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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.29

ホンダSの原点 幻のS360復活独占詳報

幻のS360が走る

カタログの表紙を飾るS360

カタログの表紙を飾るS360

【本記事は2013年11月にベストカーに掲載された記事となります。】51年の時を経てホンダスポーツの原点ともいえる幻のS360がツインリンクもてぎの敷地内を走ることを誰が予想しただろう。すでに今年の4月には一応完成していたというこのS360、ホンダS500から始まるホンダ“S”シリーズの出発点となるモデルだ。

S360は市販されずショーモデルとして終わった

一番前がS360、後ろがS500のハードトップ、さらにその後ろにS500のオープンが見える。場所は当時埼玉県和光市にあったホンダの荒川河川敷テストコースだ

一番前がS360、後ろがS500のハードトップ、さらにその後ろにS500のオープンが見える。場所は当時埼玉県和光市にあったホンダの荒川河川敷テストコースだ

“幻”というのは、’62年の第9回モーターショーにこのシルバーのS360とレッドのS500が出展され、その年、報道陣向けに試乗会まで開かれながら、翌’63年に市販されたのはS500で、軽自動車規格のS360は市販されずショーモデルとして終わったからだ。

T360トラックよりも早く企画

走りは軽快そのもの。驚くほど乗り心地はいい。ブレーキペダルを踏んだ感じは少しスポンジーな印象を受けた。クラッチは軽くリリースも簡単そうだ

走りは軽快そのもの。驚くほど乗り心地はいい。ブレーキペダルを踏んだ感じは少しスポンジーな印象を受けた。クラッチは軽くリリースも簡単そうだ

そのS360が復活、デモンストレーション走行を行った。復活といっても一般的なレストレーションによる再生ではなく、ほとんど手作りにより再現したものだ。なにしろレストアしようにも元になる原型が存在しない。わずかに残った5枚の設計図と奇跡的に残っていた当時のパーツ、それにT360、S500、600のパーツを加工しながら完成させたという。全長わずか3m、全幅1.3mという当時の軽自動車規格に合わせ作られたこのS360は、ホンダ初の4輪車となったT360トラックよりも早く本田宗一郎氏により企画されたといわれる。’50年代後半から4輪車の開発がスタートし、FFのX170と呼ばれる試作車は空冷の60度V型4気筒の360ccエンジンで、その後の2号車X190はFRとなり、水平対向4気筒エンジンの360ccだったという。

当時としては驚くほど高価で高精度なDOHCエンジンを開発

エンジンはT360のAK250Eを改良して今回のS360に搭載。4気筒356cc、DOHCエンジンのパワーは33ps/9000rpm。ミッションはS600のものを今回は流用

エンジンはT360のAK250Eを改良して今回のS360に搭載。4気筒356cc、DOHCエンジンのパワーは33ps/9000rpm。ミッションはS600のものを今回は流用

デモンストレーション走行を行った元本田技研社長の川本信彦氏によれば、V型エンジンも水平対向エンジンも「ほかと同じようなエンジンはダメだ」という本田宗一郎社長のひと声で中止となり、当時の軽自動車用360ccエンジンとしては驚くほど高価で高精度なDOHCエンジンを開発し、このS360とT360に搭載しようと計画していたわけだ。エンジン自体はほぼ共通のものだが、それぞれ専用として開発された。S500市販時には、“世界に通用するホンダスポーツ”が狙いだったため、全幅が135mmワイドになり、全長が310mm延長されたボディになり、エンジンも531ccにアップされたS500として世に送り出された。それでもパフォーマンス的に本田宗一郎氏の満足を得られず、わずか3カ月で600ccにアップされている。

復元のプロジェクトでは当時の情熱ある技術の伝承がひとつの目的

祝 S660誕生

祝 S660誕生

そのSシリーズでは’66年にS800に。さらに’68年には最終型となるS800Mとなり、デビュー時に独自のドライブトレーンだった“チューン駆動”によるリアスイングアクスルからパナールロッドを持つリジッドアクスルに変更され、’70年5月まで約2万5000台が生産されSシリーズの幕は閉じた。それから’99年まで約30年近いブランクがあったが、伝統のSがS2000として登場、’09年まで作られたのは記憶に新しいことだが、その間、ホンダはNSX、ビートなどのミドシップにもトライ。ホンダのスポーツスピリットは伝承されているが、このS360の復元のプロジェクトでは当時の情熱ある技術の伝承がひとつの目的だったを責任者の小林康人LPLは説明する。来年このS360の正統派の後継車、S660が世に問われることになるが、その前にホンダ“S”の原点を知ることは、ホンダの新しいチャレンジにとっても必要なことだったのは間違いない。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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