中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28
世界で売れてるフォード フィエスタ 229万円で日本市場に殴り込み!
エンジン・オブ・ザ・イヤー

日本に導入されるエンジンは1Lのインタークーラーターボ。コンパクトで好燃費で100psとパワーも充分。ダウンサイジングの見本のようだ
【本記事は2014年2月にベストカーに掲載された記事となります。】フィエスタに乗って感じたのは「悔しい」のひと言。かつては日本車にもこんな乗り味を持ったクルマが多かった。それがどうだ。今や日本車の多くは牙を抜かれたクルマばかり。燃費ばかりに気を取られているうちに、得意分野であるスポーティなコンパクトカーが席巻されよとしている。フィエスタに積まれるエンジンは1Lターボで100馬力を発生する。実にスムーズで、低回転からしっかりとした太いトルクを発生。まるでディーゼルのような力強さだ。3気筒なのだが、いわゆる3気筒感がまるでない。振動やノイズのレベル、スムーズさなどどれを取っても4気筒レベルを達成。「こいつあ、エンジン・オブ・ザ・イヤー取るぞ」と思ったら、すでに2012年と2013年を連続で受賞していた。
6速のツインクラッチ式AT

コンパクトながら個性的で存在感を与えるスタイリング。229万円という価格設定は、想定ライバルが輸入車ということだろう
コーナーに向かってブレーキングしながら飛び込み、ステアリングを入れていくと、ノーズがグングンとインに向いていく。ステアリングに伝わってくるインフォメーションも明確で、フロントタイヤのグリップ感をつかみやすい。クリッピングでアクセルペダルを踏み込んでいくと、即座に加速に移行する。加速感はダイレクトだ。フィエスタのミッションは6速のツインクラッチ式AT。このミッションは、MTをベースに自動変速を可能したもので、動力伝達効率が高い。ツインクラッチ式ミッションというのは、奇数段のギアと偶数段のギア、2つのギアボックスを1つにまとめたような構造で、変速されるギアがスタンバイしているため、変速が瞬時に行われるのが特徴。フィエスタの走りもこのツインクラッチミッションに支えられる部分が多い。エンジン回転をキッチリ使い走ることができるのだが……とても残念なことがある。
フィエスタの走り

欧州車や日本車はこうしたミッションを採用した場合、シフトレバーやステアリングのパドルスイッチの操作でマニュアルシフトが可能となるが、フィエスタはセレクトレバーノブに取り付けられたシーソースイッチを操作する方式。せっかくの走りがいいのに、ギアのマニュアル操作がやりにくいのは歓迎できない。とはいえ、このシーソースイッチを上手に扱えるコツをつかんでしまえば、フィエスタの走りはさらに魅力を増すだろう。フィエスタの全幅は1720mmと5ナンバー枠をはみ出す寸法ながら、全長は4mを切る3995mm。フィットよりちょっと大きいだけのボディは、日本の道にもマッチングがいい。ボディサイズが大きすぎると、ワインディングでの楽しみも限定されてしまうことが多いが、フィエスタではそうしたことを感じることも少ない。195/45R16と扁平率が低めのタイヤを履くが、路面の継ぎ目を越えるときの衝撃も上手に吸収している。全体としてスポーティ指向のクルマなのだが、静粛性や乗り心地も充分に確保され、普段使いでも困るようなセッティングではない。
手に入るレベルの価格帯

大人4人がしっかりと乗れる室内。リアシートを倒せば最大900Lの容量を確保できるラゲッジルームなど実用性もいい。229万円という価格はコンパクトカーとしては少々高めだが、その走りを考えれば納得がいくだろう。なによりも今の日本車では手に入らない魅力が、手に入るレベルの価格帯で、そこにあるのが……悔しい。
新コンパクトカー戦争勃発!? Bセグ欧州車が日本で激闘

プジョー208:プジョーのコンパクトシリーズ。3ドアと5ドアの2シリーズがあり、3ドアは1.2Lと1.6Lターボ(出力違いで2種)、5ドアは1.2Lのみの設定。ベーシックなMTを設定し、それがユーザーに支持されている。全長×全幅×全高:3960×1740×1470mm 車両重量:1090kg エンジン:直3DOHC 排気量:1199cc 出力&トルク:82ps&12.0kgm 価格:212万円(Allure5ETG)
新コンパクトカー戦争勃発!? Bセグ欧州車が日本で激闘4台のうちルーテシア以外に3気筒のエンジンが用意される(ルーテシアも現地仕様には3気筒あり)。ダウンサイジングが進む現代ではこの3気筒エンジンというのはひとつの重要なキーワードとなりつつある。4種のエンジンのうち、208のみが自然吸気であとはターボ付き。もっともパワフルなのはミニの136馬力だが、これは1.5Lの排気量から生み出されている。対してフィエスタは100馬力、ルーテシア120馬力とリッターあたり100馬力を発生している。208は82馬力の出力だ。ミニは試乗していないのでなんともいえないが、136馬力の走りにはけっこう期待ができるはずだ。そのほか3種のエンジンの特性としてはフィエスタの100馬力がもっともスポーティな印象を受ける。コンフォータブルなのはルーテシア、208は回して楽しいエンジンでマニアックな人なら、一番よしと言うはず。それを見越して208にはMTが用意される。ハンドリングはスポーティな順にフィエスタ、208、ルーテシアという順。ミニはおそらく新型もあのゴーカートフィーリングを引き継いでくるだろうから、フィエスタの上か下あたりに位置してくるだろう。こんな書き方をしていると「いったい、どれがいいんだ」と言われてしまいそうだが、それぞれに個性があるのだからしかたない。なにを求めるのか? によって選ぶクルマも必然的に変わってくる。ひとつ言えるのは、今現在、国産車にこうしたタイプのクルマが存在していないということ。日本の自動車メーカーも、もう少しがんばってくれないと困ってしまう。