中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28
こいつはホントに俺たちの“スカイライン”なのか?
徹底的に試乗チェック

【本記事は2014年8月にベストカーに掲載された記事となります。】スカイラインに待望の直列4気筒2Lターボエンジン搭載モデル「200GT-t」が追加されたのが5月26日のことだった。神奈川県の追浜にある日産グランドライブで開催された発表会では、チョイ乗り程度ではあったが試乗の機会も設けられ、日産の自信の大きさとアピールに対する気合いを感じたものであった。そのスカイライン200GT-tの公道での試乗のチャンスがいよいよやってきた。徹底的に試乗チェックをして、そのすべてをお伝えしたいと思う。まずは200GT-tとはどんなクルマなのか!? 今一度おさらいをしておこう。
ダイムラー製ターボエンジン

・ダイムラー製の直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンを搭載(最高出力211ps/5500rpm、最大トルク35.7kgm/1250-3500rpm)・組み合わされるトランスミッションもダイムラー製の7速ATとなる・価格は最初に登場していた350GTハイブリッドに対し、80万円程度低い設定で383万4000~456万8400円・ただし、『ダイレクト・アダプティブ・ステアリング』は非装着で、現時点ではオプション設定もない(秋にオプション設定の予定)・車重は350GTハイブリッドよりも100kg程度軽い1650~1680kg・内外装は基本的に350GTハイブリッドとの差異はない・JC08モード燃費=13.6km/L
エンジン

ちなみに6月の販売台数は350GTハイブリッドの384台に対し200GT-tは1071台と新登場のターボ優勢。2月26日に発売を開始しているハイブリッドの累計販売台数は約6200台である。200GTtに搭載されるエンジンは、ベンツE250やA250などに搭載されるエンジンと“同じもの”との誤解があるが、これらに搭載されるエンジンは成層リーンバーン制御されているいっぽう、スカイラインに搭載されるエンジンはストイキ燃焼仕様。スカイラインに求められる動力性能やフィーリングに合わせてリーンバーン仕様とはしなかったと開発陣は説明するが、やはりリーンバーン仕様のほうが燃費にも優れ、スカイラインにもこちらが欲しかったと思うのだが……。エンジンとトランスミッションはダイムラー製でスカイラインを生産する栃木工場に輸入されて組み上げられているが、いずれは日産が生産する予定だという。
実に21年ぶりの直4エンジン搭載スカイライン

直6、2.5Lターボvs直4、2Lターボ
■実に21年ぶりの直4エンジン搭載スカイライン直列4気筒エンジンを搭載するスカイラインは、R32型に設定されていたGXiが最後で、R33型以降は6気筒のみ。なので、実に21年ぶりの4気筒スカイラインということになる。もっともR32型のGXiは1.8LのCA18型エンジンを積んだ廉価仕様という位置付けだった。そういった意味では6代目R30型に設定されていたRSターボ以来の本格的直4スカイライン、といったほうがいいかもしれない。当時『史上最強のスカイライン』といわれたRSターボに搭載されたFJ20E・T型は、直列4気筒DOHCターボで今回の200GT-tに搭載されるエンジンと「エンジンの概要」は同じ。最高出力はグロスで205psを発揮し、当時はその強烈な動力性能にただただ驚嘆したものだが、今回の2LターボエンジンはNETで211psを発揮し、スペック的にはFJ20E・Tを軽く上回っている。わずか1250回転で35.7kgmの最大トルクを発揮することもあり、ドッカンターボ的な特性ではなく、走り出しからグググとわき出すトルクで軽快に走っていく印象。RSターボとは真逆のドライブフィールである。ある意味、ジェントルで昔のターボエンジンのイメージとはまったく異なる、現代のダウンサイジングターボのドライブフィールそのものである。感覚的には、3L級のNAエンジンのようなトルク感。3000回転あたりまでは4気筒の音や振動はあまり感じないけれど、5000回転も回すとちょっと音が大きくなり、「ああ、やっぱり4気筒なんだな」と実感させられる。7速ATとのマッチングは絶妙で、シフトショックはいっさい感じることはないし、ターボエンジンのトルクを活かした走りをちょうどよくバックアップしてくれている。
直6を愛するR34スカイラインオーナーたちはV37ターボをどう見る!?

R34スカイラインオーナーたちはV37をどう見る!? 最新の「スカG」の実力を試そうと集まってくれたR34スカイラインオーナーたち。左から神谷伸一さん、船間隆文さん、川畑和男さん、石川順士さん。川畑さんは大阪から駆けつけてくれた。自分たちの好きな「スカイライン」とは違うけど、新しいスカイラインはいいクルマだと言っていた
■直6を愛するR34スカイラインオーナーたちはV37ターボをどう見る!?さて、350GTハイブリッド登場時と同様、今回もR34スカイラインオーナーのベストカー読者に集まっていただいた。自分たちの愛する直列6気筒エンジン搭載のR34型スカイライン4ドアセダンを『最後のスカG』と呼ぶ彼らの目に、最新のスカイラインターボはどのように映ったのだろうか!?遠路大阪から駆けつけてくれた川畑和男さんは「ケンメリ時代からスカイラインを乗り継いでいます。筋金入りのスカイラインファンです。ケンメリのあとはジャパンターボ、R31のGTパサージュターボ、R32、R33と乗り継いでR34です。実は、V37型が出た時、かなり真剣に購入を検討したのですが、最終決断には至りませんでした。3.5Lハイブリッドは動力性能が強烈ですが、なにか違う……。その点、今回の4気筒ターボはほどよくトルクもあって気持ちいいです。ハンドリングも軽快で楽しいですね。直6でなければスカイラインではない、という頑なな思いはありません。でも、やっぱりスカイラインという名前のクルマとはちょっと違うのかな、という思いもありますね」と。紺色の25GT-tに乗る石川順士さんは「350GTハイブリッドよりもスカイラインらしい印象です。昔のRSターボよりもパワーがあるというのに、荒々しさがいっさいなく、よくしつけられている印象。今の時代のターボエンジンですよね。私個人的には直6ターボの音とフィーリングが好きでR34を乗り続けますけど」との感想。「この2Lターボは下からトルクがあって乗りやすいですが、回しても盛り上がり感に欠けるのがイマイチ。でも、ハンドリングは軽快でいいですね」と、赤い25GT-tに乗る船間隆文さんの感想。そして最後は紺色の25GTtに乗る神谷伸一さん。「パワーはいうまでもなくR34のほうがありますが、新型はまるでNAエンジンのような滑らかなトルクの出方で快適です。思いっきり引っ張らなければ4気筒とは思えませんし、プレミアムカーといった雰囲気ですね」との感想でありました。果たしてV37スカイライン200GT-tは『俺たちのスカGなのか?』との問いかけには、皆さん口を揃えて「やっぱり“俺たちのスカG”ではないけれど、日産が、これが最新のスカイラインGTですよ、というのであれば、これが現代のスカGなのでしょう」と。