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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
ポルシェ新型ボクスター日本上陸 歴代で最も劇的な進化!
日本で初披露

918スパイダープロトタイプ
【本記事は2012年8月にベストカーに掲載された記事となります。】6月22日、ポルシェジャパンは新型ボクスター/ボクスターSを日本で初披露した。986型(’96年)、987型(’04年)を経て、3代目となる新型は981型となり、ボディからプラットフォーム、エンジン、サスペンションまですべてがまっさらという史上最も劇的なフルモデルチェンジとなる。新型ボクスターを実際にこの目で見た第一印象は、これまでのボクスターとは違って、兄貴分の911とは似ていないこと。クオリティ(特にボディ)が格段に上がり、911との差が縮まって、かなり立派になった。
価格はかなり魅力

電動トップは12kg軽量化し、開閉時間は9秒という早業 テールランプ上まで伸びたリアスポイラーのデザインが新鮮。120km/hに達すると自動的に上昇し揚力を低減。格納すると、スポイラーのエッジはLEDテールライトと調和するなど、新たなデザイン手法が採用されている。ソフトトップは約9秒で開閉し、50km/hまでならば走行中でも開閉が可能。手動での操作はスイッチのみ
918スパイダーをモチーフにしたヘッドライトやエッジの効いたフェンダー、さらには、カレラGTを彷彿とさせる深く彫り込まれたサイドインテーク、テールランプと一体化したリアスポイラーなど、新型911と見比べてみたが遜色のない出来。実際、これまでのボクスターとは違い、ボディは一から作り直され、911との共通部分はない。この内容で584万円からという価格はかなり魅力だと思う。ラインアップはボクスターの6速MTが584万円、同ツインクラッチの7速PDKが631万円。ボクスターSの6速MTが727万円、同7速PDKが774万円。正直「ボクスターは弟分でポルシェとして認めたくない。本道は911」というのがあるけれど、発表会の席でポルシェジャパンの黒坂登志明社長が「ボクスターはもはや911の弟ではなく、双璧と呼んでも過言ではありません」と言うとおり、そうは言っていられなくなったというのが正直な感想。そのいっぽうで、中身は991型911と多くの部分を共用しており、全面刷新にあたって911と同様にアルミニウム合金を多用しているのが特徴だ。床、ドア、前後フードなどボディ質量の46%がアルミ合金製で、センタートンネル付近にはマグネシウム合金が使用され、静的ねじれ剛性は40%も向上しているという。車重はモデルによって違うが25~35kg軽量化されている。例えば先代986型(MT)は1335kg、新型981型は1310kgだ。

電動トップは12kg軽量化し、開閉時間は9秒という早業 テールランプ上まで伸びたリアスポイラーのデザインが新鮮。120km/hに達すると自動的に上昇し揚力を低減。格納すると、スポイラーのエッジはLEDテールライトと調和するなど、新たなデザイン手法が採用されている。ソフトトップは約9秒で開閉し、50km/hまでならば走行中でも開閉が可能。手動での操作はスイッチのみ
ボディサイズは全長4374×全幅1801×全高1282mm。先代よりも全長が32mm長く、全高が13mm低くなった。いっぽう、ホイールベースは60mm、フロントトレッドを40mm延長したことにより、見た目の力強さが増している。電動ソフトトップはシステム全体で12kgの軽量化が図られロック・アンロックの手動操作が不要な全自動式となりスイッチひとつで約9秒で開閉可能だ。ミド搭載されるエンジンは自然吸気の直噴。ボクスターが先代の2.9Lから187cc排気量を小さくした2.7Lフラット6。最高出力は先代から10psアップの265ps、最大トルクは1.0kgmダウンした28.6kgm。ボクスターSの排気量は3.4Lと変わらないが、先代に比べ、最大トルクは同じ、5psのアップとなる。トランスミッションは、両モデルそれぞれに6速MTと7速PDK(ツインクラッチ)が用意される。全車、エネルギー回生システム(制動時など)やアイドリングストップ機構を搭載し、PDK搭載車はアクセルオフ時などにアイドリング状態で巡航するコースティング機能も装備。燃費は先代モデルに比べて最大15%アップしている。
先代ボクスターから走りはどう進化した?

エアインテークなどカレラGTからデザインテイストを受け継ぐボクスター
先代ボクスターから走りはどう進化した?ここでひと足先に海外試乗会で新型ボクスターを試した先代ボクスターオーナーでもある自動車評論家、渡辺敏史氏の走りのインプレッションを語ってもらった。ボディサイズは旧型とほとんど変更はなし。それでいて、50kg前後の軽量化を達成した新型ボクスター。そのパフォーマンスを示す一端は、先代から12秒も短縮した7分58秒というニュルブルクリンク北コースでのラップタイムだ。これは3.4LのボクスターSに、20インチタイヤやカーボンセラミックブレーキといった機能系オプションが載った車両がマークしたものだが、そこから想像されるケタ外れの運動性能がにわかに信じがたいくらいに、快適性は格段に向上。常速域での静粛性は幌屋根のオープンカーとして充分納得できる範囲なうえ、キシミやスレのような音はまるで感じ取れない。乗り心地はヘタなスポーツセダンをも凌駕するほどしなやかで、取り回しも楽ラク……など「飛ばさずとも乗用車として上質」というボクスターの美点は進化したカタチで継承され軽くなった車重も奏功して動力性能的には充分以上。さすがにごく低回転域でのトルク感はやや乏しいものの、1500rpmも回れば充分なレスポンスをみせてくれる。そういう領域を上手に掴み取る7速PDKとの組み合わせではとてもピュアスポーツカーとは思えない燃費も叩き出すが、いっぽうの6速MTを駆使しての走りの気持ちよさこそがこのクルマの真骨頂だろう。有無をも言わせぬ速さのボクスターSに対して、エンジンの回転フィールや音質の情感が強いのも嬉しいポイントだ。今後もボクスターは、単なる2シーターオープンという枠を超え、すべてのスポーツカーにとっての完璧なベンチマークであり続ける。そう言い切れる圧倒的な完成度だと思う。