されている。それを代表するのがモデルライフ途中から追加された「e-POWER」と呼ぶハイブリッドシステムだが、いわゆる「自動ブレーキ」であるエマージェンシーブレーキの採用も日産車のなかでは比較的早めだった。4WDは雪道でのニーズを考えたものだ。
e-POWER

エンジンを発電専用とし、そこで作った電気を使って駆動力をモーターで生み出すシステム。いわゆる「シリーズ式ハイブリッド」だ。機能がシンプルでコストを抑えられ、街中など日常域での燃費向上効果が特に大きい。
ENGINE

エンジンは、例外的に1.6Lの4気筒を組み合わせる「NISMO S」を除く全車に1.2Lの3気筒を搭載。e-POWERシリーズにもそのエンジンを発電用に最適化して組み合わせている。
4WD

ノートは一般的な4WDとは異なり、ハイブリッドではないモデルまで含めて後輪をモーターで駆動。駆動力を生むのは発進プラスαまでの速度領域だが、雪道でのメリットは大きい。
EMERGENCY BRAKE

e-POWERが人気を不動のものに
工藤●そんなノートに、歴史的な変化が起こったのが2016年11月。マイナーチェンジで「e-POWER(イーパワー)」と呼ぶハイブリッドシステムを搭載。それが大ヒットしたんだ。
編集部●そうでした。驚きましたね。工藤●たしかに当時のコンパクトカー市場ではトヨタのハイブリッド専用モデル「アクア」が人気を博していたので、土壌はあったといえる。しかし、ノートe-POWERは予想を超えるほどの大人気に。
編集部●そのおかげもあって、2018年には日産車としては初めて小型・普通車の年間販売台数でナンバーワンを獲得しましたね(ガソリン車含む)。話題になりました。工藤●超人気車といっていい。
編集部●e-POWERはどこが評価されたのでしょう。
工藤●もちろん燃費のよさもあるけれど、それ以上に好印象なのは滑らかで力強い走り。
編集部●それ、わかります。
工藤●ところで中古車の状況はどうだろう?
編集部●グーネットで検索すると流通している車両はなんと7000台弱。グレードも程度も選び放題ですね。初期モデルだとかなり手ごろな値段の個体もあります。
工藤●さすが売れまくったクルマだけのことはある。欲しいと思ったときが買い時だね。
ガソリンとe-POWER走りの感触はどう違う?

異なるのは加速感だ。e-POWERの走りはまるで電気自動車。エンジンの存在感が薄く、モーターがすべての駆動力を生み出す構造ゆえに、加速がスムーズかつアクセル操作に対してダイレクトなのが印象的。加速の伸びやかさもガソリン車に加えて爽快だ。とても心地よく、乗り比べれば誰にでもわかるレベルである。
[インプレッション]一度味わうとやめられないe-POWERの魅力
ノートの走りの魅力はふたつある。ひとつはスポーティな味付けを施した4気筒エンジンを搭載する「NISMO S」で味わえるガソリンエンジンの気持ちよさ。もうひとつは、e-POWERで堪能できるモーター走行の心地よさだ。多くの人にとっては後者が魅力的に映るだろう。駆動力をすべてモーターで生み出すから電気自動車のように滑らかで、加えて高回転の盛り上がりを作ることで爽快感の演出も巧み。ハイブリッドのメリットは燃費にあるけれど、e-POWERの場合はこの加速感の楽しさだけで欲しくなってしまう。
[マーケットデータ]

年式

グレード

走行距離

工藤貴宏が注目するノートの「ココが○」
その1:コンパクトカーのなかでは後席と荷室が広い優れたパッケージ。
その2:e-POWERの爽快な走り。一度アクセルを踏めばわかる。
その3:先進安全装備などの充実度がライバルに比べて高いこと。