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更新日:2019.01.06 / 掲載日:2017.12.01
男のヴィッツ誕生
3代目ヴィッツ

2代目
フルモデルチェンジとなったヴィッツ

全17色:シルバーメタリック
5年10カ月ぶりのフルモデルチェンジとなったヴィッツ。この5年の間にコンパクトカーを取り巻く状況も大きく変化を見せた。カンタンに言うなら、‘07年に誕生したフィットがヴィッツに代わってこのクラスのベストセラーに台頭したのだ。この5年間でセダンやワゴンからコンパクトカーへの乗り換え、いわゆるダウンサイズの傾向が強まってきた。追い風だったのにヴィッツがフィットの後塵を拝した理由はズバリ、男性人気の差。これまでヴィッツは女性に人気があっても男性には、「女のクルマ」としてみられていたことは確か。フィット以外にスイフトやデミるクルマに人気が流れたことは間違いない。この3年間ほぞを噛んできたトヨタはヴィッツをガラリと変更することを決断。旧型のCMに宮沢りえ、後藤久美子、田中麗奈を起用したのに対し、新型は大沢たかおと生田斗真を起用したのはその一環。使われたボディカラーがシルバーメタリックなのも象徴的だ。フィットを打倒すべく、前ページのグラフのようなポジショニング変更に踏み切ったのだ。
低く精悍になったプロポーション

ひと回りボディは大きくなったが、空力にすぐれ、踏ん張り感もある。リアのテールレンズはこれまでのヴィッツの流れをくむものだ
新型はボディの大型化とエッジをきかせたパネルデザインによって丸みを帯びた2代目とは別のクルマのような印象になった。特に印象的なのはフロントマスクで、どこか動物を思わせ、どちらかといえば癒し系だった2代目とはうってかわって、体育会系のスポーティでシャープな顔つきとなった。全長は100mm大きくなって3885mm、ホイールベースも50mm延びて2510mmとひと回り大きくなった。それに比べて全高は20mm小さくなっていて踏ん張り感を感じさせる。各パネルの造形はプリウス同様、高度な空力処理が施されており、空気抵抗を削減、CD値は0.285(2代目は0.30)とトップクラス。またボディが大きくなりながら車重は旧型の1.3F比較で1020kgから990kgへと30kg軽量化。これは高張力鋼板の使用率をボディ骨格質量の50%まで高めたおかげだ。空力ともども好燃費に貢献している。
居住性

Vitz:1.3Fスマートストップパッケージ135万円(10・15モード燃費26.5km/L)旧型よりも後席は広くなって膝まわりの広さは互角。ラゲッジは荷室長1630×荷室幅1005×荷室高865mm
居住性でフィットに劣っていたヴィッツが大きくなってどれくらいの居住性を手に入れたのかは興味のあるところ。フィットの全長は3900mmとわずかにヴィッツよりも15mm大きくホイールベースは逆にヴィッツが10mm大きい。全幅は1695mmと変わらないが、全高はヴィッツが25mmフィットよりも低い。つまりこの2台のボディ寸法は極めて近く、ガチンコ勝負といっていい。ちなみに室内寸法を記しておくとフィットが室内長×室内幅×室内高で1825×1415×1290mmなのに対し、ヴィッツは1915×1390×1250mmとなっている。この数字を鵜呑みにはできないが、実際に乗ってみた印象は、「新型ヴィッツはずいぶん広くなったなあ」というもの。2代目との寸法比較としては後席の膝まわりが35mmぶん大きくなったというが、実際の印象はそれ以上。クルマが大きくなったような錯覚を覚えるほど、後席空間の違いは顕著だ。ただし、全高が低くなった影響で、ヘッドクリアランスを含め、開放感ではフィットに比べもの足りない。
男性も窮屈な思いのしないフロントシート

男性でもしっかりとしたドライビングポジションがとれるようになった
いっぽうフロントシートは余裕があり、ステアリング角を25度と2代目よりも3度寝かせ、10mmごとのシートスライドが24段と細かく刻まれ、上下アジャスターも60mmの幅を与えられたおかげで、大柄な男性も窮屈な思いのしない、リラックスしたポジションがとれるようになった。結論としてフロントシートならフィット以上の居住性があり、後席は若干フィットに分があるというところだ。もう一点パッケージング面ではラゲッジの奥行きが145mm大きくなって、リアシートを倒した時のスペースが拡大。床面の高さを2段階にできるアジャスタブルデッキボードも便利な装備だ。フィットに水をあけられていた積載性は大きく向上している。
反応のいいスマートストップ

