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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
威風堂々スポーツサルーン 日産フーガ試乗に突入
ボリューム感のあるたたずまい

【本記事は2009年11月にベストカーに掲載された記事となります。】フーガについてはスクープやらモーターショーでの紹介やら、いろいろやってきた。モデルチェンジは11月19日。まだ半月以上も先の話なのに、ついに試乗段階に突入。あくまでも「プロトタイプ」ということだが、実際問題、市販仕様となんら違いはない。これはもう、マークXデビューを牽制するつもりとみたが、乗ってみよう。新型フーガは“見どころ”がいっぱい!! 基本的にはオーソドックスなアッパーミドルスポーティサルーンを作り上げているのだが、新技術が満載。日産としても大いに力を入れて開発したことがわかる。ボディサイズは全長4945mm、全幅1845mm、全高1500mmでホイールベースは2900mm。かなり大きい。実車を目の前にすると、「わっ、迫力!!」と目を見張る。クラウンマジェスタと比べても全長がマジェスタのほうが50mm長い点を除けば、全幅も全高もフーガが上回っている。ボリューム感のあるたたずまいだ。
新型フーガ、なかなかカッコいい

でもそのいっぽうで、数字でイメージしたほど大きくないな、という印象もある。「キーワードはダイナミックでセクシー」とチーフデザイナーの青木護氏は言う。自然のもつ「躍動感」と魅惑的で色気ある「艶」の表現。FRの上級サルーンとして正統的な美しさを追求したという。具体的には初代フーガよりもAピラーを50mm後退させてロングノーズ感を強調。全幅を40mm拡大し、全高を10mm低くすることでどっしりとした安定感のあるフォルムを作り上げている。そのままでは鈍重なイメージになってしまうところを、ボディサイドのうねるようなキャラクターラインで躍動感のあるフォルムを実現している。全幅は40mmも拡大しているが、左右のドアミラー端間の全幅は初代シーマと同等のサイズをキープしているというから、車庫や狭い道などでのすれ違いなどで不自由することはなかろう。搭載されるエンジンはスカイラインと同じく、V6、2.5Lと3.7L。日産から正式なスペックの公表はされていないが、独自に入手したディーラーの営業マニュアルでは2.5Lが225ps/6400rpm、26.3kgm/4800rpm、3.7Lが333ps/7000rpm、37.0kgm/5200rpmでスペック的にもスカイラインと同じである。新型フーガ、なかなかカッコいいぞ!!
先進技術を盛り込んだNEWフーガは日産の意欲作

全長4945mm、全幅1845mm、全高1500mmという堂々たるボディサイズ。先代よりもAピラーを50mm後方にずらすことでロングノーズ感を強調。FRサルーンらしいフォルムとなっている。ボディサイドのうねるようなキャラクターラインがシャープに引き締める
基本プラットフォームは現行型スカイラインで初採用された大型FRプラットフォーム。その後、輸出用インフィニティ、フェアレディZなどに向けて改良が施され、洗練度を増していった。当然、今回の新型フーガでも各部を改良。前後サスペンション(F=ダブルウィッシュボーン、R=マルチリンク)は完全新設計となっている。「乗り心地とスポーティなハンドリングの両立」と長谷部聡CVEが言うように、新型フーガはガッチリしたボディ剛性が生み出す安定感のある直進安定性と、スカイラインにも匹敵する軽やかなフットワーク、そして高級サルーンと呼ぶにふさわしい重厚な乗り心地を両立。試乗した370GTタイプSの車重は1750kgと重量級なのだが、重たさを感じさせないキビキビしたハンドリング性能には正直、驚かされた。
シフトダウン時のシンクロレブコントロールが気持ちを盛り上げてくれる

3.7L、VVELエンジンは7500rpmまでイッキに吹ける!!
その秘密のひとつが新開発されたリアマルチリンクサスペンション。ボディとの結合部に使われるインシュレーターの剛性を低くすることでタイヤからの入力をほどよく逃がす構造としている。従来形式のサスペンションのままでこれをやると、操縦性が低下してしまうのだが、リンク類の配置を見直すことでサスペンションのよじれる動きを抑制。ソフトなインシュレーターでも従来型以上の操縦性を実現しながら、乗り心地の向上に成功した。また、新開発されたダブルピストンショックアブソーバーの効果も大きい。路面の小さな凹凸(高周波入力)とクルマの大きな上下動(低周波入力)それぞれに対応した2つのオイル流路をダンパー内に作り、それぞれの動きを抑えるのに最適な減衰力を電子制御なしに実現。テストコース内で首都高の路面の継ぎ目を模した段差を通過しても、しなやかにいなしてくれるし、トラックのつけた大きなうねりやわだちを乗り越えるような場面でも、安定した挙動を見せてくれた。エンジンはシャープに吹け上がり、パワフルでパンチのある3.7LVVEL(VQ37VHR型)。これはスカイラインやフェアレディZに搭載されているものと同じ。1750kgのボディでも必要十分以上の動力性能を見せつけてくれた。組みあわされるATも7速ATでスカイラインなどと同じ。このATはシフトダウン時のシンクロレブコントロールが気持ちを盛り上げてくれる。
素材から徹底研究 『上質』を追求したインテリアに驚き

プレミアムインテリアパッケージの室内。上質で華やかな印象
インテリアはフーガの“見どころ”がタップリ詰まっている。とにかくインテリアの質感が高い!! シート表皮の質感、インパネの手触り感、ドアトリムやアームレストの表皮のタッチなど、ユーザーが触れる部分、目にする部分のクォリティが非常に高いのだ。また、視認性に優れる大きな2眼タイプメーター、アナログ時計など、標準仕様でも充分に高品質なインテリアだと感じるのだが、さらに「プレミアムインテリアパッケージ」車ではソフトな触感のセミアニリン本革シート、ソフィレスと呼ばれる赤ちゃんの肌と同じくらいソフトな合成皮革を新開発してアームレストに採用するなど、徹底的にインテリアの質感向上を果たしている。このソフィレス、天然本革では実現できないソフトでなめらかな触感を実現するため、あえて合成皮革を開発したのだという。また、ドアアームレストにあるドア閉め時に手をかける取っ手の内側の素材にも気を遣っているというから驚き。なるほど、ソフトなタッチで上質な手触りだ。もちろん、ノーマルタイプのインテリアでも充分に高いクォリティを実感することができる。
このインテリアは一見の価値アリ

インテリアの、特に手や肌が直接触れる部分の素材を徹底的にこだわって開発したという。人間の指先や腕などの皮膚は思いのほか柔らかで、触れる対象物のミクロン単位の微妙な凹凸や硬度を感じ取る。だから、新型フーガでは各部の表皮だけではなく、インナーのウレタンや樹脂などの固さにも気を配っているという。さらにインパネやセンターパネルに使用される本木目パネルは「銀粉本木目パネル」。本物の銀粉を蒔絵の手法で本木目パネルにすり込むことで、独特の模様を実現。このパネルは磨き上げなど、熟練工の手作業で仕上げられている。このインテリアは一見の価値アリ、だ。