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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.12.01
トヨタの現有ハイブリッドをランキング CT200hは最上のハイブリッドか?
トヨタのFF車じゃダントツ

低いフォルムをもつハッチバックリアスタイルも新鮮だ
【本記事は2011年3月にベストカーに掲載された記事となります。】CT200hをプリウスの兄弟車だと思っている人が少なくないようだけれど、エンジン&駆動系を除けば構造的に相当違う。そもそもプリウスベースでなく、HS250hベースなのだ。決定的なのはプリウスの大きな弱点になっているリアサスペンションの形式からして違うこと。トヨタ関係者もプリウスのリアサスペンションについて「フリクションが大きく、繊細な乗り心地を実現できない」と評価している。確かにプリウスの乗り心地はトヨタで一番悪い。リアサスペンション形式だけでなく、ショックアブソーバーもアカンです。路面のデコボコをすべて拾い、車体に伝えてしまっている。かといってHS250hの乗り心地がよいかと聞かれれば「う~ん?」。少なくともデビュー当時のHS250hの乗り心地、ホメられるレベルじゃありませんでした。しかし! CT200hの乗り心地ときたら、トヨタのFF車じゃダントツ。
乗り心地の質感の高さに驚く

Fスポーツは専用の本革ステアリングを採用。もちろんパドルシフト付きだ
どうやらHS250hの開発時点ではショーワのショックアブソーバーの持ち味を引き出せなかったようだ。このあたりの事情についちゃHS250hの試乗会の時に聞いてました。その後、竹平兄の後輩であるトヨタ実験部の宗正さん(その昔、ラリードライバーとして有名)などのセットアップでイッキに改良が進んだという。プリウスからCT200hに乗り換えると、乗り心地の質感の高さに驚く。やっとHS250hのポテンシャルを引き出せたワケ。さて。プリウスの場合、乗り心地が最悪にならないよう、減衰力を決めたという。本来なら17インチを履いているモデルは、もっとスポーティな味つけにしたかったワケ。乗り心地を考え「このへんでしょうね」と妥協したそうな。いっぽう、良質のショックアブソーバーを使うCT200hは、妥協点を大幅に引き上げることに成功している。乗り心地だけでなくハンドリングまで文句なし!ただ『Fスポーツ』のみ従来のトヨタ車風。乗り心地がイマイチ洗練されていない。大きい入力を受けると突っ張ってしまう感じ。開発担当者に聞いてみたら「Fスポーツだけ別のチームがやっているのでタッチできないんですよ」。個人的には“いけません”と評価しておく。もちろん絶対的なコーナリング限界や、スラロームを行なった時のタイムなどはFスポーツ優勢。タイヤ性能からして高いのだ。買う前にぜひ試乗を。そうそう。ベーシックグレードの16インチと17インチは目立った乗り心地の差なし。言い方を変えると「17インチはハンドリングと乗り心地のバランスが高い次元で取れている」になります。
プリウスよりだんぜんパワフルだ

プリウスと同じ1.8Lハイブリッドだがチューニングが違う
パワートレーンの味付けもプリウスと違う。最大のポイントが電圧。プリウスはアクセル全開時、最大で500Vを使う。これだって2.4L車並みに速いけれど、CT200hのスポーツモードを選べば、なんと650V! わかりやすくいうと100psのエンジンが一時的に130psになるようなもの。まるでターボみたいです。コーナーでアクセル全開するとホイールスピンするほどの勢い。参考までに書いておくと、650V化してもCT200hのモーターのパワーを使い切っていない。バッテリーをリチウムにグレードアップし、流せる電力量を上げれば、さらにパワフルな走りとすることだって可能。このあたりが電気使うパワートレーンの面白いところ。4月発売のプリウスαでデビューするリチウム電池が普及すると、ハイブリッド車の走りは大きく進化することだろう。興味深かったのは、ホイールスピンした時の挙動。ガソリンエンジンならイッキに空転するけれど、モーターだとヘンな表現方法になるが「穏やかに空転する」のだ。これ、プリウスで雪道を走った時にも感じること。ガソリンエンジンよりトラクションを確保しやすい。加えてパワーのコントロールも楽。したがってCT200hでジムカーナやると、180ps級エンジンを搭載するガソリン車より速いと思う。
CT200hは、はたして何位? トヨタの全ハイブリッドをランキング

