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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04
アルファード ベルファイア 新帝王即位超絶進化
先代モデルと徹底比較!!

初期受注目標、1カ月で1万2000台!! 大型ミニバンでシェア50%獲得!!
【本記事は2008年6月にベストカーに掲載された記事となります。】02年5月、トヨタブランドにミニバンとして最高級格式に位置づけられていたアルファードが、あれから4年、2代目にモデルチェンジを果たした。アルファードの始祖にあたるグランビアが、かつてライバルである日産エルグランドに駆逐された時、トヨタのエンジニアたちは奮い立った。エルグランドを超えるモデルを作る。その至上命令を達成すべく開発に取り組んだ初代アルファードはヒットモデルとなり、現在にいたるまで文字通りトヨタのドル箱車種に成長している。 さてでは今度の新型アルファードはそのドル箱車種、累計販売台数41万3682台を誇る先代に比べ、どれほど進化しているのだろうか。ここではその進化度をチェックしていく。

右上の先代と比べると精悍さや高級感が増している
まずはエクステリアからチェックしていきたい。基本的にアルファードとしてはキープコンセプトではあるが、エクステリア上の最大のトピックスはヴェルファイアの設定がある。先代までアルファードはトヨペット店扱いがアルファードV、ネッツ店扱いがアルファードGとなっていたが(ハイブリッド車は共通)、ネッツ店扱いの車種としてこのたび新たにフロントとリアグリルの意匠がまったく違う新規車種を設定。それがヴェルファイアとなる。そもそもトヨタのなかでネッツ店とは若者向けを中心とした車種構成で展開しており、ヴェルファイアもその系統を考慮して迫力のある、今風の「ワルっぽい顔」になっている。具体的にはフロントライトが2段に分割され、スモーク処理のメッキモールが個性と高級感を演出。サイドへの流れを強調したフロントマスクが先進感をも表現している。パッと見た印象として一番強かったのはやはり「悪そう」ということ。近年このクラスのミニバンに憧れる若者層が増えており、先代アルファードやライバルのエルグランド、エリシオンプレステージにも迫力重視のエアロパーツをおごった仕様がラインアップされているが、このヴェルファイアならばノーマルでも充分それらの迫力に負けない力強さが感じ取れる。イメージカラーにディープパープルをもってきたのもこの若いユーザーを意識してのことだろう。後ろからこれが走ってきてルームミラーに映ったらすぐ道を譲ってしまいそうな雰囲気を持っている。
発表会の会場で、渡辺捷昭トヨタ自動車社長は言った。

「大型ミニバンで常に50%のシェアを獲得してきたアルファードは、(新型に移行したことで)さらなる進化を遂げ、高級セダンのような格の高さを目指しました」開発のテーマである「威風堂々、ミニバンの頂点」をテーマにしたというアルファード/ヴェルファイアは、月販目標台数こそそれぞれ3000台だが立ち上げ1カ月の受注台数は1万2000台と超強気。「格の高さを目指した、とのコメントがありましたが、レクサスブランドに対する意識はありましたか?」との質問に対し、チーフエンジニアの中越祐三氏は、「いえ、これがセダンであれば(レクサスブランドではなく、あくまでトヨタブランドだということで)意識してセーブしなければいけない部分も出てきたのでしょうが、レクサスにはミニバンがありませんから、思いきりやれました」と本誌に語ってくれた。チーフエンジニア自ら「思いきりやれた」という2代目アルファード、さてその進化はいかほどなのか?
ディメンションは?

流れと鋭さを象徴するリアスタイル
新型アルファードは全長4850×全幅1830×全高1890mm。先代と比べると全長で10mm長く、全幅で25mm広くなってワイド感を増しているが、全高では45mm低くなっている。これは操縦安定性の向上に効いており(次ページで詳しく検証)、そのいっぽうで室内長は75mm長くなり、室内高も10mm高くなっている。ここがポイントで、ワイド&ロー化を果たし走行性能が向上したにも関わらず、室内空間のパッケージングはさらに利便性を増しているということだ。この秘訣は現行エスティマのフロアを使い、それをさらに改良したところにある。もちろん車高が低くなったことで乗降性や荷物の積み降ろしが楽になったことも見逃せないポイント。また前席ヒップポイントを55mm低くすることで、乗用車感覚の運転を可能としており、ここにも「乗りやすさ」を追求した開発者の「こだわり」が見てとれる。またボディについてはロードノイズとエンジンノイズ低減のため、吸・遮音材を最適配置。静粛性の高さに驚くこと間違いなし。先代オーナーはぜひとも試乗時に比べてみてほしい。「開発時に想定したライバルですか? うーん、あえて言えば先代モデルからどこまで進化させられるか、ということでしょうね。他社さんの同クラス車はほとんど意識しませんでした。まあこの新型アルファードの販売期間中にライバル車もモデルチェンジするでしょうから、その次期型にも負けない性能にしよう、ということは考えましたけどね」とは前述のチーフエンジニアである中越氏。販売台数でもクラストップを獲得し続けてきたアルファードは、2代目に移行したことでさらにライバルたちを突き放す目論見だ。
内装、シートはどうだ?

