中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.02
素直で逞しいNEWマーチ
生まれて初めてのメディア向け試乗会

見切りがよくて安心感あり 運転しやすいのはボンネットフードやフェンダーが見えるから。特に路肩に寄せるような状況でとり回しやすい。ラチェット式のシートリフターやチルトステアリングは全車標準装備だから小柄な女性でも安心だ。ちなみに最小回転半径は4.5mでロック・トゥ・ロックは3.5回転。ギア比は遅めで慌てずに操作できる
【本記事は2010年9月にベストカーに掲載された記事となります。】不肖くるまりこ、この夏の思い出に、日産新型マーチの試乗会を初体験させていただくことになりました。ドキドキしながら大判のスケッチブックと「おでかけ用絵はがき作りセット」をたずさえて向かったのは、日産グローバル本社ギャラリー。横浜駅から徒歩7分という好立地に立つ、去年の秋にできたばかりのぴっかぴっかの大きなビルです。試乗会は、風光明媚な横浜を、新型マーチで3時間乗り放題という太っ腹なもの。デパ地下試食大好きな主婦の代表として、ぞんぶん堪能させていただきます。
楽しいクルマと一緒にエコする感覚

新型マーチのボディカラーは全9色。シルバー、パープル、レッド、シャンパーニュゴールドなど、どれもかわいい色ばかり。試乗したのは、スプリンググリーン。新緑のような爽やかな色、イチオシです。運転席について、まず目に入ってきたのが、オゾンセーフエアコンのディスプレイ。燃費表示機能にすると、エコドライブの目安となる瞬間燃費や平均燃費、平均車速を表示してくれます。愛車をドライブ中、ガソリンスタンドで給油するたびに平均燃費の計算ばかりしている節約好きな夫が喜びそうな機能ですね。ちなみにくるまりこの平均エコスコアは100点満点中59点。もっと地球に優しくなりたい……、と思いました。クルマと一緒にエコする感覚が楽しいですね。
ドキドキのアイドリングストップ体験
![アイドリングストップのしくみ STOP:停止して約1秒後にアイドリングストップ GO:ブレーキを離して約0.4秒後にエンジン再始動ステアリングを動かしてもエンジンが再始動する(ただし渋滞時の微低速前進[8km/h以内]と停止のくり返しでは作動しない)](https://img.goo-net.com/goo/magazine/contents/103966/e6871f79bce4a102f3492fbe983fa625.jpg?20210914212549)
アイドリングストップのしくみ STOP:停止して約1秒後にアイドリングストップ GO:ブレーキを離して約0.4秒後にエンジン再始動ステアリングを動かしてもエンジンが再始動する(ただし渋滞時の微低速前進[8km/h以内]と停止のくり返しでは作動しない)
エコといえば、新型マーチのすごいところはアイドリングストップ機能。ブレーキを踏んで停止すると1秒後にアイドリングストップ。気弱なゆえ、信号が青に変わってスタートが遅れたら後続車にあおられるのでは……と冷や汗をかきましたが、心配ご無用! ブレーキを離すと0.4秒でエンジン始動。さらに「人は足よりも手が早く動く」とのことから、ステアリングに少し力をかけただけでも、ポンとエンジンがかかる仕組みにもなっているのだとか。打てば響くような、メカを操縦している感覚が楽しかったです。身長が170cmあるせいか、コンパクトカーに乗ると、たいてい圧迫感を感じるのですが、新型マーチは、そんなことありません。周囲左右きちんと見渡せる広々としたガラスエリアのおかげで視界がよく、横浜の町並みを眺めながら、カモメになった気分ですいすいと気持ちよく走ることができました。楽しくてあっというまの3時間でした。そして最後の車庫入れの時に、さらなる優しさが待ってました。ハンドルを慌てて切りすぎて、タイヤの方向がわからなくなってしまう時に大助かりなのが、タイヤアングルインジケーター。タイヤの方向をわかりやすく表示してくれるのです。方向オンチな私でも、らくらく車庫入れが可能です。試乗を終えてクルマから降りたとき、新型マーチにむかって「ごちそうさまでした」と手を合わせずにはいられないほど、美味堪能したくるまりこでございました。
26.0km/Lにできた理由

