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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03
2009年、今年一番の注目ホンダニューモデル NEWインサイト 世界に誇れる日本のエコカーデビュー
国沢光宏徹底チェック NEWインサイトの○と×

インサイトの走りは? 燃費は?
【本記事は2009年3月にベストカーに掲載された記事となります。】国沢光宏徹底チェック NEWインサイトの○と×2月5日の発表直後から全国のディーラーで試乗会を開催していることもあり、早くもインターネットを見るとさまざまな評価が下されつつある。大雑把な流れは熱烈なホンダファンを除き、予想より辛口の方向に向かいつつある感じ。期待大きすぎたのか? 果たしてインサイトの実力やいかに!?
あえて「×」を先に書かせていただくと!!

リアシートはやや頭上スペースに余裕がない。ヒザスペースは身長176cmの編集部員が座っても、コブシ1つ分の余裕がある
■あえて「×」を先に書かせていただくと!!後半に問題点を書くと読後感よくないため、マイナス点から紹介しておきたい。まずネットで最も大きな話題になってるのは、来年発売が予告されているフィットハイブリッドの存在。やや軽いボディに同じパワーユニットを搭載することを考えると、おそらく燃費は同等。それでいて40万円くらい安くなると思われる(標準エンジンとの価格差を30万円と仮定)。リアシートの居住性の差などを理由に「だったら実用性で勝るフィットを選ぶ」という人がネット評価だと案外多い。ふたつ目に廉価版プリウスの動向。ハイブリッド技術では、インサイトより現行プリウスのほうが技術的レベルという点でいまだ優位。動力性能も燃費もインサイトは現行型プリウスに届いていない。エアコンのシステムなどシビックハイブリッドより退歩しちゃいましたから。車格や居住性だってひとつ半クラス違う。もし大差ない価格で再登板してくるようなことがあれば、強力なライバルになることだろう。とりあえずフィットハイブリッドと現行プリウスの存在を不安材料としておきたい。
大いに感じた!! 新型インサイトの○の部分

■大いに感じた!! 新型インサイトの○の部分Dレンジをセレクトして走りだした、と思ってほしい。インサイトの発進用クラッチは、シビックハイブリッドと同じ油圧制御の乾式単板タイプ(マニュアルミッション車のクラッチと同じ方式)。新型フィットで採用されているトルコンタイプと比べ、やや古い技術です。しかし!! アイドルストップ機能やモーターのアシストを考えるなら、トルコンより有利なシステムだったりする。旧型フィットの場合、スタート時にギクシャクするという違和感が出ていたものの、インサイトは充分滑らか。おそらく精密な制御を行なえるモーターでアシストするため、微妙なトルクのコントロールを行なっているのだろう。加えて自由に駆動系とエンジンを分離できる。開発担当者に聞いてみたら、停止する際、時速10でクラッチ切ってアイドルストップする。発進時もクラッチが切れた状態のままエンジン始動。直後にクラッチミートしていく。これがスタート用にトルコンを使うタイプだと暴走を防ぐため、一旦ニュートラルに戻してエンジン始動。その後Dレンジにしなければならぬ。タイムラグができてしまうワケです。インサイトの方式は「素晴らしいアイドルストップ装置」と考えていい。走り出した後も、モーターが上手にエンジンを補助する。エンジンという内燃機関の特性上、アクセルが開度を大きくすると爆発エネルギーが大きくなり、騒音/振動ともに高まってしまう。モーターで補助をしてやれば、エンジン負荷が下がって快適性も上昇するという寸法。小さい「×」になるけれど、モーター補助が弱くなる高回転域はエンジンで頑張らなくちゃならない。アクセル開度にして70%以上。回転数4500回転以上使う加速をしたなら、エンジンはけっこう賑やか。「ゆっくり走っていれば静か。飛ばすと荒っぽくなる」と考えていただければよいです。といったことからすると、快適さをキープすべく走ったら省燃費運転になるので○か?
スポーティなハンドリング!!

