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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
価格2倍の価値はあるのか!? 1575万円のスーパーGT-R
特別なGT-R

1575万円のスーパーGT-R
【本記事は2009年5月にベストカーに掲載された記事となります。】特別なGT-Rはここが“特別”だ1月7日にデビューしたGT-RスペックV。やっと日産主催の試乗会が開催された。「正直、予算カツカツです。試乗会のためだけに2台のスペックVを用意しました。2日間の試乗会でタイヤやブレーキの部品代だけで1000万円近くの予算です」と某日産社員。それでも、われわれメディアに試乗のチャンスを作ってくれたのだから感謝しなくてはならない。
4本で6kgの軽量化を実現ホイール

スペックV用のタイヤ&ホイール。レイズのホイールは4本で6kgの軽量化を実現する
仙台ハイランドに用意されたスペックVは専用カラーのアルティメイトオパールブラック。57万7500円のオプションカラーで、光の当たり具合で黒く見えたり、ちょっと紫ががって見えたりする微妙なカラー。R34GT-Rに設定されていたミッドナイトパープルを思い出させるカラーリングだが、今回のアルティメイトブラックオパールのほうが深みのある色合い。シルバーの縁取りが印象的なブラック塗装のレイズ製軽量アルミホイールと合わせて、独特の風貌となり、標準タイプとの違いをアピールする。4本で6kg軽くなっているとのこと。
スペックVの注目ポイント

カーボンセラミックブレーキが独特の質感を醸し出している。何となく表面がざらついたような質感だが、触ってみると標準のスチールローターより実際にざらついた手触りだった
ホイールから覗くブレーキがスペックVの注目ポイント。「ニッサン・カーボン・セラミック・ブレーキ」と名付けられたブレーキローターは表面がざらついたような独特の質感を見せ、タダモノではない雰囲気を醸し出す。6ポッドキャリパーは標準タイプと同一のものだが、シルバーに塗装されており、これまた違いをアピール。このローターが恐ろしく軽く、片手でヒョイと持ち上げられるのにビックリ。標準タイプのスチールローターに比べて1枚あたり5kg軽くなっているというから、その軽量化の効果は絶大だ。
エクステリア

ボディサイズは標準タイプのGT-Rと違う部分はない。フロントスポイラーのブレーキエアダクトのカーボン、フロントグリルのカーボン、リアスポイラーのカーボン、チタンマフラー、専用アルミホイールなどが外観上の違いとなる。ボディカラーはシルバーや赤なども選ぶことができる
その他、エクステリアではフロントリップスポイラーに設けられたカーボン製ブレーキ冷却ダクト、カーボン製フロントグリル、カーボン製リアスポイラーなどが目を引く。光が当たるとカーボン独特の格子状の模様が浮き出て、素材の違いを主張する。カーボンリアスポイラーは片手で軽々持てるほどの軽量で、この1つで94万5000円もする。リアスポが軽自動車なみの値段って……。またリアセクションではカーボン製リアディフューザー、チタン製マフラーなどがスペックV専用パーツとして装着されている。チタンマフラーは199万5000円と高価だが、より効率のいい排気と冷却効果を実現するためと、チタンマフラーならではのスポーティなサウンドを得るために必要不可欠だったとのこと。マフラーだけでインサイトが買えちゃうのです。
注目の走りは!? ハイギアードブーストの効果は!?

スペックVのインテリア。ステアリングのスポーク部が標準タイプのシルバーからブラックとなっている。シートは専用のカーボン製バケットシートで1脚あたり114万4500円。重量は運転席が8kg、助手席が5kg軽量化され、ともに単体で21kg。背面のカーボン地がソソるのだ!!
■注目の走りは!? ハイギアードブーストの効果は!?さてドアを開ける。まず出迎えてくれるのは1脚114万4500円!! のカーボン製バケットシート。正直、腰を下ろすのも緊張だ。オイラの体重で壊れはしまいか……。これ、標準タイプのGT-Rには付いていた電動調整が付いていないんですね。高いのになんか、機能がショボくなっている。重量は運転席、助手席ともに約21kgで、運転席は約8kg、助手席は5kgの軽量化となっているとのこと。スッポリはまって身動きできなくなりました。インパネの雰囲気は標準タイプと大きく違いはないけれど、ステアリングのスポークがシルバーからブラックになっていてカッコイイ。
注目のハイギアードブースト

センターパネルのメインスイッチをオンにした上で、ステアリングのスイッチ(指を指している部分)をオンにすることで、ハイギアードブーストは80秒間作動する。作動の条件は、ギアが3速以上でエンジン回転が5000回転以下。過給圧がアップし、最大トルクが2kgmを上限にアップする。効果は絶大で、コーナーからの立ち上がりでのダッシュ力がオフ時とは段違いに鋭くなる
注目のハイギアードブーストは、センターパネルのメインスイッチをオンにした上で、ステアリングスポーク右側のスイッチで作動開始。3速以上のギアポジションでエンジン回転5000回転以下で80秒間作動する。普通のGT-Rでも充分すぎるほど速いのに、いつどこでこのスイッチを使うのよ!? と思いつつ、恐る恐るスイッチオン!! “シュバババババ”の加速が“ギュババババ”になった。3速ギアで右左右、登りながら大きく左に回り込んで……、という区間でスイッチを入れてみたけど、コーナーとコーナーの間隔が短くなったような印象。あまりの加速に胃袋が押しつぶされそうになって、自分で運転しているのに気持ち悪くなってきた。
約500万円というカーボン・セラミック・ブレーキ

