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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30

花より団子!! 華はないけど中身は上々 カローラアクシオ&カローラフィールダーをどこよりも早い試乗レポート!

「ひっそりと」モデルチェンジ

【本記事は2012年6月にベストカーに掲載された記事となります。】日本を代表するカローラの新型がデビューした。11代目にして初めてボディサイズを小さくする、文字どおりダウンサイジングされたニューカローラ。見た目には前モデルと大きく違わないスタイリングだが、その実力は変わったのか。さっそく乗って、走ってチェックする。カローラが「ひっそりと」モデルチェンジした。かつては、カローラのモデルチェンジといえば日本の自動車業界どころか世界的な大ニュースで、技術的にも経済的にもその影響が大いに注目されたものだけど、いまじゃそういう華やかな役回りを演じるのはハイブリッドやEVなどの次世代エネルギー車。カローラはシニア層やフリートユーザー向けのニッチなベーシックカーというイメージで、自動車雑誌的にもあんまり注目を集めることがなくなってしまった。で、今回のモデルチェンジした新型の出番ということになったのだが、トヨタの発表した月販目標台数はセダンのアクシオが3000台、ワゴンのフィールダーが4000台。なんとも控えめな数字だ。セダンが売れなくなったのは昨日今日の話じゃないし、ひとつの銘柄のクルマが月に何万台も売れるご時世でもないが、’69年からずーっと連続して国内ベストセラー車だったカローラが月7000台、しかもセダンが3000とは、あらためて隔世の感アリだ。

ホントに小さくなったのか!?

広くはないが、狭さも感じない新型カローラ。万人向けの設計だから国民車になれる可能性はあるが、今はミドルセダンの時代じゃない

広くはないが、狭さも感じない新型カローラ。万人向けの設計だから国民車になれる可能性はあるが、今はミドルセダンの時代じゃない

ホントに小さくなったのか!?新型カローラのウリがダウンサイジング、ボディを小さくしたことにあるんだけど、パッと見た第一印象では、小さくなったイメージはない。デザインコンセプトが先代とほとんど変わらないから、というよりカローラという役回りからいうと変えようがないから、全長がアクシオで50mm、フィールダーで60mm先代より小さくなった、という先入観を持って見ても、「あんまり変わってないじゃん」という印象になってしまう。では、室内スペースはどうか。ボディは小さくしても中は広いというのも新型カローラのセールスポイントで、こちらはリアシートに座って見ると、足元に余裕が感じられてよい。旧型から乗り換えると、きっと広さを実感できるだろう。今回のモデルチェンジに合わせて、トヨタのラインアップで一つ下のセダンであるベルタが廃止される。つまり新型カローラはベルタの後継モデルということにもなるわけだが、ベルタからの乗換えなら、それは広さの恩恵を充分に感じられるに違いない。ただ、後席に座った印象は『昭和のクルマ」。ちょっと古臭い。それは、デザインもそうだしインテリアの質感やシートの素材などすべてに感じられる。これはけっこういなマイナスポイントになる。

素性のよさに意外な驚き

COROLLA AXIO:セダンのバランスがいいねMTのクォリティも上がっている!

COROLLA AXIO:セダンのバランスがいいねMTのクォリティも上がっている!

素性のよさに意外な驚きで、いよいよ試乗になるのだが、こりゃもうある種の悟りの境地に到達したクルマ、といっていいんじゃないかと思う。「いまの日本市場で求められているスモール4ドアセダンって何よ?」と問われたら、燃費がよくて、価格が割安で、使い勝手がいいセダン……、もうソレしかない。あれこれ余計なことはせず道具に撤する。これが新しいカローラのテーマなんじゃないかしら?こんなことを言うのも、なんの先入観もなく(というよりなんの期待もなく)試乗してみたら、クルマとしての“素”の部分がけっこうイイ味だしていることを発見してしまったからなんだね。今回まず試乗したのは、カローラアクシオ1.5Gの5MTというベーシックモデルなんだけど、なんと表現したらいいんだろう、これがじつにバランスがよくて良質な走りっぷりを披露してくれる、美味しい素うどんみたいなクルマだったんだわ。主要コンポーネンツはほぼ先代からのキャリーオーバーで、まぁ特筆すべき特徴のないエンジンといっていい。さらに、サスペンションについては、このモデルからヴィッツと共用のプラットフォームとなって、どっちかというと「格落ち?」というイメージすらある。ところがですよ。案に相違してドライバビリティ、ハンドリング、乗り心地ともにヴィッツの3倍はイイ! いや、3倍は大げさだけど、ボクのイメージの中ではそのくらい好印象だったのだ。アクア以降、トヨタのベーシックカーの足が目に見えてよくなってきているけど、このカローラもちゃーんとそのトレンドに乗って進化しているのに大いに意を強くした次第なのだ。それともうひとつ、「今さらMTかよ?」と思って乗ってみたんだけど、エンジンのブリッピングレスポンスはいいし、シフトタッチは正確だし、クラッチのミートフィールは滑らかだし、「え? ひょっとして86よりイイかも?」と思わせるくらいシフトが楽しい。ボクはこのクラスの日本車のMTは「真面目に作ってないのでは?」と疑いの目で見ていたけど、このカローラはMTもキチンと丁寧に仕上げてあることがちゃーんと実感できる。道具に撤する上で、これはたいへんに大事な姿勢だと思いません?このアクシオ1.5に比べると、次に乗ったフィールダー1.8Sはスポーツワゴンとして売りたいという“色気”が隠せないぶん、ボクの中ではポイントが低い。ただ、操安/乗り心地はアクシオ1.5よりちょっと固めながらこれはこれでウェルバランスで、ファミリーユースにもちょっとしたスポーツドライビングにも過不足なく応えてくれるという感じ。アクシオ1.5同様、シャシーは期待していた以上のクォリティで、これは新しいカローラに共通する美点といっていいんじゃないかと思う。

