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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.27

復活レジェンド680万円の価値を問う

レジェンドの本質

SH-AWDは後輪の2モーターが独立で駆動できる。駆動力配分を示すモニターは、刻々と変わり、制御の緻密さを物語る

SH-AWDは後輪の2モーターが独立で駆動できる。駆動力配分を示すモニターは、刻々と変わり、制御の緻密さを物語る

【本記事は2015年4月にベストカーに掲載された記事となります。】新型レジェンドの売りは前1/後2の3モーターハイブリッド4WD。しかも、左右後輪を独立したモーターで駆動するトルクベクタリング機能を備えている。’04年デビューの先代レジェンドがメカで実現していた機能を、今度は電動モーターでやる。これが、10年余を経て進化した新しいSH-AWDのコンセプトだ。しかし、そこだけに目を奪われていると、今度のレジェンドの本質を見誤る。先代レジェンドは、残念ながら販売的に成功しなかった。技術的なアドバンテージを強調するあまり、高級車が本来持つべきプレミアム性が充分でなかったことに原因がある。

基本性能は間違いなく“ベストインクラス”

コックピットはシフトがなく、P・N・Dはそれぞれボタンで押すというエレクトリックギアセレクターを採用する

コックピットはシフトがなく、P・N・Dはそれぞれボタンで押すというエレクトリックギアセレクターを採用する

新型レジェンドは、3モーターハイブリッド+SH-AWDというおそろしく高度なテクノロジーを搭載しているが、乗ってみるとそれは黒衣として目立たぬように控えている。高級車たるもの、まずはそれに相応しいプレステージ性、威厳あるスタイリング、上質なインテリア、そして快適な居住空間があってこそ。機能や性能はそのあとについてくる従属的な付加価値でいい……、そんな印象すら受ける。なんの先入観もなしに新型レジェンドに乗ると、ドライバーはきわめて質の高いインテリアに魅せられるし、後席に乗り込めば広いレッグスペースと快適な乗り心地に感銘を受ける。お世辞抜きで、インテリアの仕立てと後席の居住スペースはレクサスLSを凌ぐ水準。基本性能は間違いなく“ベストインクラス”と評価していい。

クールな走り

ボディは全長4995×全幅1890×全高1480mmとメルセデスEクラスなどよりもひとまわり大きい堂々たるもので、たたずまいも押し出しがきいている

ボディは全長4995×全幅1890×全高1480mmとメルセデスEクラスなどよりもひとまわり大きい堂々たるもので、たたずまいも押し出しがきいている

走りっぷりも、最初の印象は“クール”という表現が似合いそうだ。ドライブレンジを選択するのも、レバーではなくボタン式。ゆっくりアクセルを踏み込むと、EV状態でするするとクルマは動き出す。やがて、3.5L V6が始動して7速DCTを介して前輪にパワーを伝え始めるが、普通に交通の流れに乗って走るかぎりエンジンの存在は控えめだ。高速道路でも巡航モードなど負荷の小さい領域では片バンクを休止して3気筒で運転するし、その状態からアクセルを戻せば即座にエンジン停止。EVモードとの間を頻繁に行ったり来たりする。車重2t近い大型サルーンにもかかわらず、100km/hキープで高速巡航したところ車載燃費計で13km/L近い数字をマーク。燃費性能も文句なしにトップクラスだ。

ハイパワースポーツに豹変する新型レジェンド

ハイパワースポーツに豹変する新型レジェンドしかし、ここまでじゃレジェンドは実力の半分も出していない。ホンダ渾身のハイテクが真価を発揮するのは、センターコンソールのSPORTスイッチを押してからだ。スポーツモードではアイドル停止すらしなくなり、アクセルを踏み込めば豪快なサウンドとともにダッシュ。発進ではリアモーターをフルに活用するとともに、7速DCTらしいダイレクト感のあるステップシフトを刻んでスピードを上げてゆく。ワインディングではまさに水を得た魚だ。飛び込んでみたらコーナーが予想以上にタイトだったり、あるいはアンダーを予感してアクセルを踏むのを躊躇したり、普通のクルマだと誰もが逡巡する場面がある。そういうシチュエーションではSH-AWDの威力絶大。ボディはさすがに重量感を感じさせるものの、常にアクセルONでグイグイ曲がってゆける。スポーツモードに移行したレジェンドは、ノーマルとはまったく別のクルマ。ある時は優雅な高級車。ある時はカッ飛び4WDスポーツ。ジキルとハイドのような2面性が楽しめる実にユニークな高級車といえる。

先進デバイス満載! ライバルと比べても安い!?

先進デバイス満載! ライバルと比べても安い!?レジェンドは北米ではアキュラRLXとして販売されており、価格は6万5950ドル。1ドル120円とすれば、791万円になるから、日本のレジェンドは100万円以上安くなる。ライバルとの諸元表を見て欲しいが、システム出力382psはフーガの364psをしのぎクラス最強といっていいだろう。燃費は、フーガやGS300hには及ばないが、パワフルさと4WDということを考えあわせれば健闘といっていいだろう。ホンダセンシングによる高い安全性やSH-AWDによるスポーティなハンドリングも評価でき、680万円の価格は安いと思えるもの。むしろホンダの高級セダンにブランド力があるか? という点が唯一心配だ。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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