エクストレイルはディーゼルにかぎる

【本記事は2008年11月にベストカーに掲載された記事となります。】日本で初めて、’09年施行のポスト新長期規制をクリアしたX-トレイルディーゼル。欧州販売モデルから左表のような変更を施し、ディーゼルのイメージがあまりよろしくない日本への対策をとったおかげか、9月18日の発売後20日たらずで、月間目標販売台数の10倍強となる1077台の受注を取るなど、なかなか好調な滑り出しを見せている。そのX-トレイルディーゼルの実力を、試乗を通じて検証していきたい。欧州仕様のグリルが目立つボディに入り込みイグニッションキーを捻ると、ちょっと長めのクランキングの後、注目のエンジンが目覚めた。……う～む、遮音に充分気を遣っているのはわかるが、やはりガソリンに比べると車内に侵入してくる音は大きい。さらにアイドリング時のエンジン音も懐かしいディーゼルのもので、このへんに過度の期待をするとちょっとがっかりさせられそうだ。

が、そんなマイナスの印象は走り出してしまうと瞬時にフッ飛ぶ。鋭いのだ、レスポンスが。ガソリンエンジンと遜色ない。そのため一度などガソリンエンジンの感覚で踏み込んでしまい、うっかりレッドゾーンまでエンジン回転を上げてしまった。それくらい鋭い。さらに2000回転を超えてからの加速は豪快そのもの。最大加速度はガソリンエンジンの3.5Lクラスと日産が豪語するだけはある。なかには「低速トルクが細い」という人もいるが、同じく試乗した鈴木直也氏は「それは2000回転を超えてからの加速が凄いから、低速がないように感じるんだろう」とコメント。決して低速域が弱いわけではないと強調した。

確かに街中でも1500回転も回っていればストレスフリーでクルージングが可能なことが確認できた。アクセル操作にちゃんと車速がついてくる。ディーゼル独特の低回転域での粘りのあるトルクも健在だ。逆に気になるところを鈴木直也氏に挙げてもらったところ、「アイドリング時の微振動と、コーナリングで若干ガソリンよりフロントの重さを感じるところ。あとはやっぱり現時点でマニュアルしか選べないところかな。欧州の150ps仕様に用意されるATでも充分だと思うけどね」を挙げた。ただし、「早めのシフトアップでトルクに乗せていく走りは、マニュアルだからこそ楽しめるっていうのはあるんだけどね。ガソリンの走らせ方とは違うから、そこに面白さはある」ともコメントしているので、マニュアルのみ＝ダメというわけではない。ただ販売の面からいっても、やはりATはあったほうがいい、との判断だろう。

「低回転での粘りのある走りとトルクフルな加速は充分魅力的でしょ。20X（4WD）に比べて60万円以上の価格差は正直大きいけど、クルマのデキはいい。個人的にはポスト新長期規制をクリアしてきたってところを大いに評価したい。マニュアル操作が苦にならない人には、充分アリな選択だと思うよ」と鈴木直也氏。というわけで、X-トレイルディーゼル、マニュアルもOKなアナタにはぜひオススメしたい。299万9850円で絶賛発売中。

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