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更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.01.11
日産 スカイライン/2013年~【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏 写真●内藤敬仁、ユニット・コンパス、日産
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年12月調べ。
(掲載されている内容はグー本誌 2022年1月発売号掲載の内容です)
かつてはスポーツセダンの代名詞的存在だったスカイライン。そんなスカイラインは今、日産を代表する上級セダンへと変貌している。その魅力に迫ってみよう。
2013年式 日産 スカイライン 350GT ハイブリッド タイプSP(7速AT) ●全長×全幅×全高:4800×1820×1440mm ●ホイールベース:2850mm ●トレッド前/後:1535/1560mm ●車両重量:1800kg ●排気量:3498cc ●エンジン:V6DOHC+モーター ●最高出力:306ps/6800rpm ●最大トルク:35.7kgm/5000rpm ●サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク ●ブレーキ前後:Vディスク ●タイヤ前後:245/40R19 ●中古車参考価格帯:140万円~520万円(13年~21年 ※全グレード)
プレミアムを追求した日産伝統のスポーツセダン

現在はフラッグシップの伝統的スポーツセダン
編集部●工藤さんにとってスカイラインはどんなイメージですか?
工藤●相当思い入れがあるよ。
編集部●意外ですね。
工藤●なぜなら、父親がずっと乗り継いでいた車種だから。ボクはスカイラインで育ったといっても過言ではない。免許を取って初めて運転したのも親のスカイラインだったし。
編集部●なるほど。
工藤●ただ、それらは今のスカイラインとは違うクルマに感じるね。
編集部●それはどうして?
工藤●ボクのなかでのスカイラインは、もっと小さくて手の届きやすいセダン。スポーティな雰囲気であることは今も昔も変わらないけど、かつてはサラリーマンが普通に買える価格帯だったはず。
編集部●それはまさに“オジサンのスカイライン論”ですね。
工藤●気がつけばボクもいい歳だから……って、何を言わせる?
編集部●勝手に言っているのでは。
工藤●何が言いたいかというと、スカイラインはかつてとは立ち位置が違うってこと。ひと言でいえば、今はすっかり高級車だ。一般的な収入では新車に手を出しにくい。
編集部●変わったのは3世代前からですかね。
工藤●そうそう。「V35」と呼ばれる2001年デビューのモデルから、ガラリとポジションが変わった。
編集部●「スカイラインは名前だけ」なんていわれたりしましたね。
工藤●ただ、今のスカイラインが悪いクルマかといえば決してそんなことはない。走りは素晴らしいし、上質感は高いし、運転していて心地いいうえに疲れない。今は、日産のセダンのリーダーとして先進技術を最初に投入する実質的なフラッグシップセダンになっているんだ。
編集部●たしかにそうです。
Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
丸型ランプが帰ってきた後期型のスカイライン

スカイラインGTといえば、丸型テールランプが伝統。デビュー時は丸型テールランプではなかったV37型だが、2019年7月に丸型4灯のテールランプが復活した。同時に、フロントがインフィニティの顔つきから日産の顔つきに、エンブレムもインフィニティから日産に変更され、スカイラインらしさが増している。
[モデルヒストリー]
2013年11月:フルモデルチェンジ

フルモデルチェンジで13代目のV37型を発表。発売は翌2014年2月から。パワートレインはスカイラインの歴史において初めてのハイブリッドとしたが、組み合わせるエンジンは大排気量V6。
2014年5月:2Lターボを追加

排気量2Lの4気筒エンジンを追加。スカイラインにおいて4気筒が用意されるのは1989年にデビューし1994年まで販売していた8代目のR32型以来である。ターボ付きで211馬力を発生。
2016年3月:一部改良

衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全装備を組み合わせた「全方位運転支援システム」を全車に標準装備化。2台前を走るクルマを検知してドライバーにブレーキ操作を促す機能も備わる。
2017年12月:マイナーチェンジ

内外装のデザインをリフレッシュ。フロントグリルを大型化したほか、フロントバンパーの形状を変更した。また、テールランプもLEDの発光がクリアになっている。内装はハンドルなどを変更。
2019年7月:マイナーチェンジ

デザインを変更し、ハイブリッド車は世界初の運転支援技術として、高速道路でハンドルから手を放せる「プロパイロット2.0」を搭載。ガソリン車はエンジンを新開発の3L V6ターボへと変更した。
2020年9月:一部改良

外装に新色の「スレートグレー」と「ディープオーシャンブルー」、内装には「グレー」と「ホワイト」を追加している。「400R」はドアモールにブラック加飾を追加してスポーティ感を強調。
[インテリア]シンプルで落ち着けるデザイン 洗練された操作系も魅力

