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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28
レジェンド竹平素信スバルWRX S4大興奮試乗! 絶品の乗り味!
4つの価値を高次元で融合させたスポーツセダン

S4に搭載されるエンジンはSTIとは違い、直噴のFA20型フラット4ターボDIT(ダイレクトインジェクションターボ)の1種類。タービンもSTIはIHI製だが、S4はハネウェル社製となる。レブリミットは現行レガシィ2.0GTDITの6100rpmに対して6500rpmへと引き上げ、より高回転まで回る
【本記事は2014年9月にベストカーに掲載された記事となります。】スバルが新世代スポーツセダンとして放ったS4。鍛え上げてきたスバルのAWDのスポーツパフォーマンス、時代の先を行く先進安全技術、優れた環境性能、洗練された質感、これら4つの価値を高次元で融合させたスポーツセダンである。STIとキャラクターの差はあるものの、S4もSTIも骨格であるボディ、シャシー関係に差はなし。つまり、S4の走りも期待大。本物のハズだ。STIと同様、徹底的にチューニング。特にハンドリング、乗り心地のレベルアップに直結するボディ、サスの剛性アップはすばらしい。ちなみにボディはねじり剛性40%以上、曲げ剛性30%以上。サスのトレッド剛性もフロント14%以上、リア38%以上も向上。旧STIだってガッチリしたボディ、サスだったからこの数値はほんとか? と疑うほどだ。エンジンはレガシィに積まれた2L直噴ターボDIT。300ps/40.8kgmのスペックは変わらずだが、レブリミットが6100rpmから6500rpmに引き上げられている。
エンジンとミッションを統合制御したSI-DRIVE

Dレンジ時、SI-DRIVEで「I」または「S」を選択するとアクセル低開度時は無段変速、高開度時はステップ変速。「S♯」選択時には8速のステップ変速
STIは6速MTのみだがS4は逆にCVTのリニアトロニックのみ。なんとクロスレシオの8速CVTだ。エンジンとミッションを統合制御したSI-DRIVEも燃費や環境を重視したインテリジェントモード「I」、気持ちいい加速が味わえるスポーツモード「S」、アクセルにダイレクトで刺激的な加速が楽しめるスポーツ♯「S♯」モードの3通りある。嬉しいのは、「S♯」選択時、1段ごとの変速比の差を小さくとったクロスレシオにより、エンジンのパワーバンドが有効に使えるようになっている。

GT-Sアイサイトにはビルシュタインダンパー(フロントは倒立式)を装着。ブレーキはフロント、リアともに17インチ(フロントは2ポッド)ベンチレーテッドブレーキを採用(GTアイサイト共通)。またリアブレーキは電動パーキングブレーキを採用
パワーステアリングもSTIの油圧式に対し、S4はエンジンパワーロスの少ない電動式だ。ブレーキもSTIのブレンボ製に対し、S4は通常の17インチベンチレーテッドディスク。さらに電動パーキングブレーキやヒルホールド機能などS4専用の機能を備えている。
異なる4WDシステム

STIのDCCDに対しS4はVTD-AWD方式を採用。センターデフによって前輪よりも後輪が大きくなるように前45:後55を基本として状況によって可変制御
4WDシステムも異なる。S4はスバル独自のVTD-AWDを踏襲。45対55の前後トルク配分を基本に走行条件に合わせて可変制御するシステムだ。後輪よりのトルク配分とすることでスポーツ走行に適している。
STIと走りに違いはあるのか?

全長4595×全幅1795×全高1475mmのボディサイズはSTIと同一。7.5J×18インチのアルミホイールのPCDは114.3mmとSTIと同じ。S4のタイヤサイズは225/45R18、走りと環境性能を高い次元でバランスさせたダンロップSP SPORT MAXX050が装着されている
STIと走りに違いはあるのか?さて、S4の走りはどうか? 上質で速い! これに尽きる。DIT+リニアトロニックの組み合わせは実に力強く、リニアな加速フィールだ。アクセルを踏み込めば一瞬で加速Gが増し、気が付けば感覚以上のスピードに達してしまった。これは速い! 従来のSTI-Aラインより速い!新型WRX一番のウリは徹底して作り込んだボディ&シャシーだ。ステアリングにダイレクトに反応するノーズの動きは一体感に溢れる身のこなしで、フラット感がすばらしい。ハンドリングはまさにオンザレール感覚。特にリアの接地感はすばらしく、スポーツ走行でもテールハッピーに追い込むのは難しいほど。電動パワステのフィールもスポーツ車としては軽い味付けだが、リニアでニュートラルなフィール。これならSTIにも採用してほしかった。実際、開発責任者の高津益夫さんも、S4の電動パワステは想像以上にいいものができたと言っていた。STIの油圧式ははっきりと重く、手応えもたっぷり。サーキット走行やモータースポーツするならこっちだろうな。ノーマルグレードのGTアイサイトとビルシュタイン製ダンパーが装着されるGT-Sアイサイトの差は予想以上だった。ゴツゴツと突き上げが気になるものの、軽快なハンドリングがノーマルのダンパー。軽快さはノーマルだがしっとりとした上質な乗り心地ならビルシュタインダンパーだ。
STIとS4の価格差

40.8kgmの高トルクに対応したCVTで1段ごとに変速比を小さくとった8速クロスレシオ。Dレンジ時、マニュアルモード時の変速も滑らかで俊敏に反応
さて、STIとS4の価格差は標準車で44万2800円、STIタイプSとGT-Sアイサイトで55万800円。これをどう見るか。STIの一番のウリは308ps/43.0kgmを発生するEJ20型フラット4ターボ&6速MT。先代STIと基本は変わらないが加速フィールやレスポンスの向上、シフトフィールが改良されている。このエンジン、パワーの盛り上がりがすばらしい。高回転は7500rpmも余裕だ。しかも、格段にシフトフィールがよくなった6速MTを駆使しての走りは実にパワフルで楽しい。動力性能は当然ながらS4に勝る。S4のジェントルな走りとは対象的だ。スポーツ走行ならば4WDの違いが表れてくる。STIはマルチモードDCCD。回頭性重視、安定性重視、燃費重視とラリーでの強力な武器となろう。S4のVTD-AWDのジェントルながら、走りのおもしろさがあるのも事実。またブレーキ性能もブレンボ製が装着されるSTIがいい。高速からのストッピングパワー、連続使用での安定性などで差がでる。正直、STIにこの8速リニアトロニックを搭載すれば悩みは解消しそうだが、そうはいかない。S4もSTIも万歳したくなるほどの出来である。しかしワシはエボ親父。新型STIともうすぐ生産終了になってしまうランエボⅩと比べ、パフォーマンス的には大差ないと思う。徹底的な作り込みと、走りの質感においてはSTIが一歩リードしていると認めざるを得ない。結論。S4、STI。どちらも力作。見た目も大きな差はない。S4の出来が秀逸だけに、大いに悩む。もはや好みの問題だろう。