ホンダCR-Zバージョンアップ！！

【本記事は2012年11月にベストカーに掲載された記事となります。】世界初のHVスポーツとして登場してから2年半、販売面で少々伸び悩んでいるCR-Zだったが満を持してマイナーチェンジ！ パワーアップ＆足回りを強化して期待のかかるニューフェイスは本格スポーツに近づいたか！？ さっそく試乗してみました

■マイチェンCR-Zの変更点（1）エンジンの改良による出力アップとCTV車の燃費改善。（2）リチウムイオンバッテリー採用によるモーター出力アップおよび使用時間の延長。（3）足回りの改良によるハンドリング性能の向上。（4）バンパー／グリルデザインを中心に外観変更。

ホンダのハイブリッドスポーツCR-Zが大幅なマイナーチェンジを受けて登場した。’10年のデビュー時には、モーターをターボとして使う発想は新しく、モーター独特の低速のトルクアップ効果が、低回転域のトルクの貧弱小排気量エンジンとよく合っていた。結果的に実トルクバンドが広くスポーティな走りを可能にしてくれた。今回のチェンジでは、モアハイブリッドスポーツをコンセプトに、エクステリアやインテリアはもちろんのこと、パワーユニットやバッテリー、足回りまで、全般にわたって手直しが施されている。

パワートレーンは、高回転・高出力化した1.5L、i-VTECを採用。従来型が114（CTVは113）psだったのに対し、新型は120（同118）psに出力アップが図られ、同時に、燃費の向上を図るため、エンジンのフリクションロスを低減。ピストンスカート部に二硫化モリブデンコーティングを施している。燃費はCVT車が0.2km／L向上。わずかだが出力アップと同時だけに価値がある。そして目玉となるのが、バッテリーだ。従来はニッケル水素だったが、今回のマイナーチェンジでリチウムイオンバッテリーを採用した。従来型に比べ約1.5倍の電圧を発生するため、より強い加速性能を実現している。これによってモーター出力は、従来14馬力／8.0kgmだったものが、20馬力／8.0kgmにパワーアップしている。

足回りもフロントスタビライザーが18mmφから19mmφに拡大するとともにダンパーの減衰力も手直ししている。

■加速の伸びが気持ちいいさて、少々前振りが長くなったが、実際に走らせたらどうなのか報告してみよう。まず感じたのはパワーユニットの力強さがひと回り以上アップしていることだ。リチウムイオンバッテリーの電圧アップ効果によって、モーターの出力が上がったことが大きい。しかも、そのままアクセルを踏み続けてエンジンが高回転になってくるとパワー感が前面に出てきて、エンジンの存在感とともに伸びのいい加速が楽しめる。詳しくいうと、CVTと6速MTはパワーユニットの印象も少し違っている。ATはCVTのプリーの制御が影響しているのか、モーターの得意な低速域でドンとトルクを出しておらず、トルクカーブ全体をかさ上げしているような印象がある。それでも記憶している従来型CR-ZのCVTと比べると、加速がひと回り力強く、そして速い。6速MTはもっとダイレクトにモーターの存在感を感じる味付けだ。1000回転くらいでクラッチをつなぎ無造作にアクセルを踏むと、腰のあたりを力任せに押し込まれるようなトルクの強さが感じられる。そのため単純に強い発進加速が味わえるだけでなく、例えば3速1000回転からでも、ごく普通に加速してみせる。加速の感覚はもちろん1.5Lエンジンのそれではなく、3Lかそれ以上の排気量の低速トルクに似ている。エンジン本体の印象もやはりMTのほうが明瞭だ。回転を上げることにパワー感がくっきりと浮き上がってきて、存在感が増し、また伸びのいい加速感につながっていく。パワーアップと発生回転が高回転側にシフトしたことで、エンジンを回す楽しさも増している。

■シャープな17インチ足回りが変更になって、操縦性もグレードアップした。変更点はフロントのスタビライザー径アップとダンパーの減衰力変更。それに新しく17インチ軽量ホイール＋ミシュランパイロットスポーツ3という組み合わせが加わった。17インチには、6速MTで試乗した。ノーズの動きをよくする味付け。ホイールの軽さも効いているのだろう。足元が軽い印象があった。また、タイヤのグリップキャパシティが上がっているぶんコーナリングスピードも高く仕上がっている。それでいて乗り心地もよかった。

16インチはポテンザRE050との組み合わせでCVTで試乗した。こちらのほうがクルマの動きがマイルドで、乗り心地もタイヤのたわみが上手く使えておりしなやかな印象だった。見た目のカッコよさとシャープな操縦性を好むなら17インチ、マイルドな乗り味を好むなら16インチがお薦めだ。

CVTとMTは、個人的には圧倒的にMTをお薦めしたいのだが、CR-Zに新しく付けられたPLUS SPORTシステムとの相性はCVTのほうがいい。その注目のシステムだが、ステアリングに付けられた「＋S」（プラスS）ボタンを押してから軽くアクセルを踏み増すと、スロットルバルブとモーターアシストが最大化する。つまり、アクセルをベタ踏みしたのと同じ状態になる。バッテリーに電力があれば使える。印象として20～30秒はもちそうだ。イージー追い越しモードとでも言ったらいいのだろうか。簡単に強い加速が得られる。おもちゃ的ではあるが、案外高速巡航では役に立つ。本気のスポーツカーとは違うかもしれないが、CR-Zが楽しいクルマであることは間違いなく、今回のマイナーチェンジで、その面白さは大きくなっていると思う

スーパーチャージャーで156ps 無限 CR-Z MUGEN RZ 見参！CR-Zのマイチェンに合わせて、無限からコンプリートモデル「MUGEN RZ」が登場だ。なんといってもスーパーチャージャー（SC）に大注目。軽量タイプのSCでIMAシステムとの相性もよく、エンジン出力は156psに引き上げられている。もちろん、専用にチューニングされた足回りやエアロパーツを装備している。6MTのみで449万4000円。限定300台。売り切れ間近だ。

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