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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03

i-MiEV(アイミーブ)のセールスマンがやってきた

【本記事は2009年7月にベストカーに掲載された記事となります。】電気自動車時代の幕開けを告げる6月5日、港区田町にある三菱自動車本社ギャラリーでは、華々しくi-MiEVの新車発表会が開催されていた。会場を見渡すと民放キー局のTVカメラが記者席をぐるりと囲み、最前列には大手一般紙記者たちが並ぶ。i-MiEVのデビューはクルマ界のみならず、日本全体に「新時代」を知らせるものであった。そんな6月5日、三菱の益子修社長がスピーチしている午後1時30分まさにその時、編集部のドアを叩く音が響く。「関東三菱虎ノ門店の者ですが」とのこと。はて、どのようなご用件で?「このたびはi-MiEVのご予約ありがとうございました。つきましては本日の発表にともない、商談の事前説明にあがりました」確かに本誌編集部ではこれまで何度か「i-MiEVが出たら購入する」と誌面で宣言してきたし、そのことは三菱にも伝えてきた。しかし発表会開始のタイミングに合わせて営業マンが来社するとは……。聞けばこの日をさかいに、今年度生産ぶん1400台すべての予約先に、全国の三菱営業マンが事前説明に回っているという。本企画では実際にi-MiEVの商談を進めるにあたり、新たに判明した事実などを紹介していく。

サイズはガソリン仕様のiと同じ全長3395×全幅1475×全高1610mm、ホイールベースは2550mmで車重は1100kg、乗車定員は4名、最高速度は130km/h。後輪駆動のみの設定で全車トラクションコントロールが標準

サイズはガソリン仕様のiと同じ全長3395×全幅1475×全高1610mm、ホイールベースは2550mmで車重は1100kg、乗車定員は4名、最高速度は130km/h。後輪駆動のみの設定で全車トラクションコントロールが標準

まずはおさらいi-MiEV詳細情報 2年半前の実証走行実験開始から大幅に進化したi-MiEV。ついに市販型の納車が開始する!!本企画ではまず、正式発表されたi-MiEVの詳細をおさらいしたい。リチウムイオン電池を搭載するi-MiEVは、ガソリンエンジンをいっさい使わない電気自動車。付属のソケットをボディ右側の送電口(ガソリン仕様なら給油口がある位置)に差し込めば、家庭用電源でも充電可能で100Vなら14時間、200Vなら7時間で満充電する。ボディの左側にも送電口があり、こちらは急速充電器用で、およそ30分で80%の充電が可能。航続距離は10・15モード走行で最大160km、通常の走行では(満充電なら)120km程度走行することができる。モーターの最大出力は64ps、最大トルクは18.4kgmで通常の軽自動車より遙かに使い勝手はよく、鋭い加速を見せる。ガソリン仕様では燃料タンクのある位置にバッテリーが、エンジン部分にはインバーターが搭載されるため、室内スペースは通常のiとまったく同じ。ホイールベースがコンパクトカーなみのiだから、通常の軽自動車よりも広大な室内空間をそのまま踏襲しているのはうれしいポイント。ガソリン仕様のiと見分けるポイントは、前後ライトのLED化とマフラーの有無、それに専用デカールとなる。「もともとiは未来的なデザインを持っており、電気自動車にます。そうしたiならばあえてデザインを変える必要はない、と判断しました」とはi-MiEVの開発をとりまとめた三菱自動車開発本部の貴志誠氏。シート配置や全長×全幅×全高もガソリン仕様とまったく同じ。もちろん室内遮音性能の大幅な向上や、重量バランスの変化により足回りの見直しなど、見えないところではかなり手が加わっている。走行音は非常に静かで車内ノイズはほぼ無音だから、街中で見かければすぐわかるはず! 一般販売の受付は今年7月から全国の三菱ディーラーで開始されるぞ。

商談してみて初めてわかった!! i-MiEV新事実!!

