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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.01
ゴルフGTIは史上最強のホットハッチか?
ホットハッチといえばゴルフGTI

1984年 第2世代(日本導入1986年) 当初は初代後期型と同じ1.8LSOHCだったが、’87年にはDOHCエンジンを搭載し105psから125pdにパワーアップしたGTI16Vが登場。’88年には4灯式、’90年にはバンパーが大型化
【本記事は2011年7月にベストカーに掲載された記事となります。】今年、生誕35周年を迎えたゴルフGTI。’76年に初代ゴルフGTIがデビューして以来、ホットハッチといえばゴルフGTIが代名詞になるほど、世界中のホットハッチの指標となり、走り好きの憧れの存在であり続けている。さて、35周年を迎えた現行のゴルフGTIは、はたして史上最強のホットハッチと呼べるのか? 走りのすべてを知り尽くしたGT-R開発テストドライバー、鈴木利男氏がその魅力を探る!ボクが若い頃、ホットハッチといわれて、まず思い浮かんだのはゴルフGTI。実は嫁さんが2代目、3代目に乗っていて、たまに借りて乗っていたんですが運転すると本当に楽しかった。サスのストロークが大きめでしたが、コーナリングを抜けていく時の楽しさは今でも忘れません。
第一印象

黒を基調とした伝統のチェック柄のシートバックにはGTIロゴが入る。ダッシュボードやスイッチ類ひとつとってみても質感が高くガッチリしている。本革シートはメーカーオプション(27万3000円)
■第一印象現行ゴルフGTIはどんな走りをするのか乗る前からワクワクしますね。18インチのアルミホイールと、赤いラインが入ってブラックアウトされたグリルにGTIバッチ。顔つきはやる気がみなぎっているという感じがします。インテリアも伝統のチェック柄でいいですね。バケットシートに身を沈めると、作り込みのよさを感じます。ドイツ車らしい隙のなさが滲みでていますね。
街中での走り、乗り心地

取材車の225/40R18タイヤと7.5J×18インチのアルミホイールとアダプティブシャシーコントロールDCCは21万円のセットオプション。コンソール下にあるスイッチでコンフォート、スポーツに切り替えることができる(通常はノーマルモード)
■街中での走り、乗り心地このゴルフGTIには18インチタイヤとセットオプションのアダプティブシャシーコントロールDCCが付いています。ノーマル、コンフォート、スポーツの3段階に切り替えができるんですが、ノーマルでも充分乗り心地がいいですね。コンフォートモードにすると多少サスストロークが伸びて快適です。これならリアシートに子供を乗せても文句は出ないんじゃないかな。スポーツモードにするとダンパーの伸び側が抑えられるけど「固い!」というほどではなく「固め」という印象。
ワインディングで徹底チェック!

6速DSGはフロアのシフトレバーをDからSレンジに切り替えパドルシフトを駆使すればスポーツ走行も可能
■ワインディングで徹底チェック!ツインクラッチの6速DSGは街中ではDレンジのまま走っていましたが、Sモードに入れて走ってみます。正直Dレンジで加速していくと、ボクには物足りません(笑)。比較するのも禁句かもしれませんが、シフトアップの時間は、GT-Rが0.2秒くらい、このGTIは0.5秒くらいかな。でもDレンジのシフトチェンジはスムーズ。一般ユーザーの方は満足すると思います。それがどうです、Sモードに切り替えて、ステアリングにあるパドルシフトを使ってシフトアップしていくと、性格が激変します。211psの2L直噴ターボエンジンが一気に水を得た魚のように4000rpmあたりで「ポ~ン、ポ~ン」とシフトアップしていきます。レッドゾーンは6200rpmと決して高くはありませんが爽快な気分にさせてくれますね。しかもシフトダウンでブリッピングするのもいい。コーナリングは昔のGTIとはまったく違う。このGTIは弱アンダー気味で、ロールが少なく、内輪の接地感が抜群にいい。これは駆動輪内側の空転を抑えてアンダーステアを軽減するXDS(電子制御式ディファレンシャルロック)が装着されているからだと思いますが、ブッシュも固くして剛性感を出しています。もっと高速のコーナーで走りたくなりましたよ。ブレーキ性能も不安はありません。うずうずしてきたので、撮影したワインディングの帰りに高速道路に乗り、進入路や加速フィールを試しましたが、助手席と後席に人を乗せているのを忘れるくらい楽しみました。ハンドリングを含め全体的に、「危なっかしいジャジャ馬」というより、洗練された大人のGTIという印象です。普段は優しいお父さんが「よし、走るぞ!」と思い立ち、6速DSGをSモードにしてサーキットに走りに行く! そんなクルマに仕上がっていると思います。とにかく足回りとボディ剛性感のバランスがよかったなあ。ライバル車として挙げておきたいのはルノーメガーヌRS。実は先代モデルを普段のアシとして乗っているんですが、ボディ剛性不足! このGTIとは比べものにならないなあ。今年発売された現行ルノーRSにも乗りました。いいクルマですが、足が固くワインディングをたくさん走る人向けです。
どんな人にゴルフGTIが合うと思うか?

2004年 第5世代(日本導入2004年) 200psLのガソリン直噴2L直4ターボに6速DSGを組み合わせる。レッドライン、ブラックアウトされたハニカムグリル&大型バンパーを踏襲などGTI伝統の専用のフロントデザイン
■室内の居住性まずドライビングシートですが、ほどよいサポート性で長距離走行では疲れなさそう。リアシートは充分以上に広く、足も組めるほど広いので文句ありません。リアシートの乗り心地はスポーツモード以外は快適ですね。■どんな人にゴルフGTIが合うと思うか?GT-Rは速さを突き詰めた全天候型のマルチパーパススポーツカーですが、ゴルフGTIはファミリーカーとしてもスポーツカーとしても使えるマルチパーパススペシャルティだと思います。本音は2ドアクーペのスポーツカーが欲しいけれど、「子供がいるので4ドアじゃなければダメ」と財務大臣にきつくいわれて一度はミニバンを買った人。そんな人がもう一度、昔のように「男はやっぱりスポーツカーだよね」って、嫁さんを説き伏せてゴルフGTIを買っても満足すると思いますよ。嫁さんにも文句をいわれない居住性の高さと快適な乗り心地、そしてジキルがハイドにもなれるスポーツ性能の高さがありますから。