4位 エスティマハイブリッド:10・15モード燃費20.0km/L 価格帯367万~505万7000円 2010年累計販売台数1万836台 総合力7点
ハイブリッドの「特徴」はいうまでもなく燃費のよさである。逆に考えると燃費よくないハイブリッドなど意味薄い。このあたりはユーザーのほうがキッチリ認識しているらしく、トヨタの「燃費イマイチなハイブリッドたち」は軒並み売れておらず。こらもう日本だけでなく世界的規模で言えること。アメリカ市場ですら売れているのはプリウスくらいで、HS250hやSAIのユニット使うカムリのハイブリッドになると厳しい。もうひとつ大切なことを忘れちゃいけない。ガソリン代を誰が払うか、ということ。日本の場合、プリウス級ならガソリン代は基本的に自腹だと思う。しかしクラウンのハイブリッドになるとどうか? もちろん個人ユーザーだって多いだろうけれど、皆さん会社の経費扱いかと。そもそも費用を重視する人はハイブリッドよりも2.5Lのガソリン車を買うと思う。そのほうがトータルコストを考えればハイブリッドより安いです。プリウスが大成功した最大の要因は「ガソリン代を含めたトータルコストで普通のエンジン積むクルマより安い」からだ。初代プリウスですら当時の奥田社長の英断で215万円という常識外れの価格をつけている。すべてのライバルが「赤字で売っている」と非難したのを覚えているだろうか? 現在かろうじてこの文法が成り立つのは4WDという付加価値もつけたエスティマシリーズのエスティマハイブリッドだけ。これ、そこそこ売れましたね。
「カン違いハイブリッド」

7位 クラウンハイブリッド:10・15モード燃費15.8km/L 価格帯540万~620万円 2010年累計販売台数5875台 総合力5点
また、一時期、トヨタの経営陣にカン違いしている人がいたらしい。ハイブリッドを燃費じゃなくて走る楽しさに振ろうとした。好例はクラウン。当時、ハイブリッドの開発をしていた人に「なんで排気量の大きなエンジンを搭載するのか。燃費のよい2.5Lで充分でしょう」と聞いたら、皆さん「私もそう思うのだけれど上の決定だからしかたないんです。2L、4気筒だって成立しますよ」。間もなくトヨタの特許も切れてしまう。本来ならプリウスに続き、どんどん燃費のよいハイブリッドを出していかなくちゃならない時期に、トヨタは手痛い判断ミスをしちゃったワケ。加えて最近ライバルメーカーから1モーター2クラッチタイプの優れたハイブリッドが出てきた。現在日産が持っているリチウム電池を手放した件と合わせ(スバルが権利を持っていたのにトヨタは精算させた)、決定的な失策だったと考える。ここまで読んで皆さん「もはや順位はわかった」と思うだろうけれど続けます。物事は分析が必要ですから。前述のとおり「カン違いハイブリッド」の代表としてGS450hとクラウンハイブリッドを挙げておく。システム的な評価をすればすばらしく凝っている。200psという電車やバスさえ走りそうな大出力モーターを採用。3.5Lエンジンながら4.5L車並みの動力性能を発揮するのだった。ハンドル握ると速い。されどバッテリー性能が低いため、貯めてある電力でアシストできるのは最大で49psぶんだけ。しかもこれまたバッテリーの受け入れ能力の低さにより、回生ブレーキで発生した電力の回収量も少ない。ホンダ式ハイブリッドが燃費よくないのと同じこと。結果、実用燃費はリッター10.0kmをわずかに超える程度。クラウンなら2.5Lを、GSであれば4.5LのV8を選んだほうが幸せだと思う。
総合評価

1位 CT200h:10・15モード燃費34.0km/L 価格帯355万~430万円 月販目標台数1500台 総合力9点 CT200hは発展途上だが今後期待できる
燃費の悪いハイブリッドより60万円高くらいで3Lの6気筒ディーゼルをラインアップすべき。すべての点でバランス取れます。これ、RX450hやハリアーシリーズのハリアーハイブリッドにも当てはまること。ちなみにGMやベンツ、BMWの大型SUVにハイブリッドをラインアップするのは、お金持ちのシャレだ(ポーズといってもよろしい)。だから敵は最初から売れると思っておらず、GMが開発した同じユニットを3社で共用している。LS600hがこのグループに入らないのは、乗って納得できる部分も多いから。渋滞のノロノロ走行時の質感の高さや、停車時のアイドルストップなど、LS600hくらいの高額車になるとクルマのセールスポイントになる。また、このクラスでは希少な4WD車であることも評価していい。もし私がお金持ちならLS600hは有力な候補になることだろう。トドメにLS600hって案外燃費いいです。SAIとHS250hは微妙な線である。もう少し燃費よくなれば「化ける」だろうけれど、現状だと割高感強い。ガソリン車の30万円高で燃費16.0km/Lといったイメージなら面白いのに。以上、総合して評価したなら、迷うことなく圧倒的に燃費のいいCT200hが1位。
プリウスはやっぱり別格

プリウスはやっぱり別格:10・15モード燃費38.0km/L 価格帯205万~327万円 2010年累計販売台数29万8293台
ただここにプリウスを入れてしまったら、当然のごとく一番になるでしょう。ECOは「エコノミー」と両立させないと成立しない。