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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

アルファード/ヴェルファイアは『皇帝』というほどの実力か?

先代モデルやライバルと比べると、買い得感はどれほど高いのか?

先代モデルやライバルと比べると、買い得感はどれほど高いのか?

【本記事は2008年7月にベストカーに掲載された記事となります。】価格帯、販売実績、質感、どれをとってもミニバンの最高級クラスに位置するアルファードが、5月12日に2代目へとモデルチェンジした。開発期間中、トヨタ社内では「皇帝」という名前でこの新型アルファード/ヴェルファイアの開発が進められていた。「皇帝」の名前で開発されるミニバンとは、どんなクルマか? 本誌なりにその回答を記するとすれば、それは「ミニバン界のレクサス」といったところだ。上のCGはレクサスLSをハッチバックにして、顔をヴェルファイアにしたクルマ。(編)が「ヴェルファイア/アルファードはまあ要するにミニバンのレクサスやないか」という指摘をもとに作ったものだが、意外や意外、本物のレクサスよりかっこいいので驚いたのだが、まあ、そんな性格のクルマだ。ちなみにトヨタ首脳は「レクサスにミニバ格帯、販売実績、質感、どれをとってもミニバンンは絶対に設置しません」と言っているから、ヴェルファイア/アルファード姉妹は永遠にミニバン界の皇帝に君臨するわけである(たぶん)。まず最初に本誌がチェックしたいのは新型アルファード最大のポイントともいえるシート。かねてより広大な室内スペースからもたらすリラックスした空間は評判であったが、今回はさらにそれに磨きをかけている。

2列目に「究極のシート」

新型アルファード/ヴェルファイアは助手席にも大型オットマンを装備。ラクチンだ

新型アルファード/ヴェルファイアは助手席にも大型オットマンを装備。ラクチンだ

新型アルファード/ヴェルファイアのシート形態は3つ。8人乗り仕様はこれまでと変わらないベンチシートとなるが、7人乗り仕様には上級グレードである350G Lパッケージと350S Cパッケージ(ヴェルファイアは3.5 V Lエディションと3.5Z Gエディション)に「エグゼクティブパワーシート」を採用。それ以外のグレードには「リラックスキャプテンシート」が採用される。この「エグゼクティブパワーシート」こそが新型アルファードの「究極のおもてなし」を如実に体現する装備となる。「たとえばクラウンはトヨタのなかでも重要な高級車ですが、レクサスがあるために思いきり高級にできない部分があると思うんですよ。けれどレクサスにはミニバンが今のところありませんから、アルファードは思いきりやれました」と中越チーフエンジニアが語るように、そのシートは「究極」という名を体現するにふさわしいデキとなっている。今回はあえて評論家やジャーナリストではなく、世田谷区岡本の高級住宅街に住む主婦、尚子さん(写真)にご試乗いただいたが、「飛行機のビジネスクラスみたいですね。スペースが広いからチャイルドシートの設置も簡単だし、シート間の移動も楽。子供を連れてクルマで出かけると出先でもストレスがたまって車内ではゆったりしたいものですけども、これなら行き帰りのストレスが半減しそうです」とのこと。最大74度の角度まで無段階調整ができるパワーオットマンにくわえ、大型ヘッドレストや大型アームレストで搭乗者に最大限の「おもてなし」を与える。

広大なラゲッジスペースと使い勝手が向上したアレンジ

サードシートを跳ね上げ、セカンドシートをスライドさせれば長大なラゲッジスペースが登場

サードシートを跳ね上げ、セカンドシートをスライドさせれば長大なラゲッジスペースが登場

先代からさらに30mm床下が下がったことで荷物の出し入れや人の乗り降りが楽になったのにくわえ、セカンドシートのスライド量は最大で800mm、そして何よりサードシートにスプリング内蔵式のアシスト機構を採用したことで、跳ね上げが女性でも簡単にできるようにしたこと。これでシートアレンジはさらに便利になっている。ラゲッジの最大長はセカンドシートをチップアップ(座面跳ね上げ)にし、サードシートを跳ね上げれば1980mmと、すさまじい長さ、広さを提供する。パッケージングは先代から徹底的に見直されており、先代と比べて全高を45mm低くしながらもフロア地上高を55mm低くすることに成功、また全長は先代と同じく4850mmなのに対して、ホイールベース2950mmを確保している。これによりそれぞれのシートやラゲッジに大きな「余裕」を与えている。なお、先代のベースグレード2.4AXと新型の240Xを比較すると、車両本体価格で8.1万円の値上げとなっており、一部では「原材料値上げの影響か」との報道もあったが、チーフエンジニアの中越氏にその疑問をぶつけたところ、「それはほとんどない。発表会場で新聞記者が渡辺社長に材料値上げの影響はないか? と聞かれ、少しはあると答えたのが大きく報道されただけ。カーテンエアバッグや横滑り防止装置など、先代でオプション設定だったものが標準装備化されていることを考えれば、むしろ値下げです」との回答だった。

先代に比べてどれほど進化したのか!? 走りはどう進化した?

