究極のインプレッサ　STIコンプリートカー　R205

【本記事は2010年2月にベストカーに掲載された記事となります。】これまでSTIのインプレッサベースのコンプリートカーはS203、S204と進化してきたので、新型ベースのコンプリートカーはS205となるものと思っていたら、R205とネーミング。これまでの「S」はSTIの頭文字とともに「Special」の意味を持たせていたとのこと。対して今回はこれまで以上に走りに特化したモデルだということで、「Run」、「Roadsport」の意味を持たせて「R」と名づけたという。でも、本音をいえばもっと熱い意味での「R」だと思う。あえてSTIではそれ以上の意味についてはいわなかったけど……。

開発テーマは「ドライビングアート」だという。全天候型リアルロードスポーツを目指し、どんな路面状況でも、常に安定したスポーツドライビングができるクルマを目指したという。STIはニュルブルクリンク24時間レースにインプレッサを送り込んでいるが、昨年のレースにはR205のパーツを先行導入し、耐久性やパーツの完成度を徹底的にチェックした。R205はニュルから生まれたコンプリートカーなのだ。STIには元スバルの実験部長を長年務めた辰巳英治氏がいる。辰巳氏の長年の経験が導き出したハンドリング性能に対する考え方がSTIコンプリートカーには徹底的に盛り込まれているのが特徴的。辰巳氏は「強靱でしなやかな走り」を目指していて、ボディやサスペンションを固めるだけではダメ、固めるところは固めるけれど、動くべきところはキチンと動かしてやることが大切、という考え。この考え方でR205のボディ、サスペンションは仕上げられている。固いだけのクルマではない、ということ。

‘09年5月、レガシィをベースにしたS402がデビューしたが、このS402がまさにその考え方で仕上げられており、操舵に対するクルマの動きが素直で、ドライバーがクルマの動きを感じ取りやすく、思ったとおりに走らせられることに感激したことをよく覚えている。このS402も辰巳氏がハンドリング性能を手がけている。

R205では徹底的にボディ、サスペンションの補強が実施されている。特にポイントとなってくるのがSTIオリジナルの「フレキシブルタワーバー」。いわゆるストラットタワーバーなのだが、完全な剛体ではなく、バーの中央にスプリングが設けられており、適度に入力を逃がしてやる構造。どの程度の“逃がし”にするかは、インプレッサのボディを知り尽くしたSTIの企業秘密だが、これにより、4輪の接地性が大幅に向上しているという。このほかにもリアリンクのブッシュをピロボール化、さらにリアサスペンション取り付け部にフレキシブルサポートを取り付け、剛性をアップさせるなど、要所を押さえたボディ＆シャシーチューンが施されている。サスペンション本体は、フロントには倒立ストラットタイプのダンパー＆スプリング、リアにはSTIオリジナルセッティングのダンパー＆スプリングを採用する。

また、ブレーキに関しては、STIがチューニングしたブレンボ製ブレーキシステムを採用。フロントには6ポッド、リアには4ポッドキャリパーがおごられ、パフォーマンスに見合ったブレーキ性能を発揮する。フロントの6ポッドキャリパーは見た目にも迫力充分で、R205のハイパフォーマンスな走りを予感させるものとなる。

エンジンは専用ターボと吸排気系の採用により、最高出力320を実現。ピークパワーを追求しただけではなく、低中速からのトルクのつながり、アクセルレスポンスなどを重視したチューニングとなっており、ノーマルよりもドライバビリティに優れている、と評判のSTIチューニング。

価格は473万5500円。ノーマルのインプSTIが368万5500円なのでプラス105万円ということになる。個人でここまで仕上げようと思ったら、とても100万円では不可能。コンプリートカーならではのお買い得価格！！R205は1月7日にデビューして限定400台。これまでのSTIコンプリートカーはすぐに売り切れてしまっている。R205も急がないとあっという間に売り切れてしまうぞ！！

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