インサイトの走りはやや乗り味がカタイ印象だが、キビキビしたフットワークで気持ちよく走る。ただ、元気よく走らせると、ちょっとテールハッピーな挙動を見せる
■スポーティなハンドリング!!足回りも興味深い。基本的な乗り味は「硬めですね」的な評価になる。ディーラーで試乗をしている皆さんも「硬め」と感じているようだ。とはいえ安っぽくてゴツゴツする硬さじゃなく「シャープ」とか「スポーティ」に近いイメージ。ステアリングレスポンスがいいこともあり、好感持てる乗り味だと私は思う。小さいクルマに感じるのも「○」。クルマの運転に自信のない人だと「このサイズなら不安なく運転できる」という評価に繋がってます。ハンドリングをチェックすべくテストコースでコーナー攻めたら「これは!!」。気持ちよ~く曲がってくれるじゃありませんか!! 重いハイブリッドユニット+バッテリーをリアの床下に収納したため、FF車と思えないほど前後の重量バランスが好ましくなった。参考までに書いておくと、荷重配分は60%対40%。したがってハンドル切った時の回頭性ときたら、スポーティモデルなみ。歴代のホンダ車の中で最も回頭性がいいといってよかろう。「ハイブリッド=ECO。でも楽しくない」というイメージを持っている人がまだまだ多いらしいが、インサイトのハンドルを握ったら「へぇ~!」になること間違いなし。文頭で紹介したフィットハイブリッドがデビューしたとしても、スポーティなハンドリングはインサイトの大きな魅力として残ることだろう。むしろインサイトをスポーティな4ドアモデルとして進化させていったほうが面白いかもしれない。最後にバイヤーズガイドなど。価格を追求したハイブリッドだけに、フル装備車は推奨せず。内容を精査すると189万円の『G』で全く不満なし。安全を重視するなら、こいつに姿勢制御装置VSAやサイドエアバッグのオプションなど加えれば万全です。ナビ&オーディオはギャザズの『スタンダードユニット』(12万750円)がおすすめ。
ECONモードで燃費は向上する? 走りはどう変わる?

インサイトは実走行燃費がいいので、ガソリンスタンドに行く回数がグンと減るのがうれしい!!
ECONモードで燃費は向上する? 走りはどう変わる?インサイトの必殺燃費向上アイテムとして注目なのが「ECON」スイッチ。インパネ右下のグリーンの「ECON」ボタンを押すことでECONモードに切り替わる。・アイドリングストップ領域の拡大・エアコンの省エネ制御・パーシャル領域でのスロットル開度の制限・アクセル操作に対するスロットル応答性の抑制(ラフなアクセル操作をスロットルに伝えないことで燃費を向上)・CVTのキックダウン制御特性の変更・減速回生量増加などがスイッチオンで制御される。実際に「ECON」モードのオンオフで走り比べてみたが、その差は明確。例えば街中で50km/h程度の速度で走っていたとする。スイッチオフ時はアクセルペダルの微妙な動きにエンジン、CVTが反応し、これがクルマの動きに反映されるのだが、スイッチオンで「ECON」モードにすると、“クイクイクイ”程度のアクセルペダルの動きにはエンジンもCVTも反応せず。ゆっくりアクセルペダルを踏み込んでいってもCVTのギア比は変わらず、エンジン回転がジワジワ上昇する。同じことをスイッチオフでやってみると、CVTがギア比ジワジワ下げつつ、同時にエンジン回転も上昇し、キビキビした加速態勢に入る。このあたりの動き、オンオフでまったく違っていて、「ECON」オンでは、ドライバーのラフなアクセル操作をスロットルとCVTが吸収し、燃費のいいドライブをクルマがアシストしていることが実感としてよくわかる。それほどドライバビリティは悪いとは思わなかったけど、やっぱり、オフ時のほうがキビキビする。ただし、急加速での危険回避など、アクセルペダルを床まで踏み込んだときは、「ECON」が解除されるようになっているので、加速タイムに差は付かない。アイドリングストップに関しては、信号待ちなどで減速していくと、10km/hを切ったあたりで“ストン”とエンジンが停止。これは「ECON」のオンオフでの違いはない。ただ、エアコンを作動されているときのアイドリングストップ時間がオンではより長くなるというのだが、外気温や室内温度などの条件次第なので、今回のテストでは、そのあたりは実感できなかった。さて、「ECON」オンオフで一般道を約50km走行した結果だが、オフ=17.7km/L、オン=17.1km/Lで、約9%の差が付いた。普通に使うのなら、常時「ECON」オンでいいと思いました。
インサイトを200万円クラスのクルマとして評価するはたしてダントツなの!?

