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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03

三菱i-MiEV(アイミーブ)ついに正式デビュー!! 電気自動車時代

BCも1400台の法法人販売の1台を奪取しようと申し込み中

【本記事は2009年7月にベストカーに掲載された記事となります。】いまアナタは運がいい、担当のワタシも同様だ。100年も続いた化石燃料で走るクルマからEVで走れる時代の大転換点を目撃しているのだから。くどいようだが、6月5日は世界の自動車界において歴史的な日となるに違いない。三菱が量販市販の電気自動車、i-MiEVを正式に発表したその日である。リアミドシップレイアウトの軽自動車、iをベースに電気自動車として仕上げたi-MiEVが世に出たのは、今を振り返ること2年半前の2006年11月。東京電力、九州電力、中国電力などの電力会社と共同で先行試験を開始。急速充電器の開発を進めるとともに、実際の使用条件下での問題点の洗い出しなどを進めた。さらに’07年10月には、先行試験車より航続距離などの性能を向上させた『実証試験走行車』が完成。’08年2月以降、先の電力会社3社に加え、関西電力、沖縄電力、北海道電力、北陸電力などと実証走行試験を開始した。さらに、実証試験車は神奈川県警や郵便事業会社などにも納入され、信頼性の向上を中心に、実際の使用条件下でのユーザーの要求、改善ポイントなどを徹底的に調べ上げ、市販車へフィードバックを行なった。さらに、総計80台がヨーロッパ、アメリカ、カナダなどを中心とした海外での実証試験を実施。デリバリーは7月下旬から開始される。間違いなく世界の自動車界の歴史に大きな1ページを刻み込んだ。バンザ~イ!!

レッドソリッドホワイトツートン:ここに注目! ベースとなるガソリンエンジンのiとの外観上の違いはLEDヘッドライトとクリアカバーのLEDリアコンビランプ、それと左右リアフェンダーの充電ソケットのリッド部など最小限。単色ボディだと見わけがつかないか!?

レッドソリッドホワイトツートン:ここに注目! ベースとなるガソリンエンジンのiとの外観上の違いはLEDヘッドライトとクリアカバーのLEDリアコンビランプ、それと左右リアフェンダーの充電ソケットのリッド部など最小限。単色ボディだと見わけがつかないか!?

さて、i-MiEVで最も気になるのは「価格」だろう。結論からいえば、車両本体価格は459万9000円と少々お高い。が、実際購入する場合は、国から139万円の補助金が交付され、ユーザーの負担する金額は320万9000円となる。どうでしょう!? ずいぶんと現実的になってきた!? それでもまだ高い、と感じる人も少なくはないだろう……。発表後、今年度販売されるi-MiEVは1400台の計画で、基本的には法人ユーザー向けとなり、一部、経済産業省が実施する「EV・pHVタウン構想」広域実施区域に在住する若干名の個人ユーザーにも販売する計画もあるが、確定はしておらず、計画が中止になる可能性もあるという。販売方法は全車メインテナンスリース方式となり、実際にはリース会社と契約を結び、月々のリース料金を支払うかたちとなる。5年間のリースで毎月約6万円程度。「1400台というのはバッテリーの生産キャパでギリギリなんです。もっとたくさん作りたいのですが、どうしようもないんです。勘弁してください」というのは、MiEV事業統括室技術企画チームリーダーの和田憲一郎氏。広く一般ユーザーに向けた販売は来年4月から開始の予定。今年7月下旬から予約受け付けを開始する予定なので、三菱販売ディーラーに確認をしていただきたい。「来年度は年間5000台の生産計画です。これもバッテリーの生産キャパいっぱいの数字なんです」と和田チームリーダー。これまでi-MiEVというと、実証実験車両の赤/白2トーンカラーや、電力会社などのロゴが入ったボディカラーが印象的だった。さて、市販開始にあたり、ボディカラーは全8色が用意されることとなった。ホワイト、シルバー、ラズベリーレッドなどの単色ボディカラーも設定されているが、普通のiとの違いをアピールできる2トーンカラーがいい感じ。ホワイトパール/ミントグリーンソリッドの2トーンがさわやかな印象。そして例の赤/白2トーンカラーも用意されている。

