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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.01

デミオの進化には逆立ちしてもかなわない!

宣言通り目標を達成

10・15モード燃費ではイーブンの30.0km/L、JC08モードはデミオの25.0km/Lに対しフィットハイブリッドは26.0km/L。この燃費バトルは見もの

10・15モード燃費ではイーブンの30.0km/L、JC08モードはデミオの25.0km/Lに対しフィットハイブリッドは26.0km/L。この燃費バトルは見もの

【本記事は2011年7月にベストカーに掲載された記事となります。】震災の影響により発売の遅れも心配されていたデミオのマイチェンだが、6月30日にオンスケジュールで敢行。昨年9月にハイブリッドに頼らずに、デミオの10・15モード燃費を30.0km/Lに引き上げると宣言した時には、本当に市販化できるのか? という否定的な意見もあったが、有言実行、宣言どおり目標を達成し今回市販化。

新ファミリーフェイスを採用

フロントバンパーデザイン フロントバンパー&グリルのデザインが変更されただけで、ヘッドライト形状などは変わらないが、アクセラのテイストを盛り込んだファミリーフェイスを採用

フロントバンパーデザイン フロントバンパー&グリルのデザインが変更されただけで、ヘッドライト形状などは変わらないが、アクセラのテイストを盛り込んだファミリーフェイスを採用

エクステリアデザインは、フロントグリル、バンパー形状が変更されたすでに北米などで発売されているモデルと同じなのだが、アクセラ譲りのマツダの新ファミリーフェイスを採用することで、現行よりも大きく立派に見えるから不思議。

最大の目玉はSKYACTIV

1.3L直噴のSKYACTIV-G

1.3L直噴のSKYACTIV-G

何はともあれ、まずは最大の目玉はSKYACTIV。1.3LのSKYACTIV-G(スカイアクティブ・ジー)の技術的詳細はP.26で国沢光宏氏に解説してもらうが、1.3Lエンジンをベースに直噴化。ミラーサイクルの採用で14.0という高圧縮比を実現し、i-stopを組み合わせて10・15モード燃費30.0km/Lを達成。i-stopも進化していて、今回のデミオでバッテリーを2個から1個に変更して軽量化し、これまではDレンジでしかエンジンストップしなかったものをP(パーキング)、R(リバース)以外で作動可能になったのも見逃せないポイント。30.0km/Lといえば、23.0km/Lの13C-Vに対し30%という驚異的な燃費向上で、その内訳はエンジンで24%、CVTで2%、空力など車体で4%。デミオは全車がSKYACTIV-Gを搭載するのではなく、13-SKYACTIVという新規の1グレードのみ。専用装備、パーツも多数あり、ほかのモデルと差別化している。

量産コンパクトカーと思えないほどのこだわり

専用空力パーツ タイヤディフレクター&アンダーフロアカバーの装着、ルーフスポイラーの標準化など、徹底的に空力にこだわっている

専用空力パーツ タイヤディフレクター&アンダーフロアカバーの装着、ルーフスポイラーの標準化など、徹底的に空力にこだわっている

空力面では、タイヤフラップを装着してタイヤに当たる気流を抑制し、アンダーボディには綿密にカバーを装着。ルーフスポイラーを標準装備するなど相乗効果によりCD値=0.29を実現。軽量化では、フロントのネットシート、専用アルミアルミ(スチールに比べて1本当たり約1kg軽量化)の採用など、量産コンパクトカーとは思えないほどのこだわりを見せている。しかし、13-SKYACTIVは単に燃費を追求したモデルではないのが凄い。マツダは昨年デビューしたプレマシー以来、操作性と走行フィールの『統一感』にこだわっていて、新型デミオも同じ思想で走りの質感を高めているという。気持ちのいい音質にもこだわった、というのもマツダらしいところ。燃費と走りの気持ちよさの両立といえば、専用アイテムのi-DM(インテリジェント・ドライブ・マスター)もそう。エコドライブのコーチング機能を持った装備はホンダも商品化しているが、i-DMはその要素に、スムーズで気持ちのいい走りもコーチングしてくれる機能もプラスして、リアルタイムに運転操作をサポートしてくれる。