人混みのスクランブル交差点では、道行く人がインサイトに視線を投げかけていた。最近、人の視線を感じるニューモデルは少ない。そんななか、インサイトの注目度はとても高いことがわかった
インサイトを200万円クラスのクルマとして評価するはたしてダントツなの!?新型インサイトの価格は、最廉価の[G]が189万円、中間の「L」が205万円となる。ハイブリッド分が25万~30万円程度ということを考えると、もし、非ハイブリッドのインサイトがあったなら、160万円程度ということになる。200万円前後のクルマというと、例えばギャランフォルティスエクシード(178万5000円)、カローラフィールダーS(198万5000円)、イスト180G(189万円)などのクルマたち。いずれも排気量1.8~2Lクラスのエンジンを搭載しており、ボディサイズもひと回り大きな、インサイトと比べると、車格がワンランク上のクルマたちということになる。やはりハイブリッドにかかる30万円程度ぶん、車格に差が出るのはいたしかたない。基本、インサイトはフィットクラスに近い車格である。ホンダのラインアップでは、ひとクラス上にシビックハイブリッドがある、という位置づけだ。これらのクルマたちと比べると、インサイトは内装の質感や乗り心地の質感(主にダンパーに起因する)などでやはりワンランク劣る印象なのは否めない。エンジンだって1.3Lで、モーターアシストが効かなくなる高速域ではエンジンがかなり賑やかになるし、加速性能も鈍くなる。動力性能的には、モーターアシストの効果が発揮される街中では1.5L級だが、アシストが効かない100km/h前後の高速域では、エンジン排気量どおり1.3L車なりの加速性能となる。だがしかし、200万円を切る価格でハイブリッドの凝ったメカニズムを体感でき、さらに実用燃費20km/Lレベルの好燃費を味わえるのはやっぱりインサイトならでは。200万円クラスの国産車で実用燃費20km/Lをコンスタントにマークできるクルマは他にない。この点においてインサイトは頭ひとつどころかふたつも三つもリードしている。
まだまだ知りたいことはたくさんある!

まだまだ知りたいことはたくさんある! インサイト多角的解剖 乗り心地、室内の居住性、ハンドリングetc.インサイトの評価は?さて、インサイトというと、どうしてもハイブリッドカーとしての性能、燃費性能などが気になってしまい、そんな部分がまず先に伝えられるのだが、ちょっと待った!! インサイトは「特別な」クルマではなく、189万円という買い求めやすい価格設定のファミリーカーとして評価されなければならない。■乗り心地正直、ちょっとカタイな、と感じた。サスペンションのストロークが足りないとかそういうのではなく、全体的にダンパーの動きがややシブくてサスペンションがスムーズに動いていない印象。一般道では大きめの路面のギャップではややゴツゴツした印象を受けた。また、BC編集部近くの乗り心地判定路面を走ってみたのだが、ウネウネ波状路ではバウンシングに追従しきれず、やや不安定な姿勢となる場面も見られた。同行したプリウスはサスペンションがキッチリ動き、キッチリ追従していただけにやや差を感じることとなった。■ハンドリング特にハイブリッドゆえの重さを感じることもなく、自然な操縦性を味わえるのがインサイトの魅力。重量物のバッテリーとコントロールユニットをシビックハイブリッドと比べて約28%軽量化したうえ、リアアクスルより前方の荷室下に収まっていることが功を奏している。ハンドリング性能自体はおどろくほどスポーティ。舵角に対するクルマの反応も機敏で、フットワークよくクルマを走らせることができる。ただ、リアの横剛性がやや不足しているのか、ある程度元気よく走るとリアが落ち着かなくなる傾向がある。ちょっとテールハッピーなハンドリングなのだ。
室内の居住性