ここからは編集部がマーチを解説します。マーチに搭載されるHR12DEは意欲的なエンジンだ。33ページに紹介するように、このエンジンをベースに3Lカー(3Lで100km走る低燃費車)の研究が進められている。そういう先を見越して設計されているだけに、ポテンシャルはかなりのものだ。実際3気筒ということで、見くびっていたところもあったが、振動、騒音は完全に抑え込まれているし、加速もスムーズだから79psで充分と思わせる。では、どうやって旧マーチの10・15モード燃費・19.0km/Lから7.0km/Lもアップできたのだろうか?このHR12DEはジュークに搭載される4気筒の1.6Lエンジンから1気筒省略したもの。旧型の4気筒に比べて部品点数を減らし、フリクションが20%も低減しているという。また1気筒あたりの排気量が100cc多い400ccとなることで熱効率も2%上がっている。このエンジン単体で10・15モード燃費換算すれば1.5km/Lほどの燃費向上が図られた。そしてジヤトコと共同開発した副変速機付きのCVTが燃費を2.5km/Lぶん押し上げる。副変速機付きとは、低速や高負荷時にはローギアを、高速や巡航時にはハイギアをというふうにCVTにハイとロー2つの変速機を付けたもの。これで変速比の幅が広がり、8速ATなみに最適なエンジン回転域を常にカバーできるようになった。具体的には発進時と高速走行時の燃費が大きく改善されている。そしてアイドリングストップで2.0km/Lの向上だ。しかもこのアイドリングストップはCVTとの協調制御が図られていて、電動オイルポンプを採用し、CVT油圧を保持することで0.4秒という素早い再始動が可能となった。また坂道などでアイドリングストップするためにはブレーキをかけておく必要があるが、マーチではこの仕事をCVTのロック機構が行なっている。これで、坂道からの再始動でもひっかかり感がなく発進はスムーズなのだ。そして忘れてならないのは軽量化。衝突安全性を強化しながら旧型と同じ950kgにできたのは旧モデルに比べ80kgも軽量化したプラットフォームのおかげ。このプラットフォームとタイヤの転がり抵抗改善、高効率オルタネータの働き、空力性能向上などで1.0km/L アップ、トータル7.0km/L となる。安っぽさもあわせもつが、技術のすごさはなかなかのもの。160カ国を相手にする骨太のモデルと納得した。
国沢光宏の仕上げチェック

細かな部分に安っぽさも見える 仕上がりで気になるところはいろいろある。国沢氏がいうようにボディパネルのすき間は十円玉が4枚入るほど空いているし、Gに付くタイ製のタイヤ、ファルケンのシンセラは80km/h以上の高速域でやかましいのは事実。売れ筋のXには台湾の正新が作るマキシスというタイヤが装着されるが、こいつの乗り味も気になるところだ
新型マーチで一番ウナッたのがボンネットとフェンダーの隙間である! 見たこともないくらい広いのだ! どれどれ、と10円玉を4枚重ねて差し込んでみたら、スルッと入っちゃいました。どんだけ広いの? さらに「なるほど!」と思ったの、反対側の隙間です。同じくらい広い。つまり日産の完成検査担当はタイの工場でキッチリ仕事しているワケ。ボンネットは見事ド真ん中に取り付けられているのだ。ただボンネットの寸法が一回り小さかったということです。そのほか、ヘッドライト内側のメッキ品質や、リアハッチドアの段ボール製内装の取り付け方法(波打たないようリベットがビッシリ付く。海外仕様はハメただけ)、やや左側に傾いでいるアンテナなど、随所に「すげえな!」が混ざってます。クルマ作りのプロなら、1時間くらい酒の肴になると思う。