この進化と価格にはかなわない

DSC&TRC ほかのグレードはオプションでも設定されていない横滑り防止装置のDSCとトラクションコントロールを標準装備

DSC&TRC ほかのグレードはオプションでも設定されていない横滑り防止装置のDSCとトラクションコントロールを標準装備

安全装備として横滑り防止装置のDSC+トラクションコントロールを唯一標準装備。これで価格は13C-Vに対し11万円高の140万円。これはフィットハイブリッドより19万円安いので買い得感は激高。13-SKYACTIVが注目の的だが、既存のモデルも内外装のデザイン&質感は向上し、乗り心地も大幅によくなっている。新色も追加。さらに快適&実用装備も充実させているにもかかわらず、全グレードとも価格据え置きというマツダの心意気に拍手! この進化と価格には逆立ちしてもかなわない。

SKYACTIVを多角的に検証

ボディカラーは全11色を設定。13-SKYACTIV専用色のアクアティックブルーマイカと全車対応のバーガンディーレッドマイカ(9月生産開始予定)の2色が新色。クリスタルホワイトパールマイカは3万1500円高の特別色。なお、13Cにはアークティックホワイトが専用色として設定

ボディカラーは全11色を設定。13-SKYACTIV専用色のアクアティックブルーマイカと全車対応のバーガンディーレッドマイカ(9月生産開始予定)の2色が新色。クリスタルホワイトパールマイカは3万1500円高の特別色。なお、13Cにはアークティックホワイトが専用色として設定

環境親方国沢光宏がSKYACTIVを斬る!ハイブリッド化せずに10・15モード燃費で30.0km/Lをマークする新型デミオ。その秘密は画期的発想から生まれたSKYACTIVにあるのだが、そのメカニズムは難解。そこでマツダの渾身作、SKYACTIVについて、国沢光宏氏にわかりやすく解説してもらうと同時に、どこが凄いのか? どんな効果が見込めるのか? 並みいる強豪ライバルに対しポテンシャルは? などなど、多角的に検証してもらった。

いろいろな工夫、エンジニアの強いこだわりが盛り込まれているSKYACTIV

SKYACTIV-G:デミオにはプラットフォームの関係で4-2-1の集合排気は採用されていない。これを採用することにより、低速トルクの改善の半分をカバーできる。新型デミオでは、CVTにより制御してカバーしている。次に登場するのはアクセラ

SKYACTIV-G:デミオにはプラットフォームの関係で4-2-1の集合排気は採用されていない。これを採用することにより、低速トルクの改善の半分をカバーできる。新型デミオでは、CVTにより制御してカバーしている。次に登場するのはアクセラ