フロントシートはタップリしたサイズでゆったり座れる。ただ、やや着座感はカタイ印象だ
■室内の居住性フロントシートに特に不満はないので、ファミリーカーとして使った時のリアシートの居住性を確認する。インサイトのリアシートは一般的な3人掛け。3人分の3点式シートベルト、ヘッドレストは備えられているものの、中央座席はフラットで「とりあえず3人掛けですよ」といった作り。左右2座は座面、シートバックともに身体に合わせた形状がつけられており、やはり2名で座るのが基本と考えたい。前席をちょうどいいドライビングポジションに設定したところで、身長176cmの編集部ウメキがリアシートに座ってみると、ヒザはギリギリ当たらないものの、ヘッドレストに頭を預けると、軽く髪の毛がルーフに触れる。ややお尻を前にずらしてゆったりもたれかかるような座り方をすれば回避できるのだが、今度はヒザスペースがギリギリ。なかなか微妙なスペースである。リアシートスペースは、狭いというほどではないものの、ゆったりというほどではない。5ナンバーサイズにこだわったインサイトの取り回しのよさ、使い勝手のよさを考えれば、このリアシートスペースは充分合格点、といってもよかろう。ただ、ルーフ後端が低く、サイドが大きく回り込んだ形状のため、思いのほかヘッドサイドに圧迫感を感じた。乗り降りの際、充分に頭を低くしていないと、思わず頭をぶつけてしまうので要注意である。わたくしウメキは降りる時に一度頭をぶつけてしまいましたです。
インテリアの質感

インテリアは最近のホンダ車に共通した、立体的な造形が目を引く。速度計はインパネ上部に独立していてデジタル表示。エコ走行時はバックライトがグリーンに光る仕掛けがあり、エコドライブを支援する
■インテリアの質感インパネはややプラスチック感な仕上がりだが、決して安っぽい感じではない。ドアトリムやウレタンステアリングなど、手で触わるパーツの質感も充分合格点だ。189万円の『G』は買い得なの? インサイト、ベストバイはどれ? 4月から実施の取得税&重量税免税前に買っても損はなし!?インサイトに用意されるグレードは3タイプ。安いほうからG=189万円、L=201万円、LS=221万円。基本となるボディやハイブリッドシステムは全グレード共通で、駆動方式はFFのみなので、各グレード間の価格差16万円は、装備の差ということになる。 まず確認しておきたいのだが、インサイトの189万円モデルは、決して価格の安さをアピールするための戦略グレードではない、ということ。2月5日の発表会の場でも、壇上中央、一番目立つ位置に置かれていたのは189万円の「G」。本ページ上の、福井社長とのツーショットのブルーのクルマが189万円の「G」ということからも、ホンダがこのグレードに自信を持っていることがよくわかる。装備比較表を見ていただければ一目瞭然だと思うが、インサイトは全グレードともフルオートエアコンは標準装備となっており、カーナビ、オーディオ類は全グレードともにオプション装着。Gでは2スピーカー、L、LSでは4スピーカーとなるが、メーカーオプションのHDDインターナビ(24万9000円)を装着すると、「G」にもリアスピーカーが装着され4スピーカーとなるので問題なし。最上級の「LS」はVSAが標準装備となるほか、16インチアルミホイール、185/R16タイヤなどが標準装備されるスポーティグレードという位置づけ。CVTに7速マニュアルモードが追加され、パドルシフトが装着される。この「LS」のみ、車重が10重くなることと、大径タイヤ装着などにより、10・15モード燃費が28.0km/Lと他グレードより2.0km/L低下する。燃費をつきつめたいインサイトだと、やっぱり「LS」をチョイスするのは勇気がいる。「G」か「L」がおススメだ。いっぽう、「G」「L」の装備差は本革巻きステアリング、ドアミラーウィンカー、ディスチャージヘッドランプ、アームレスト付きセンターアームレスト、リアセンターアームレストなど。特になくても不便は感じない。マップランプとラゲッジランプはあれば便利だが、これらはカーナビをオプション装着するとセットで装着される。さて結論。インサイトのベストバイは圧倒的に189万円の「G」で決まり。装備的にまったく見劣りすることはない。カーナビを付ければ満足度も充分高い。4月からのグリーン税制導入で、インサイトは取得税と重量税が免税となるが、免税の恩恵を受けられない3月登録でも差額分約10万円は値引きやオプションのサービスなどでお客さんが損することのないよう対応はするという。早く買っても損することはない。が、2月17日現在、受注台数は1万台を超えているとのことで、すでに3月中の納車は難しい状態だという。