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更新日:2018.11.09 / 掲載日:2017.11.29

トヨタ ニュークラウンの出そろった最新評価

14代目の新型クラウン

【本記事は2013年5月にベストカーに掲載された記事となります。】1955年の初代デビューから数えて14代目となる新型クラウン。発売前後は、大胆に変貌したフロントデザイン、2.5Lにダウンサイジングしつつ燃費性能が大幅に向上したハイブリッドに注目が集まっていた。比較的保守的なユーザーが多いクラウンゆえ、そんな斬新なデザインで大丈夫か? という編集部の杞憂とは裏腹に、新型は事前受注の段階から予約が殺到、発売直後は納車3カ月以上という騒ぎにもなった。特にハイブリッド人気が高く、トヨタでは増産体制で対応、現在では納車2カ月程度に縮まっている。

関連記事:【新型クラウン 最新情報】フルモデルチェンジした次期クラウン・気になるスペックは?

新型クラウンの概要

新型クラウンではスポーティなアスリートシリーズにもハイブリッドモデルが設定された。販売データをみるとHV比率は6割を超える。カムリに採用されて定評のある2.5LTHS2をFR用に改良してクラウンに搭載

新型クラウンではスポーティなアスリートシリーズにもハイブリッドモデルが設定された。販売データをみるとHV比率は6割を超える。カムリに採用されて定評のある2.5LTHS2をFR用に改良してクラウンに搭載

さて、新型クラウンの概要を説明しておこう。ラグジュアリーな「ロイヤル」とスポーティな「アスリート」の2シリーズは前モデルと同じ。新型は、両シリーズにハイブリッドを設定した点がポイント。このハイブリッドを含め、パワートレーンは3タイプ。直4、2.5L+モーターでシステム出力220psのハイブリッドのほか、V6ガソリンユニットでは、203psの2.5Lと315psの3.5Lをラインアップする。3.5Lはアスリート専用だ。さらに、それぞれに装備の違いで3グレード(3.5アスリートは上位2グレードのみ)が設定されている。価格は、前モデルから僅かに引き上げられた程度。この価格設定も人気上昇の要因といえるだろう。

基本コンポーネンツは、先々代の12代クラウンからのキャリーオーバーである。12代クラウンは、「ゼロクラウン」とも呼ばれ、プラットフォームやサスペンションなどすべてのコンポーネンツを新設計した。その後2代にわたって継承されたわけで、熟成を重ねて現行モデルにも採用された。ハンドリングや乗り心地が高く評価されるのもこのためだろう。開発費を抑えられたのだから一石二鳥である。これだけ好調のクラウン、本当にいいクルマなのか。発売後3カ月、専門家諸氏に冷静な目で新型クラウンを再評価してもらった。ハイブリッド、ロイヤル、アスリートを採点。歴代クラウンのなかでの順位も聞いた。

 ハイブリッドの最新評価

ハイブリッドの最新評価国沢光宏の見解日本で使うクルマとして評価すれば100点を付けられる。ヨーロッパやアメリカだと絶対的な動力性能という点で厳しいものの、日本は速度レンジが低いためハンデにならず。加えてエンジン停止時間が長いため静粛性高く、質感だってすばらしい。他のグレードより高い価格も、ランニングコストの低さで軽くカバーできてしまう。クラウンを買うならハイブリッドしかないと思います。8点だったのは、追突低減ブレーキがショッパく、歩行者視認もできないこと。普通のクラウンより凝ったブレーキシステムなど採用しているのだから、アイサイトくらいの機能は持たせてくるかと期待してました。西川 淳の見解圧倒的な静粛性、ゆったりとした乗り心地、モーターの力を借りた充分な加速、リーズナブルな燃費性能……。現在のクラウンユーザーをよく見てる。運転していて余計な気遣いのないクルマやから、ぜんぜん疲れへん。日本の道で使う道具として、めっちゃ優秀や。今、クラウンを買うなら、HVがエエわ。せやけど細かな動きに、味わいの深さ=身のぎゅっと詰まった高級な感じ、が足らへんと思うのよ。たとえるなら時代遅れの水。輸入ミネラルウォーターはもちろん、(今や旨い)水道水と比べても味気なし。カルキ臭い水道水しかなかった頃ならまだしも、シタの肥えた現代人から新客を獲得するのって……。ドラえもんでもムリなんちゃう?清水草一の見解乗れば乗るほど、完成度の高さに感心してます。弱点は、アクセル全開時のフィーリングくらい。さすがにアクセルを床まで踏んで上までブチ回すと、4気筒らしいガサツな音と振動が出るし、加速自体も物足りなく感じる。でも、それ以外の状況では文句なくすばらしい。街中から高速道路での巡航、そしてアクセル開度7~8割までのワインディング走行まで、実に気持ちイイし、燃費も驚くほどイイ! ガソリンモデルの2倍くらい走る。特に感心したのが高速巡航。本来、HVは得意じゃないはずだけど、この静かさと低燃費は何? これならクリーンディーゼルにも対抗できる! 乗り心地も抜群。