1.3L:直列4気筒、1329cc、95ps/12.3kgm、10・15モード燃費24.0km/L(26.5km/Lスマートストップ)
新型ヴィッツのエンジンラインアップは2代目同様1L、1.3L、1.5Lの3つ。このうち注目は1.3Lの新エンジン1NR-FEでデュアルVVT-iが付きレスポンスは大幅にアップ。95ps/12.3kgmとスペックは抑えめながら、スーパーCVT-iと組み合わせることで24.0km/Lを記録。アイドリングストップ装置、スマートストップが付くモデルは26.5km/Lまで燃費が伸び、これはフィット1.3Lよりも2.0km/Lよく、JC08モードでも21.8km/Lとフィットの20.6km/Lに圧勝している。
ワンウェイクラッチ

スマートストップはレスポンスがよくスムーズに再始動する
しかもスマートストップは始動が速い。ワンウェイクラッチが採用され、スターターギアが常にかみ合っている状態なので始動が速いのだ。試してみたが、速度が落ち、止まったと思った瞬間にエンジンストップ。そして停止時からブレーキを離すと『ブルルン』とエンジンが始動。もたつくことなく加速してくれる。0.35秒という速さもさることながら、エンジンが停止するタイミングとエンジンがかかるタイミングがよく、いらだたせない。またキャンセルスイッチがあり、頻繁なエンジンストップは嫌という時には便利だ。
個性豊かな4タイプをラインアップ

4グレード14タイプの多彩さも魅力
新型ヴィッツは4タイプ。ベーシックなF、上質なU、オシャレで個性的なJewela(ジュエラ)、そしてスポーティなRSの4タイプとなる。新グレードのJewelaはメッキグリルやメッキのヘッドランプ加飾、メッキのインサイドドアハンドル、トリュフ内装など、個性的な装備が与えられ、メーカーオプションでドアミラーやドアハンドルをシルバー加飾でドレスアップすることができる。こだわりをもった大人の女性にお勧めだ。
WRC参戦のベースモデル

1.5RSはWRCのベースマシンとして注目
男が気になるのはRS。WRC参戦のベースモデルという噂もあって興味深いモデルだ。専用エアロバンパーとLED式リアコンビランプで差別化、唯一5MTが選べる。また7速CVT搭載モデルは、シーケンシャルシフトマチックに加え、CVTスポーツモード、パドルシフトが装着されスポーツムード満点、フィットRSといい勝負だ。
女性への気配り

男性をターゲットにシフトしたことを説明してきたが、もちろん女性への気配りは忘れていない。なかでもスーパーUVカットガラスを装備し、女性の敵である紫外線を99.8%カット、やさしいインテリアカラーや買い物アシストシートといった装備は女性の気持ちをくすぐるはず。またVSCやSRSサイド&カーテンシールドエアバッグの設定、1本式のフロントワイパーなど安全性もトップクラスだ。ヴィッツの価格帯は1.0F Mパッケージの106万円から1.5RS(CVT)の179万円まで。3気筒になるが振動が気にならない1Lがラインアップされ、106万円からとは安い。1.0F Mパッケージはマーチの12S(99万9600円)のようなUVカットガラスまで省いたグレードではなく1.0Fから電動格納式ミラーや分割可倒式リアシート、リアワイパーといった装備をなくしたグレードだ。売れ筋は1.3 F(10・15モード燃費24.0km/L)で129万円。アイドリングストップとVSCの付くスマートストップパッケージは135万円(同26.5km/L)だ。これはフィットの売れ筋13G 129万円(同24.5km/L)に電動格納式ミラーなどを加えた13G Fパッケージ129万円と装備的にもがっぷり四つで大いに迷うところ。スポーツグレードのRS比較では5MTのヴィッツが172万円なのに対しフィットは6MTで169万8000円とフィットのほうが安いように思えるが、こればっかりは乗ってみないとわからない。”