素直でシンプルなデザイン

噂されていたハイブリッドは搭載されなかった新型カローラ。全長、全幅はセダンもワゴンも同じ数値。スペース効率を追求したパッケージングは使いやすい設計だ

噂されていたハイブリッドは搭載されなかった新型カローラ。全長、全幅はセダンもワゴンも同じ数値。スペース効率を追求したパッケージングは使いやすい設計だ

素直でシンプルなデザイン最後に、「欲をいえば、これでデザインが……」というところなんだけど、これに関しては試乗が終わってちょっと考えが変わった。新しいカローラの実車にはじめて接したとき、正直「なんとまぁ華のないデザイン……」と思ったのは事実なんだけど、走り込んでみて「道具として悪くないクルマじゃん!」ってことを発見してからそのスタイルを見直すと、なんといいましょうか、変なてらいがないシンプルで素直なその造形センスも悪くないかも、って思い直したのだ。見栄やハッタリとは無縁だけれど、今度のカローラはクルマの“素”の部分がしっかりしたいいクルマ。それが、今回新型カローラに試乗したボクの結論であります。

歴代モデルと当時の流行ファッション

新語ハウスマヌカン登場 ’80年代前半 4代目カローラ

新語ハウスマヌカン登場 ’80年代前半 4代目カローラ

歴代モデルと当時の流行ファッション日本の女性ファッションに衝撃を与えたのが、’67年に来日したイギリス人モデルのツイッギーといってもいいだろう。細い身体にミニスカートというファッションに多くの若い女性が憧れ、そして世の男性を虜にした。’70年代に入ると、ベルボトムジーンズが大流行。街中に同じ格好の若者が溢れた。また、若い女性の間では、お嬢様スタイルのハマトラファッションが流行、竹の子族も話題になった。カローラは、ツイッギー来日の前年(この年にはビートルズが来日している)の1966年にデビューした。高速道路が開通し、本格的なクルマ社会の到来を見据えたトヨタが、力を入れて開発した小型車である。’70年に2代目にモデルチェンジ。シャープなデザインとスポーティな走行性能がユーザーの心をつかみ、長期販売トップの礎を築いた。カローラ時代の幕開けである。’80年代になるとDCブランドが人気を呼ぶが、なかでも「異端」といわれたのが、全身黒ずくめのファッション。当時、ハウスマヌカンと呼ばれた(今は言いません)、流行に敏感なアパレルショップの販売員たちが好んで取り入れ、カラス族とも呼ばれていた。サニーとの排気量戦争を展開していたカローラは、’79年に登場した4代目で1.8Lエンジンを搭載。さらに5代目では欧州車を意識したデザインを採用して独走状態を固めている。バブル景気に沸いた’80年代後半。ディスコが一大ブームとなる。ワンレン、ボディコンファッションに身を包み、お立ち台で踊る女性がテレビなどで取り上げられていた。クルマ社会では、ハイソカーブームが定着。’87年にモデルチェンジした6代目カローラは、前モデルに比べて丸味を帯びたデザインへと変更され、上質感のあるインテリアだった。

評論家3人の証言 デザインはアジアテイスト、HV搭載なし 11代目カローラに『国民車の資格』はあるのか!?

COROLLA FIELDER:スポーティな走りのワゴンファミリーユースにも問題なし

COROLLA FIELDER:スポーティな走りのワゴンファミリーユースにも問題なし

評論家3人の証言 デザインはアジアテイスト、HV搭載なし 11代目カローラに『国民車の資格』はあるのか!?世界で最も売れたクルマとしてギネスにも認定されているカローラ。日本じゃもう、国民車として売れに売れまくったわけだが、しか~し、栄枯盛衰。おごれる平氏は久しからずじゃないが、いまや国民車は燃費のいいエコカーに移っている。そこに登場する11代目カローラ。果たして再び頂点を狙えるクルマに仕上がったのか。3人の識者が新型カローラをズバリ斬る!