■いろいろな工夫、エンジニアの強いこだわりが盛り込まれているSKYACTIVマツダの“空振り”を数多く見てきた。満を持してデビューさせたミラーサイクルはバットと30cm以上ズレたし、「4ドアのスポーツカー」も芯を喰わずファール。直近のアイドルストップだってうなりを上げ空を切ってます。こうなると渾身のチカラを注ぎ込んだスカイアクティブは大丈夫なの? と思ってしまう。以下、トップバッターとなるデミオを徹底的に分析し、評価してみたい。まず「最初のスカイアクティブG」となる1.3Lエンジンから。本誌先号で紹介したとおり、デミオのスカイアクティブGは圧縮比14.0こそ実現しているものの、エンジンルームの関係上タコ足排気が採用されておらず。マツダのエンジン開発チームに「バージョン0.5ということですか?」と問うてみたら「そう考えてもらっていいです。燃費だけスカイアクティブGに到達していると理解していただければ嬉しいです」。マツダが目指すスカイアクティブGの『本来の姿』は、燃費も走りも従来のガソリンエンジンを15~20%凌ぐ。実際、昨年末に先行試作モデルに試乗してうなりました。2.4Lエンジンといわれても信じるくらい常用回転域のトルク太く、それでいて燃費は20%いいという。「最初からバージョン1を出したかったのですけれど、、一日でも早く市販したいということからデミオに搭載しました」。改めてスカイアクティブGの技術を説明しよう。前述のとおり基幹となる技術は、エンジンの基本性能(熱効率)を向上させることが可能な高い圧縮比の実現である。レーシングエンジンの場合、パワーを出すため高い圧縮比を追求するけれど、低燃費エンジンも熱効率追求のため同じアプローチが必要。ただ闇雲に圧縮比を上げていくとノッキング(異常燃焼)して熱効率を落としてしまう。タコ足排気(4-2-1の集合)などを使うことによって追求した燃費ベストの圧縮比は14.0だったそうな。また、高回転化のため馬力追求型のエンジンだとショートストロークを採用するのに対し、燃費追求型は極端なロングストローク。デミオのエンジンもボア71mmのストローク82mm。さらにピストン頭頂部を写真のようなキャビティ(ゴルフのアイアンのように凹みをつけた)構造とした。異常燃焼しないよう、キャビティで作った“球体”に近い燃焼室に均質な混合気を吹いてやり(直噴の得意技)、良質の爆発をさせる。燃焼しながら膨張していく途中も燃焼室形状は“球体”を維持。高温/高圧になった燃焼ガスでピストンを長い時間押していく。ロングストロークなので、膨張するエネルギーをタップリとクランク軸へ伝えられるという寸法。実はもうひとつヒネリがある。普通、排気量=吸気量だ。1300ccぶんの空気を吸い、燃焼させ、1300ccの排気ガスを出す。けれどスカイアクティブの1300ccは、巡航時だと1170cc程度の空気しか吸わない。いっぽう、排気量を見ると1300ccのまま。つまり1170ccぶんの燃焼した高温/高圧のガスで1300cc膨張させている。これをミラーサイクルといいます。エンジンだけでなくCVTも理想を追求した。タウンスピードでの走行時は1000回転くらいをキープしているのだという。多少トルク不足になるためアクセル開度が大き目になる。普通のエンジンだと燃費低下傾向になるも、高圧縮比+ミラーサイクルならアクセルを開け気味のほうが吸気抵抗(ポンピングロス)を減らせます。無段変速のCVTだからこそ実現できる制御だったりして。さらに! アクセルオフ時も1000回転をキープさせ、燃料カット制御している(900回転に下がるとエンスト防止のため燃料を吹く)。ポンピングロスを減らすアクセルワークと、燃料カットの上手な使い方はエコラン上級テクニック。私ら真剣勝負の時はフルに使う。それをクルマが自動的にやってくれているワケ。アイドルストップも頻度や条件を見直し、アクセラよりはるかに長い時間エンジンが停止するようにした。さて。本来の『スカイアクティブ』(バージョン1)は車体の軽量化やサスペンションの改良などを含む。エンジンだけでなく車体まで進化させようという狙い。されどマイナーチェンジということもあり、これまたフルスペックを投入できなかった。とはいえ相当の努力をしている。一番驚いたのが空力。標準車はCD値=0.32。ボディサイズが小さいと空気抵抗係数を減らせにくい。0.32だって優秀だと思う。スカイアクティブ搭載グレードはアンダーガードや整流効果持つチンスポイラー、ルーフスポイラーの追加により0.29を達成! トヨタのプリウスcも0.29を目標にしているらしい。プリウスのボディサイズだと0.26がほぼ限界。デミオサイズは0.29で限界に近いと考えていいだろう。空力だけで100km/h巡航燃費を数%改善できるに違いない。

最大のライバルはフィットHV! ライバルとのガチ燃費バトルが楽しみ!

ヴィッツには負けない! 10・15モード燃費26.5km/Lのヴィッツのスマートストップは実燃費でも相手にならない?

ヴィッツには負けない! 10・15モード燃費26.5km/Lのヴィッツのスマートストップは実燃費でも相手にならない?

