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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.11.30
日本のスポーツカーは『名門』を超えたか? PART2 トヨタ86 VS BMW3シリーズ
トヨタ86はどこまで迫ったか?
TOYOTA86 VS BMW3シリーズ
エンジン性能
ENGINE-エンジンフィール 86 80点:86(6MT) 水平対向4DOHC1998cc 200ps/7000rpm 20.9kgm/6400~6600rpm JC08モード燃費12.4km/L
■エンジン性能日本ではBMWのエンジンがスポーツエンジンだと思われている。しかしBMWに聞くと、3シリーズに搭載されているエンジンを「特殊なスペック」だと考えていない。BMWにとってのスポーツエンジンとは、M3やM5のような「明らかに気合を入れたエンジン」であり、3シリーズに搭載されている4気筒は燃費や実用性能を重視して開発したものだという。実際、320iに搭載されているスペックを見ると普通。最高出力なんか184psですから。トルクの出方も2.8L級の実用型エンジンといったイメージ。一方、トヨタ86に搭載されているFB20はターボなし2Lで200ps。どちらがスポーツカーのエンジン的かと聞かれたら迷わない。されど乗り比べると、320iのエンジンの方がスポーティな感じがするから不思議だ。トルク感やエンジン振動の味付けからして気持ちいい。
足回り性能
CHASSIS-足回り性能 86 85点:86は重心高460mmという低重心のプラットフォームを持ち、フロントにストラット、リアはダブルウィッシュボーンになる
■足回り性能足回りはどうか? スポーツカーで最も重要なのが「シャープさと正確性」である。3シリーズのハンドル握ると「文句ありませんね!」。文字通り意のままに動いてくれます。トヨタ86だって決して悪くないのだけれど、わずかに「雑味」を残しているのだった。まぁこの点についちゃ仕方ないかも。3シリーズの場合、改良に改良を繰り返し、どの部品に剛性を持たせたらいいか知っている。ボンネットを開けた時に見えるボディの溶接の数や、使っている鉄板の厚さなど見ても、感心することばかり。コストだって相当掛けていると思う。一方、トヨタ86は全くの新設計。当然のごとくやり残したブブン多い。ということを考えれば、むしろ頑張ったかもしれません。毎年少しずつ改良を加えていくことにより、きっと3シリーズに追いつけると思う。残念ながら現状では惜敗としておく。
ミッション性能
TRANSMISSION-シフトフィール 3シリーズ 95点:320iは8ATと6MTが選べ86は6ATと6MTとなる
■ミッション性能ミッションはスペック的にマニュアル仕様が6速で引き分け。ATだと6速vs8速でトヨタ86の大負けということになる。乗ってみるとマニュアルもシフトフィールで勝てていない。3シリーズのマニュアル、長年にわたって改良されてきた。「気持ちいいシフトフィール」という評価軸だって定まっていることだろう。もはや完成型といってよろしい。エンジントルク特性とのマッチングまで好ましいです。トヨタ86のマニュアルも決して悪くないが「気持ちよくて仕方ない!」というレベルにゃ届いておらず。これまた改良を加えていけば、必ず追いつくと思う。ATは段数の違いが決定的。6速だと2速と3速しか使えないワインディングロードも、8速なら4速まで使える。シフトチェンジした時の回転数の落ち込みだって少ない。どんな評価軸で比べても3シリーズの8速ATの方がスポーティだ。
走りの楽しさ
FUN to DRIVE-走りの楽しさ 3シリーズ 90点:3シリーズのハンドリングはシャープさに加え正確性を持つFRのお手本
■走りの楽しさ肝心の「楽しさ」はどうか?「コントロールする喜び」という観点から考えれば、圧倒的にトヨタ86だ。テール流して走った時の面白さときたら、現時点で世界一かもしれない。荒削りながらポテンシャルの高さを感じる。このまま磨き込んでいったら、すばらしいミドルクラススポーツカーになることだろう。排気量を10%くらい上げたらトルクが増えて一段と楽しくなる可能性大。
86からM3はできるか?
ENGINE-エンジンフィール 3シリーズ 90点:320i(6MT)
■86からM3はできるか?こうなると気になるのが「トヨタ86ベースでM3のようなクルマを作れるのか?」ということ。結論から書くと「できません」。3シリーズだって最初のM3は2.3L4気筒。2代目でも3L6気筒だった。4代目になってやっと市販モデルにもV8が搭載されるようになる。現行モデルのトヨタ86にV6やV8といったマルチシリンダーの大排気量エンジンなど物理的に積めない。ターボやスーパーチャージャーの過給なら可能ながら、それだって350馬力は難しいだろう。せいぜい2代目のM3の対抗馬が作れるくらい。そもそもトヨタ86のコンセプトからして「大出力エンジンの否定」から入ってます。徹底的にハイパフォーマンスなM3というより「少しパワフルなエンジン」を搭載するくらいのスポーツモデルがトヨタ86には合致していると思います。
総合評価
86から『M3』は作れるか? M3を100点とすれば86は10点、今はそれほど開きがあるが、86の進化する方向性は違うはず
■総合評価そろそろまとめよう。3シリーズは「楽しい」というより「気持ちいい」という感じ。すべてにおいて上質なのだ。例えばテニスをやっている女性をイメージしてほしい。トヨタ86は元気いっぱいの18歳の女の子。3シリーズが28歳のエレガントな女性でございます。前者なら持ち味を伸ばしてやりたくなるし、後者だとそのままの状態で付き合いたい。どちらが楽しいかについちゃ好みによって違ってくることだろう。こらもう優劣の問題じゃない。もっとわかりやすく書くと、3シリーズはそのまま乗りたい。トヨタ86なら最低でもサスペンションくらい換えたいし、できれば競技車両のようなモディファイだってしてみたくなる。シートだけ換えてもガラリと印象変わりそう。改造したくなるのは、トヨタ86の完成度の低さを示しているのか? 私としちゃ「可能性の高さを感じる」と書いておきたい。ココロの中に「若さ」が残っているヒトなら、迷うことなくトヨタ86だ。現時点でBMW3シリーズを100点とすれば86は88点としよう。