ロイヤルの最新評価

前モデルのロイヤルシリーズに設定されていた3Lを廃止、2.5Lに一本化された。ただ、ハイブリッド、ガソリンとも充分なパフォーマンスで、ロイヤル系のハンドリングや乗り心地を高く評価する専門家も少なくない

前モデルのロイヤルシリーズに設定されていた3Lを廃止、2.5Lに一本化された。ただ、ハイブリッド、ガソリンとも充分なパフォーマンスで、ロイヤル系のハンドリングや乗り心地を高く評価する専門家も少なくない

ロイヤルの最新評価徳大寺有恒の見解クラウンが誕生してから50年以上が経った。同じ名前で半世紀以上にわたって売られている国産乗用車は凄いと思う。そのクラウンの14代目に当たる新型に先日乗ってみた。“クラウンの生まれ故郷”である豊田市周辺を走ってみて感じたのは「いつものクラウン」だということであった。だれがいつ乗ってもクラウンだとわかる、同じ結果が得られるというのは凄いことだと思う。こうした国産車は他に見当たらない。このぶれない姿勢というのはユーザーが支えてきたともいえるが、たいしたものである。クラウンもポルシェと同じように最新のものがいい。だからこの新型が一番いいと思うのだ。飯田裕子の見解クラウンは“日本(トヨタ)のお父さん”のような存在。父親はいて当たり前……的な。しかし大人になり、さまざまな事や人物に触れるなかで父親の存在の大きさを改めて知る……。そんな気分でアラフォー世代あたりの男女がさり気なく日本車の王道、クラウンの存在に気づき目を向けて損はないのが新型ではないかと……。日本の道路や住宅事情を見て開発された全幅1800mm、最小回転半径5.2mの取り回しのよさ。さらにロイヤルは乗り心地がよくハンドリングもしっかりと作り込まれつつ自然。シートはサポート性に優れ、フィット感が最高です。飾らない清らかさと基本性能の頼もしさを持つスタンダード=王道はやっぱりロイヤルでしょう。竹平素信の見解いい意味でクラウンらしさが薄くなった現行だが、ロイヤルにはもともと備えていたクラウンならではの乗り味をしっかり主張してほしかった。運転しても、助手席、後席に乗っても「これがクラウンの味なんだな~」といった感じがしない。上手にまとめたトヨタ車であり、スムーズでナチュラルなハンドリング、レスポンスよくパワーも充分なV6、2.5L、乗り心地も上々だ。が、それがフツウすぎてつまらない。走りのパフォーマンスはアスリートにまかせ、ロイヤルはゆっくり、しっとりした乗り心地、かつ穏やかなハンドリングなどソフトな仕上げでいい。エンジンも元気すぎ。

アスリートの最新評価

歴代モデルよりスポーティ性を高めた新型アスリート。足回りのセッティングは、クラウンとしてはけっこう固く仕上がっている。3.5Lには18インチタイヤ、8速ATが組み合わされ走行性は高い

歴代モデルよりスポーティ性を高めた新型アスリート。足回りのセッティングは、クラウンとしてはけっこう固く仕上がっている。3.5Lには18インチタイヤ、8速ATが組み合わされ走行性は高い

アスリートの最新評価松田秀士の見解新型クラウンは、先々代のゼロクラウンからプラットフォームは継承。熟成させてボディ剛性などをアップさせている。なのに走らせると驚くほどボディ剛性が堅剛になった感覚を受ける。理由はサスペンションアームをしならせ入力を逃がし、乗り心地とハンドリングを両立させているからだ。計算に基づいたもので、こんな方法があったのかと感動!アスリートはリアのコンビネーションランプのサイドリップやトランク形状でスポイラーを装着せず70%も空力によるリフトを減少させている。だから、どのような速度域でもリアがしっかりとし、大人のスポーツのコーナーリングが楽しめるようになった。鈴木直也の見解パフォーマンスの面でみれば、プレミアムサルーンのなかではトップレベルの高性能車といっていい。3.5L/315psはパワフルのひとことだし、ハンドリングと乗り心地のバランスもまずまず。シャシーもよく熟成されて進化を感じられる。ただ、いいクルマには仕上がっているんだけど、世界的な高級車の潮流からみると微妙なズレを感じるんだな。NA3.5Lという時点で燃費競争激化の最近じゃ少数派だし、シャシー性能も「傑出している」とはいい難い。従来プラットフォームのわりに頑張ってるんだけどね。あまり攻めていないというか、国内市場限定車というか、デザイン以外に「クラウンは新しくなったぞ」というイメージが薄いのが物足りない。斎藤 聡の見解すごく真っ当なスポーティセダンに仕上がったと思う。1つのシャシーを3世代にわたって使っており、コスト削減的な側面も見え隠れするが、そのぶん、しっかり時間をかけウイークポイントを洗い出して熟成を図っており、走りの洗練度が大幅に向上したことは間違いない。今まで、かなり遠いところで動いているような感覚があったタイヤの様子が、手元・足元まで近づいていて、タイヤの接地の様子やタイヤが路面にグリップしている感じがかなり明瞭にわかるようになっている。そのぶん、18インチタイヤの硬さが目立ち、せっかく作り込んだしなやかな足回りの印象をだいぶ損しているように思う。

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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