Lクラスミニバンの開発競争は、7~8人がいかに快適に移動できるかが最大のテーマ。ゆったりしたキャプテンシートや豪華なAVシアター装備など、まさに走るリビングルームを目指して進化してきた。新しいアルファード/ヴェルファイアも、その部分での進化ぶりはすごい。目玉商品として用意されたエグゼクティブパワーシートなんか、まさに国際線ジェットのビジネスクラスを彷彿させるゴージャス装備。オットマンまで電動のパワーシートをメいっぱいリクラインさせて足を伸ばせば、フライトアテンダントのお姉さんが飲み物を運んできてくれそうな錯覚におちいるほどリラックスできる。いっぽう、Lクラスミニバンの豪華で快適なインテリアは、必然的にボディサイズの拡大をまねく。広い室内スペースが基本になければ、走るリビングルームも絵に描いた餅だからだ。このあたりは、「だからLクラスミニバンには走りや燃費は多くを求めるな」というエクスキューズにつながる。じっさい、旧アルファードは走りという面ではあまり見るべき点はなく、2.4Lは「まぁ、実用上過不足なく走ります」という程度だったし、3LのV6もミニバン向きとはいえないトルクの細い1MZ-FEということもあって、ライバルであるエルグランド3.5Lの後塵を拝していた。ところが、今度の新しいアルファード/ヴェルファイアでは、この走りの部分が画期的によくなっている。新しいアルファード/ヴェルファイアは、基本プラットフォームはエスティマと共通で、パワートレーンも3.5Lが2GR-FE+6AT、2.4Lが2AZ-FE+CVT-iという組み合わせだ。エスティマでも3.5LV6の280psはクラス随一のパフォーマンスという評判だったけれど、200kgほど重いアルファード/ヴェルファイアでもそのパワフルぶりは健在。力強いトルク感とキープしながら高回転域まで素直に伸びてゆくそのパワーフィールは、2トンもあるミニバンを走らせているとは思えないほど気持ちイイ加速感を提供してくれる。さらに、2.4Lのほうも従来モデルと比べると大幅にドライバビリティが向上している。まず、エンジンは同じ2AZFEという型式名でも圧縮比アップや各部のフリクション低減などでプラス11psの170psを発揮。さらに、トヨタにしては珍しくちょっと手抜きだった4速ATも、最新のCVT-iにバージョンアップしている。実際に走らせてみると、従来の2.4Lに比べると「これが同じ排気量?」とビックリするくらい元気がイイ。静止からのスタートはたいしてアクセルを踏まなくてもスイスイ軽快だし、高速道路の流入車線など本気で加速が必要なと場合でも、さして全開に踏むまでもなく流れに合流できる。CVTの変速セッティングは意図的にややマイルドな味つけで、アクセルチョイ踏み程度ではあまり回転を上げずにエンジン本来のトルクで加速させ、本気で踏んだときにはじめて大きくシフトダンしてトルクピークまで回転を上げる設定。これによって、CVT特有の「エンジン回転の上昇が先行してあとから速度が追いついてくる」違和感を緩和している。こういうセッティングでドライバビリティも悪くないってことは、逆に言えばシフトダウンに頼らなくても走りがトロくさくならないくらいエンジンのトルク特性が優れている証明。燃費データも10・15モードで9.4→11.4km/Lに向上しているし、2AZ-FE+CVT-iのパッケージかなり優秀と評価できる。唯一の欠点は、ホントに全開加速をしているときのウワーンというエンジン音の高まりが、「ああ、やっぱり4気筒なんだねぇ……」という事実を思い出させる点。ロードノイズや風切り音などの騒音レベルは明らか低下しているだけに、全開時だけはエンジン音の高まりが耳についてしまうのだが、こればっかりはV6との明確な差を感じさせる部分でありました。ハンドリングについては、エスティマとプラットフォームを共有することで全高が45mm低下。腰高感のあった従来モデルに比べると、ずっと素直なハンドリングが味わえる。以前は腰高なボディをスタビで押さえ込んでいたのに大し、新型はスムーズにロールさせて無理なくタイヤが路面をとらえる感覚。外側前輪に過度の負担をかけることなく、バランスよく目標のコーナリングラインをトレースできる。さらに、同じプラットフォームを使うエスティマに比べると乗り心地の高級感が確実に一枚以上うわ手。静粛でしなやかな乗り味は、まさに最高級ミニバンの名に相応しい上質さが表現されている。セカンドシートでゆったりくつろいだときの快適性はレクサスLS以上。セカンドシートに座る人にとってアルファード/ヴェルファイアは日本一豪華で快適なリムジンだといって過言ではないだろう。

