ゴルフオールトラックが輸入4WD車でバリューNO.1

【本記事は2015年9月にベストカーに掲載された記事となります。】少し意外かもしれないが、輸入車は4WDをプレミアムモデル以上に設定していることが多い。逆にコンパクトモデルなどには設定されない。輸入車が雪国で大きなシェアを持たない理由のひとつだ。これまで輸入車4WDの最安値はフォード・クーガで349万7143円だったが、ゴルフオールトラックは347万円で発売となった。ベースとなるゴルフヴァリアントはベーシックな1.2LTSIコンフォートラインが289万9000円、1.4LTSIハイラインが348万7000円という価格。オールトラックは4WDかつ1.8Lだから、相当お得な戦略的価格といえる。

注目の4WDシステムは「4MOTION」でスウェーデンのハルデックス社が作っているハルデックスカップリングを採用する。ちなみにチューニングの差はあるが、アウディのクワトロも同社のものを採用する。具体的には電子制御油圧式オイルポンプで作動制御するもので、いわゆるオンデマンドタイプだが、路面状況によっては100％後輪にトルクを回すことができるといい、侮れないユニットだ。実際に40～50km／hで林道を走ってみたが、レヴォーグに劣らない安定感があった。最低地上高は165mmあり、底打ちの危険性も低い。頼もしいのがオールトラックだけの「オフロードモード」だ。このモードを選択すると制動距離を短くするためにABSのセッティングが変更される。具体的にはホイールロック間隔が短くなるほか、アクセルペダルの踏み込みの反応特性が変更され、緻密なアクセルワークが可能となる。さらにヒルディセントアシストも加わる。林道で実際に試してみたがアクセルペダルの反応が細やかになっているのが感じられ、泥濘地なら効果があるはずだ。

オンロードの走りも合格点がつけられるオールトラックはヴァリアントにはない1.8LTSIエンジンを採用する。このエンジンはポロGTIにも搭載する実力派。最高出力180ps、最大トルク28.6kgmという数字はレヴォーグの1.6Lモデルの最高出力170ps、最大トルク25.5kgmを上回るもの。実際に弊社所有のレヴォーグに比べると、踏み込んだときの加速フィールが力強い。DSGが7速ではなく6速なのは玉に瑕ながらハンドリングも軽快だ。レヴォーグ1.6の上級グレードは300万円を超えるから、レヴォーグひとり勝ちの4WDステーションワゴンのなかで、待ったをかける1番手といえそうだ。

ゴルフRヴァリアントは痛快な快速ワゴンオフロードよりもワインディングを駆け抜けたい、レヴォーグの2Lに一泡吹かせたい、というなら少々値は張るが、ゴルフRヴァリアントに決まり。ゴルフRの豪快さをそのままにワゴンボディをまとった特別なステーションワゴンで、最高出力280ps、最大トルク38.7kgmのスペックはレヴォーグの300ps、最大トルク40.8kgmに比べると数字的には弱干劣るが20mmローダウンした専用サスペンションや気持ちのいいエクゾーストノートなど、レヴォーグにはないアグレッシブさがいい。またレヴォーグの13.2km／Lを上回る14.2km／LというJC08モード燃費はさすがDSGとうならされる。

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