こちらがリアブレーキ。キャリパーは4ポッドとなる。効きは絶大で、温度変化による影響は最小限に抑えられている。低温下での効きもまったく問題なし。前後で493万5000円
さて、例の約500万円というカーボン・セラミック・ブレーキだ。20年前憧れて、結局買えなかったR32GT-Rの新車時のお値段よりも高いブレーキシステムですからね。最初の一発は畏れ多くてフルブレーキングできませんでした。パッド減らすのもったいなくて……。現場にいた鈴木利男さんにそう言ったら「ガツンと踏んじゃってよぉ」と言われちゃいました。利男さんドライブのスペックVに同乗させてもらったけど、ウソみたいに奥まで突っ込んで、スパッと向きを変えて立ち上がる。ものすごく安定してすさまじい効きを体感いたしました。自分でもやってみたけど、標準タイプGT-Rと同じポイントでブレーキかけたら、スペックVははるか手前で減速を終了しちゃって、コーナーに加速しながら入っていくというヘタレっぷりを披露してしまいました。コーナーリングはよく曲がる!! 標準タイプはリアが粘りながら曲がる感じなのに、スペックVはスパッ!! と曲がる。あまりに曲がりすぎるのでビビリました。とうてい乗りこなせるクルマじゃないと実感した。
GT-Rをもっと深く知る4ポイント

標準GT-Rと比べてスペックVの動きはシャープでシビア。コーナー入り口でもステアに対してスッとノーズが入り、立ち上がりではこんな姿勢でダッシュしていく
GT-Rをもっと深く知る4ポイント 保証システムの変更、09モデルのアップデートキットの販売計画etc■スペックVの乗り心地は悪くないの!?スペックVのサスペンションは標準タイプの3段階モード切り替えタイプとは異なり、固定タイプ。最大の理由は、硬いタイヤをしっかり使いこなすために、ダンパーの微速領域の動きをスムーズにする必要があり、そのためにはダンパー内部のバイパスバルブの容量を拡大する必要がある。このため、モード切り替えを設定することができなくなり、1モード固定となったという経緯がある。スペックVはバネ、ダンパーともに標準タイプのGT-Rよりもハードなセッティングとなっているが、前述のとおり、ダンパー初期の動きがスムーズになっているため、路面の小さな凹凸をしなやかに吸収し、あたりのソフトな乗り心地を確保しているのだ。
標準GT-Rは09モデルになってどこが変わっている!?

09モデルの標準GT-R。サスペンションセッティングが変更され、よりハードとなっているが、乗り心地はむしろ改善されている。このサスキットを初期モデルに組み込むキットの販売を計画中
■標準GT-Rは09モデルになってどこが変わっている!?’09年モデルになってエンジン出力が当初の480psから485psにパワーアップされているが、これは、エンジン本体の製造精度の向上と、コンピュータ制御精度の向上が最大の理由であると日産では説明している。燃調制御を見直すことで、ストイキ混合比領域(クリーンエア領域)での最大トルクを40.0kgmから47.0kgmに拡大。10・15モード燃費も8.2kgmから8.3kgmに向上した。また、ボディの合わせ込み精度の向上も大きく手直しをしており、同時にサスペンションのセッティングを変更。バネレートをアップさせ、ダンパーの減衰力もハード方向に振ったものとなっている。これは、よりフラットな、姿勢変化の少ない操縦性を目指したため。サスを硬くしたことで乗り心地が硬くなっているかと思うと、実際にはむしろ初期型よりも乗り心地がよくなっている。これは、ダンパーの動きがスムーズになっているため。また、09モデルでは燃料タンク容量が71Lから74Lに拡大。それと、これは各部の工作精度が上がったためだと思うが、初期モデルの最初の試乗会で感じた、街中でのトランスミッションの振動、騒音が劇的に改善されていた。■’07年にGT-Rが出てすぐ買った人は実験台!?どんな工業製品でも、初期トラブルは必ず発生するし、トラブルとまでは行かなくても、製品化して初めて判明した不具合や改良すべき点というのはあるものだ。特にGT-Rはシャシー、エンジン、ドライブトレインなど、新規開発した部分がほとんど。市販してからユーザーの声を聞いて改良していくことは、ある意味当然といえる。現在日産では、初期モデルに09モデルのシャシーパーツを移植するキットを販売計画している。間もなく正式に発表される見込みだが、50万円程度で09モデルのバネ、ダンパー、ブッシュ類などをキット化。これだけを入れれば乗り味、ハンドリングは09仕様に生まれ変わる。
サーキットを走るとメーカー保証が効かなくなる!!

全体で60kg軽くなったスペックVだが、特にブレーキの軽量化、ホイールの軽量化でバネ下が26kg(1輪あたり6.5kg)軽くなっている
■サーキットを走るとメーカー保証が効かなくなる!!これはそのとおりで、サーキットでこそ実力が発揮されるスペックVでも、サーキット走行をした時点で保証対象外となってしまう。もっともサーキット走行後点検(5~6万円)を受ければ保証対象に復帰するが、なんかなぁ……。また、サーキット走行の有無にかかわらず、姿勢制御装置VDC-Rモードをオフにして走行をすると、保証対象外となってしまう。もっとも、VDC-Rはそう簡単に制御介入しないので、サーキット走行でもオフにする必要を感じないレベルの姿勢制御デバイスではある。また、指定部品以外への交換についてだが、タイヤやブレーキ、マフラーなど、改造したらディーラーでの整備がいっさい受けられないような伝えられ方がしていたが、実際にはそんなことはなく、違法改造とはならない改造なら、装着部品については保証対象外とはなるものの、ディーラーでの整備は受けられる。また、装着した部品とは無関係の不具合については保証の対象となる。例えば、タイヤを指定部品と異なる銘柄に替えたGT-Rで、シートのほつれなどが発生した場合は、因果関係がないので、シートのほつれは保証修理となるということ。