スペックは最高出力64ps、最大トルク18.4kgmで航続距離160kmというのは実証試験車時代と変更なし。

バッテリーパック:バッテリーは合計88個の電池セルが頑丈な井桁状フレームに囲われてフロア部に配置される。もちろん防水

バッテリーパック:バッテリーは合計88個の電池セルが頑丈な井桁状フレームに囲われてフロア部に配置される。もちろん防水

電気を作るのは簡単ですが、信頼性の高い電気自動車を提供するのは本当に難しい(和田憲一郎チームリーダー)「今後、世界中のベンチャー企業が電気自動車の生産に乗り出すのでは!? 特に中国などでは簡単に電気自動車を作って市販してきそうですが!?」開発陣にこんな質問を投げかけてみた。「走れる電気自動車を作ること自体はそんなに難しいものではありません。バッテリーとモーターがあればとりあえず走れるものはできてしまいます。でも、信頼性、商品性を高めていくのはとても難しい。世界30カ国にたくさんの自動車メーカーがありますが、実際に市販車レベルの電気自動車を作れるメーカーは何社ありますか!? と逆に問いたいですね」と言うのはi-MiEVの心臓部ともいえる制御コンピュータ『MiEV OS』の開発リーダー半田和功MiEV制御技術エキスパート。「安全性の確保、制御系統のノウハウなどは積み重ねが大切。そう簡単にまねできるものではないと自負しています」と半田エキスパートは自信を見せる。

ここで初耳の『MiEV OS』とは何か!?

電気自動車の動力関連部分をトータル的にマネジメントするシステムで、・バッテリー管理システム・高電圧制御システム・航続可能距離表示制御・トラクションコントロール・スムーズ発進制御・バッテリー容量推定制御・回生ブレーキ制御・パワーセーブ制御などを統括して安全かつスムーズにEVを走らせるための心臓部。EVで何が怖いかというと、バッテリーの漏電や衝突事故時の感電など。330Vという高電圧となるi-MiEVのバッテリーはフロア面に強固な井桁フレームに囲まれるように完全シールド状態で搭載され、高い衝突安全性を確保しているが、さらに『バッテリー管理システム』と『高電圧制御システム』により状態をモニター。漏電が感知された場合は瞬時に電気系統をシャットダウンして感電の危険を防止する。万が一の衝突事故時には、専用Gセンサーが衝撃を感知した瞬間にバッテリー系統を遮断するなどの制御をする。「危険な高電圧を絶対に外部には出さない」何重もの安全策が施されている。さらに、『トラクションコントロール』、『スムーズ発進制御』、『回生ブレーキ制御』などの緻密な制御により、高いドライバビリティと安定した走りを実現する。モーターは起動時のトルクが非常に高く、i-MiEVに搭載されるモーターも最高出力は64ps(47kW)でガソリンエンジンのiターボと同じだが、最大トルクは18.4kgmと約2倍。しかも、回り始めた瞬間に最大トルクを発生するモーターの特性、また、エンジンに比べてアクセルレスポンスが格段に鋭いため、アクセルワークに対してモーターをスムーズに回す制御をしないと走りにくいものとなってしまう。このあたりの緻密な制御がEVのドライバビリティを高めるキモとなってくる。こうした電気自動車としての商品性や信頼性をトータル的にコントロールしているのが『MiEV OS』なのだ。

実証試験車と市販車の違いは制御部分

実証試験車のデビューからも1年半がたって、市販モデルで改善された部分は、今説明した『MiEV OS』のバージョンアップ……、特に高電圧制御部分のバージョンアップが最も大きい部分だという。より安全性が高められているということだ。また、バッテリー周辺の安全性の強化なども図られている。いっぽう、充電時間(100Vで14時間、200Vで7時間、急速充電30分で80%)、バッテリーのパフォーマンス、モーターの性能などハード部分の基本性能に変更点はない。エクステリアではヘッドライトが3連LEDタイプになったのが大きな違いだが、ボディサイズや基本骨格の変更点はなく、もちろん軽自動車サイズ。インテリアではメーターパネルに航続可能距離表示モニターを設置するなど、より使い勝手のいい変更が加えられている。完成度はそうとう高そうだ。早く乗りたい!!

走りのよさは実証ずみ 0→80km/h=10秒6(iターボ=11.2秒)0→400km/h=20秒6(iターボ=20.9秒)

走りのよさは実証ずみ 0→80km/h=10秒6(iターボ=11.2秒)0→400km/h=20秒6(iターボ=20.9秒) 手前がi-MiEVで奥がiターボ。横並びでよーいドンしたら、スッとi-MiEVが前に出て、そのまま差はあっという間に広がった。特に発進から50km/hあたりまでは圧倒的に速い!!

走りのよさは実証ずみ 0→80km/h=10秒6(iターボ=11.2秒)0→400km/h=20秒6(iターボ=20.9秒) 手前がi-MiEVで奥がiターボ。横並びでよーいドンしたら、スッとi-MiEVが前に出て、そのまま差はあっという間に広がった。特に発進から50km/hあたりまでは圧倒的に速い!!

