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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.01
サーキット仕様のレクサスIS F CCSRにぞっこん
超ワクワクモード!

【本記事は2011年10月にベストカーに掲載された記事となります。】今年のオートサロンに出展されたレクサスIS Fをベースとしたレーシングマシンは、カスタマー向けに販売する計画があり、ニュル24時間などツーリングカーレースに出られるものだ。今回その試乗が実現した。久々に目からコンタクトレンズが落ちましたね! 正直な話、試乗する直前までIS Fに対する期待値は低かった。加えて路面状況ときたらウェット。423馬力ある後輪駆動車を走らせるコンディションとしちゃ厳しい。しかし! 試乗直前にショックアブソーバーがザックスであることを知らされる。サーキットで試乗する『CCS-R』仕様だけでなく、市販車やTRDのパーツまでザックスになったそうな。国沢光宏、イッキに超ワクワクモードでございます。
乗り心地の良さにウナる

ボンネットや前後エアロパーツなどはすべてカーボン製で重量を大幅に軽減できる。さらにサスペンションキットや、マグネシウム鍛造ホイールなどで、ノーマルのポテンシャルを高めることができる
「日本車の乗り心地やハンドリングが悪いのはショックアブソーバーのせいだ」と、ナントカのひとつ覚えのように書き続けて幾星霜(少し大げさ)。ついに日本車の頂点の足回り+すばらしいショックアブソーバーの組み合わせを味わえる時がやってきたのですから。5点式シートベルトを締め、ハンドルに付いたパドルで8速ATの1速をセレクト。ピットアウトしてレーンを走り始めた時から「これは期待以上だ!」とウナッてしまう。もはやBMWやベンツと勝負しても明らかに勝っている乗り心地の質感です。ここまで読んで「だってレーシングカーでしょ?」と思うかもしれない。知ってる人は知ってるが、レーシングカーでも乗り心地のよさって非常に重要なのだ。「細かい路面からのツキ上げを感じない」ということはタイヤの接地圧変化が少ないということ。接地圧高くなった瞬間に滑ってしまうし、低くなるとやっぱり面圧下がってグリップは落ちる。動きの渋いショックアブソーバーだと、路面変化に追随できない。特に硬いだけのショックアブソーバーだとウエット路面じゃタコ踊り大会必至でございます。
ウェット路面でさえも楽しい

ボンネットや前後エアロパーツなどはすべてカーボン製で重量を大幅に軽減できる。さらにサスペンションキットや、マグネシウム鍛造ホイールなどで、ノーマルのポテンシャルを高めることができる
■ウェット路面でさえも楽しい「本当にトヨタで作ったクルマなのか?」と驚きつつ1コーナーをクリアしてペースアップ。するとすばらしい印象はまったく変わらないばかりか、ワクワク度が上がるいっぽう。Aコーナーを曲がり、100Rを抜け、ヘアピン通って再び長い右コーナーに向けてアクセルを踏む頃には「とりあえずコースアウトしないで走らなくちゃね」という気持ちから180度変化。すっかり「久々の富士スピードウェイを楽しんでやるか!」になっていた。セオリーどおり1ラップ目の1コーナーは早めのブレーキ。ここから踏む。動きが渋くて突っ張ってしまうサスペンションだと、ウェットで423馬力を2速全開させたら唐突に滑る。されどさすがザックスおあつらえ、ジワッと後輪に荷重がかかるらしく、唐突なホイールスピンにならない。横方向に滑らず、FR車の理想という姿勢で前方向にスライドしていく。ブレーキも同じく姿勢変化が穏やか。前輪荷重の“量”ときたら、まるで自分の手足のようにコントロールできてしまう。フロントに重いV8を搭載しているものの、前輪荷重のかけ方さえ教科書どおりにすれば、まったく気にならず。気がつくと怖いどころか、大笑いしつつ本来なら手強いウェットの大出力後輪駆動を楽しんでしまっている。書き遅れたが『CCS-R』仕様はニュルブルクリンク24時間耐久レースにそのまま出場できるようなスペックを持つ。といってもエンジンやミッションなど限りなく市販車で、ブレーキもマスターバック付き。ボディ補強&軽量化し、ロールケージなどの安全装備を加え、足回りをかえただけ。ナンバーを取得できる『グループN』をイメージしていただければいい。発売が楽しみだ。
乗り心地と運動性能を両立する公道用パーツ、TRDのサーキットクラブスポーツパーツ

インパネなどもカーボン化されたレース仕様
乗り心地と運動性能を両立する公道用パーツ、TRDのサーキットクラブスポーツパーツTRDよりIS Fのスポーツパーツが8月24日に発売された。サーキットクラブスポーツパーツはカーボンパーツによる軽量化と運動性能を向上させる。『CCS-R』仕様に続き、TRDが開発したパーツ装着車を一般道で試す。このクルマもザックス製のショックアブソーバー付き。期待度100%でドライビングシートに座ると、もはやウナってしまった。TRD仕様のIS Fに乗り込み5m転がり、小さいギャップを越えたら「ホメずにゃいられない」でございます。クルマ作りの技術を料理人、素材を魚だと考えればわかりやすい。トヨタの料理人は与えられた魚で一所懸命美味しいモノを作ろうとしてきた。素材を選べなかったワケ。しかし今や世界ナンバー1の魚を使える。できた料理たるやすばらしいとしかいえない。BMW M3やC63 AMGに勝るとも劣らない、というより「明らかに勝っている!」。このクルマなら街乗りからサーキット走行まで楽しめるだろう。走り出してから試乗会場に戻ってくるまで「すばらしい!」とか「トヨタで作ったクルマとは思えないぞ」とウナりっぱなし。価格こそ多少張るが(ショックアブソーバーと補強パーツで70万5600円)、ザックス以外のショックアブソーバー付きのIS Fに乗っている人ならTRDキットの装着をぜひおすすめしておく。