渡辺社長、中越チーフエンジニアともに「究極のおもてなし」と豪語する新型アルファードの最大のポイントは、徹底的に見直されたシートにある。特に注目すべきは7人乗り車の高級グレードに設定されるエグゼクティブパワーシート。フロント席シートバックに備えられた大型フットレスト、パワーオットマン、大型ヘッドレスト、大型アームレストが装備され、旅客機のファーストクラスなみの豪華仕様となっている。本企画担当、実際にこのエグゼクティブシートに座ってみたが、あまりの快適さに思わず「ずっと座っていたい!」と思ってしまったほど。先代モデルは広さこそあって余裕を感じたが、新型は「ずっと座っていたい」と思わせる快適性がある。この座り心地はレクサスLS600hの後席を凌いでおり、真のラグジュアリー性を備えていると言える。また新型改良にあたりもうひとつこだわって開発されたのが3列目シートの使い勝手向上と乗り心地。現行エスティマに使用されている電動格納式シートは乗り心地や収納性を考慮して採用は見送られ、代わりにスプリングダンパーを内蔵したワンタッチ式の左右分割跳ね上げシートを採用。女性でも簡単に操作でき、肉厚もあるのでフル乗車でも快適な座り心地を実現している。3列目を畳む作業はこちらも実際にチェックしてみたが、先代に比べると格段にスムーズ。操作方法もわかりやすく、確かにこれなら女性でも簡単に跳ね上げ可能だろう(先代は若干レバーの位置がわかりづらく、3列目を跳ね上げるためには腕力が必要だった)。
加速、燃費、エンジンは?

新型となったことでV6、3.5Lエンジンを搭載。10・15モード燃費で9.5km/L、0~100km/h加速で8.3秒というミニバンらしからぬ数値を叩き出す。2.4Lも含め、燃費の向上と走りの実力アップは驚き桃の木もの
新型アルファードのエンジンラインアップは2.4Lと3.5Lの二本立て。エスティマと同じ構成で、スペックも同じ。しかし車重がエスティマに比べて200kgほど増しているために、燃費は若干のビハインドとなる。しかし先代に比べると2.4Lモデルは加速、燃費ともに向上しており、特に燃費は9.7km/Lから11.6km/Lと20%もアップしており、これはつまり「ガソリン代が2割引きになる」ということ! 0~100km/h加速で1秒5縮めていることを考えれば驚異的な数字といえよう。この大幅燃費向上には7速CVTの採用が効いており、ドライバビリティもアップしていることにも注目したい。新開発のワイドレンジ&クロスレシオ6速ATを採用している3.5Lモデルも、先代の3Lモデルと比べて大幅な進化を果たしている。プラス500ccの排気量アップを果たしたことで0~100km/h加速は2秒1も縮まり、特に低速トルクが向上していることで街中の使い勝手や信号でのストップ&ゴーは格段に快適になっている。これで先代3Lより新型3.5Lのほうが燃費がいいのだから、先代ユーザーとしては垂涎の逸品だろう。さてでは「走り」の実力はどう変わったか。公道で思う存分乗ったわけではないので現時点では断言できないが、「20%以上向上している」と中越チーフエンジニアが語るように、乗って十数mでその進化が確信できる。先代は重さと車高の高さでどうしてもユサユサ感が強かったが、低重心化でそれが見事に解消。さらに足回りも徹底的に見直されたことで、ハンドリングは非常に進化している。デザイン、室内、走り、およそあらゆる面で大きく進化している2代目アルファードは、さすがトヨタのドル箱車種だけあって気合いの入った見事な新型であった。ひとつ残念なのはハイブリッドモデルの開発中止で、この2代目アルファードにはハイブリッドモデルはない。トヨタ関係者によれば今後も設定の予定はないという(車重が重く、ハイブリッド車にするメリットがあまりないため、と思われる)。また初期受注殺到での納車遅れを警戒してか、2.4Lの4WDモデルは8月1日からの発売となる。
高級ミニバンバイヤーズガイド

5月17~18日の週末で新車フェアを終えたアルファード/ヴェルファイア(一部5月24~25日)。案の定トヨペット店/ネッツ店は大盛況で、ある都内店舗では1日に10台売れたという。値引きは現在「気持ち程度」とのことで、10万円引きだそう。納車待ちは1カ月(5月17日現在)。現在の売れ筋グレードはトップグレードの350G Lパッケージで、ほとんどが先代からの乗り換え。しかし時間がたてば買い得感の高い240S(330万円の8人乗り)が売れ筋となるであろう。いっぽうライバルの動向だが、エルグランドの日産、エリシオンプレステージのホンダともにすでに値引きが拡大しており、特にエリシオンは35万円引きまで拡大しているとのことだから、たとえ日産ファンでも商談のさいには引き合いにアルファードを出すことをお薦めしたい。エリシオンプレステージは30万円引き。どちらも商品力として比べてみると新型アルファードには一歩退かざるを得ないが、同じような装備で(値引き拡大ぶんの)20万~25万円安いと思えば買い得感はグッと上がる。ただしその場合、下取り価格も計算に入れることをお薦めしたい。値引きぶんで商品力は互角となるが、5年後の下取り価格は約20万円ほど新型アルファードのほうが有利になるはず。乗り換えを考えるならばアルファードの有利さは揺るがないだろう(その場合は人気カラーのホワイトパールがより有利になることも忘れずに)。