上級セダンにふさわしい上質感と広さ、そして快適性が自慢。インパネは上に8インチ、下に7インチと2つの液晶画面を搭載するのが特徴で、上は表示メイン、下は操作メインと使い分けている。しかし、すべての操作をタッチパネルに組み込むのではなく、エアコンの空調設定などは物理スイッチを残して操作性を高めている。スイッチに手が届きやすいのも美点だ。


[メカニズム]スカイライン史上初 ハイブリッドを用意
V37スカイラインのメカニズムは「スカイライン初」にあふれている。その代表はハイブリッドだが、組み合わせるエンジンは排気量3.5LV6と大きめ。燃費重視ではなく、ハイパワーと“その割には優れた燃費”とのバランスが特徴だ。一方で純ガソリン車は前期の「4気筒ターボ」も、後期の「V6ターボ」もスカイライン初だ。
CHASSIS

ひとクラス上のセダン「フーガ」と共通のプラットフォームを使う。当初は一部仕様、後に全車採用となった、シャフトではなく電気信号でタイヤを曲げる仕掛けは世界初搭載だ。
HYBRID

“1モーター2クラッチ式”と呼ぶ、状況に応じてエンジンを駆動系から切り離してモーター走行するハイブリッドを搭載。エンジン出力は306馬力でモーター出力は68馬力。
SUSPENSION

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク式。2019年7月以降のターボエンジン搭載「GTタイプ SP」には電子制御可変ダンパーもメーカーオプションで用意。
ENGINE


ハイブリッド用の排気量3.5L V6自然吸気、前期型非ハイブリッド車の2L直列4気筒ターボ、そして後期型非ハイブリッド車の3LV6ターボとエンジンは3タイプ。4気筒エンジンはダイムラー製だ。
パワートレインは合計3タイプを設定
編集部●スカイラインが先進的という話の続きですが……。
工藤●ハンドルとタイヤが機械的につながっておらず電気信号でハンドルを切る「ステア・バイ・ワイヤ」とか、高速道路でハンドルから手を放したまま走り続けられる「ハンズオフ」とか。日産のなかでも先んじてるし、他メーカーよりも数年早く先進機能を搭載している。そのくらい日産にとって重要な車種ってこと。
編集部●今回注目している13代目のスカイラインは2013年登場なので、すでにデビューから8年が経過しています。しかし、度重なるブラッシュアップによりテクノロジーが最新というのは凄いですね。
工藤●パワートレインだって、ハイブリッドとガソリン車を用意。ガソリンエンジンは2019年に最新のタイプへと刷新し、エモーショナル感が劇的に向上した。高性能仕様の「400R」なんて驚きの最高出力405馬力なのだから、スポーツセダンとして文句なし。
編集部●ところでグーネットを見ると、この型のスカイラインの登録は400台弱。多いといえるほどではありませんが、少なくもないですね。
工藤●相場はどうだろう。
編集部●700万円を超える個体もありますが、100万円台前半の車両もあります。好みに応じて選べるという感じでしょうか。
工藤●予算に応じて、だね。
2019年に設定された待望の「プロパイロット」

スカイラインに搭載され、高速道路における合法的なハンズオフドライブ(手放し運転)を世界で初めて可能としたのが「プロパイロット2.0」。カメラやレーダーが前方の状況を把握し、高精度の地図と照らし合わせることで“半自動運転”を実現した先進機能だ。もちろん車速の調整もクルマが行い疲労を軽減。
[インプレッション]味わい深く心地いいドライバビリティ
気がつけばプレミアムセダンとなったV37スカイラインだけど、単なる高級セダンではないところに注目したい。運転していて楽しいのだ。爽快感はハイブリッドでも楽しめるけれど、運転好きならイチオシはV6ターボエンジン。なかでも「400R」に積む405馬力モデルは、アクセル操作に対する鋭い反応といい、湧き出すようなパワー感といい、高回転のパンチ力といい、エモーショナル性能に文句の付けどころなし。一方で、直4ターボエンジンは動力性能的には十分だが、高回転が滑らかではなく、官能性よりも実用的なフィーリングとなっている。
[マーケットデータ]

年式

グレード

2019年以降のグレードは名称が変わったが、全体の割合から見ると1割前後。2Lターボと3.5LV6は同程度だ。
走行距離

どのゾーンも万遍なく流通している。ただ、多走行が着実に増えており、今後は低走行が希少になるはずだ。
工藤貴宏が注目するスカイラインの「ココが○」
その1:上質感にあふれ、快適性も高いインテリアと高級感ある外観
その2:手放し運転など世界初機能もある先進のテクノロジー
その3:運転が楽しいパワートレインとハンドリング