■最大のライバルはフィットHV! ライバルとのガチ燃費バトルが楽しみ!こうなると気になるのは実燃費。果たしてどのくらいのデータになるのだろうか? 最大のライバルが、同じ10・15モード燃費30.0km/LのフィットHV。マツダのテストチームに走行条件と実燃費を聞いてみたら、私の持っているフィットHVの数値と極めて近い。参考までに書いておくと、東京都内の渋滞モードで16.0km/L前後。流れのいい郊外路なら19.0km/L台といったイメージ。ズバリ直球で「どちらが燃費いいですか?」と問うてみたら「常に勝てるとまではいえません。JC08モードだとウチが25.0km/LでフィットHVは26.0km/L。そのくらいの差だと考えてください」。さらに「10・15モード燃費が26.5km/Lのアイドルストップ付きヴィッツや26.0km/Lのマーチならどうか?」と畳みかけると「モード燃費の差と同じくらいの割合でウチが優勢だと考えています」。横滑り防止装置DSCやアルミホイール、リアスポイラーなど標準装備で140万円なら、ライバルと充分勝負できると考える。フィットHVとヴィッツ&マーチアイドルストップとのガチ燃費バトルが楽しみです。

SKYACTIVの今後と可能性

マイチェンデミオで幕を開けた画期的技術の今後の展開とは?

マイチェンデミオで幕を開けた画期的技術の今後の展開とは?

SKYACTIVの今後と可能性デミオのSKYACTIV技術は、生まれたばかりの赤ちゃん同然? 今後の進化、その可能性を国沢光宏が解説。ここまでデミオのスカイアクティブを『バージョン0.5』と書いてきたが、マツダ社内では『バージョン5.5』と呼んでいる。じゃマツダのいう『バージョン1』って? なんと! 最初の『Zoom-Zoom』を示すそうな。Zoom Zoomも進化を続けており、フルスペックのスカイアクティブが新世代の『バージョン6』になるという。こうなると気になるのが、今年新型車に搭載されてデビューするというフルスペック仕様である。どうなるのか? まずエンジン。タコ足排気で燃え残りの排気ガス(残留ガス。高温になっている)をキッチリ排出すると、圧縮比を高めてもシリンダー内の温度上昇を抑えられる。マツダのデータによれば、残留ガスを8%から4%に半減することによって圧縮比を10.0から13.0に上げられ、それでいて圧縮上死点の燃焼室温度は800度をキープできるという。ノッキングしにくくなるワケ。さらに直噴なのでガソリンが気体に変わる時の「気化潜熱」による冷却効果も加わり、圧縮比を1.0上げられるそうな。通常のエンジンが圧縮比10.0だとすれば13.0+1.0で14.0という具合。圧縮比が高いと熱効率も向上する。こいつをフルに活用することにより、常用アクセル開度において同じ排気量のエンジンより15%程度のトルクを上乗せすることが可能。こらもう試乗すれば誰だって違いがわかるほど。驚くことにスカイクティブGには、さらなる進化が待っているという。’13年になると冷却系の新しい技術も加わるという。このエンジン、どうやらハイブリッドと組み合わされるもよう。ただアテンザクラスに搭載されるらしい。このクラスのハイブリッド、世界的に市場がない。せっかく作るなら1.5にし、アクセラクラスのハイブリッドにすればいいのに。商品企画は相変わらずヘタです。『スカイアクティブドライブ』と呼ばれる変速機も興味深い。ロックアップ領域を大幅に増やすことにより、伝達効率をVWのDSGのようなツインクラッチATと同じくらい改善させてきた。同時に変速時間も圧倒的に短くしており、ターボディーゼルのような過給エンジンと組み合わせたってタイムラグなし。やはり来年デビューするマツダ式の『バージョン6』に採用されている。そのほか、車両の軽量化やハンドリングを最適化(キビキビさを追求するのでなく、奥行きの深さやコントロール性を重視)した新しい世代に突入していく。燃費よく走って楽しいクルマがスカイアクティブの目標地点だという。最大にして唯一のテーマは、『ブランドイメージを含めた商品企画』だと考えます。商品としての魅力を持っていないと売れない。ここがマツダの大きな弱点だと思う。期待しています。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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