片岡英明の証言 若い人が見向きもしない国民車はない

COROLLA AXIO:新型カローラのインテリア。ダッシュボードが特徴的だ

COROLLA AXIO:新型カローラのインテリア。ダッシュボードが特徴的だ

片岡英明の証言 若い人が見向きもしない国民車はないカローラやサニーとともに育ってきた世代だから、カローラには特別な思い入れがある。が、2000年に登場した9代目からポッチャリしたデザインに転じ、コンサバ路線を歩み始めた。これ以降、若い人は見向きもしなくなってしまったように思う。今度の11代目もジミで目立たない無印良品だ。カローラを何台も乗り継ぐユーザーが多いため年齢層は上がる一方で、70代以上のユーザーも少なくない。そういう人にはいいのだろうが、もう少し「ときめき」のあるデザインで登場してほしかった。ダウンサイジングして日常の取り回し性と使い勝手を向上させているのは高く評価できる。だが、メカニズムはちょっと物足りない印象だ。エンジンにもサスペンションにも、まったく新鮮味が感じられなかった。1.3Lエンジンを復活させたのは朗報だが、エコ性能をケチりすぎだ。トヨタ自慢のハイブリッドカーを設定していないし、今が旬のアイドリングストップも1.5Lモデルにしか用意していない。これでは国民車と呼べないんじゃないの。THS-IIは新世代カローラにこそほしいエコ技術だと思うんだけど……。当然、飛び道具がないから燃費だって最新モデルとしては平凡な数値にとどまった。若い人を取り込めないと、真の国民車とは言えないよ。エコカーからターボ搭載のヤンチャなスポーツグレードまで揃えるのが、国民車、カローラにふさわしいと思う。

国沢光宏の証言 期待は裏切られたがシニア向けMTよし

COROLLA AXIO:1.5Lエンジンは前モデルからのキャリーオーバー。セダンには1.3Lもラインアップされる

COROLLA AXIO:1.5Lエンジンは前モデルからのキャリーオーバー。セダンには1.3Lもラインアップされる

国沢光宏の証言 期待は裏切られたがシニア向けMTよし新しいカローラを見て、トヨタ自身「国民車という位置づけをしてませんね」と思った。開発中は「100万円を切るベーシックカーになる」などと言われており、新しい時代を作ってくれるかとも期待したけれど、発表されてみたら最も安価なグレードで139万5000円。サイドエアバッグやVSC付きとはいえ、ヴィッツ級のシャシーを使うクルマとして考えればまったくチャレンジングなモデルじゃありませんでした。どんな狙いか? こらもう簡単。いわゆる「上がり」の先輩方がメインターゲットでございます。今までクラウンなどに乗っていた先輩方も、ここにきて簡単に運転できるサイズを御所望する傾向。カローラに始まってカローラに終わる、というヤツでしょうか。そう考えてみたらウッド調パネルや、ダブルラッセルのシート表皮など最上級グレードに採用している。それでいて190万円。今やシニア層は増える一方。若者より増加率大きいので、市場としちゃ有望だ。若い年代を狙うより、はるかに効率よい。さらに「踏み間違えが怖いからマニュアルにしたら?」という家人の心配に応え、最上級グレードを除く1.5Lは5MT仕様を残している。マニュアルミッションは脳の老化防止に役立つという。そんなこんなで案外売れるんではないかな、と考える次第。

小沢コージの証言 日本のカローラからアジアのクラウンへ

小沢コージの証言 日本のカローラからアジアのクラウンへあの天才イチローですら、バッティングフォームを変えたように、どんな名選手でもスタイルを変えねばならぬ時がくる。このハイブリッド全盛時代。カローラよ、遂にオマエもか! って感じですよ11代目ぇ~。’90年には年間30万台突破で33年間国内販売トップをひた走ったのも今は昔。’10年には11万台売ったけど、’11年は7万台で’12年1月なんか5000台ですよ。それもア~タ、アクシオにフィールダーにルミオンまで含め!で一見、変えてる感じまったくナシ。どころか逆。周りが盛んにダウンサイジングターボとか入れてるのに、基本1.5L、直4のFFで、せいぜいボディを5cm縮めて逆に室内を広くし、新たに1.3を追加した程度。驚くほどのキープコンセプト。が、違うんですなぁ。スタイルは変わらないけど生きるところに住むところが変わるんです。というのも先日インドに行って驚きましたが、彼の地デリーじゃカローラは高級車! ハッキリ言ってクラウン扱い。インドネシアやタイなんかもそんな感じでカンペキに“アジアのクラウン”。実際、そのたおやかなデザインに静かな走りが埃まみれのアジアでヤケに心に響くんですわ。だからみなさん、そんなに嘆かんで下さい。元気に生きていきますから新しいカローラは!

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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