右の写真は2007年3月、開発試験車両に試乗した時のもの。i-MiEVとiターボをよーいドン!! i-MiEVがスッと出たとおもったら、そのまま“シュルルルルル~“とイッキに差を広げる。社内テスト値では0→80km/h加速は10秒6でiターボの11秒2を0.6秒引き離す。EVの特性で高速域の加速性能はやや劣るものの、ゼロヨンタイムは20秒6で0.3秒ターボを上回るタイムだし、中間加速でも40→60km/h=2秒8(ターボは4秒0)、60→80km/h=3秒8(ターボは5秒6)と、高いパフォーマンスを示している。「アクセル踏んだらドンと前に出ていくし、速くて楽しいクルマだよね。完成度も高くて、普通に使える電気自動車。高速道路も充分に走れる。ものすごくいいと思う。ただ、値段だよね。バッテリーだけリースということにして、年間8万円程度にして、車両価格を普通の軽自動車なみにしてくれたらリーズナブル。欲しい!!」と国沢光宏氏。

さて、引き続いて、i-MiEVに対する疑問点をQ&Aで解明していこう!!

充電は家庭用100Vのコンセントからコードでつなぐだけのお手軽さ。カラの状態から100Vだと14時間、200Vだと7時間で満充電

充電は家庭用100Vのコンセントからコードでつなぐだけのお手軽さ。カラの状態から100Vだと14時間、200Vだと7時間で満充電

Q、バッテリー、モーター、インバータなどの保証はどうなっているの!?A、すべて5年、10万の保証となっている。ただしバッテリーに関しては、「リチウムイオンバッテリーの特性上、充放電を繰り返すことで徐々に劣化していくことは避けられません。この劣化の部分については、保証の対象外です」とのこと。それでも想定される最悪の使用条件でも10万程度の走行距離でバッテリーが通常の使用に耐えないほど劣化することはないとのことなので安心していただきたい。Q、満充電に達しない状態で充電を終了して走り出しても大丈夫!?A、「バッテリーに最も優しいのは、なるべく使い切ってからゆっくり充電し、満充電になってから走り始めるのが理想ですが、現実の使用環境ではそうもいかないので、あまり気にすることはありません。こうした使い方でも10万程度は充分耐えられるように作っています」と電池技術担当の戸塚裕治マネージャー。 満充電までの時間は家庭用100Vで14時間、200Vで7時間。充電量は時間に比例するので100Vで7時間充電なら、約50%充電となる。急速充電器だと30分で約80%の充電が可能。バッテリーへの負担は普通充電のほうが小さい。Q、出先での急速充電にかかる費用はどの程度!?A、現在、特定のショッピングセンターの駐車場や公営駐車場、民間駐車場などに急速充電器が設置されている場所があるが、現時点では充電は無料となっている。今後、EVの普及に伴って料金設定などが決められていく予定。 急速充電器の設置場所は、今後、三菱自動車のホームページ上で最新情報を公開する予定。ちなみに、急速充電器は現在4社が製造しているが、統一規格があり、どのメーカーの充電器でも使用することが可能。Q、現実的な航続可能距離はどの程度!?A、三菱の社内テストによると、市街地走行状態でエアコンを使用すると満充電で100km程度、エアコン不使用時で120km程度。80%充電だとそれぞれ80km、95kmとなる。インパネのバッテリー残量が残り2目盛りとなると、残り走行可能距離は10~12kmとなる。Q、路上でバッテリーがつきてしまったらどうする!?A、バッテリー残量計が0目盛りになると同時にモーター出力抑制、エアコン/ヒーターの使用を停止した『パワーセーブモード』となり、この状態から最低限5kmは走れるようにしているとのこと。これだけ走れればなんとかなるはずだ。と、安全は充分に確保している。

日産、スバルもEVやる気マンマン!!

i-MiEVの興奮もさめやらぬ8月、日産も市販型電気自動車を公開することが決定している。日産は今後ゼロエミッション車の開発に注力することを表明しており、電気自動車がその中心となる。まずは8月に「公開」されることになるが、市販開始は来年の予定。新型電気自動車は追浜工場で年間5万台規模で生産されることとなり、2012年までにはさらに生産規模を拡大する計画。キモとなるバッテリーは従来のリチウムイオンバッテリーの2倍程度の出力を発揮するという新開発ラミネート型リチウムイオンバッテリーを採用する。いっぽうスバルもi-MiEVと同時期、つまり今年7月からステラEVの法人販売を開始する。こちらは100台程度で三菱より規模が小さいものの、車種の選択肢が増え、EV業界に拍車がかかるだろう。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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