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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
アウトバックVSフォレスター スバルのSUVどっちが買いなのか?

アウトバック vs フォレスター スバルのSUVどっちが買いなのか?
【本記事は2009年7月にベストカーに掲載された記事となります。】アウトバックの比較の相手は同じスバルのフォレスター。クラスは違えど、同ジャンルのこの2台はどこに差があるのか?今度のレガシィは水平対向6気筒の排気量を3.6Lに拡大した。北米では3.5Lが日本の2L級の感覚という事情に対応したものだが、結果として日本市場ではこれまでの3L以上に売りづらくなったことは否めない。そのため、日本市場では水平対向6気筒は当面アウトバックのみの設定。SUVなら3.6Lもそれほど“トゥービッグ”に感じないことを期待している。
6気筒は試す価値あり

フラット6、3.6Lはキャラクターの濃いエンジンだ!
そんな苦しいお家の事情はあるのだけれど、乗ってみるとこの水平対向6気筒はやっぱりいい。世にV6は数々あれど、水平対向6気筒といえばポルシェと富士重のみ。今回、排気量アップのためストロークが80mmから91mmへと伸ばされたけれど、持ち味であるスムーズな回転フィールにはほとんど影響なし。シューン! という独特のサウンドとともに、6000rpmオーバーまで軽々と吹け上がってゆく。先代レガシィで水平対向4気筒系のドロドロ……という独特なサウンドが消えたいま、水平対向ならではの醍醐味を味わいたいならこの6気筒がお薦め。国産車でエンジン/パワートレーンにこれだけキャラの立ったクルマは希少。ユニークで質の高い走りを求める人にとって、アウトバック3.6Rは試してみる価値がある。また、エンジンだけではなくアウトバックという車種そのものも、いまやレガシィの本流となりつつある。冒頭にも述べたとおり、今度のレガシィは従来からのご贔屓筋だけではなく、より幅広いユーザーをターゲットとしている。そのため、スポーツ性の高さで売ってきたワゴン/B4はその路線を修正。自ら掲げたコンセプトでも「ドライバーだけではなくすべてのパッセンジャーにファンなクルマ」というテーマを強調している。しかし、思いかえせばそのテーマをいち早く具現化したのが先代のアウトバックだったのだ。パワーよりドライバビリティ重視のエンジンラインアップや、ワゴン/B4よりもゆったりした乗り味を提供するサスペンション設定など、アウトバックのコンセプトは今度の新型を先取りしたもの。アウトバックはレガシィ開発チームのエンジニアにも人気が高かったそうだけど、開発陣も本音ではこういうクルマが作りたかったんじゃなかろうか。
ゆったり派にはアウトバック

2.5LとCVT、3.6Lと5ATの組み合わせとなるアウトバックは、5代目のキャラクターを最もわかりやすく表わしているクルマだ。新しいレガシィはゆとりの性能を重視している
そんなわけだから、今度の新型でもアウトバックはますますその存在感を大きくしている。ゆったりと贅沢な走りなら水平対向6気筒の3.6Rがシリーズ最高だし、それじゃ高すぎるというなら260万円台から買える2.5iもいい。細かい装備の違いはあるものの、旧型アウトバックがエントリーモデルで300万円近かったことを考えると、今度の新型はお買い得感絶大。これまでは、ワゴンに対してアウトバックは割高というイメージだったが、新型になって価格差が収縮。これなら、スポーツワゴンではなくライフスタイルを楽しむためのワゴンを指向する人にとって、外観の雰囲気や穏やかな走りのテイストなどでアウトバックのほうが文句なく満足度が高い。また、この価格だとフォレスターならターボが手に入るところだが、こちらは同じSUV系でも速さとアウトドア性能を両立させようというタイプ。アウトバックとは目指す方向がちと違う。加えて、メカニズム的にもフォレスターのエンジン/ミッションは2L+4ATという旧世代のパワートレーンだから、環境性能/ドライバビリティともに新型のアウトバックには及ばないのが残念。やっぱり、フォレスターは200万円台前半のベースモデルをカジュアルに乗りこなすのが似合ってるんじゃないかな?
この対決の結論は?

パワートレーンをすべて一新したうえで、エントリー価格を引き下げてきたアウトバックの意気込みはすごい。フォレスターも200万円台前半のエントリー車種なら魅力アリだが、同価格帯の2Lターボだとアウトバック2.5iの圧勝だ。NEWレガシィは○か×か?冒頭にも述べたけれど、4世代続いた成功作のモデルチェンジは容易な仕事ではない。従来どおりのコンセプトを引きずっていてはじり貧が必至だけれど、多くのファンを抱えている以上まったく違ったクルマにすることも不可能。ましてや、レガシィは富士重工の大黒柱だけに失敗は許されない。けれども、新しいレガシィはこの難しいテーマに怯まず立ち向かったと評価できる。既存のレガシィファンの反発を恐れずパフォーマンスやハンドリングなどのスポーツ指向に歯止めをかけ、Cセグメントセダンの基本となる居住性や乗り心地の向上に注力する。そのいっぽうで、主力のエンジン/ミッションを刷新して、ベース排気量を2.5Lに拡大しながら燃費性能を向上させる。しかも、スバルが最も苦手なコスト低減も徹底しなくちゃいけない。これだけの難しい仕事をとりあえずキッチリとまとめ上げただけでもたいしたもの。部外者ながら、よくもまぁこれだけあらゆる部分を変えられたなぁと感心してしまった。ただし、このレガシィ史上最大の変革を成功させるカギが北米市場にあるのは気になるところだ。いまや、レガシィはその過半を北米で販売するクルマ。国内市場は2~3割で、北米で台数を稼ぐことが、今回の大変革の前提条件なのだ。この前提条件が崩れると、日本市場が厳しくなる。できれば、時間をかけて新型レガシィのコンセプトを既存ユーザーに浸透させてゆきたいところだが、リーマンショックに端を発した金融恐慌によって、そんな悠長なことをいっていられなくなるのが懸念される。なにはともあれ、これまでレガシィに興味がなかったユーザーにアピールすること。それが新型レガシィが成功するための最重要ポイントであることは間違いないだろう。