6月5日の午後から、i-MiEVの予約を入れていた各法人のところに営業マンが訪問、商談前に必要な打ち合わせのためやってきた! 充電に必要な電源の整備や各種補助金、月々の支払額などの説明があった!

6月5日の午後から、i-MiEVの予約を入れていた各法人のところに営業マンが訪問、商談前に必要な打ち合わせのためやってきた! 充電に必要な電源の整備や各種補助金、月々の支払額などの説明があった!

さていよいよここからは商談を進めていくうえで判明した新事実だ。特に本誌が驚愕したのは「駐車場に設置する(i-MiEV用の)電源ソケット」。営業マンは開口一番、「この専用コンセント設置が、場合によっては200万~300万円かかるかもしれません」と発言したからさあ大変。そんなにお金がかかるのか!?(下記コラムで検証)この電源問題を含め、本企画ではi-MiEV購入にまつわるさまざまな疑問を、ここでは解明していきたい。

POINT1 販売・納車・サービスの受付はどこで? 価格は?

販売や納車手続き、納車後の点検や整備などは三菱各ディーラーが行なうことになる。本誌購入ぶんのi-MiEVは関東三菱虎ノ門店さんが担当する。今年度ぶん1400台のうち約半分は関東三菱の担当で、虎ノ門店では約50台ぶんの納車および整備を受け持つそう。環境政策に熱心な某有名政治家やTVでおなじみのキャスターなどがすでに納車に向けて商談中だそう。納車は7月下旬から来年初頭にかけて順次行なわれる予定で、来年度生産ぶんの一般販売受け付けも、全国三菱販売店でこの7月下旬から開始される。価格は459万9000円で手数料などを含めると総支払額は469万3389円。ここから補助金(後述)が引かれることになるが、手続きがあまりに煩雑なので原則としては全車三菱指定のリース会社からリース契約を結ぶことになる。支払いは(国からの補助金のみ受け取る、という前提だと)月々5万8000円の5年契約。補助金を受け取るなら4年間は譲渡・売却禁止となる。

POINT2 急速充電器はどこにあるの?

付属の電源コードで、右が100V用、中央がアダプター、左が200V用

付属の電源コードで、右が100V用、中央がアダプター、左が200V用

航続距離は満充電で約120km(使い方による)のi-MiEV、まず気になるのは外出先での充電インフラだろう。通常の電源ソケットである100Vでも充電可能だが、付属の充電コードではアース付きの3口タイプでないと充電できない(電気店で300円程度で売っているアダプターを購入すれば2口タイプでも充電可能だが、三菱は推奨していない)。そこで活躍するのが急速充電器だ。現在、自由に使える急速充電器は都内近郊でも17カ所しかなく(左表参照)、東京電力の施設内にある20カ所の急速充電器は一般開放されていない。急速充電器は1台350万円し、設置には国から補助がでるが(半額)「売電」の問題があり(原則として電気は電力会社しか売ってはいけない条例がある※)、一般のGSやコンビニでは簡単に設置できないのが現状。電気の売買は取り引きの契約モデルが確立していないため、現在既存の急速充電器は、無料で充電してOKとなっている。そうはいってもすでに経産省から「施設利用料としてなら充電器の課金は可能」との判断がでており、今後急速に普及してく見込みはある。続報に期待したい。

POINT3 で、結局、補助金はどれくらいでるの??