VSライバル 買い得度Check

直4、2.4Lは、エスティマ、ハリアーなどに搭載されたものをさらに改良し性能をアップ

直4、2.4Lは、エスティマ、ハリアーなどに搭載されたものをさらに改良し性能をアップ

TEXT/渡辺陽一郎新型アルファードに搭載されるエンジンは直4の2.4LとV6の3.5L。まずは両エンジンの割安感を比べたい。装備の違いを補正してエンジン価格差を算出すると約26万円。同じエンジンの組み合わせになるエスティマが約36万円、ハリアーが約46万円だから、アルファード&ヴェルファイアは価格差が少ない。つまりエスティマやハリアーに対してV6を割安にした。ちなみに先代アルファードのV6は3Lだが、この時点でもV6と直4のエンジン価格差は約27万円。現行型は両エンジンの排気量差を拡大させながら、価格差は踏襲する。買い得グレードは、直4ならアルファード240X/ヴェルファイア2.4X、V6は350X/3.5Xだ。双方ともベーシックグレードだが、横滑り防止装置、サイド/カーテン/ニーエアバッグ、左側の電動スライドドアなどを標準装着。エアロパーツを加えた240S/2.4Zとの価格差は33万円だが、装備の違いは22万円相当。350X/3.5Xは338万円だが、クルーズコントロールやインテリジェントAFSなど12万円相当の装備を加え、前述のとおりエンジン価格差を26万円に収める。先代型と比べたらどうか。現行240X/2.4Xは、先代型で売れ筋だった2.4AXのLエディションより8.1万円高い。装備は約6万円に換算される横滑り防止装置、約8万円のサイド/カーテン/ニーエアバッグ、4万円相当のスマートエントリー&スタートシステム、3万円相当のドアミラーターンランプなどが加わり、カットされたのは6万円相当のCD&MDオーディオ程度だ。差し引き15万円相当の装備を加えて価格上昇が8.1万円だから、7万円ほど現行型が割安だ。ライバル車とも比べたい。エルグランドは3.5L同士で比較。350Xはグレード名まで同じだ。価格はエルグランドが6.2万円安く、安全装備はオプション。逆に右側の電動スライドドア、CD&MDオーディオが加わる。装備と価格だけを比べればエルグランドが優位だが、設計が古く運転席のシートリフターも座面の上下のみ。走行安定性の開きも大きく、総合的に判断してアルファード&ヴェルファイアを選びたい。エリシオンでは2.4Gエアロを選択。価格は240X/2.4Xより10.2万円安く、エアロパーツを加える。安全装備とクリアランス&バックソナーでは、アルファードがリード。2.4Gエアロは、エリシオンの販売テコ入れを目的にした買い得グレード。アルファード&ヴェルファイアはこのあたりに装備と価格のバランスを合わせ、ライバル車のなかでも買い得感が強い。

VSライバル2 実用燃費Check

本誌の兄弟誌『フェネック7月号』では、大型ミニバンの一斉燃費テストを敢行した。テストは高速道路と一般道を合わせた約300kmで実施。省燃費走行は意識せず、普段どおりの走り方で燃費を計測した。結果は左表のとおり。トヨタ車は全般的に10・15モード燃費との差が少なく、実用燃費で好成績をマークするケースが多いが、今回もその例に漏れず、アルファード/ヴェルファイアの好成績が目立つ結果となった。特に秀逸なのが3.5モデル。10・15モード燃費での比較になるが、先代アルファード3Lの10・15モード燃費は8.9km/Lだが、新型は3.5Lになってなお、9.2km/Lにまで高められている。テスターとなった『フェネック』編集長の市原によると、「中低速トルクがしっかりしているので、街中で走っているぶんにはアクセルを強く踏み込む機会がほとんどない。高速道路でも料金所通過のさいに少しアクセルを踏むくらいで、基本的には足を置いている程度。これが燃費にすごく影響を及ぼしているんではないか」とのこと。新型アルファード/ヴェルファイアはハンドリングや使い勝手がいいだけでなく、サイフにも優しいようだ。

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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