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更新日:2019.01.06 / 掲載日:2017.11.28
トヨタ86 現行車オーナーもアップデート可能!
初のマイナーチェンジ

新旧の見分けポイントはアンテナ
【本記事は2014年6月にベストカーに掲載された記事となります。】誕生以来2年、86が初のマイナーチェンジを実施した。外観では、ルーフのアンテナがシャークフィン型になったくらいで、普通のマイチェンでメインになるグリルやテールレンズあたりはいっさい変更なし。インテリアではインパネにカーボン調加飾が採用された程度だ。
86を愛用している既納ユーザーのために

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また、機能面では「ダンパー特性を見直して走行性能を向上」とアナウンスされているが、これも“ファインチューン”のレベル。ほかにはフロントサスメンバーとリアサスアームに使用されているボルトの形状変更など、ホントにマイナーな部分しか変えていない。なんか、拍子抜けするくらい「従来どおり」なのだ。このあたりを「ちょっと物足りないのでは?」と、CEの多田さんにぶつけてみたのだが、返ってきた答えは「初期モデルに乗ってる人がガッカリするようなマイチェンはやりたくなかったんです!」というもの。いわく、「ボディ剛性アップもスポット増しでやれば効果があるけど、それじゃ従来モデルに乗ってる人はアップデートできない。だから、サスペンションボルトのフランジ部分を広げて締結剛性をアップするとか、イロイロ工夫してるんです」。そう、多田さんはすでに86を愛用している既納ユーザーのことを、すごく気にかけているのだ。
オプションで選べるようになったザックスのダンパーキット

そういう意味では、今回のマイチェンからオプションで選べるようになったザックスのダンパーキットも注目。8万円弱のバーゲン価格で評価の高いザックスの走りが試せるというのは、従来型ユーザーにとっても嬉しいことだよね。
より奥深くなったマイチェン

こちら現行車新旧を走り比べると違いが歴然! 上の新型と同じコーナーで撮影。走行姿勢からは違いは見分けられないが、走りの質はかなり進化した
そういうきわめてデリケートなマイナーチェンジを実施した新型86を富士のショートコースで試してみたわけですが、走りのテイストが大きく変わったというより、しなやかさや上質感が向上しているというのが率直な感想だった。変更点が微妙だけに、新型、従来型ともにMT/ATが用意されていて取っ換え引っ換え乗り比べが可能だったのだが、明確に差が出るのはクイックに左右に切り返すS字コーナー。とりわけ、最終コーナーひとつ手前の左ターンだ。従来モデルでここを攻めると、左から右にイッキに荷重移動した時のブレークが大きめ。86だからテールが流れるのはべつに問題ないのだが、スライド量が大きくなってカウンターステアで対処しきれず、少しスロットルを戻すようなコントロールが必要になる。新型ではここがかなり楽ちん。同じようなスピード/車両姿勢でアプローチしても、カウンターだけでちょうどアウト側縁石でスライドが終息する。まぁ、このへんはかなりデリケートな違いだから、走る場所やドライビングスタイルで印象が変わってくる可能性はある。トヨタ広報のHさんにいわせると「新車の試乗会で比較用に従来モデルを持ち込むのは、当社では異例のことです」というくらいで、ダイレクトに乗り比べないとその進化はなかなかわかりづらい。しかし、ドライビングの差が出にくいAT仕様の比較では、かなり再現性高くハンドリングテイストの進化を感じられたのは収穫だった。積極的にドリフトを楽しめるという86の走りの方向性にはまったくブレはないが、その滑りの過渡特性がより滑らかに、より奥深くなったということは間違いなくいえると思う。