国(経産省)からの補助金139万円は決定しているが(予算枠の問題があるが今年度ぶんは問題なし)、都道府県、市町村からの補助金は各自治体ごとにバラバラ。取材日の時点(6月17日)で最も手厚いのは神奈川県横浜市と川崎市で、(国からの補助に加え)県から69万5000円、市から30万円の購入補助金が出る。こちらは個人でも法人でも受けられが、原則としてガソリン車からの代替購入が条件となる。いっぽう東京都はというと、法人(それも中小企業)のみが支給対象だが、今月中に1台あたり約80万円の補助金支給が発表されるそう(こちらもガソリン車からの代替が条件)。区単位で補助金を設定しているのは現在千代田区のみで、こちらも中小の法人のみ対象で40万円の支給がある。もし本誌編集部が千代田区にあれば(文京区は設定なし。頼むよ!)139万円+80万円+40万円で259万円の補助が受けられ、i-MiEVを約200万円ポッキリで買える計算になる(月々のリース料は約4万円に!)。神奈川県と違い、東京都が個人を支給対象にしていない理由は、「都としては(渋滞対策として)自家用車使用を制限したいため」と東京都環境対策課。そんなんで低炭素社会が実現すると思ってるのか! 7月12日に投開票される東京都議選で環境対策に熱心な都議が選出されれば、来年度予算に組み込まれる可能性もあるが、ここはぜひ個人も補助対象にすべく予算案を組み替えてほしい。でないと環境に熱心な企業や個人が神奈川にそろって移住しちゃうぞ!

POINT4 バッテリーの寿命はどれくらい? 交換は?

最後に気になるバッテリーの寿命。三菱の開発関係者に問い合わせたところ、保証部品ではないものの、5年10万kmはまず問題なく使用できるそう(社内テストでは10万kmでも問題は出なかったそう)。そのいっぽうで携帯電話やノートパソコンと同じく、充電の仕方や使い方で蓄電能力に差が出てくることがポイントだ。急速充電器で充電を繰り返し、アクセルや冷暖房を全開で使っていると(つまり急速な充電・放出を繰り返すと)バッテリーの性能は急速に落ちていき、逆に200Vでもゆっくり充電し、アクセル操作も優しく使っていけばバッテリーは新品時の性能を長く維持できるそう。使い方によっては5年で2倍程度の差が出ることもあるそうだ。

問題発見 一時、小社購入断念か……の事態に

弊社の駐車場でEV用200V電源の設置工事を見積もり。約8万円也

弊社の駐車場でEV用200V電源の設置工事を見積もり。約8万円也

「i-MiEVご購入の場合、保管する駐車場にはできれば専用のブレーカー付き200Vコンセントを設置してください」事前説明に来た営業マンがまず本誌に語ったのは右のとおりだった。これまでi-MiEVの充電といえば従来の(二口タイプの)コンセントで充分だと思っていたし、手近になければ延長コードで引っ張ってきてそこにつなげばいいと思っていた。「それで、そのコンセント設置費用っていくらくらいですか?」と聞いてみると、「場所によって千差万別なんですが、配電盤の場所が問題だと場合によっては200万~300万円かかっちゃうケースも……」えぇぇぇぇ~~~!? 高っ!!補助金が出るとはいえその額は地域ごとに不明確で、車両価格の総支払額は469万3389円。その上300万円もかかったらとてもじゃないが買えない。本誌(編)もこの話を聞いて「i-MiEV購入断念か!?」と頭を抱えた。だいいちそれじゃ普及は何年たっても無理だ。そこでさっそく近所の電気工事店に、電気自動車用コンセント設置を依頼してみた。

「電気自動車? あ、あの三菱のヤツですね。知ってます。工事したことはないけど、200Vのコンセントと、それ用のブレーカーを付ければいいんですよね? さっそく明日、見積もりを作りにそちらに伺います」とは編集部近くの電気工事会社。工事費については現場を見ないとなんとも言えないそう。さっそく来ていただき、駐車場を見てもらうと……、「あ、これなら8万円くらいでいけますよ」とのこと。聞けばよほど条件の悪いビルの駐車場でもなければ200万円を超えるケースはないという。実際、翌日いただいた見積書を見ると、設置費用は工事費込みで7万9002円也。参考のため一般家庭でも見積もってもらったが(世田谷区成城一戸建て)、3万2000円で設置できるという。営業マンはその最悪のケースのさらに最悪の場合を想定して説明したのだろうけど……いや杞憂に終わってよかった。ほっ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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