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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.27

1.2Lダウンサイジングターボを新搭載トヨタのオーリス! 走りは革新したか?

“ダウンサイズターボ”

【本記事は2015年5月にベストカーに掲載された記事となります。】VWのダウンサイズ過給コンセプト“TSI”が衝撃のデビューを飾ってからほぼ10年、日本にも本当の意味で“ダウンサイズターボ”といえるオーリス120Tが登場した。トヨタが新開発した新エンジンは、型式名8NR-FTS。ヴィッツ1.3モデルなどが使う1NR系エンジンをベースに、ボアを1mm、ストロークを6mm縮小。71.5×74.5mmの1196ccで直噴ターボ過給エンジンに仕立てている。ベンチマークとしたのは明らかにVWゴルフ・トレンドラインの1.2Lターボだ。8NRのスペックは116ps/18.9kgm。馬力もトルクもゴルフ(105ps/17.8kgm)をわずかに上回っているあたりが、いかにも意識してることアリアリだ。

新型エンジンは3気筒ではなく4気筒を採用!

■新型エンジンは3気筒ではなく4気筒を採用!個人的に意外だったのは、気筒数を減らさなかったこと。BMWは大胆なモジュールコンセプトでコンパクト系は1.5L 3気筒を主力エンジンとしているし、最近ではプジョーの1.2Lピュアテック3気筒もきわめて評価が高い。効率だけを考えるなら、1.2Lでは3気筒を選択するのがトレンドだ。この辺をトヨタの人に確かめると、気筒数削減やモジュール化の効果は認めつつも、やはり市場の評価、主にアイドル振動など快適性の問題を懸念している様子だった。ダウンサイズ過給エンジンはどうしたってコストが高い。このため、今回の8NRが搭載されるオーリス120Tも、シリーズ最高級グレードという位置づけ。そうなると、3気筒特有の振動や吹き上がりのサウンドなどは好ましくない。まずはオーソドックスに、やはりトヨタらしい判断が働いたようだ。組み合わされるトランスミッションは現状CVTのみとなる。欧州市場では当然6MTが用意されるが、日本では「これはスポーツグレードではなく上級グレードですよ」という戦略。1.8LのRSに6MTを用意しているんだから日本でも6MTを……、と思わないでもないが、その辺は今後の展開に期待するしかない。

走り出しはスムース、加速時のトルク感はやや控えめ

120Tのインテリアは木目調パネルを採用! ターボ車の120Tは上級グレードという位置づけとあって、インパネには木目調パネルを採用。シートは前後とも黒色の本革をメインとした素材を使用する

120Tのインテリアは木目調パネルを採用! ターボ車の120Tは上級グレードという位置づけとあって、インパネには木目調パネルを採用。シートは前後とも黒色の本革をメインとした素材を使用する

■走り出しはスムース、加速時のトルク感はやや控えめ注目の走りっぷりについては、よくも悪くもターボを意識させないドライバビリティ、これが印象的だった。ミッションがトルコンCVTだから、走り出しはいたってスムーズ。小排気量ターボはブーストが立ち上がる前の低回転トルクが弱いはずなのだが、まったく違和感なく力強い加速を見せる。これは気持ちイイ。公表されているトルクカーブを見ると、1000rpm時に13.3kgmだったトルクは、1500rpm時には18.9kgmへ急上昇、しかもこの領域はトルコンもアシストしてくれるから万全だ。ライバルのゴルフはここがトルク増幅効果のない乾式クラッチ+DCT。わずかな過給の遅れや発進時のギクシャクが、時として気になるケースがある。渋滞や市街地モードなどでは、やはりトルコンのありがたみを実感するだろう。

ただし、この便利なトルコンとCVTによって、エンジンのキャラクターが薄まっている。過給エンジンはターボのブースト圧が上がってからが本領発揮。NAではとても及ばないトルク感はターボならではの醍醐味だ。そしてそれは、速度に対して高めのギア(例えば4速で50km/h)でシフトダウンせずに加速した時の、身体をグッとシートに押しつけるようなトルク感で実感される。ところが、そういう意味ではオーリス120TのCVTはあまりに効率志向。アクセル開度の小さい領域でも、アクセルを踏んだ瞬間すみやかにシフトダウンモードに移行。トルクで加速するイメージではなく、回転で速度を上げて行こうとする。そのいっぽう、トップエンドでの頭打ちもわりと早めにくる。ターボやインタークーラーなどの容量は低中速域でベストになる設定で、高回転域の大きなエアフローはあまり重視していないように思われる。なんといいましょうか、数あるダウンサイズターボのなかでも最も効率志向で真面目なエンジン、というのが走りの印象。最大熱効率36%を達成した技術力は大したものだけれど、もうちょっとドライバビリティに面白みがあってもいいんじゃないかと思うなぁ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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